Webディレクターになるにはどうすればよい?詳しい仕事内容も解説

Webディレクターの仕事内容・なる方法

パソコンを操作する男性

(出典) photo-ac.com

Webディレクターは、おもに企業のホームページの総合プロデュースを行う職種で、Webプロデューサーと呼ばれることもあります。業務内容は、ホームページ制作にまつわる諸々の作業をデザイナー、コーダー、ライターなどとともにこなします。

Webディレクターにもっとも重要なスキルは、発注主(サービスの責任者など)の意向を汲みながら、各々のサービスが持つKPI(Key Performance Indicator)を達成するためにWebサイトを組み上げることです。

KPIはサービスによって様々ですが、Webサイト上での訪問者の動きに左右される指標のことを指します。具体的には、ユーザー数、セッション数、直帰率、コンバージョン率など、ゴールとなる指標を達成するための行動プロセスのことです。

ホームページの構造によってユーザーの行動は大きく変わるため、目的達成のために中間指標となるKPIを設定し、ユーザーが想定どおりの行動をすることで、それらの数値が向上し、最終的にはサービスの目的を達成するための一助となります。 発注主によっては、このKPIを設定する手伝いからWebディレクターが行うことがあります。

Webディレクターになるには、これらの発注主から達成目標をヒアリングし、KPIとして中間プロセスの目標を設定し、それを達成するための手段としてホームページの構成案を考える力が必要です。 加えてできあがった構成案を実現するために、前述のデザイナー、コーダー、ライターに発注し、成果物として仕上げていくためのプロデューサー的な役割を担います。

WebディレクターとWebプロデューサーの違いがわからないという人も多いかもしれません。厳密に定義が定まっているわけではありませんが、より戦略に近い部分の設計を行うのがWebプロデューサー、制作に近いディレクションを行うのがWebディレクターと言われることが多いようです。

求められるスキル・資質

チームミーティング

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Webディレクターとして働くには、どのようなスキルが必要なのでしょうか?適性や資質があれば、活躍を目指しやすいでしょう。多くの専門家をまとめあげるディレクターとして、備えておきたいスキルを紹介します。

チームメンバーをまとめる力

Webディレクターには、専門分野のメンバーをまとめる力が必要です。企画の進行やマネジメントは、Webディレクターに任されます。周囲とコミュニケーションを取り、仲間の力を引き出すスキルが求められるでしょう。

ディレクターが仕事を割り振り、プロジェクトを進めていきます。プロジェクトの中心となりながら、それぞれが適材適所で働けるよう気を配らなければなりません。Web制作のプロジェクトがスムーズに進むかどうかは、ディレクターの采配にかかっています。

Web系の知識やスキル

専門知識を持つメンバーをまとめるには、自分自身にもWeb系の知識やスキルが必要です。誰がどのような仕事をしているのか知識を持つことで、的確な指示が出せます。

ディレクターの仕事は、どんなWebサイトを作るのか、デザインはどのようなイメージかを考えることです。プロジェクトの方向性を決めるには、Webに関する幅広いスキルが必要となるでしょう。

また、何らかの事情でプロジェクト中に人手が足りなくなるケースもあります。Webディレクターが専門的な知識やスキルを持っていると、実務面でも役立つはずです。

自己管理やマネジメントスキル

Webディレクターは、自分や周囲の仲間を管理して、プロジェクトの進行を進める役割です。どのくらいのペースで仕事がこなせるか、スケジュールを管理する能力も求められます。

ディレクターとして指揮をする以上、余裕を持ったスケジュール進行が望まれるでしょう。プロジェクトを進めていく上で、方向性の変更やトラブルはつきものです。自己管理はもちろん、他者の能力や仕事のスピードを見極めて仕事を進めなければなりません。

いざトラブルが発生したときは、Webディレクターが解決に向けて動くことになります。何かあったとき、チームメンバーとクライアントの間に立って話を進めるマネジメント能力も重要になってくるでしょう。

あると便利な資格

パソコンとノート

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Webディレクターになる上で、必須となる資格はありません。しかし、取得を目指すことで知識を学べる資格は多数あります。Webディレクターの仕事に関連する資格試験を知っておきましょう。

