圧迫面接への対策を紹介。面接官の意図を読み取り冷静な対応を

企業によっては、圧迫面接を実施するケースがあります。あらかじめ圧迫面接についての知識を持っておけば、慌てず冷静に対応できるでしょう。圧迫面接を行う理由や面接官の具体的な特徴、評価を下げないための対処法について解説します。

圧迫面接とは?

面接を受ける女性と2人の男性面接官

(出典) photo-ac.com

圧迫面接とは、どのようなタイプの面接なのでしょうか?概要と企業側のデメリットについて解説します。

威圧的な態度や答えにくい質問をされる面接

圧迫面接とは、面接官が威圧的な態度を取ったり、答えにくい質問をしたりする面接です。アメリカの企業で考案され、『Stress Interview(ストレスインタビュー)』と呼ばれる手法として広まったといわれています。

圧迫面接には一定の効果があるとされていた時期があり、かつては複数の企業で行われていました。しかし、世界的なコンプライアンス意識の高まりを受け、近年は圧迫面接を行う企業が減っています。

圧迫面接を実施することが企業側から予告されるわけではないため、応募者によっては企業の意図にかかわらず「圧迫面接だ」と捉えるケースもあります。いまだに圧迫面接を実施している企業もあるので、対策をしておいて損はありません。

企業にとってはデメリットが多い

圧迫面接は、企業側のデメリットが大きい面接手法です。例えば、面接官の威圧的な態度が応募者によりSNSで拡散されれば、企業の社会的信用を失う恐れがあります。

面接時の威圧的な態度や意地悪な質問は、場合によっては行政指導の対象にもなりかねません。厚生労働省が提唱する「公正な採用選考の基本」では、応募者に広く門戸を開き、基本的人権を尊重した公正な採用選考を行うべきとされています。

また、採用の機会損失につながりやすいこともデメリットです。圧迫面接で企業に対する印象が悪くなった応募者は、内定をもらっても辞退する可能性が高いでしょう。

さまざまなデメリットが明らかになっている上、今の時代にも合わないため、圧迫面接を実施する企業は減っているのです。

参考:公正な採用選考の基本|厚生労働省

企業が圧迫面接を行う理由とは?

パイプ椅子に座るスーツ姿の男女

(出典) photo-ac.com

なぜわざわざ応募者に嫌がられるようなことをするのか、疑問に思う人もいるでしょう。圧迫面接が実施される理由について解説します。

ストレス耐性をチェックするため

圧迫面接を行う最も大きな目的は、ストレス耐性のチェックです。ストレスがかかるレベルで嫌な態度を取られたときに、どのような反応を見せるのかを確認します。

営業や接客業の仕事をしていると、取引先や顧客から怒られたり理不尽な態度を取られたりすることがあります。このようなケースでも耐えられる人材であるかどうかを、圧迫面接で見極めるのです。

したがって、圧迫面接は営業や接客業の人材を募集する際に行われやすいと考えられます。社外から受けるストレスだけでなく、社内で上司から注意されたり、怒られたりした場合のストレス耐性を見たいケースでも実施されるでしょう。

柔軟な対応ができるか知るため

世の中にはさまざまなタイプの人が存在しており、ビジネスにおいて全ての人とまともなやりとりができるとは限りません。予想外の質問や回答を受けたり、相手が黙り込んだりした場合に、柔軟に対応できるか知るためにも圧迫面接が行われます。

企業の看板を背負って仕事をしてもらう以上、自社に不利な対応をしてしまう人材を採用することは、企業としても避けたいと考えるものです。

また、圧迫面接で柔軟な対応を見られる際は、応募者が普段から物事を深く考えているかもチェックされます。さまざまなことに明確な考えを持っていなければ、限られた時間内で適切な対応をするのは難しいためです。

本音を引き出すため

圧迫面接には、応募者の本音を引き出しやすくなるという側面があります。通常の面接や履歴書からは分からない性格や考え方を、面接官の言動に対する反応から読み取るのです。

近年は面接対策の情報が出回っており、多くの応募者は入念な対策を行った上で面接に臨んでいます。面接官が何を聞いても、同じような回答しか返ってこないのが実情です。真面目な人ほど、面接回答集できちんと対策を練ってくるでしょう。

一方、事前に対策できないような質問を投げかければ、応募者の素を引き出しやすくなります。本当はどのようなことを考えているのかを知りたい場合にも、圧迫面接を実施することがあるのです。

圧迫面接の特徴は?

