作業療法士とは

作業療法士のイメージ

作業療法士(略称OT:occupational therapist)はリハビリテーション病院や老人介護施設、障害者福祉施設、発達障害支援施設などで働くリハビリテーションの専門家で、子どもから高齢者まで、生活障害を持つ人を幅広くサポートします。

作業療法士は、さまざまな道具を使ったリハビリテーションなどを通して、身体の動作改善や筋力強化を図り、入浴する、着替える、食事をするといった日常生活に必要な応用動作の回復をサポートします。

また、身体の障害だけではなく、精神疾患に対するリハビリテーションも行います。手芸やレクリエーション、スポーツ等を通して、人や社会との関わりを促しながら精神面のケアを行い、社会復帰をサポートします。

理学療法士との違い

理学療法士はPT(physical therapist)ともよばれ、作業療法士と同様、リハビリテーションの専門家です。理学療法士は、体操などの運動療法や、マッサージや電気などを使った物理療法によって、立つ、歩く、座るなどの基本動作が行えるようにします。

一方、作業療法士は積み木や手工芸などの作業を通して、バランス感覚や手指の細かな動きなどを改善し、日常生活に必要な入浴する、着替えるなどの応用動作が行えるようにします。

基本動作を組み合わせるなど、より複雑な動きが必要となるのが応用動作です。患者がよりよい生活をするために必要な動きともいえます。理学療法により基本動作の回復した人に対して、応用動作の回復のために作業療法が行われる場合が多いようです。総合病院などでは医師の指示のもと、作業療法士と理学療法士が連携して治療にあたることもあります。

また、作業療法士が精神疾患の治療やサポートも行うのに対し、理学療法士は身体のリハビリテーションのみを対象としているのも異なる点です。

作業療法士になるには

作業療法士の仕事をするには、国家資格が必要です。医療系の大学や短期大学、専門学校などの養成校で3年以上学び、養成課程を修了すると受験資格が取得できます。

国家試験は毎年2月下旬ごろに行われ、合格率は70~80%台を推移しています。試験の詳細や合格発表については、厚生労働省の該当ページに記載がありますので、そちらでご確認ください。

養成校について

作業療法士の養成校には3年制と4年制があります。夜間部を設置している専門学校もあり、働きながら資格を取るために勉強している社会人の学生も多く見られます。

・3年制と4年制の違い 3年制は4年制よりも比較的学費が安いですが、授業の進み方は4年制よりも早くなります。早く資格を取って実務経験を積みたい人にはおすすめです。

一方、4年制は3年制よりもじっくり学ぶことができ、臨床実習の時間も長く設定されているようです。また、3年制の専門学校で修了者に与えられる「専門士」の称号に対して、4年制の専門学校では大卒の「学士」とほぼ同等の「高度専門士」の称号が得られます。仕事を始めるのは3年制より遅くなりますが、時間をかけて知識を蓄え、現場に出る前に臨床実習でしっかりと基礎を身につけておきたい人にはおすすめです。

・学費 作業療法士の養成校の学費は、3年制と4年制、首都圏と地方など地域によっても異なりますが、卒業までに400~600万円ほどかかるケースが多いようです。費用が高額になるため、国や各自治体、団体、または学校独自のものなど、さまざまな奨学金や支援制度を利用することもできます。経済的理由で就学が難しい人には、厚生労働省の「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業」や日本学生支援機構の奨学金などもあります。

・臨床実習 作業療法士の養成校では、医療施設や福祉施設などで行われる臨床実習が必須となっています。厚生労働省の基準では810時間ですが、世界作業療法士連盟の基準である1,000時間以上に設定している学校もあります。学年ごとに以下のように臨床実習を行うケースが多いようです。

見学実習(1年):作業療法士が働く現場を見学し、仕事についての理解を深めます。
評価実習(2年):担当した患者の観察や検査などを通して状態を評価し、適切な治療プログラムを作成します。
臨床実習(3年、4年):治療プログラムの作成から、実際の治療まで、作業療法士の一連の業務を行います。

作業療法士の仕事内容

作業療法士の仕事内容は、勤務する病院や施設によって異なりますが、主なものは以下の通りです。

・総合病院、リハビリテーション病院 医師の指示のもと、病気やケガなどで身体機能の低下した人にリハビリテーションを行い、在宅で生活できるようサポートします。

・老人介護施設、デイサービス 病気やケガのほか、加齢による機能低下の回復や、予防のためのリハビリテーションを行います。通院できない患者に対しては自宅に訪問し、リハビリテーションを行います。

・精神科クリニック、精神保健福祉センター うつ病や統合失調症など精神疾患の患者に対して、手工芸またはスポーツ、レクリエーションなどの集団プログラムを通して、人や社会との適応を図り、社会復帰やよりよい生活を送るためのサポートをします。

・児童発達支援センター、児童療育施設 障害や発達の遅れなどが見られる子どもを対象に、遊びの要素を取り入れたリハビリテーションを行い、社会生活や学習ができるよう支援します。

作業療法士の年収

作業療法士 求人の年収グラフ

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年6月時点)から作成

作業療法士の年収は、300万円台が約41%と最も多く、300~400万円台が全体の約71%を占めています。就職先の病院や施設によっては、大卒と短大卒、専門卒でスタートの賃金が異なるケースもあるようです。

派遣社員やパート、アルバイトの時給は1,500円台が11.9%と最も多く、全体的に1,300~1,500円台の時給が多いようです。

作業療法士の求人について

作業療法士の求人は、リハビリテーション病院や診療内科、児童発達支援センター、訪問リハビリ、デイサービスなど、幅広い施設で募集されていることが特徴です。病院や施設によってはシフト制の勤務もあり、休暇が不規則になるケースもあるようです。

社員の募集以外にも、週1日からや、1日数時間など短時間勤務のアルバイトやパートの募集も多くあります。

実務経験者が歓迎される場合が多いですが、施設によって業務内容も異なるため、各募集施設と同様の業務を行っていた経験が歓迎されるようです。また、介護需要の高まりもあり求人数も多いことから、転職や育児後の復帰がしやすい職種ともいえます。

出典:
作業療法士国家試験の施行 厚生労働省
一般社団法人 日本作業療法士協会