栄転と昇進の違いは何?栄転祝いのメッセージを考えるときのポイント

企業に勤めていると、上司や同僚が「栄転」や「昇進」をすることがあります。両者を同じと考えている人もいますが、実は意味合いが異なり、場合によっては失礼に当たるケースもあるので、正しい使い方を覚えておきましょう。

栄転とは?意味や似た言葉との違い

階段を上がる男性の後姿

(出典) pixta.jp

栄転が決まった上司や同僚などのお祝いをしたことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、栄転の意味を知らない人も決して少なくありません。昇進や転勤との違いが分からない人は、この機会に正しい意味を確認しておきましょう。

より良い地位・希望がかなったことを指す

栄転とは、別の部署や支社などへの異動とともに、現在の立場より高い地位や役職に就くことを意味する言葉です。職場を異動する点では転勤と同じですが、本人の意思がかなう形で、より高い地位や責任を与えられる点で違いがあります。

例えば、盛岡の支社から東京の本社に異動となり、課長から部長に昇進するといった場合、それが本人の希望であれば栄転となります。日本の支社から海外の本社に、プロジェクトリーダーとして異動になる場合なども、栄転といえるでしょう。

昇進・出世との違い

昇進とは、現在の役職より高い地位に就くことで、基本的に同じ部門や部署で完結するものです。例えば、福岡支所で課長から部長になったり、人事部門の一般社員から課長になったりするのが昇進であり、他の事業所や部署などへの異動は伴いません。

また、出世とは一般的に、社会的に認められる地位に就いたり、知名度が広がったりする状況を指します。社会で成功することを出世と表現する場合もあるので、さまざまな状況で使われる表現であり、栄転よりも意味が広い言葉です。

左遷との違いと見分け方

左遷とは、転勤に伴い、現在の地位や役職から降格することです。地位が下がるだけでなく、ほとんどの場合、本人の望まない部署や事業所などへの異動となります。当然ながら、喜ばしい状況ではありません。

仕事で大きなミスをしたり、会社に損害を与えてしまったりした場合などに、懲罰の意味で左遷される人もいます。

懲罰である旨を明らかにすると、他の社員にネガティブな印象を与えかねないため、対象社員を異動という形で閑職に追いやる企業もあります。

栄転する人へお祝いは必要?

花束を渡す

(出典) pixta.jp

社員に栄転が決まった人がいる場合、社内でお祝いをするのが一般的です。ただし、個人的にお祝いをすべきかは、対象となる社員との関係性によります。詳しく見ていきましょう。

お祝いをすることが一般的

栄転は基本的におめでたいことであるため、上司や同僚の栄転が決まったら、お祝いの言葉をかけたりプレゼントを贈ったりします。ただし、個人的にではなく、部門や部署の全員でお祝いするのが一般的です。これは昇進の場合でも同様といえます。

なお、プレゼントを贈る際には靴やマットなど、いわゆる「足を使う物」は避けるのがマナーとされています。これは相手を踏みつける意味を含むためで、壊れるイメージのあるガラスや陶器製品なども避けるのが無難です。

個人的なお祝いは関係次第

前述の通り、栄転や昇進が決まった相手に対しては、部門・部署としてお祝いをするのが一般的です。組織とは別に個人でお祝いをするのは、基本的に避けた方がよいでしょう。

ただし家族間で関係があったり、とりわけ仲の良い同僚だったりする場合は、個人的にお祝いやプレゼントをしても問題ありません。あくまでも個人的な関係によるものなので、社外でプレゼントを渡したり、相手の自宅に直送したりするのがよいでしょう。

栄転する人へのメッセージの考え方

手紙を書く女性

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栄転が決まった人に送るメッセージの考え方を紹介します。上司や同僚・後輩など、相手との関係に応じたメッセージを送ることが大切です。

【上司】感謝の気持ちを込めて

上司や先輩に当たる社員の栄転が決まった場合、お世話になったことへの感謝を中心に伝えるのがよいでしょう。具体的なエピソードを交えつつ、どのような点に感謝しているか、分かりやすく伝えると好印象です。

