福祉業界への転職を成功させる志望動機とは?事前準備の方法も解説

福祉業界には、介護職や保育士をはじめとするさまざまな職種があります。福祉に関連する仕事に就くためには、どのような志望動機を書けばよいのでしょうか?事前準備の方法や盛り込むべき内容、避けた方がよい文言を例文とともに解説します。

福祉業界への志望動機に盛り込む内容とは?

高齢者の手を取る介護者

(出典) pixta.jp

福祉業界は、高齢者や体が不自由な人、サポートを必要としている人に対し、公的扶助やサービスを提供する業界です。介護・障害者ケア・医療・保育などに関わりがあり、さまざまな職種の人が活躍しています。

福祉業界に転職する場合、志望動機にはどのような内容を盛り込めばよいのでしょうか?

なぜ福祉業界で働きたいのか

志望動機には、福祉業界で働きたい理由を明確に記載しましょう。福祉業界以外から転職する場合には特に、福祉の仕事をしようと思ったきっかけに注目が集まります。

福祉業界の多くの職種は、慢性的な人手不足の状態です。介護職員や保育士などは、肉体的・精神的な負担が大きい仕事のため、ほかのビジネス職に比べると、なり手が少ない現状があります。

業界全体で人手が足りない分、就職・転職はしやすい傾向がありますが、「就職しやすそうだったから」「将来性がありそうだから」といった安直な理由では、採用担当者の心は動かせません。

応募職種を選んだ理由は何か

数ある職種の中で、なぜ応募する職種を選んだのか、理由をしっかりと伝えましょう。理由が明確かつ具体的であればあるほど、志望度の高さや仕事への熱意を示せます。

「安心できるサービスを提供して、豊かな社会の実現に貢献したい」という理由は、福祉業界の全ての職種に通用する志望動機です。「ほかのポジションでも構わないのでは?」と採用担当者に受け取られかねません。

福祉業界には以下のようにさまざまな職種があります。職種ごとの役割や仕事内容を理解した上で、その職種でなければならない理由を考えましょう。

  • 介護関連:ケアワーカー・介護職員・訪問介護員など
  • 保育関連:保育士・保育教諭・ベビーシッターなど
  • 栄養調理:栄養士・管理栄養士・調理員など
  • 看護・リハビリテーション関連:看護師・保健師・作業療法士・言語聴覚士など
  • その他:事務・営業・総務・企画など

将来のビジョンと貢献できること

採用担当者は、応募者を採用すると自社にどのようなメリットがもたらされるのかを常に考えながら、選考を進めています。転職理由や応募職種への熱意だけでなく、将来のビジョンや貢献できることを伝えると、印象アップにつながるでしょう。

ただし、「体力には自信があります」「夜勤も問題なくこなせます」といったありきたりなアピールでは、ほかの応募者との差別化につながりません。説得力や信ぴょう性を持たせるために、具体的なエピソードや実績を交えましょう。

「介護職の経験を積み、介護福祉士や社会福祉士を目指したい」「介護支援専門員にキャリアアップしたい」など、将来のビジョンやキャリアプランを伝えれば、モチベーションの高さをアピールできます。

志望動機を書く前に準備したいこと

高齢者と女性介護士

(出典) pixta.jp

事前準備を怠ると、志望動機の内容がありきたりで薄っぺらなものになってしまいます。応募先に関する情報を収集したり、国の福祉・介護事業についてリサーチしたりして、理解を深めるところからスタートしましょう。

施設の経営理念や方針を調べる

各施設が掲げる経営理念や方針は、組織風土や働き方、キャリアプランに大きく関わります。Webサイトで事前にリサーチしておけば、自分に適した職場環境かどうかを判断できる上、応募先を選んだ理由を明確に伝えられます。

例えば、経営理念への共感を示しつつ、自分が業務を遂行する上で大切にしているポイントを伝えれば、説得力が高まるでしょう。その施設ならではの取り組みや地域での活動、インタビュー記事にも目を通しておく必要があります。

国の福祉・介護事業について理解する

福祉業界への転身を考えている人は、国がどのような福祉・介護事業を展開しているのかについて把握しておきましょう。国の福祉・介護事業は、「障害者福祉」「生活保護・福祉一般」「介護・高齢者福祉」の3つに大別されます。

知識がゼロの状態で志望動機を書くと、文面に知識不足・勉強不足が表れてしまいます。自分に合う業界であるかどうか見定める意味でも、業界研究は必ず綿密に行いましょう。

高齢化社会が進展する現代において、医療サービスと介護は切り離せない関係です。福祉業界と関連性が深い業界についても、リサーチしておくのが望ましいでしょう。

参考:福祉・介護 |厚生労働省

職場見学に積極的に参加する

福祉施設の中には、職場見学を受け付けているケースがあります。職場環境や仕事内容、組織風土とのマッチ度合いを確かめるためにも、見学には積極的に参加しましょう。

特に介護施設は、施設の種類や提供するサービスによって、仕事内容が大きく異なります。「希望する職場ではなかった」「キャリアプランが実現できそうになかった」と後悔しないように、自分の目で確かめることが重要です。