スーツ姿の男性2人

(出典) photo-ac.com

圧迫面接時における、面接官の特徴を知っておきましょう。以下に挙げるようなことが面接中に起こっているなら、圧迫面接を受けている可能性があります。

面接官の態度が極端

圧迫面接であるかどうかは、面接官の態度から判断できることがあります。威圧的な態度を取っていたり反応が薄かったりするなど、面接官の態度が極端な場合は圧迫面接の可能性が高いでしょう。

威圧的な態度を取る面接官は、大声を張り上げたり敬語を使わなかったりします。応募者の発言を鼻で笑うといった素振りを見せることもあるでしょう。

反応が薄い面接官の主な例は、発言に対して全く返事をしないケースや終始無表情で対応するケース、応募者の発言中にパソコンを操作しているケースが挙げられます。

応募者の発言・人格の否定

面接官が応募者の発言をことごとく否定することも、圧迫面接でよくある状況です。「本当に入社したいと思っていますか?」「それは強みとはいえないのではないですか?」など、全ての発言を否定される場合は、圧迫面接を受けているかもしれません。

面接官によっては「積極的な性格と書いてありますが、とてもそのような感じには見えません」のように、応募者の人格を否定してくることもあります。

志望動機・自己PR・経歴・人格など、事前に一生懸命調べたり考えたりしたことを全て否定され続ければ、さすがに大半の応募者は気が滅入ってしまうでしょう。

執拗に質問をする

圧迫面接の特徴としては、面接官が執拗に質問をしてくることも挙げられます。応募者の発言に対し、「なぜ?」「どうして?」「どのように?」をしつこく続けるパターンです。

通常の面接でも、応募者の発言に面接官が何度か質問を続けることはあります。一方、圧迫面接での執拗な質問は、無理やり質問をこじつけているようなやりとりになるのが特徴です。

応募者自身がこれ以上は説明することがないと思っていても、面接官がさらに質問を畳み掛けてくるため、応募者は「自分のことを理解してもらえていないのではないか」と不安になるでしょう。

圧迫面接への対処方法は?

面接を受ける男性と男性面接官

(出典) photo-ac.com

圧迫面接を受ける場合は、適切な対応で面接官に好印象を植え付けることが重要です。圧迫面接時に取るべき具体的な対処方法を紹介します。

さまざまな質問を想定しておく

圧迫面接で慌てないためには、事前にさまざまな質問を想定しておくことが大切です。

例えば、志望動機や自己PRに対しての執拗な質問を予想しておけば、できる限りの対策を立てられるでしょう。自分で考えた回答を何度も反復練習することで、本番でも焦らずに対応しやすくなります。

また、徹底した準備で自信を付けておけば、スムーズにやりとりできることもポイントです。圧迫面接では、応募者が考える時間を十分に与えられないことも予想されます。

面接官はわざと圧迫していると認識する

圧迫面接は企業側の意図があって行われています。「選考のために、わざとこのような態度を取られている」と認識すれば、楽な気持ちで対応できるでしょう。

答えにくい質問を受けても、圧迫の意図がないことを意識しておけば、質問をポジティブな内容に捉え直せるでしょう。面接官の態度が高圧的な場合は、態度のことは気にせず質問内容だけに意識を向けると良いでしょう。

