面接の苦手をどう克服する?苦手の原因と対処法を解説

面接になるとどうしても緊張してしまい、自分を適切にアピールできない人もいるでしょう。面接に苦手意識を持っている人のために、面接の苦手を克服する方法や、面接本番でどのようなことを意識すればよいのかを解説します。

多くの人が面接を苦手と感じる理由

スーツ姿の男性と女性の後ろ姿

(出典) photo-ac.com

就活において面接を避けて通ることはできません。適性検査や書類選考は全く問題ないのに、面接では思うように話すことができず、苦手意識を持ってしまっている人もいます。失敗した経験から、ますます面接が苦手になってしまう負の連鎖に陥ってしまうのです。

面接の苦手意識を克服するためにも、どうして自分が面接に苦手意識を持っているのかを明らかにしましょう。面接が苦手な人は、次の3つの原因があると言われています。

緊張してしまう

面接で失敗してしまう要因の多くは「過度の緊張」によるものです。あがり症の人だけでなく、本番に強いと思っている人でも、面接本番で緊張のあまり失敗してしまう人はいます。

普段は行かない場所で、全く知らない人と会話をすることは過度の緊張を生みます。

適度な緊張が良い効果をもたらすこともありますが、行き過ぎた緊張は思考能力を低下させたり、顔や肩などが力んだり冷や汗が出たりといった悪い効果をもたらすことがあるのです。

「本番前に時間をかけて答えを用意していたのに、緊張で全部忘れてしまった…」という失敗をしてしまう人も少なくありません。

コミュニケーションが苦手

面接の場では世代も立場も違う初対面の人を相手に、自分の良いところをアピールしなければなりません。 そのため、普段から人とのコミュニケーションを苦手と感じている人にとっては、よりハードルがあがったように感じてしまうでしょう。

面接官の中には、威圧的な人や自分と話が合わない人もいます。コミュニケーションをとりづらい相手との面接をするほどに、さらに自信を失ってしまうのです。

面接官との話が合わない理由の一つに、「自分と相手の常識が異なること」が挙げられます。面接官と志望者という立場の違いもありますが、志望する業界や企業への理解が不足していると、面接官の質問の意図が汲み取れず、ちぐはぐな回答をしてしまうのです。

特に、これまでと異なる業界や職種に転職をする際は、業界や企業に対するリサーチを十分に行い、予備知識を得ておくことが肝要です。

本番で失敗しないか常に不安

面接まで日数があるにもかかわらず、面接のことを考えすぎて、頭から離れないという人もいるのではないでしょうか。

暇になった時間や夜眠る前などに面接で自分の失敗する姿を思い描いたり、そうならないように頭の中でリハーサルを繰り返したりします。そうすることでかえって、ストレスと緊張で寝不足に陥る、精神が疲弊してしまうなどして、面接本番は十分なパフォーマンスが発揮できません。

面接の苦手を克服する方法

用紙に記入する人

(出典) photo-ac.com

面接が苦手だからといって、就活をする以上は面接を避けることは難しいのが今の日本の現状です。就活を続けていくには、面接の苦手意識をある程度克服しなければなりません。

面接の苦手意識を克服するために、準備や心構えとしてできることを3つ紹介します。

面接の場数を踏む

面接で緊張してしまう大きな理由は、面接に慣れていないことです。場数を踏むことで、面接という状況に慣れて緊張や不安を抑えられるようになります。

友人に協力をしてもらって面接のシミュレーションを行う、学生であれば大学のキャリアセンターで模擬面接をしてもらうという方法もあります。実はハローワークでも申請すれば模擬面接を受けられるので、活用しましょう。

就活支援メニュー | 東京ハローワーク

質問を想定して回答の準備をする

不安になってしまう要因として、対策が不十分であることも考えられます。面接対策を十分に行い、不安が払拭されれば自信を持って面接本番に臨むことが可能です。

企業研究と自己分析を行い、よくある質問については回答を用意しておきましょう。以下は、質問の一例です。

  • あなたの長所は何ですか?(自己PR)
  • 応募した理由を教えてください(志望動機)
  • 入社後にどのように貢献できますか?(強み)
  • 10年後はどうなっていたいですか?(キャリアプラン)

このとき、質問に対し面接官が掘り下げてくることも想定し、さらに一歩踏み込んだ回答も準備しておきます。

面接官が質問を掘り下げる理由は、志望者の資質やパーソナリティを見極めるためです。履歴書や職務経歴書を参考に、「なぜそう感じるのか」「どのような行動を取ったのか」といった背景や行動に付随する質問が多くなされるでしょう。

  • 〇〇に取り組んだときのエピソードを教えてください
  • 協調性の高さが長所とありますが、あなたにとっての協調性とはどんなことですか?
  • 〇〇の業務を通して、何を学びましたか?

