ディレクターとは?プロデューサーとの違いや業界別の仕事内容を解説

「ディレクター」という職業は、さまざまな業界に存在します。しかし、具体的にはどのような仕事をしているのか、あまり知られていないのではないでしょうか。ディレクターになるために必要なスキルや、業界別の仕事内容について解説します。

「ディレクター」の意味は?

撮影のディレクター

(出典) pixta.jp

そもそも、一般的に「ディレクター」とはどのような存在を指す言葉なのでしょうか。ビジネスの現場での役割や、比較されやすい「プロデューサー」との違いについて見ていきましょう。

現場の責任者を指す言葉

ディレクター(director)とは、もともと指揮者や管理者などの意味を持つ言葉です。ビジネスシーンでは、「現場の責任者」という立場を表す言葉として使われます。

ディレクターという職種はさまざまな業界に存在しており、主にテレビやWeb制作をはじめとするクリエイティブな仕事に関わることが多いようです。

仕事内容は業界によって多種多様ですが、一般的にはプロジェクト全体の管理を任されています。具体的には、スケジュール管理やスタッフへの指示などが主な業務です。

会社内の役職を表す場合もある

ディレクターは、会社内の役職を表す場合にも使われる言葉です。「エグゼクティブディレクター」「シニアディレクター」「アソシエイトディレクター」など、さまざまな呼び名がありますが、その役割や責任は企業によって異なります。

多くの場合、特定の部署を管理・監督する部門長を指しますが、一部の企業では取締役などの経営陣クラスを指すこともあります。さらに、職務の範囲や立場に応じて、役職がいくつかの階層に分けられている企業もあるでしょう。

プロデューサーとの違い

ディレクターとプロデューサーはどちらも責任者の立場ですが、大きな違いは何に対して責任を負うかという点です。ディレクターが現場の責任を負う立場であるのに対し、プロデューサーは企画全体の責任者になります。

企画の立案や資金の調達、人員の配置など、ディレクターを含めた制作現場のスタッフの仕事環境を整えるのがプロデューサーの役割です。

プロデューサーが企画を考え、ディレクターが制作物として完成させるために現場で指揮に当たると考えれば、両者の関係性が分かりやすいでしょう。

ディレクターに求められる基本スキル

テーブルでミーティング

(出典) pixta.jp

ディレクターの仕事内容は業界によって異なりますが、現場の責任者を務めるために必要とされる基本的なスキルは共通しています。ディレクターに必要なスキルを3つ見ていきましょう。

マネジメント能力

マネジメント能力は、現場の責任者であるディレクターにとって欠かせないスキルといってよいでしょう。例えば、プロジェクトを遂行するには、時間の管理が必要です。

納期に間に合うようにスケジュールを細かく確認し、不測の事態が起こったときには臨機応変に対応しなければなりません。

また、チームのメンバーがスムーズに仕事をできているか、トラブルを抱えていないかなど、「人」に関するマネジメント能力も必要とされます。

常に客観的な視点で現場全体を把握し、状況に応じた適切な対応を取れるスキルがなければ、ディレクターとしての役割を果たすのは難しいでしょう。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力はどの職種にも必要ですが、チーム全体をまとめるディレクターにとっては特に重要とされるスキルです。制作の現場には多くの人が関わっています。

現場の責任者であるディレクターは、各所が連携を取るための要ともいえる存在です。お互いの意図を理解し、さらに自分の意見も示しながらチーム全体に情報を伝達するには、優れたコミュニケーション能力が欠かせません。

また、チームのメンバー全員が自分の考えを言いやすいよう、日頃からスタッフ1人1人ときめ細かいコミュニケーションを取ることも大切です。

業界での実務経験やスキル

業界での実務経験やスキルも必要です。現場の責任者として仕事をするには、業務内容に関する幅広い知識が求められるためです。

例えば、映像関連の業界でディレクターとして働くには、撮影や編集に関する経験やスキルが必要とされます。これらの実務経験やスキルが不足していると、プロジェクト全体を管理するのは困難といえるでしょう。

しかし、マネジメントの実績がある場合は、業界での実務経験がなくてもマネージャーやリーダーとしての経験を評価され、採用されるケースもあります。

Web業界のWebディレクター

webデザイナー

(出典) pixta.jp

Webディレクターは、Webサイトの制作現場での指揮や管理を行う仕事です。具体的な仕事内容や、Webディレクターになる方法について解説します。

Webディレクターの主な仕事

Webディレクターは、Webサイトの制作において、クライアントへのヒアリングから企画・制作・運用・更新までの全ての業務を管理する責任者です。

プロジェクトが予定通り進むようにスケジュールを管理するだけでなく、制作物の品質をチェックする必要もあります。また、制作の各段階でメンバーに指示を出したり、クライアントとの橋渡し役になったりするのもWebディレクターの仕事です。

さらに、Webサイトが完成した後もアクセス解析などによって運用状況を確認し、必要に応じてコンテンツの更新作業に関するディレクションを行います。

Webディレクターになるには

Webディレクターを目指す上では、Web制作に関する知識やスキルが不可欠です。HTML・CSS・JavaScriptなどのプログラミング言語に加え、ユーザーにとって使いやすいサイトを作るためのUI/UXに関するスキルも求められます。