端的な答えを心掛ける

圧迫面接では、応募者の回答内容をしっかりとチェックされます。質問に対しては、端的な回答を返すことを心掛けましょう。

例えば、何を言っても面接官が否定してくる場合は、根拠のある前向きな回答を手短に返すのがベストです。否定に対していったん受け止める姿勢を見せるのもよいでしょう。

面接官の否定にムキになって反論すると、「感情のコントロールができない人だ」と判断されかねません。あくまでも前向きな回答を続ける必要があります。

「当社の社長の好きな食べ物は何ですか?」といった、回答できない質問を受けた場合は、分からないことを素直に認めるのが正解です。

堂々とした態度で臨む

圧迫面接では、堂々とした態度で面接官とやりとりしましょう。何を言われても下を向かず、逆に面接官を圧倒するくらいの姿勢を見せることが大切です。

威圧されて萎縮すると、ストレス耐性がないとみなされてしまいます。面接官と堂々とやり合えれば、頼りがいがあると判断されて好印象を与えやすいこともポイントです。

ただし、あまりにも大きな態度を取ってしまうと、自信過剰で扱いにくい人だと捉えられかねません。あくまでも見られる側であることを忘れずに、冷静かつ前向きな対応を心掛けましょう。

圧迫面接のNGな受け答え・行動

バインダーを持つスーツ姿の女性

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圧迫面接で避けるべき受け答え・行動について解説します。面接で評価を下げないためにも、しっかりと覚えておきましょう。

感情的になる

面接官の質問に感情的にならないように気を付ける必要があります。面接官の威圧的な態度や意地悪な質問で感情を表に出してしまうと、ストレス耐性がないと判断されて面接の評価を下げられるでしょう。

圧迫面接で避けるべき感情的な態度の具体例は、泣いたり怒ったりすることです。そこまで激しい感情ではなくても、嫌な顔や落ち込んだ様子を見せるだけで評価は下がります。

怒りの感情を抑えるには、『アンガーマネジメント』を学ぶのがおすすめです。感情をコントロールできるアンガーマネジメントを習得すれば、就職後も役立ちます。

回答をしない

圧迫面接では、返答に詰まる状況も避けなければなりません。面接官の質問に対する答えがすぐに出てこなければ、ストレスがかかる状況での対応力に疑問を持たれてしまいます。

どうしても回答できない場合は、答えられないことを正直に伝えた上で、考える時間をもらいましょう。気持ちを落ち着かせて自分のペースを取り戻せます。

黙ったままの状態でいると、面接の進行に支障をきたすことにもなりかねません。質問の答えが分からないときは、その旨をすぐに伝えることも重要です。

圧迫面接をされたら辞退をするのもアリ

スーツ姿の男女

(出典) photo-ac.com

面接での質問内容が明らかに度を超えている場合は、辞退を検討するのも一つの方法です。圧迫面接を実施する企業への就職を、再考すべき理由について解説します。

基本ルールが遵守できていない企業もある

厚生労働省は、採用選考で企業が守るべき基本的なルールを示しています。本人に責任がないことや本来自由であるべきことを面接で聞くと、就職差別につながる恐れがあるためです。

例えば、出生地・家庭環境・宗教・人生観・尊敬する人物といったことは、応募書類や面接で確認すべきではない事項とされています。

面接時の質問内容が厚生労働省のルールを守っていない場合は、企業の採用マナーに対する意識が低いと判断できます。就職後もさまざまな問題が発生しかねないため、辞退を検討するのが無難です。

参考:公正な採用選考の基本|厚生労働省

入社後同様の扱いを受けることも

企業が意図的に圧迫面接を実施しているかどうかは、応募者側には分かりません。意図的ではない場合、入社後も同様の扱いを受ける恐れがあります。

面接では終始我慢できたとしても、入社後に同じような扱いを受け続ければ、大半の人はストレスがたまっていくでしょう。入社前に企業の雰囲気を感じられたと捉えて、辞退を検討するのも一つの方法です。

そもそも、デメリットが多い圧迫面接を実施するような企業は、コンプライアンス意識や倫理観が欠如している可能性もあります。リスクを冒してまで入社する企業ではないとも判断できるでしょう。

圧迫面接にはしっかりと事前準備を

胸に手を当て目をつむるスーツ姿の女性

(出典) photo-ac.com

圧迫面接とは、威圧的な態度を取られたり回答しにくい質問をされたりする面接です。ストレス耐性や対応力の確認を主な目的として実施されます。

圧迫面接を受けた場合は、感情を表に出さずに端的な答えを心掛けることが重要です。泣いたり怒ったりすると、マイナスポイントとなってしまうので要注意です。

今でも圧迫面接を行う企業は存在するため、事前準備をしっかりと行っておきましょう。