採用後のミスマッチを防ぐためにも、以下のポイントを重点的にチェックしましょう。

  • 職員の働きぶり・表情・利用者への接し方
  • 利用者の状態と仕事内容
  • 施設の衛生面

職場見学に参加すると、「見学の際、職員の方が丁寧に説明をしてくださり…」「利用者のみなさまの表情が明るく…」など、職場見学の感想を志望動機に盛り込めるため、ほかの応募者との差別化が図れます。

志望動機の例文をチェック

リハビリ

(出典) pixta.jp

志望動機には、福祉業界を目指したきっかけや自分が貢献できること、仕事への意気込みを盛り込みましょう。具体的なエピソードを添えると、文章にオリジナリティーが生まれます。例文とともに、書き方のポイントを解説します。

生活支援員の場合

生活支援員とは、体の不自由な人や高齢者の生活をサポートする職種です。障害者施設やグループホームなどに勤務し、身体介護や相談業務などに従事します。支援をするにあたり、体力やコミュニケーション力、観察力などが要求される仕事です。

志望動機では、「過去に培った経験を業務にどう生かせるか」「どのような人材を目指しているのか」という点を伝えましょう。

友人が障害者手帳を受け取ったのをきっかけに、体が不自由な方のサポートをする生活支援員に興味を持ちました。

貴施設は、一人一人の個性と能力を生かす支援を目指していらっしゃいます。利用者さまの主体性を尊重しながら、意思決定をサポートする方針に深く共感し、貴施設の生活支援員に応募いたしました。

前職は、70名が在籍する学童保育の放課後児童支援員です。日々子どもたちと向き合う中で、相手の気持ちに寄り添う方法を学びました。

前職で培ったコミュニケーション力と傾聴力を生かしながら、生活面と精神面の両方をサポートできる生活支援員を目指したいと考えております。

福祉施設の事務職の場合

福祉施設の事務職は、施設の運営を陰で支える縁の下の力持ちであり、不可欠なポジションです。保育士や介護福祉士、栄養士などとは異なり、資格がなくても働けます。福祉施設の事務職に応募する際は、なぜ応募先で働きたいのかを明確に伝えましょう。

祖母の介護をきっかけに、介護事務の仕事を知りました。貴施設を訪問するたびに事務職員の方が丁寧に案内や説明をしてくださり、自分も利用者のみなさまやそのご家族をサポートする仕事がしたいと思うようになりました。

パソコンの入力作業や資料作成、請求業務などに7年間携わり、事務職のスキルを磨いてきました。独学で、介護事務認定実務者試験とケアクラーク技能認定試験を取得しており、介護報酬請求に関する知識もあります。

貴施設は地域で最も歴史のある介護施設です。利用者さまが多く、職員数も多い貴施設でなら、幅広い仕事にチャレンジできると思いました。1日でも早く仕事を覚え、貴施設と利用者さまに貢献できるよう尽力いたします。

マイナス評価につながりやすい志望動機

介護士

(出典) pixta.jp

採用する側は、応募者の人柄やスキル、意欲などを総合的に判断して採否を決定します。志望動機だけで落とされる可能性は低いですが、書き方・伝え方を一歩間違えると、マイナス評価につながるのは事実です。

待遇や労働条件を前面に出している

待遇や労働条件を志望動機の前面に出すのは控えましょう。待遇面に執着している印象を与える上、職種や仕事に対する熱意・意欲が感じられません。以下は、避けた方がよいNG例です。

他社に比べて給与が高く、安定した生活が送れそうだと感じました。

家から徒歩で通える職場を探していたところ、貴施設の求人を見つけました。

残業や夜勤が少ないとお聞きしており、プライベートを大切にしたい自分の希望とマッチしていました。

キャリアアッププログラムがあり、働きながら〇〇の資格取得を目指せると思いました。

入社後の研修が前提になっている

人手が不足している福祉業界は、未経験OK・未経験歓迎の求人が多い傾向があります。充実した研修制度によって、未経験でも着実にスキルを習得できるのがメリットですが、「未経験だから学ばせていただく」という表現は好ましくありません。

「学ばせてもらう」「知識やノウハウを吸収して成長したい」といった表現は、入社後の研修を前提としています。学校と違い、職場は仕事をする場所なので、業界未経験でも過去の経験が生かせるかどうかが問われるのです。

自分の学びや成長を目的として応募してくる人を採用しても、採用側にはメリットがありません。自分の長所や強みを生かして、どう貢献できるかという点を示しましょう。

福祉への意欲と熱意を自分の言葉で伝えよう

介護士の女性と高齢者

(出典) pixta.jp

福祉業界は奥が深く、さまざまな職種の人が業界を支えています。志望動機を書く前に、業界や応募先について深くリサーチし、なぜ福祉の仕事に携わりたいのかをクリアにしましょう。

自分を採用するメリットを示すと同時に、応募先や募集職種への熱意を自分なりの言葉で伝えるのがポイントです。志望動機がなかなか思い浮かばない場合は、職場見学に参加するのもよいでしょう。

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