Webリテラシー試験

Webリテラシー試験は、「Webディレクター」「Webデザイナー」「Webプロデューサー」が共通して持っておきたいリテラシーを学ぶための試験です。

Web関連の職業はディレクターが実務の上でも関わることが多く、共通認識を持っておくことでスムーズなコミュニケーションがかないます。

試験は全85問で、点数にすると70%以上が合格基準です。受験資格は特にありません。Webディレクターになる前に受験しておくと、必要な知識が身につくでしょう。

Webクリエイター能力認定試験

Webクリエイター能力認定試験は、2005年より16万人以上が受験しているメジャーな試験です。

試験内容は世界的なWeb標準に沿って作られています。環境を問わず、閲覧しやすいWebサイトの制作を目指すクリエイターに適した試験といえるでしょう。

CSSの知識をはじめ、実際にWebサイトを制作する際に必要な知識が身につきます。Webディレクターを目指す人も、Webクリエイター能力認定試験を受験しておくことで基礎知識が学べるでしょう。

ITパスポート

Web系に限定した資格は民間のものがほとんどです。しかし、IT全般の知識レベルを問うものには、国家資格もあります。その代表格がITパスポートで、デザインやマーケティングというよりは、ビジネス・IT全般を広く網羅した資格です。

出題数は100問で、1000点中600点を超えると合格できます。出題範囲は、IT管理、IT技術、経営全般の3種類です。ITだけでなく、基礎的な経営知識やマネジメント知識など幅広い常識が問われます。社会人として働く上で、役立つ知識を学べるでしょう。

Webディレクターは、管理や経営の視点も含めて幅広い知見が求められる職業です。専門知識だけでなく、ビジネスにおける資格にも目を向けてみましょう。

求人の給与情報から集計したWebディレクターの年収帯

お金を数える

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気になるWebディレクターの給料・時給・年収は? 全国の求人の給与情報をまとめて集計、Webディレクターの給与帯・年収帯を独自にグラフ化しました。

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年9月時点)から作成

Webディレクター経験者の口コミ

パソコンを操作する手元

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現役Webディレクター、Webディレクター経験者にアンケートを実施。Webディレクターの仕事の口コミ・評判を集めました。

Webディレクターになるために必要な学歴は?

Y.O.さん (女性 / 埼玉県)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

まずWebデザインの勉強のため、Webクリエイター育成の専門学校に通いました。自学でもできますが、卒業後、経験のない状態でも仕事をあっせんしてもらえる会社があると思ったからです。実際には派遣会社に登録し、Webデザイナーとして4年勤務し、技術・業務の知識をつけてからWebディレクターとして転職しました。
当時Web業界の黎明期だったので、仕事はありましたが、やはり趣味で勉強していたものと違い、技術は実戦で覚えていく形になりました。自分の場合、デザイナー経験があったため、Webディレクターといえども繁忙期には制作まで行うことが多かったです。Webディレクターになるには、まずはしっかりとした技術を専門学校などで学ぶ必要があると思います。半年でも大丈夫だと思います。

K.K.さん (男性 / 静岡県)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

学歴は特に関係ないと思いますが、パソコンについての基礎知識、美術芸術についての知識などが必要と感じました。また、Web制作にあたり幅広いソフトを使いこなす能力が求められます。オーサリングソフトやシステム言語コーディングソフト、データベース系のソフトなど。また、サーバーについての知識も求められます。それらのソフトを使いこなせるレベルによってかなり作業効率が変わってくるためです。
また、Webページ制作にあたりクライアントの要望を組み上げ、Webサイトを使って何をしたいのかなど、目的や問題点を洗い出して解決できるまでの能力が求められます。コミュニケーション能力、制作能力、美術的感性が高い方がこの業界では求められると感じました。

S.M.さん (女性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数1年 (職業 : 会社員)

学歴は特に必要無いと思います。自分のやる気と勉強で、知識を身につける向上心があれば、中卒でも高卒でも問題なく働ける職種だと思います。ただ、独学だとやはり限界があると考える人には、あった方が良い知識として、デザイン(色彩)やコーディングなどのWebの基礎知識を学べる専門学校(デザイン系や情報処理など)がオススメです。
デザイン系の学校では、IllustratorやPhotoshopの操作も学べます。仕事をしてからは専門職の方と接することが多いので、理系の学部で専門分野に特化した人達と触れ合い、慣れておくと働きだしてから少し楽かもしれません。Webディレクターの仕事は、場合によっては文章の校正も必要になります。ライター養成講座などで文章の基礎や、景品表示法などの法律の知識も身につけておくとよいのではないでしょうか。

