バイアスとは?ビジネスでの意味と使い方・その他のカタカナ語も併せて解説!

バイアスとは、先入観・思い込み・偏見など、認知・思考の偏りを指す言葉です。バイアスは、脳の認知機能に起因するものであり、誰にでも起こり得る現象です。バイアスを意識的に理解し、対策を講じることで、より公正で合理的な意思決定ができるようになります。

この記事のポイント

バイアスとは先入観や思い込み、偏見を指す
もともとは心理学の領域で使われる言葉ですが、近年ではさまざまな分野でも使われます。
バイアスの代表例は4つ
「正常性バイアス」「確証バイアス」「自己奉仕バイアス」「アンコンシャス・バイアス」の4つが挙げられます。
バイアスがかかるのには原因があり、対策することで解消できる。
バイアスは脳の機能の一部ですが、バイアスが存在することを意識して物事を考えることで抑えられます。

バイアスとは?意味や使い方の例

本を片手に考える男性

(出典) pixta.jp

ビジネスシーンにおけるバイアスという言葉は、どのようなニュアンスで使われるのでしょうか。まずは、バイアスの意味や使い方を例文と合わせて紹介します。

先入観や偏見を意味する言葉

バイアス(bias)とは、先入観・思い込み・偏見を意味し、認知のゆがみ・思考の偏りを表す言葉です。もともと心理学の領域で使われていた言葉ですが、最近ではビジネスシーンなど、さまざまな分野でも使われています。

意思決定をするときに、先入観・経験則などに頼った行動を起こすことに対し「バイアスがかかる」という言い方をすることも少なくありません。

バイアスにはさまざまな種類がありますが、いずれも先入観・偏見によって、非合理な判断をするというニュアンスを持ちます。

またバイアスは、以下のように使われる分野によっても意味が異なります。

  • ビジネスシーン:主に人や組織に対しての先入観や偏見、思い込みがあること
  • 統計学:データのとり方や分析方法に偏りがあり、結果に影響を及ぼすこと
  • 医学:自分が望んだ結果を出すために、患者やデータの選び方に偏りが起こること

ビジネスシーンにおけるバイアスの例文

バイアスにはさまざまな種類や意味があります。ビジネスシーンにおける使い方は以下のようになります。

「バイアスがかかる」

「バイアスがかかる」とは、先入観・偏見によって特定の人物・物事を偏った視点で判断することを意味します。「バイアスに陥る」と表現されることもあります。

例文

  • 「高齢者はモバイル端末を扱えない」というバイアスがかかっている。
  • 上司は男女の役割についてバイアスがかかっており、業務を平等に割り振らない。
  • 彼の判断には明らかにバイアスがかかっており、公平性がない。
「バイアスをかける」

「バイアスをかける」とは「バイアスがかかる」とは反対の意味を持ちます。先入観や偏見、思い込みを作り出し、他人に対して意図的に植え付けることを指します。

例文

  • 上司として、部下にバイアスをかけるような言動は慎まなければならない。
  • 意識調査をするときは、回答者にバイアスがかからないような質問が必要だ。
  • 部下の発言には偏見があり、周囲にバイアスをかける恐れがあるので注意した。

バイアスは無意識のうちに組織に影響を及ぼす場合が多いため、公平な視点を意識することが重要です。

ビジネスシーンにおけるバイアスの代表例

オフィスで働く人たち

(出典) pixta.jp

バイアスにはさまざまな種類があり、それぞれ認知に与える影響も異なります。ここでは、ビジネスシーンでよく見られる代表的なバイアスを4つ紹介します。

正常性バイアス

正常性バイアスとは、災害・突発的な事態に直面した際に「まだ大丈夫だろう」と根拠なく判断し、現実を軽視してしまう心理作用です。

例えば、職場で火災報知器が鳴ったときに「誤報かもしれない」「誰かのいたずらだろう」と考え、避難せず業務を続けてしまうケースが挙げられます。このように、正常性バイアスが働くと、危機を過小評価し、対応が遅れる原因になります。