嘘や誇張はよくありませんが、面接官の質問の意図を適切に理解した上で、不利にならない回答をするのがポイントです。

面接での回答だけでなく、企業のホームページから働いている社員の声や社長のブログを読んだりして、面接を受ける企業の空気感をつかんでおくのも有効です。本番の緊張が軽減される上、面接官に対して「この人は自社に興味を持ってくれている」「よく調べてくれて、仕事がまめそう」といった好印象も与えられるでしょう。

完璧にやろうと思わない

本番で失敗する人の要因として多いのが「完璧にやろうとすること」です。失敗してはいけないと思うほど緊張感が強くなり、本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまいます。実際、面接官側は志望者に完璧を期待しているわけではありません。

たとえ言葉に詰まってしまっても、人柄の誠実さや仕事への熱意が伝わってくれば、面接官はそのポテンシャルを高く評価するでしょう。

面接本番で想定外の質問をされたり、いくら入念に準備していたとしても用意していた回答を忘れてしまったり、言葉がつっかえてしまったりということは誰にでもあるものです。多少の失敗は気にせず、とにかく自分のことをアピールできるように立ち回りましょう。

近年は、働き方改革や新型コロナウイルスの影響で、オンライン面接を採用する企業が増加傾向にあります。オンラインの場合、「通信回線のトラブル」や「音声のタイムラグ」などが発生し、面接がスムーズにいかないことがあります。

「声が途切れて質問の内容が分からなかった」ということにならないように、事前の動作確認は必ず行いましょう。友人や家族に協力してもらい、オンライン面接のリハーサルをすることをおすすめします。

本番でどう立ち回るかも重要

集団面接で発言をする女性

(出典) photo-ac.com

ここまでは面接の準備や心構えの話をしてきましたが、本番でどのように立ち回るかも重要です。 面接に苦手意識を持っている人は、本番で次の立ち回りを意識してみましょう。

緊張していることを素直に伝える

面接での緊張は少なからず誰でもするものです。面接官も相手が緊張することは十分にわかっています。緊張しているからといって、それが理由で不採用になったり、減点につながったりすることはありません。

いっそのこと、自分が緊張していることを素直に伝えましょう。面接官によっては落ち着くのを待ってくれたり、言葉をかけてくれたりすることもあります。そして「緊張している」と口に出すことで、 自分の状態を客観的に知り、立ち直るきっかけにもつながります。

失敗したときは最初から言い直す

道に迷ったときの適切な行動は、最初に迷った地点まで戻ることです。焦ってそのまま突き進んでしまうと、たいていの場合でさらに迷ってしまいます。これは面接でも同じです。

言葉に詰まってしまったり、言い間違えてしまったりしたときは無理に押し通すのではなく、「失礼しました」などと一声かけてから、最初に戻って言い直すとよいでしょう。言い直しが減点や不採用につながることはありません。

また、面接官の言葉がうまく聞き取れなかった場合は「もう一度お願いします」と聞き返してみてください。

失敗したときは焦って前へ進むのではなく、「失敗したところまで戻ってやり直す」というように考えるのが面接中に落ち着くためのポイントです。

焦っても嘘はつかないこと

面接中に絶対にやってはいけないのが「嘘をつく」ことです。

面接官が質問した業界や企業のことについてわからなかったときに、面接官の心証を下げたくないあまり知っているふりをしてしまう人がいますが、やめておきましょう。

面接官はこれまでさまざまな学生や社会人を面接してきた、いわば面接のプロです。焦りでついた嘘は見抜かれてしまう可能性が高いでしょう。そこから追求された結果、嘘をついていたことが露呈してしまうケースは少なくありません。

面接で嘘をつく人は、日常業務においても嘘をつく可能性が高いと判断されます。顧客や取引先の信頼を失ったり、重大なミスを隠蔽されたりする可能性もゼロではないため、嘘をついた人が採用されるケースはほとんどないといえます。

予想外の質問や知らないことについて聞かれたら素直に「わからない」と答えましょう。誠実さが伝われば、採用に近づく可能性が高くなります。

後に引きずらないことも大切

珈琲とメモとペンとノートパソコン

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面接で苦手意識を持っている人によくあるのが、失敗した面接をいつまでも引きずってしまうことです。就活中はいくつもの面接を受けることになるので、切り替えも大切になります。

前の面接の失敗を引きずらないために、面接が終わったら次のことをやっておきましょう。

面接の内容を振り返る

前の面接の失敗をズルズルと引きずってしまうのは、きちんと分析できていないからです。失敗から目を背けるのではなく、失敗した点や原因を分析することで、改善点を洗い出します。

改善点が出てくると、「次は気を付けよう」と、次の面接について気持ちが向くようになります。面接に失敗したときこそ目を背けるのではなく、内容を振り返るようにしましょう。

例えば、予期せぬ質問をされて答えられなかった場合は、面接前の受け答えの準備が不十分だったといえます。面接で質問されそうな事項をピックアップし、自分の言葉でまとめてみましょう。

緊張と焦りでうまく話ができなかったケースにおいては、本番を想定した「面接練習(ロールプレイング)」が効果的です。スマホで自分を録画して、話し方や表情を客観的にチェックしましょう。

次の面接に気持ちを切り替える

気持ちを早く切り替えられれば、その分だけ次の面接の準備期間を取ることができます。 失敗して気分が落ち込んだとしても、次の面接に向けて意識して気持ちを切り替えるようにしましょう。

面接内容を分析してみてもよいですし、友だちと一緒に遊んだり、スポーツに打ち込んだりしてもよいかもしれません。

この「気持ちをどうやって切り替えるか」は、面接を行う前に決めておくことがポイントです。面接直後に気分が沈んで何もやる気が起きなかったとしても、あらかじめ行動を決めておくことで、スムーズに実行に移すことができるようになります。

苦手克服の鍵は自己分析と事前準備にあり

胸で手を合わせ目をつむる女性

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「面接が得意」という人はあまりいません。むしろ面接を苦手と感じている人の方が多いのではないでしょうか。初対面の相手に対し、自分の良いところをアピールするのは、それほど難しいのです。

面接を苦手に感じること自体は大きな問題ではありません。大切なのは、苦手な理由を自分なりに分析し、それをカバーするための事前準備を念入りに行うことです。

十分な準備があれば、多少緊張していても、大きなミスは回避できます。気持ちにも余裕が生まれ、面接への苦手意識が薄れるかもしれません。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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