D.S.さん (男性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

Webディレクターになるために必要な学歴や、スクールはありません。ただし、自分で努力できるならという前提となります。自分では努力できない方は、この職業には向いていません。Webの世界は変化が激しいため、トレンドを掴み続けるために日々の努力が不可欠だからです。
また、使われなくなったり、サポートが終了したり、法的な問題が発生したりと後出しでトラブルが起こることがよくあるため、過去の仕事のサポートにかかるコストも考える必要があります。自らを高める努力を怠らないという前提で、クライアントの要望を聞く理解力と、それをデザイナーに伝える変換力、すなわちコミュニケーション能力が必要となります。

T.K.さん (男性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

会社によっても異なるとは思いますが、私が在籍していたところは、基本的に学歴は一切関係ありませんでした。必要な技能として求められたのは最低限のパソコンの操作(メールの対応ができる、エクセルやワードで作業を行うことができる、パワーポイントで企画書を作成できる)程度で、そのほかに必須な条件というのは特にありませんでした。
ただし基本的にWebディレクターというお仕事はクリエイティブ職でありながら多くの方と関わる仕事であるため、採用基準として「しっかりとした受け答えができるかどうか」や「スケジュール管理等をきっちりとこなせるかどうか」といった基本的なビジネススキルについては他職と比べても厳しめに判定されていたように思います。

Webディレクターになるために努力したことは?

Y.O.さん (女性 / 埼玉県)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

ディレクションに必要とされるのは交渉力や要望を取りまとめた上でそれらをWebに落とし込み、クライアントに満足いただける成果物を納めることだと思います。技術だけ・知識だけではなくクライアントの運用状態を把握した上でいかに品質を維持したコンテンツを作れるのかについて考えることが多いです。そのため、コミュニケーション能力の向上が一番大事だと思います。
その上で最新の技術やデザイントレンドなど、必要とされる情報は常に収集するようにしました。また、会社が許してくれるのであれば、技術セミナーなどを受講することもありました。
役立つことがあることもないこともありますが、いろいろな情報を吸収することが大事だと思います。今でも技術の進歩に追いつくのに必死です。

K.K.さん (男性 / 静岡県)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

ホームページ作成の場合、どんなサイトの需要があるのか、有名サイトから自分がいいと思ったページまで相当な数を閲覧しました。その中でどんなところに共通点があるのか、見せ方や作り方、ページの構成などを分析し学び、制作する際の参考にしました。
やはりいいホームページには似たような部分が多いと思いました。どういう表現がトレンドなのか、見せ方や作り方などが参考になりました。いいものを作るにはどれだけいいものを自分の中にインプットしアウトプットできるかにかかっていると思います。
また、流行り廃りが激しいので新しい技術で今後流行りそうなものは少しでもいいので、触ってみるよう心がけました。

S.M.さん (女性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数1年 (職業 : 会社員)

デザインが苦手だったので、専門学校の短期コースなどで学びました。IllustratorやPhotoshopなどの操作方法も学べたことで、デザイナーさんが不在の場合でも簡単なバナー制作や修正作業が可能になりました。それらのスキルは今も色々な場面で役に立っています。
私は未経験からの転身だったので、Webの勉強会などに積極的に参加して最新の情報や他の会社での工夫点などを学び、仕事へ取り入れるように努めました。
メンバーからの意見も聞き、良いものを採用していきました。本もたくさん読みました。本を読みながら自分のパソコンにWeb制作環境を整えて、WordPressなどを試してみたりと実際の作業も行い、SEOなどのWebの基礎知識を身につけています。良い内容の本はメンバーとも共有しています。

D.S.さん (男性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

HTML2.xの時代から仕事をしているので、HTMLのバージョンが上がっていくにつれて必要な知識が増えて、それについていくための努力が必要でした。また、クライアントの要望を理解するために、クライアントの業種や業界の知識を仕入れる努力と、要望をそしゃくして企画し、提案するために企画書を早く書くトレーニングをしました。
また、それをデザイナーに伝えるためにデザイン関連の基礎知識(レイアウトやカラーリング、色相やフォントなど)は身に付けるように努力してきました。最近では動的なコンテンツに対する要望が高まっているため、映像編集に関する基礎知識も身に付けるように努力しています。また、今後はVRやARといった新しい表現を取り込む必要があるだろうと準備を始めています。