ビジネスシーンで正常性バイアスがかかる例として、残業が常態化しているのにもかかわらず、「これくらいの時間なら大したことではない」という判断を管理職がしてしまうことが挙げられます。

もちろん、一定の正常性バイアスは冷静さを保つために必要です。しかし「自分は大丈夫」「この程度なら大丈夫」と過信すると、適切な判断を妨げるため注意しましょう。

確証バイアス

確証バイアスとは、自分の考えに合った情報ばかりを集め、都合の悪い情報を無視する心理のことです。

例えば、好きな相手の欠点を見落としたり、見えたとしても「仕方がない」と都合よく解釈したりする場合があります。また政治・医療などの話題でも、自分にとって好ましい意見だけを受け入れ、不都合な意見を避ける傾向が見られます。

ビジネスシーンで確証バイアスを引き起こすと、人事評価・プロジェクトの判断が偏るリスクも否定できません。幅広い視点を持ち、客観的な情報を取り入れる意識が重要です。

自己奉仕バイアス

自己奉仕バイアスとは「成功は自分の力、失敗は外部のせい」と捉える心理のことです。

例えば「ミスをしたのは同僚のせい」「売り上げが伸びたのは自分の功績」といった考え方が挙げられるでしょう。人間は自尊心を守るために、こうした思考を持ちやすいとされています。

しかし自己奉仕バイアスが強すぎると、成長の機会を逃したり、周囲との信頼関係が損なわれたりする原因になります。ビジネスシーンでは、成功も失敗も冷静に振り返る姿勢が必要です。

アンコンシャス・バイアス

アンコンシャス・バイアスは「無意識の偏見」と呼ばれ、脳が素早く判断するために過去の経験・価値観に基づいて偏った見方をする心理作用です。

例えば「青は男性、赤は女性」「この大学出身の人は優秀」といった固定観念が挙げられます。こうした無意識の思い込みがあると、本人が意図せずとも、差別的な言動につながるリスクがあります。ビジネスシーンでは、多様な視点を持ち、無意識の偏見に気が付くことが大切です。

バイアスが起こる原因とその対策

スマホを見て考える女性

(出典) pixta.jp

バイアスがあると、誤った判断・偏った意思決定を引き起こす要因となります。そのためバイアスが生じる原因・適切な対策を知ることが重要です。ここでは、バイアスの発生要因と解消方法について解説します。

バイアスはなぜ起こるのか

バイアスの主な原因として「二重過程理論」と「ヒューリスティック」という人間の脳の特性が挙げられます。

二重過程理論には、人間の意思決定には「時間をかけて慎重に判断するプロセス」と「直感的に素早く判断するプロセス」の2種類があるとされています。バイアスは、主に後者の「直感的判断」において発生するのです。

またヒューリスティックとは、経験則をもとに判断する思考の働きです。過去の経験をもとに素早く判断できる反面、思い込みや偏見が入りやすく、バイアスを助長する要因となります。

これらの特性は、脳の負担を軽減し効率的な意思決定を行うために備わっています。しかし、日常の習慣や心理状態によって生じるバイアスは、無意識のうちに判断ミスを招く可能性があるため、意識的に対策を講じることが重要です。

バイアスを解消するためにできること

バイアスによる悪影響を最小限に抑えるには、個人・組織で気を付けるべきポイントがあります。代表例を3つ紹介します。

自分の考えを過信しない

バイアスを防ぐためには、先入観・思い込みが判断に影響を与えていないかを、常に意識することが大切です。人間は誰しもバイアスに影響されるため、「自分は公平に判断できている」と思い込まず、思考の根拠・因果関係を客観的に見直すことが重要になります。

また1人で考えず、他者の意見を取り入れることも効果的です。異なる視点を取り入れることで、思い込みによる判断ミスを防ぎやすくなります。

ただし、人の意見をそのまま受け入れるのではなく、複数の考えを比較し、総合的な判断を下すことが求められます。

事実を確認する

バイアスを解消するには、情報の真偽を確認する習慣を付けましょう。目にした情報が事実に基づいているのか、それとも個人の意見や解釈が含まれているのかを見極める必要があります。