さらに助言やサポートを受けたことに対して、自分がどのような影響を受けたか、仕事にどのように生かせたかなどを説明するのもおすすめです。

一方で、相手を評価するような内容を加えたり、相手の失敗談を述べたりするのは避けましょう。上から目線のニュアンスに感じられる可能性が高く、失敗談に関しても、相手は思い出したくないエピソードの可能性があります。

【同僚・後輩】さらなる活躍を応援

同僚や後輩に栄転のお祝いメッセージを送る際には、努力が報われたことに対する喜びの言葉や、今後の活躍を期待する言葉を中心に考えるとよいでしょう。

ある程度は砕けた文面でも問題ありませんが、相手との関係性や距離感などを考えた上で、適切な表現を選ぶ必要があります。

これまでの頑張りや仕事のやり方などをたたえ、異動後の活躍を期待する旨の内容にまとめましょう。

【取引先】マナー・ルールを厳守

取引先の人の栄転をお祝いする際には、マナーやルールを厳守する必要があります。

文面も改まった表現を心掛け、1つ1つの言葉の使い方に気を付けましょう。丁寧な言葉遣いはもちろん、言い回しに間違いや不適切な部分がないかも、よく確認することが大事です。

相手との取引内容や、共通のエピソードについて触れるのも問題ありませんが、なれなれしい印象を与えないように注意しましょう。

栄転する人へのお祝いメッセージの例文

ノートとペン

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栄転が決まった人に対する、お祝いメッセージの例文を紹介します。あくまでも一例であるため、メッセージを考える際には、自分なりにきちんと文章を考えてまとめることが大事です。

例文1.上司

「このたびはご栄転、誠におめでとうございます。3年にわたりご指導いただいたことは、私にとって大きな財産です。今後も○○部長のお言葉を励みとして、自らの役割を全うしたいと考えております。新天地でのご健勝とご活躍を心よりお祈りいたします。本当にありがとうございました」

まずは、栄転をお祝いするメッセージから始めます。思い出のエピソードがあれば、簡単に紹介すると好印象を抱いてもらいやすいでしょう。

なお、今後の活躍を「期待する」と表現すると、上から目線に思われる可能性があるので注意が必要です。活躍を「お祈りする」といった表現とともに、最後に感謝の言葉で締めるのが無難です。

例文2.同僚・後輩

「ご栄転、本当におめでとうございます。これまで積み重ねてきた努力が実を結んだようで、私も大変うれしく思っています。今後は顔を合わせる機会が少なくなり、とても残念ですが、新天地でも健康に気を付けて頑張ってください」

「本社への栄転、本当におめでとう。開発チームのムードメーカーとして、常にみんなが働きやすい環境づくりに注力してきたこと、感謝しています。チームの要として、活躍してくれた○○さんが異動するのは寂しいですが、新天地での活躍も期待しています」

同僚や部下に対しても、まずは栄転をお祝いするメッセージから始めましょう。続けてこれまでの努力や頑張りをたたえたり、共通のエピソードを紹介したりするのが一般的です。

例文3.取引先の人

「このたびのご栄転、誠におめでとうございます。過日の開発プロジェクトの際には、多くのご指導ご鞭撻を賜りました。改めて厚く御礼申し上げます。今後は○○支社の部門統括役にご就任されるとのことで、弊社の開発部門一同、より一層のご活躍を祈念しております」

取引先に対しては、1つ1つの言葉遣いや表現に注意する必要があります。共通のエピソードがあれば記載しても構いませんが、軽く触れる程度にとどめておきましょう。一貫してオフィシャルな文面を心掛ける必要があります。

栄転した人へお祝いの言葉を送ろう

拍手をする会社員

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栄転はより高い地位や役職に就くために、職場や部門などを異動することを指します。昇進や出世とは意味が変わってくるので、正しく使い分けるようにしましょう。

栄転が決まった相手に対しては、部門や部署全体でお祝いをするのが一般的です。上司や同僚・部下など、相手によって送るべきメッセージの内容や表現を変える必要があるので、この機会にポイントを押さえておきましょう。

特に、取引先の相手の栄転を祝う場合には、言葉遣いや言い回しに注意が必要です。失礼に当たらないように、きちんとお祝いと感謝の言葉を伝えましょう。