面接での自己紹介で気を付けるポイントは?聞かれる目的もチェック

面接では、質疑応答だけでなく「自己紹介」も求められます。自己紹介では、何を話せばよいのでしょうか?基本的な項目を紹介します。また、自己PRとの違いや、面接官に好印象を与える話し方も知っておきましょう。

面接で自己紹介を求める目的

面接官を見つめる応募者

(出典) photo-ac.com

面接官に対して自己紹介をする場面がよくあります。自己紹介は、自分のことを知らない相手にどういう人間なのかを伝える手段です。まずは、何のために自己紹介をするのか知っておきましょう。

自己紹介で見られているポイントは?

自分の経歴や相手に知ってもらいたいことを短時間で話します。面接官は自己紹介を通して、「情報をまとめる能力」や「コミュニケーション能力」を見ていると考えられるでしょう。

短時間であっても、「話し方」や「表情」など見る部分はいくつかあります。ビジネスでも、顧客や取引先に与える第一印象は重要です。印象のよい人の方が、仕事面でもプラスになります。

また、自己紹介で話す内容を、面接の話題にする目的もあるでしょう。例えば『中学生の頃からサッカーを続けていて現在まで続けている』という内容なら、サッカーやチームスポーツについての質問があるかもしれません。

自己PRとの違いは?

自己紹介は、自分の「身元・出自」や「人柄」を簡単に説明する目的で行われます。履歴書で情報が補完されるとはいえ、目の前にいる応募者から直接話を聞くことは、面接をスムーズに行う上で重要です。

身元は、現在働いている会社や、所属している学校などが該当します。一方、人柄は所属している職場や学校だけでは分からないことなので、所属していた部活や興味のある分野を伝えて示します。

それに対して、自己PRは「自分の魅力」や「長所」をアピールするものです。会社にとって役立つ人材であることを、伝える役割があります。

もし自己紹介で魅力や長所を話しすぎた場合、自己PRと混同していると思われ、マイナスポイントになりかねないため注意が必要です。自己紹介を求められたときは、「自分がどこの誰で、何が好きなのか」を簡潔に述べましょう。

「自己紹介の基本」必ず伝える項目は?

緊張している応募者

(出典) photo-ac.com

自己紹介を求められたときに伝える内容は、ある程度決まっています。制限時間内でまとめるよう求められるケースもあり、必須項目を意識しておくのは大切です。自己紹介で、必ず伝えなくてはならない内容を確認していきましょう。

まずは基本プロフィール

初めは、基本情報を伝えることが重要です。応募書類に記載されているプロフィールをシンプルに伝えましょう。

まずはあいさつをし、所属先とフルネームを伝えます。所属先は、学生であれば学校名や学部です。

転職の場合は、現在勤めている会社名や、業務内容を伝えることになるでしょう。応募書類に記載した今までの経歴を全て伝えるのではなく、直近の所属先を簡潔にまとめるのが基本です。

面接官が「今誰と話しているのか」「応募書類との相違はないか」を確認するための重要な項目なので、最初に必ず伝えましょう。

過去の経験・実績

基本情報を伝えた後は、詳しい情報を盛り込みます。主な内容は「過去に所属していた部活」「ボランティア活動の参加経験」「仕事面での実績」などです。

学生の場合、人柄や経験を伝えられる内容にしましょう。社会人経験がある転職者とは異なり、実績として話せる内容が限られるためです。習い事や留学経験など、面接官にアピールしたい項目をピックアップしましょう。

転職者の場合は、仕事面でのスキルや経験が重視されます。具体的な業務内容や役職名は、重要な要素です。過去の学歴よりも、仕事での実績が自己紹介としてふさわしいでしょう。

感謝や意気込みなど締めの言葉

最後には、面接官に対して感謝の気持ちを伝えましょう。面接の機会を与えてもらったことに対する感謝の意思になります。

また、面接にかける意気込みを伝えることで、意欲をアピールできます。しっかり面接の質問に答えたいという意識を、面接官に伝えましょう。

締めの言葉は、1〜2文で簡単にまとめます。「本日は面接の機会をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」のように、締めの言葉を付け加えましょう。

面接官に対する感謝や意気込みの言葉で締めくくると、意欲や面接にかける思いが伝わりやすくなります。自己紹介の最初だけでなく、最後まできちんとしたあいさつを心掛けましょう。

好印象になる自己紹介のポイント

面接官に微笑んでいる応募者

(出典) photo-ac.com

表情や話し方は、面接官への印象を左右する要素です。どのような表情や話し方をすると印象がよくなるのか、基本的なポイントを紹介します。

表情は自然な笑顔で

面接の際は、笑顔を意識しましょう。できるだけ面接官の顔を見て、誰に向けて話しているか明確にすることも大切です。

明るく自然な笑顔は、話している相手によい印象を与えてくれます。しっかりコミュニケーションを取れる人であると判断してもらうためにも、爽やかなイメージを心掛けましょう。

また、表情だけでなく、姿勢にも注意を払います。背筋を伸ばし、節度のある振る舞いをしましょう。緊張しやすいタイプの人は、表情や姿勢を面接前に鏡でチェックしておくのもおすすめです。