T.K.さん (男性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

極論を言ってしまえば、Webディレクターの業務に関しては、特殊な技能やスキルは一切必要ありません。自分自身が頭の中で考えたことや思い描いたことを企画書や要件書などの形に落とし込むことさえできれば、それまでまったく業務内容を知らなかったという方であっても問題なく業務を遂行させることはできるでしょう。
ですがWebコンテンツというものは、どこか1ヵ所でもスケジュールを押してしまった段階で、スケジュール通りには進行しなくなってしまいます。より円滑な業務の進行を目指すためには、やはり自分自身だけでなく、発注しているデザイナーさんやシステム担当者のスケジュールも随時確認し押さえた上で、総合的な管理を行うことが重要になるでしょう。

Webディレクターのやりがいと将来性についてどう思いますか?

Y.O.さん (女性 / 埼玉県)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

やりがいについては、クライアントに満足いただいた作品を作り上げた喜びが一番です。忙しかったり理不尽なことも多いですが、なんとかやり遂げた達成感は他には代えられません。
将来性についてですが、デザイン領域ではAI化が進むと思いますが、Webディレクターの需要は大きくは減らないと思っています。顧客の要望をAI等で100%汲み取れるわけではないと思いますので、クライアントとの間に立つ仕事は変わらないのではないかと思います。
ただし、手を動かしてWebコンテンツを作るという状況は少しずつ減っていくと思うので、より効率性を求められるポジションになっていくのではないかと感じています。

K.K.さん (男性 / 静岡県)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

ホームページ制作にあたり幅広い業種の方(クライアント)と接するようになり、様々な知識に触れられるので、人と知り合うこと、あらたな技術を学ぶことが好きな人にとっては本当に面白い仕事だと感じると思います。
デザイン等は流行り廃りが早く、新しいものを常に覚えながら、実践で使っていくことになると思うので、大変だと思います。しかし、新しいことを覚えるのが好きな人はそういった部分でもやりがいがあると思います。なかなか過酷な仕事になることもあると思いますが、この仕事が好きになれば、そんなことお構いなしに頑張れるほどの、やりがいや達成感を感じられると思います。
作業量に比べて、実際に稼げる金額は少ないことが多いのがこの業界の悪い部分かもしれません。

S.M.さん (女性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数1年 (職業 : 会社員)

やりがいは、プロジェクトが終わり、結果が良かった時に達成感が味わえるところです。悪い点にもつながりますが、たくさんの人が関わるので意思疎通がうまく行かずに、遅延をしたり、バグが発生したりと色々な問題点を解決して終わりを迎えることが多いので、メンバーやクライアントの人達と苦労も喜びも分かち合えるところだと思います。
Webディレクターの将来性については、Webの分野が細かくわかれてきているので、ディレクター職も細分化され、より専門性が追求されていくと思います。
また、技術進化でWebディレクターの仕事がAIに変わる可能性もあります。日々の勉強が必要な職なので、知的好奇心が旺盛な人には良い点になるのではないでしょうか。

D.S.さん (男性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

Web上で何かを表現する機会は今後もなくならないため、職業そのものがなくなることはないと思っています。また、スキルよりもコミュニケーション能力の方が必要であり、AIに奪われていくタイプの業種でもないと考えているので、将来性はあると思います。
また、自分の仕事が比較的早く目に見える形となってすぐに評価されるため、やりがいには事欠きません(もちろん失敗する回数も多くなるので、強いメンタルは必須ですが)。
変化と進化が激しい世界なので、それについていくために勉強をずっと続ける必要があるのですが、自分が年をとって能力が衰え、頑張っても追いつけなくなってしまうときがリタイア(定年)前に来てしまう可能性があることが不安要素です。

T.K.さん (男性 / 東京都)
Webディレクター 勤続年数2年 (職業 : 会社員)

パソコンからタブレットやスマートフォンへの移行はありますが、Webコンテンツそのものを見た場合、形は変われどコンテンツ自体が完全に消滅してしまうようなことはないと思っています。
Webディレクターという職業のメリットは、そのコンテンツの内容が別ジャンルに変わったとしても、それまでの経験やノウハウをそのまま活かすことができると思っています。スケジュールの引き方や確認のタイミングなど、業務の基本となる部分をしっかりと固めておくことができますから、他職と比べてみても、つぶしの効きやすい業種であると思います。