イラストレーターになるには?仕事内容と全国の求人の傾向を紹介

イラストレーターとは

タブレットで絵を描く様子

(出典) photo-ac.com

絵を描ける人なら誰もが一度は夢見るといわれる職業、イラストレーター。主に、書籍、ポスター、雑誌などの印刷物のほか、Webやゲームなどのイラストを描く職業・専門家を指します。アイコンやキャラクターなどのシンボリックなイラストを作成する方もおり、「グラフィックデザイナー」や「キャラクターデザイナー」「漫画家」を兼ねている場合もあります。
この職に就く方法はさまざまですが、美術系の大学や専門学校に入って、デッサンやイラストの基礎を学んでからというルートが主流です。学科は美術科とは限らず、グラフィックデザイン科やキャラクターデザイン科、アニメ・イラスト科など、各校でさまざまな学部・学科が用意されています。卒業後の活躍の場は、ゲーム業界やWeb・出版業界など、多岐にわたります。

イラストレーターとしてデビューするまでのルート

美術系の学校を卒業したあと、デザイン会社やイラスト制作部門のある企業(例:ゲーム会社など)や、スマホアプリの制作会社などにイラストレーターとして就職するのが一般的です。そこで実務を通じて学びながらスキルを磨き、実績を積めば独立や転職など、選択肢が増えます。仕事を通じた「作品」がポートフォリオになっていきます。

イラストレーターとして独立する場合には、現職の顧客から新しい案件を紹介してもらったり、ポートフォリオを持って自分で出版社などに営業したりするなど、案件を得る努力が必要になります。

なかには独学で学び、TwitterやpixivなどのSNS上で有名になり、声がかかることで仕事につながる場合もありますが、大学や専門学校などでしっかりと基礎を学び、制作現場で実績を積んだほうが堅実なキャリアアップとなるでしょう。

また、イラストレーターとしてデビューし、実績を積んだあと、アートディレクターといった企画寄りの職種へとキャリアチェンジする人もいます。より幅広い表現手段を選べるという意味で、将来のキャリアプランのひとつとして目指してもいいかもしれません。

イラストを学べる学校や場の種類

高校生であれば、美術系の大学や専門学校に入るという選択肢が考えられます。夜間の学校へ通う社会人もいます。美術系の学校は、一般的に学費が高く、またプロになれる就職の間口がとても狭いため、親の反対に遭いやすい傾向にありますが、イラストレーターとして自分の名前が売れたり街中で露出する機会を掴めたりすれば、それに勝る喜びはないでしょう。

イラストレーターが活躍できる業界

最近では、さまざまなキャラクターデザインを求めるゲーム業界での需要が多く、相対的に単価が高くなる傾向があります。

プロのイラストレーターには、確かなデッサン力や画力が当然のように求められますが、プランナーやプロデューサーの意図したコンセプトに沿ったイラストを描ければ、スキルに関係なく「絵の味」で勝負できるケースもあります。画の勉強をすれば一概に人気が出るというものではなく、その人の個性が評価されることもあるというところから、厳しくもやりがいのある職業といえるかもしれません。

そのほか、アーティストとして活躍するイラストレーターもいます。画家のように作品ひとつひとつが評価され、人気が出れば現代アートとして作品が高額で取引をされる場合もあります。アーティストとして食べていけるのはほんの一握りで、実力次第の厳しい世界です。まずは自分が何を目指してイラストレーターになりたいのか(アーティストになりたいのか、出版業界に身を置きたいのか、それともゲームキャラクターを描きたいのか、など)を思い描いてみることこそが、夢に近づく第一歩かもしれません。

具体的な仕事の流れ

基本的には、依頼を受け、決まったコンセプトに沿って制作します。企画の段階からチームに組み込まれることもあります。制作の工程は企業によって異なりますが、まずは絵のトンマナ(トーン&マナー)や方向性を決めるコンセプトワーク、次にラフ画作成、カンプ作成、本稿制作、修正、納品といった順になります。受注時に納品までの工程を顧客に説明するのが一般的です。

現在は、入力デバイスとして液晶タブレット(液タブ)やペンタブレット(板タブ)を使ったデジタルでの制作が主流ですが、今でも紙に書いてスキャンし、Adobeのソフトウェア「Photoshop」や「Illustrator」で色つけし、納品する人もいます。納品形式は紙媒体、Webやゲームなどによって異なりますが、最終的なフォーマットやレギュレーションに合わせます。

イラストレーターの雇用形態について

社員や派遣社員、アルバイトなど、雇用形態はさまざまです。イラストの平均単価は近年、下がっているといわれていますが、レンジは大きいです。待遇面もさまざまで、正社員であればある程度の安定を望める分、自分の描きたい仕事を選べる自由度は下がります。フリーランスであれば収入が不安定になる場合もありますが、好きな仕事をある程度選べる自由があります。どの働き方がいいと一概にはいえません。幅広い選択肢から、どのような働き方が合っているのか、自身の特性をよく見極めましょう。

求人の給与情報から集計したイラストレーターの年収帯

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年6月時点)から作成

イラストレーターの求人の給与情報から、イラストレーターの年収帯を独自に集計しました。以上のグラフの通り、年収400万円台がもっとも多く、約24%を占めています。続いて500万円台が約21%、300万円台が約20%となっています。日本人の平均年収が男性520万円、女性が276万円で男女合わせると420万円(平成27年分 民間給与実態統計調査より)ですから、イラストレーターという職種は、平均的な給与をもらえる職業であるということは類推できます。ただし、イラストレーターは個人の力量で収入が増減するほか、個人事業主の給与は以上のグラフには含まれないため、実際に自分が稼げるかどうかは自分次第であるということはいえるでしょう。