聞き取りやすさを意識する

面接官の前で話すときは、聞き取りやすいはっきりとした声で話しましょう。小声や早口は、何を言っているかが伝わりません。面接全体を通して意識しましょう。

少しゆっくり話すことを意識して、口元が見えるように顔を上げると声が通りやすくなります。話すスピードを落とすことで落ち着いた印象になり、顔を上げることで自信のある印象になるはずです。

どう話せばちょうどよいのかイメージが湧かない人は、身近な人や有名人を思い浮かべて、話が聞き取りやすいと感じた人の真似をするのもおすすめです。声のボリュームや話すスピードが参考になるでしょう。

言葉遣いは丁寧に

自己紹介をする相手は、合否を決める面接官です。言葉遣いは、合否の重要な判断基準となるので注意しましょう。乱暴な発言や、友達に話すような言葉遣いなどは、当然マイナスポイントとなってしまいます。

仕事をするにあたって、目上の人と話す機会は日常的に発生します。言葉遣いや態度が悪いと、採用後のコミュニケーションに不安を感じさせてしまうでしょう。スキルや実績が魅力的でも、ビジネスシーンでマナー違反となる話し方をすると台無しです。

きちんと敬語を使い、マイナスの印象を与える受け答えは避けましょう。

自己紹介で伝えるときの注意点

応募者が椅子にきちんと座っている

(出典) photo-ac.com

面接時の自己紹介は、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?合否を決める面接官に伝えているということを忘れず、話す内容にも気を付けましょう。

うそをつかないのは大前提

自己紹介は、あくまでも自分の身元や経歴、人柄を伝えるものです。自分を魅力的な人間に見せるために、実際と異なるスキルや実績を話すのはやめましょう。

仕事に関係のない部分であっても、うそをつくことには大きなリスクがあります。面接官が違和感に気付いた場合、その時点で採用の可能性は低くなるでしょう。

うそをつく人間に対して、面接官は大きな不安を感じます。仕事の面でうそやごまかしが起きると、多大なトラブルに発展するためです。

信用できない人間と判断されないためにも、本当のことを話しましょう。

関係ないことを長々話さない

自己紹介は、簡潔に1~2分で自分のことを伝えます。自分語りのように関係ないことを話し続けると、印象はよくありません。

これまでの略歴と、人柄が分かる趣味・特技などに触れるのは問題ないでしょう。しかし、職務経歴書のようにこれまでの経歴を全て話し続けてしまうのは、『要約する』作業ができていないことになります。

スキルや経歴の中でも、特にアピールしたい部分をピックアップすることが重要です。基本情報と人柄をバランスよく伝え、短くまとめることが好印象につながります。

面接の緊張を和らげる方法

考えている応募者

(出典) photo-ac.com

面接は、合否に大きな影響を与えるものです。面接官が複数人いるケースもあり、緊張して上手に話せなくなってしまうことは珍しくありません。

リラックスして面接を受けるためには、事前準備も大切です。ここでは、緊張を和らげる方法をいくつか紹介します。

事前に面接で話す内容をピックアップ

話す内容は、事前にある程度まとめておきましょう。話す内容を全て覚えておくのではなく、ざっくりとした要点を抜き出すことが大切です。

一字一句丸暗記をすると、どこか1箇所を忘れただけで頭が真っ白になってしまうことがあります。忘れてしまったことでさらに緊張してしまうなど、悪循環に陥ってしまう可能性があるでしょう。

話の方向性や、どうしても伝えたい内容をピックアップし、覚えておくだけなら応用が利きます。面接官が違う話を振ってきたときも、自分の中で伝えたい方向性が決まっていれば動揺も少なくなるはずです。

面接日までに発声練習をしておく

人前で話すことに慣れていない場合は、声を出す練習から始めましょう。イメージトレーニングだけでなく、実践するのが大切です。

声を出すことで、どのくらいのボリュームやスピードで話すのがよいか、自分で確かめられます。

スマホ端末やアプリの録音機能を活用するのもよいでしょう。客観的に、自分の声の大きさや話し方を確認できます。

練習時間が数分でも、面接日まで継続することで、発声の仕方が分かってくるでしょう。まずは、手近にある文章を読んでみるだけでも構いません。日々音読の機会を作ることで、少しずつ慣れてくるはずです。

面接中に緊張したら深呼吸をしてみて

緊張すると呼吸が浅くなり、余計に緊張したり声がうまく出なくなったりします。自分が緊張していると気付いたら、深呼吸をしてリラックスしましょう。

ゆっくりと深呼吸をしていくうちに、気持ちが落ち着いてきて、思考もはっきりとしてくるはずです。面接中に慌ててしまったときも、1度深呼吸をするとパニックを避けられるでしょう。

面接が始まる前や自分が話す順番が来る前など、深呼吸はいろいろな場面で取り入れることができます。鼻から大きく息を吸い、口からゆっくり吐き出すだけなので、面接中でも自然に行えるでしょう。

的確な自己紹介で面接官に印象付けよう

二人の面接官と面接をしている様子

(出典) photo-ac.com

面接で自己紹介を求められたときは、面接官が求めている内容を汲み取りましょう。氏名と所属先、過去の経験が主な項目です。

転職の場合は、過去の職務経験を中心に自己紹介を組み立てます。話し方や表情にも気を配り、言葉遣いにも気を付けましょう。

また、面接前や面接中に緊張した場合は、深呼吸をするのがおすすめです。的確かつ簡潔な自己紹介で、面接官に好印象を与えましょう。

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー