30代のキャリアに役立つ資格を厳選。取得のメリットや選び方も紹介

ライフイベントが多い30代は、キャリアの転換期でもあります。「未経験の仕事に挑戦したい」「今の会社で昇給・昇進を目指したい」という人は、自分のキャリアプランに合った資格を取得しましょう。30代におすすめの資格や選び方のポイントを解説します。

「30代」手に職を付けたい人におすすめの資格

資料作成

(出典) pixta.jp

30代を節目に、自分のキャリアについて深く考える人は少なくありません。「安定した職業に就きたい」「仕事にやりがいを求めたい」という人は、自分の適性を考慮した上で、手に職を付けられる資格を取得するのがおすすめです。

行政書士

行政書士は、行政書士法に基づく国家資格です。依頼を受け、官公署に提出する書類の作成や提出手続き代理、行政不服申立て手続き代理などを行います。

国民の諸権利の保護と、行政の円滑な執行に貢献する重要なポジションで、社会的需要が高いのが特徴です。

有資格者には、法律の知識を生かして一般企業や行政書士事務所で働くほか、独立・開業するという選択肢があります。

行政書士になるには、行政書士試験に合格しなければなりません(一部の士業を除く)。試験は、年齢・学歴・国籍に関係なく、誰でも受けられます。2022年度の合格率は約12.1%です。

参考:令和5年度行政書士試験のご案内 | 行政書士試験研究センター

参考:■最近10年間における行政書士試験結果の推移

司法書士

司法書士は、登記・供託・訴訟といった法律上の手続きを専門的に行う職業です。法律に関連する国家資格の中でも難易度が高く、2022年の合格率は約5.2%にとどまります。

一昔前までは、司法書士として独立するのが一般的でしたが、近年は司法書士事務所・司法書士法人に勤務し、安定した収入を得る人が増えています。一般企業の一社員として、企業法務を担う人も少なくありません。

司法書士になるには、司法書士試験に合格する必要があります。試験は年1回で、年齢・学歴に関係なく誰でも受験可能です。

個人差はありますが、学習時間の目安は約3,000時間といわれています。無理のないスケジュールを立て、効率的に学習を進めましょう。

参考:法務省:司法書士試験

参考:令和4年度司法書士試験の最終結果について

保育士資格

子どもの心と体の成長をサポートする保育士は、AIに奪われにくい職業の代表格といえます。日本は少子化が進んでいますが、共働きの増加や保育ニーズの多様化が影響し、保育士の需要は減っていない状況です。

保育士資格は、児童福祉法が定める国家資格で、資格を取得するには「指定保育士養成施設を卒業する」または「保育士試験に合格する」のいずれかのルートを選択します。

保育士試験の受験資格は、短期大学卒業程度ですが、最終学歴が高等学校卒業でも「所定の児童福祉施設での勤務経験時間の条件」を満たせば、受験可能です。

筆記試験と実技試験があり、筆記試験(9科目)に合格した者が実技試験を受けられます。試験は年2回で、2022年度の合格率(1回目と2回目の合計※)は約29.9%です。

※一部の県が実施する「地域限定保育士試験」の結果を含む

参考:保育士試験を受ける方へ|一般社団法人全国保育士養成協議会

参考:保育士試験の実施状況(令和4年度)

「30代」一般職(事務職)で評価されやすい資格

会計事務のイメージ

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専門職と違い、一般職(事務職)は特別なスキルが必要とされにくいポジションです。社内でのキャリアアップや、転職での収入アップを狙うのであれば、業務に役立つ資格を取得し、他者との差別化を図りましょう。

社会保険労務士

社会保険労務士(以下、社労士)は、社会保険や労働関連の法律に関する専門家です。労働社会保険諸法令に基づく書類の作成および手続き代行(1号業務)や、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(2号業務)は、社労士しか行えません。

企業の人事・総務部門において、有資格者は人事・労務の諸問題に対応できる人材として重宝されます。働き方の多様化が広がる中、社労士の需要はさらに増えるでしょう。開業社労士として、社労士法人や個人事務所を立ち上げる選択肢もあります。