情報を誰かに伝える際、人は無意識のうちに自身の考えを付け加えたり、都合の良い解釈を加えたりすることがあります。情報の発信元や根拠を確認し、データや統計といった客観的な指標を活用することが重要です。

判断軸を明確にする

バイアスを解消するには、判断軸を明確にしておくことも重要です。自分や属する組織で明確な判断軸を決めておくことで、バイアスによる失敗を予防できます。

具体的な判断基準の例としては、「顧客第一で意思決定を行う」「誠実さを重視する」などが挙げられます。こうした基準を共有することで、個々のバイアスに左右されにくい組織を運営できるようになるでしょう。

ビジネスで頻出するカタカナ語5選

マーカーが引かれたビジネス用語

(出典) pixta.jp

「バイアス」以外にも、ビジネスシーンで使われるカタカナは多岐にわたります。ここからは、ビジネスシーンで頻出するカタカナ語5つの意味について見ていきましょう。

アサイン

「任命する」や「割り当てる」の意味があります。仕事の割り当てや人事における配属で使用されます。一般的にビジネスシーンでは、上司・経営者といった目上の立場の人が、部下に対して使う言葉です。

例文

  • 春から新規の案件にアサインされた。
  • 中堅社員と新人社員を同じ部署にアサインし、中堅社員に指導させることにした。
  • 新人の中でまとめ役となっていた社員をプロジェクトにアサインした。

イノベーション

「変革」「革新」を意味し、新しい技術やアイデアを生み出し、社会に新たな価値を提供することを指します。製品やサービスの開発だけでなく、ビジネスモデルの変革にも使われます。

例文

  • 温故知新という言葉通り、古い物事からもイノベーションは生まれる。
  • イノベーションの原動力は、価値観にとらわれず良い物を作ろうとする意思だ。
  • 既存事業にもイノベーションの可能性は多彩にある。

エビデンス

「証拠」「根拠」 という意味を持ち、ビジネスでは 契約書・議事録・データなどの客観的な証拠を指します。提案や主張を裏付けるために必要な要素として重視されます。

例文

  • この会議での会話を議事録に取り、エビデンスとして残します。
  • 経済が上向きであることのエビデンスが必要だ。
  • 売り上げが増加しているというエビデンスがあるので、この企画を提出します。

バッファ

バッファは「緩衝」の意味があり、2つの物がぶつかるときの衝撃を抑えることや、やわらげる物のことを指します。ビジネスシーンにおけるバッファは「ゆとり」「余裕」といった意味で使われます。

それ以外にも、人的余裕・データの一時保管所の意味もあります。

例文

  • 今年度の予算案にはバッファが足りない。
  • 新人社員がバッファとなってくれたおかげで、職場の雰囲気が良くなった。
  • モバイル端末のバッファ領域が足りず、頻繁に動作しなくなる。

リソース

ビジネスを行う上での資源全般を指します。具体的には「人」「物」「資金」が該当します。またIT用語としても使われ、この場合はコンピューターやモバイル端末の能力・システム環境を指します。

例文

  • 新事業のために、十分なリソースを割けるかが問題だ。
  • リソース管理は、企画成功のためには必須である。
  • コンピューターのリソースが足りず、新しいアプリが起動できない。

バイアスを解消してより良い組織に

オフィスで働く様子

(出典) pixta.jp

ビジネスシーンにおいて、過去の経験・先入観に頼った意思決定は、誤った判断を招く可能性があります。これを「バイアスがかかる」と表現します。

バイアスを回避するためには、自身の考えに固執せず、多様な意見を尊重し、客観的な事実に基づいて判断することが重要です。また、明確な判断基準を持つことも、バイアスに左右されない意思決定につながります。

バイアスを克服し、客観的な思考を身に付けることは、個人の成長だけでなく、組織全体の発展にも不可欠です。バイアスにとらわれない考え方は、ビジネスシーンにおいて大きな強みとなるでしょう。

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