QAとは何か?IT業界における「品質保証」の重要性と必要な知識

QAは、品質保証に関わる仕事として、多くの業界で注目されています。特にIT業界ではQA業務を担当する「QAエンジニア」が有名です。品質保証や品質管理に関わるQA・QCの意味のほか、QAエンジニアの仕事内容や向いている人の特徴を紹介します。

QAとは?

エンジニアのイメージ

(出典) pixta.jp

QAは、「Quality Assurance」の頭文字を取った略語です。まずは、「Quality Assurance」が何を意味するのか、基本的な定義を解説します。また、似た用語として知られるQC(品質管理)についても確認しましょう。

QAは品質保証の意味

QAの元になっている「Quality Assurance」は、品質保証を意味する英語です。ビジネスにおいて、品質保証は製品・サービスの品質が保たれているか確認し、購入後のアフターフォローを担う活動全般を意味します。

具体的には、製品の検査・テストや顧客のクレーム対応が品質保証の業務です。多くの業界で「QA」は品質保証に関連する業務工程や、品質保証に関連する業務に就いている人を指します。

特にIT業界では「QA」「QAエンジニア」と呼ばれる職種があり、ソフトウェアの品質を検査・調査する役割を担うのが特徴です。

品質を保っていると判断するための基準として、何らかの規格を取得する企業もあります。国際規格では「ISO規格」が有名で、ソフトウェアに関する品質モデルも知られています。

QC(品質管理)との違い

QCは、「Quality Control」の頭文字を取った略語です。Quality Controlは品質管理を意味する英語で、製品・サービスの品質を管理する活動全般を指します。

具体的には、製造から納品までのプロセスを管理する業務や、問題発生時に改善に向けての取り組みを行う業務が該当するでしょう。そのほか、製品の品質チェックも含め、顧客満足度を高めるための活動が品質管理です。

品質保証は、製品・サービス自体の品質を保証する業務や職種を指します。一方の品質管理は、品質を保つためのマネジメントシステムや手法を意味します。

IT業界におけるQAとは?

パソコンに向かっている二人のスタッフ

(出典) pixta.jp

IT業界には、QAまたはQAエンジニアと呼ばれる職種があります。どのような職種なのか、役割と重要性を確認しましょう。また、似た業務を担うデバッガー・テスターとの違いも解説します。

QAエンジニアの役割と重要性

IT業界の「QAエンジニア」は、品質保証に関わる業務を担当するエンジニアです。主にソフトウェアの仕様確認や、検査・テストを担当します。

ソフトウェア開発に携わるエンジニア・プログラマーとユーザーの間に立って、製品の不具合・問題を発見し、ユーザーに対して品質を保証する役割です。

単に不具合がないかどうかチェックするだけではなく、顧客が使いやすいシステムになっているかも確認します。IT業界においては製品の品質を高め、専用の窓口がない場合には問い合わせ対応までを担当する、品質保証のスペシャリストといえるでしょう。

デバッガー・テスターとの違い

QAエンジニアとデバッガー・テスターは、似た業務を担当します。どちらもソフトウェアの検査・テストに関わるため、企業によっては区別をつけにくいケースもあるでしょう。主な違いは、関わる業務の範囲です。

QAエンジニアは、開発から製品出荷後の対応まで、幅広い範囲の業務をカバーします。また、品質保証を重視しているため、業務は単なる不具合チェックだけにとどまりません。

デバッガーは開発からテストまでを主に担当し、テスターはテストによって発見した不具合を報告するのが主な役割です。

QAエンジニアの具体的な仕事内容

パソコンに向かう若い人物

(出典) pixta.jp

IT業界で働くQAエンジニアは、普段どのような仕事をしているのでしょうか?主な仕事内容と、仕事の特徴を紹介します。

製品に対するテスト計画の準備

QAエンジニアは、開発した製品に対してテストを行います。そのためには、準備が必要です。まずは、どのようにテストを行うか、テスト計画を立てる必要があります。

テスト計画の中には、具体的なテスト設計が含まれます。大まかな方針を決定した後、範囲や条件などを詳しく設定し、テストが正常に行われるようテストケースを定めることが重要です。

何をテストしたいのか、テストでどのような問題を確認したいのか、具体的に設定していきます。

テストを実施・分析・報告

実際にテストを実施し、問題がないかどうかチェックするのも、QAエンジニアの主な仕事内容です。単にテストをするだけでなく、分析や報告も担当します。

QAエンジニアがテストを実施する目的は、品質が保たれているか、改善できるところはないか確認するためです。結果を分析し、問題がないかどうかを詳しく確認していきます。

テスト後はレポートを作成し、何らかの不具合が見つかった場合は開発チームへの報告も欠かせません。どのような状況で不具合が発生するのかテストを繰り返し、改善策を提案するケースもあります。

QAエンジニアに必要とされる知識・スキル

パソコンを組み立てる

(出典) pixta.jp

QAエンジニアとして活躍するには、仕事に生かせる知識・スキルが必要です。働き始めてから身に付ける知識もありますが、一般的に求められやすい知識・スキルを紹介します。

プログラミング・開発に関する知識

QAエンジニアは、開発チームが開発した製品のテストや品質保証を担います。エンジニアとして製品のテストを担当するには、プログラミング・開発の基本的な知識が欠かせません。

直接プログラミング・開発に関わらないとしても、不具合があるかどうかチェックするには、製品の概要を理解している必要があります。

特に、携わる製品の種類によっては、複数のプログラミング言語に関する知識が求められるでしょう。

テスト技法に関する知識

QAエンジニアには、IT製品のテスト設計を行うための「テスト技法」に関する知識が求められます。テスト技法とは、製品のテストを行う際の方法や種類のことです。

テスト技法は、一般的にブラックボックス・ホワイトボックス・経験ベースに分類され、エンジニアが適切な技法を選択してテストを進めます。

製品の種類やテストの目的によって、選択するべき技法が異なるため、担当する業務に必要な知識を身に付けていなければなりません。

円滑なコミュニケーションスキル

品質保証の業務は、さまざまな部署との連携によって成り立っています。テスト設計から実施にあたっては、開発チームとの連携が欠かせません。

開発に携わったエンジニア・デザイナーから情報を聞き取り、適切なテスト技法を選択する必要もあるでしょう。

テストの結果によっては、各部署にフィードバックを行います。企業の体制によっては開発チームだけでなく、クライアントや製品に関わる人たちとコミュニケーションを取る機会もあるでしょう。

QAエンジニアに向いている人の特徴

打ち合わせをする作業着の二人のエンジニア

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QAエンジニアには、どのような人が向いているのでしょうか?仕事内容や傾向から、向いている人の主な特徴を紹介します。

細かな点に気が付ける

開発において、製品のテストは主にミス・バグを発見するために行われます。製品の品質を保証する役割を持つQAエンジニアは、ささいな問題であっても見つけて対処しなければなりません。

性格的にきっちりしていて慎重な人は、QA業務に向いています。ユーザーにとって使いやすい設計になっているか、テスト設計の方法に問題はないかなど、ミス・バグの発見以外にもさまざまなことに気を配れる慎重さ・繊細さは、業務を行う上で役立つはずです。

マルチタスクに抵抗がない

QAエンジニアの業務内容は、テスト設計や実施が中心です。同じような作業を繰り返すようにも思えますが、製品のリリースが迫っている段階でのテストの場合、短時間でさまざまな作業を同時進行しなければなりません。

複数の作業を同時にこなすマルチタスクに抵抗がなければ、スムーズにテストやフィードバックを進められるでしょう。

不具合の有無によっては、多くの部署と連携を取ることにもなるため、業務内容は多岐にわたります。1つずつ作業を進めたい人にとっては、スケジュール管理が難しいかもしれません。

自ら学ぶ意識が高い

IT業界は、新しいシステムが生み出されるまでの時間が短く、常に進化しています。製品の品質を保証するQAエンジニアも、新しい知識を学んでいく意識が大切です。

特に、テスト設計やフィードバックを的確に行うには、深い知識が求められます。勉強が苦にならない人や、ITに関する興味関心が高い人は、QAエンジニアとして活躍できるでしょう。

QAエンジニアのやりがいと大変なところ

パソコンの作業デスク

(出典) pixta.jp

QAエンジニアには、他の職種と同様に、やりがいだけでなく大変なところもあります。それぞれ、特徴を紹介します。やりがいや仕事で大変なところを理解しておけば、自分に向いているかどうか判断するきっかけになるはずです。

【やりがい】幅広い知識を身に付けられる

さまざまな製品の品質保証を担当するQAエンジニアは、知識・技術を身に付けられます。開発チームへの提案や、ミス・バグを発見し解決策を提示する業務には、多くの知識が必要です。

また、開発者としての目線だけでなく、ユーザー側の立場で改善点を提案できるのも、QA業務に携わるエンジニアならではといえるでしょう。

ユーザー目線で物事を考えられるQAエンジニアは、製品をより良くする役割を担っています。リリース後の評価にも影響するため、やりがいは大きいでしょう。

【大変なところ】責任が重い

品質保証に関わる仕事は、責任も重大です。リリースする製品の品質が問題ないかどうか、最終的に判断しなければなりません。

万が一問題があれば、製品の回収や返金、クレーム対応など大きなトラブルに発展する可能性もあり、テスト作業には神経を使うでしょう。

責任が重いだけでなく、作業自体に負担を感じる可能性もあります。テスト実施中は細かい部分に気を使いながら、単調な作業を繰り返さなければならず、結果が出た後は他部署との板挟みになるかもしれません。

リリースまでの期間が限られているため、何か起これば1日の作業時間が長くなることも考えられます。

QAの仕事内容を把握して転職に挑戦しよう

エンジニア

(出典) pixta.jp

IT業界では、品質保証に関わる「QAエンジニア」が活躍しています。プログラミングやテスト技法の知識・スキルを生かしたいと考える人のほか、ユーザーに確かな品質の製品を届けたいという気持ちが強い人に、向いている仕事です。

「スタンバイ」でも、QA業務に関わる仕事を探せます。向いている人の特徴や必要なスキルを把握し、転職にチャレンジしてみましょう。

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