社労士は、難易度の高い国家資格の1つです。2023年度の社会保険労務士試験の合格率は6.4%と低く、計画的かつ継続的な学習が求められます。合格後はすぐに社労士として働けるわけではなく、登録要件を満たさなければなりません。

参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

参考:第55回社会保険労務士試験の合格者発表|厚生労働省

日商簿記

簿記には、日商簿記・全商簿記・全経簿記の3種類の試験があります。中でも知名度が高いのが、日本商工会議所が主催する「日商簿記」です。

等級は、簿記初級・3級・2級・1級の4段階です。1級の有資格者は、経理・会計のスペシャリストとして、高く評価されます。2級以上の資格があると、事務職・経理職への転職で有利になるほか、営業職でも数字に強いことを示せるでしょう。

2023年6月に実施された統一試験の合格率は、以下の通りです。

  • 3級:34.0%
  • 2級:21.1%
  • 1級:12.5%

参考:簿記 | 商工会議所の検定試験

参考:簿記 受験者データ | 商工会議所の検定試験

マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)

マイクロソフト オフィス スペシャリストは、Microsoft Office製品(Word・Excel・PowerPointなど)を使いこなすスキルを証明できる資格です。

実用性が高く、転職時は業務を効率よくこなせる人材として評価されます。事務職はもちろん、営業職・管理職・専門職でもアピールできるでしょう。採用・昇進の要件に、MOSを設定している企業も少なくありません。

WordとExcelは、一般レベルと上級レベル(エキスパート)の2つのレベルに分けられています。資格のバージョンアップや更新制度はないため、Microsoft Office製品の新しいバージョンの資格を取得したい人は、試験を受け直す必要があります。

参考:MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト

「30代」営業職の転職・キャリアアップに役立つ資格

打ち合わせをするビジネスマン

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顧客折衝や他部署とのコミュニケーションが多い営業職は、ビジネスパーソンとして大きく成長できるポジションです。

一方で、特別な資格を必要としないため、キャリアアップを目指しにくいのも事実です。営業職の転職や、キャリアにプラスになる資格をチェックしましょう。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業支援法第11条に基づく国家資格です。経営課題を抱える中小企業に対し、専門的知識を生かした助言を行います。

法人営業の担当者であれば、相手企業の信頼を得やすくなるほか、より具体的なアドバイスが可能になるのがメリットです。経営コンサルタントとしてキャリアアップしたい人にも、有用な資格といえます。

中小企業診断士になるには、第1次試験に合格する必要があります。合格後「中小企業診断士登録」を行うには、以下のいずれかのルートを選択する決まりです。

  • 第2次試験に合格し、実務補習または15日以上の実務に従事する
  • 中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程に参加する

2022年度の合格率は、第1次試験が28.9%、第2次試験が18.7%です。

参考:中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です

参考:中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移

宅地建物取引士

宅地建築取引士(以下、宅建士)は、不動産取引に関する国家資格です。宅地建物取引業者(不動産取引を扱う事業者)には、宅建士の設置が義務付けられています。

不動産業界・建築業界・金融業界での転職では、宅建士の有資格者が優遇される可能性が高いでしょう。

宅建士の主な役目は、不動産の売買・賃貸・交換などが、公正に行われるようにチェックすることです。

「宅建業法第35条に定める重要事項の説明」「重要事項の説明書面への記名」「同法第37条に定める書面(契約書など)への記名」は、宅建士のみが行えます。

宅建士になるには、宅建士試験への合格が必須です。受験資格は設けられていませんが、資格登録には一定の条件(宅建業法第18条)がある点は留意しましょう。2022年度の合格率は17.0%で、合格者の平均年齢は36.5歳です。

参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験

参考:令和4年度宅地建物取引士資格試験結果の概要

参考:宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索

ファイナンシャル・プランニング技能士

ファイナンシャル・プランニング技能士(以下、FP技能士)は、税金・保険・年金などの幅広い知識を駆使し、個人にライフプランのアドバイスをする専門家です。

銀行・証券会社・保険会社などの金融業界や、不動産業界の営業職で生かせるケースが多く、2級以上があると転職・キャリアアップで有利になります。

実施機関は、「日本FP協会」と「一般社団法人金融財政事情研究会」です。等級は3級・2級・1級で、試験内容は実施機関によって若干の違いがあります。

日本FP協会の場合、2級および3級では学科試験と実技試験、1級では実技試験のみが実施されます。2023年9月度の合格率(※)は以下の通りです(日本FP協会)。

  • 3級:(学科)74.8%・(実技)77.7%
  • 2級:(学科)53.5%・(実技)52.0%
  • 1級:(実技)96.2%

※合格率は小数点第2位を四捨五入

参考:FP技能検定とは | 日本FP協会

参考:一般社団法人 金融財政事情研究会

参考:FP技能士の取得者数及び試験結果データ | 日本FP協会

30代が資格選びで重視したいポイント

勉強をする男性

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30代はキャリアの転換期です。どのような資格を取得するかによって、今後の人生やライフプランが大きく変わるといっても過言ではありません。30代が資格選びで重視したい2つのポイントを解説します。

合格までにどれくらいの時間がかかるか

定年後の中高年や学生と違い、30代は仕事・子育てで忙しい人が大半です。仕事がある人の場合は、仕事と学習の両立をしなければならないため、スケジューリングが欠かせません。

資格には、受験日というタイムリミットがあります。難易度や必要な学習時間をリサーチした上で、取得するまでにどれくらいの時間がかかるのかを把握しましょう。

例えば、司法書士試験に必要な学習時間は約3,000時間です。1日の学習時間を4時間とした場合、約2年間かかります。

自分に向いている資格かどうか

30代が資格を取得する目的の多くは、転職やキャリアアップです。いくら高収入・高待遇が期待できる資格であっても、自分に適性がなければ合格は難しいでしょう。キャリアプランに合致していない場合は、取得しても生かせない可能性があります。

まずは、自己分析やスキル・経験の棚卸しを行い、自分のキャリアにプラスになる資格を洗い出しましょう。例えば、生命保険会社の営業職に従事している人にとっては、ファイナンシャル・プランニング技能士の資格が役立ちます。

30代が資格を取得するメリットはある?

スーツ姿の男性の後姿

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資格取得に励む人がいる一方で、「資格よりも実務経験の方が大事」という意見もあります。30代という多忙な時期に、多くの時間をかけて資格を取得するメリットはあるのでしょうか?

仕事の幅が広がる

資格取得のメリットの1つに、仕事の幅が広がることが挙げられます。国家資格には、有資格者以外の従事が禁じられている「業務独占資格」があります。例えば、不動産取引における重要事項の説明は、宅建士の資格を持った者でなければ行えません。

有資格者は、転職で優遇されやすい上、仕事の幅が大きく広がります。人事評価では、昇給・昇進の判断材料になるでしょう。業務独占資格は総じて難易度が高いため、30代での転職を目指すのであれば、早めに資格取得に着手する必要があります。

また、業務独占資格でなくても、業務に関連する特定の資格を応募の必須条件、または優遇条件としている企業も少なくありません。

未経験の業界に転職する際の足がかりになる

資格があるからといって、必ずしも転職が成功するわけではありません。経験者採用では資格よりも、スキル・経験が重視されるケースが多いためです。

とはいえ、転職市場では資格の有無が採用の決め手になる場合もあります。特に未経験の業界に転職する場合は「仕事への意欲が高い」「業務に関する一定の知識がある」と見なされ、選考が有利に進む可能性が高いでしょう。

30代を過ぎると、業界をまたいだ転職・キャリアチェンジが難しい傾向にあります。40代以上は求人数が減るため、必ずしも希望の仕事に就けるとは限りません。資格を足がかりに、30代のうちに行動することをおすすめします。

30代は資格取得で自分の市場価値を高めよう

男性ビジネスマン

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30代の資格取得は、自分の可能性を大きく広げます。転職を検討している人の場合は、自分の市場価値がグッと高まるでしょう。

資格のメリットを生かすためには、「取得する目的は何か」「どのように生かしたいのか」を明確にすることが重要です。学んだ内容が無駄にならないように、キャリアプランとのマッチング度も考慮する必要があります。

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