また、Webサイトの見た目を左右するデザインスキルや、サイト内の文章をチェックするためのライティングスキルなども必要です。

未経験からWebディレクターを目指すなら、これらの知識やスキルを身に付けることから始めましょう。「未経験者可能」な求人に応募して、実際の現場で働きながらスキルを身に付けるという方法もあります。

放送業界のテレビディレクター

テレビスタッフ

(出典) pixta.jp

放送業界のディレクターというと、番組制作に関わるテレビディレクターがよく知られています。テレビディレクターの具体的な仕事内容について見ていきましょう。目指す方法についても解説します。

テレビディレクターの主な仕事

テレビディレクターは、テレビ番組の制作現場において中心的な役割を担う仕事です。番組の制作はプロデューサーを中心とした制作会議から始まりますが、ディレクターも参加して現場からの意見を伝えることもあります。

企画が決まったら番組の演出を考え、照明やカメラ、音声などのスタッフに指示を出しながら撮影を進めていきます。また、出演者への配慮やスタジオの雰囲気づくりもディレクターの仕事です。

撮影後には収録された映像の編集作業も行います。完成した番組の質は、テレビディレクターのセンスやスキルによって左右されるといっても過言ではないでしょう。

テレビディレクターになるには

テレビディレクターになる一般的な方法は、テレビ局や制作会社に就職して、アシスタントディレクターから始めることです。アシスタントディレクターとしてさまざまな業務をこなしながら、番組制作に必要なスキルや実務経験を積んでいきます。

アシスタントディレクターの仕事は非常にハードですが、ディレクターになるためには経験しなければならないステップです。

また、さまざまな番組を制作するには、幅広いジャンルに関する知識が求められます。自分が得意な分野だけでなく、知らない分野に関しても積極的に知識を得ようとする探求心が必要です。

デザイン業界のクリエイティブディレクター

クリエイティブな作業

(出典) pixta.jp

デザイン業界には、主に広告やデザインの制作に携わるクリエイティブディレクターがいます。クリエイティブディレクターは具体的にどのような仕事をするのか、詳しく見ていきましょう。

クリエイティブディレクターの主な仕事

クリエイティブディレクターの業務は、広告やデザインの企画・提案、制作工程やチームの管理、クライアントとの調整など多種多様です。

グラフィックや映像などの部門ごとに配置されることが多く、チーム内のメンバーとコミュニケーションを取りながら仕事を進めていきます。

制作に関わるメンバーの中にはクリエイターとして活躍している人も多いため、1人1人の個性を生かしながら、制作物の品質を管理しなければなりません。

さらに、完成した制作物に関するクライアントからのフィードバックをチーム内に分かりやすく伝えるのもクリエイティブディレクターの重要な役割の1つです。

クリエイティブディレクターになるには

クリエイティブディレクターになるには、広告やデザインに関する知識を身に付けることが必要です。例えば、クライアントのニーズに合った広告を制作するには、市場を分析したり情報収集したりするためのマーケティングスキルが求められます。

また、実際のデザインはクリエイターが担当しますが、制作物の品質を管理するクリエイティブディレクターにも基本的なスキルやデザイン思考が必要です。

未経験からクリエイティブディレクターを目指すなら、広告制作の業界で、実務経験を積むことから始めるとよいでしょう。

アパレル業界のブランドディレクター

ブランドディレクター

(出典) pixta.jp

アパレル業界のブランドディレクターとは、ブランドのイメージづくりやプロモーションを担当する仕事です。具体的な仕事内容やブランドディレクターになる方法について解説します。

ブランドディレクターの主な仕事

ブランドディレクターは、ブランドの全体的な方向性を決める重要な役割です。まず、ターゲットとなる顧客層のニーズに合ったブランドを立ち上げ、コンセプトに基づいた商品開発・生産管理・マーケティング戦略などを総合的に指揮します。

また、ブランドのイメージに沿って、ディスプレイやインテリアなどを含めた店舗のコーディネートを考えるのもブランドディレクターの仕事です。

SNSを活用したマーケティング施策を行ったり、ファッションショーに出品する商品の選定やショーでの演出方法について指示を出したりすることもあります。

ブランドディレクターになるには

ブランドディレクターになるには、ブランドのショップ販売員からスタートし、キャリアを積むことが必要です。ブランドディレクターには、ブランディングスキルのほかに、マーケティングやディレクションに関するスキルも求められます。

ショップ販売員として、まず現場で経験を積みながら、必要な知識を身に付けていきましょう。販売員としての仕事で実績を残せれば、商品開発や営業などの部門に異動できる可能性もあります。

さらにそこでキャリアを積んで実力が認められれば、ブランドディレクターになれるというのが一般的な道のりです。

業界別のディレクターの仕事を知っておこう

パソコン手にするスタッフ

(出典) pixta.jp

ディレクターはさまざまな業界に存在し、仕事内容も多種多様ですが、基本的には仕事の現場を統括するリーダーの役割を果たします。

どのような業界のディレクターでも、マネジメント能力やコミュニケーション能力は共通して必要とされるスキルです。ディレクターを目指すなら、まず現場での経験を積み、必要なスキルを身に付けることから始めましょう。

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