退職の挨拶で好印象を残すには?挨拶の範囲やポイント、注意点を解説

会社の退職時には、周囲の仕事仲間や上司に改めて挨拶をした方がよいのでしょうか?挨拶をした方がよい範囲や、タイミングは状況によっても変わります。主なケースや、一般的なマナーを見ていきましょう。好印象を残せる挨拶のポイントも紹介します。

退職時に挨拶は必要?

お辞儀をする女性

(出典) photo-ac.com

会社を辞めるとき、「今後は仕事上での関係がなくなる」と考える人もいるかもしれませんが、一般的なマナーとしては挨拶した方がよいとされています。挨拶をした方がよい理由と、挨拶の方法を見ていきましょう。

挨拶するのが一般的

退職の際は、理由や状況にかかわらず挨拶をするのが一般的です。『お世話になった人へのお礼の気持ち』を込めて挨拶をします。

転職を決めた時点で、現職に対する不満を抱えているケースもあるでしょう。しかし、今まで一緒に仕事をしてきた仲間であることに、変わりはありません。

そのため、気分よく次のステップに進めるよう、礼儀正しく挨拶をしましょう。今は何か不満があったとしても、またどこかで出会う可能性もあります。悪い印象を残さないためにも、最後はしっかりとお礼の気持ちを伝えましょう。

直接会えない人にはメール

挨拶は、相手に直接会って行うのが一番礼儀正しい印象を与えます。しかし、中には退職日までに会えない人もいるでしょう。特に、退職までの時間が短い場合は、直接会って挨拶できる範囲が限られてくるものです。

その場合は、メールで挨拶を送ってもOKです。退職の旨とともに、これまでお世話になった感謝の気持ちを添えてメールを送りましょう。

ただし、社外の関係者への対応は、自分だけで判断せず上司と話し合うことが大切です。先走って挨拶をするのではなく、まずは上司に相談しましょう。

退職の挨拶をするべき範囲とは?

退職願

(出典) photo-ac.com

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退職の挨拶は、全員にした方がよいのでしょうか?どの程度の範囲まで挨拶をするべきなのか、一般的な目安を紹介します。

直属の上司・所属部署

退職のときは、普段から仕事で関わっている相手に挨拶をします。直属の上司・所属部署の仲間は、毎日仕事でお世話になることも多いでしょう。

基本的に、関係の深い人には全員に挨拶するのがマナーです。部署内の人数が極端に多い場合は関係が薄い相手がいることもあるため、「部署内でも同じチームに配属されている相手にはする」など範囲を決めましょう。

1人ずつ改まって挨拶をする関係性でないときは、休憩時間や昼休みなど複数人で集まる機会を活用します。部署の雰囲気に合わせて、ランチに誘ったりお菓子を配ったりしながら退職の挨拶を済ませましょう。

社内でお世話になった人

直属の上司・所属部署の仲間以外にも、お世話になった人がいる場合は忘れずに挨拶をしましょう。他部署の人にお世話になったことがある人は、少なくないのではないでしょうか?

「退職後には関係が切れてしまう人」と考えず、いつか違う場所でまたお世話になる可能性もあることを考慮するのが大切です。

また、退職することを伝えたい相手がいても、タイミングが合わなかったり出社していなかったりと、直接挨拶ができないケースも考えられます。

その場合は、個別にメールで挨拶をしてもよいでしょう。個別のエピソードとともに感謝の気持ちを伝えることがポイントです。

取引先にも確実に

社外の取引先にも、退職の挨拶は必要です。しかし、どのような形で伝えるのかは会社内でのルールもあります。挨拶のタイミングも、後任が決まってからになるでしょう。

メールで済ませるのか、挨拶の時間を取ってもらうのかも、会社同士のスタンスや状況によります。取引先で何らかの引き継ぎ作業をする場合は、自然と退職の挨拶につながるでしょう。

それ以外の場合は、会社としての意見を重視します。あくまでも会社同士の関係であることを忘れず、適切なタイミングで必要な場所に挨拶をすることが大切です。社内の同僚への挨拶とは異なり、プライベートな話は避けることも意識しておきましょう。

退職の挨拶をするべきタイミング

パソコンの上にある退職届

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退職にあたって、送別会など個別のイベントが用意されていないときはいつ挨拶するのがよいのでしょうか?全体への挨拶や、個別に挨拶するときの主なタイミングを紹介します。

朝礼の時間

会社によっては、最終出社日の朝礼で挨拶の時間を設ける可能性があります。朝礼では出勤している社員が全員集まることもあり、退職の挨拶をする場として適しているでしょう。

基本的には、最終出社日までに必要な相手には退職の挨拶を済ませているはずです。朝礼でのスピーチは、あくまでも全員に改めて感謝の気持ちを伝えるための時間といえます。最終日の朝礼で挨拶をするからといって、お世話になった人への個人的な挨拶を全て省くのは避けましょう。

朝礼で退職の挨拶をするよう連絡があった場合は、事前に内容を考えておくと当日慌てずに済みます。

忙しくない時間を見計らって

退職日当日の挨拶は、忙しくない時間帯に行うのが基本です。「今日が最後の出社になります。ありがとうございました。」という程度の挨拶であっても、ほかの人には普段の仕事があるため、多忙なときに押しかけると、仕事の邪魔になる可能性もあります。

朝は仕事始めでもあり、慌ただしく準備をしている人もいるでしょう。会社の雰囲気にもよりますが、夕方の落ち着いた時間帯に挨拶を済ませるのがおすすめです。

お菓子を配るなど、お礼の気持ちを伝えたいときは休憩時間も活用できるでしょう。

直属の上司は朝と帰り際に

直属の上司には、出勤時と帰り際に挨拶するのがベストです。普段「おはようございます」「お疲れ様でした」と挨拶する流れで、自然と退職の挨拶ができます。

普段から挨拶をする機会がない場合は帰り際だけで問題ないケースもありますが、2回伝えておくと礼儀正しい印象を残せます。上司との関係性や、退職日当日の様子を見て判断しましょう。

朝は最終日であっても真剣に業務に取り組むことを伝え、帰り際にはこれまでの感謝を伝えます。

取引先には退職2〜3週間前

取引先に退職の挨拶をする場合、引き継ぎが関係してきます。担当が変わることで確認事項がある場合、取引先側も早めに知っておきたいはずです。

会社の方針や取引先との関係にもよりますが、可能であれば退職2~3週間前には連絡しましょう。後任の担当者を連れていき、挨拶の時間を取ってもらう必要もあるかもしれません。

日程の調整などで時間がかかることも考えて、早めに知らせておくのがマナーです。挨拶を受ける取引先の都合もあるため、会社の方針や引き継ぎのスケジュールを確認しておきましょう。

好印象を残せる退職の挨拶のポイントは?

取引先との打ち合わせ

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退職の挨拶で好印象を残すと、これからの人間関係にもよい影響を与えます。挨拶に盛り込みたい基本的な内容や、取引先へ挨拶をするときのポイントを知っておきましょう。

大前提は感謝の気持ちを伝えること

挨拶の内容は、感謝の気持ちを中心にしましょう。上司や仕事仲間には、仕事でサポートしてもらったことも多いはずです。

直接的にはお世話になっていない人がいても、会社では社員全員で仕事に取り組んでいます。そのため、どこかでサポートしてもらっていた部分があると考えましょう。

「今までありがとうございました」という気持ちを伝えることで、会社に残る上司・同僚も気持ちよく退職する人を送り出せます。

退職日をはっきり伝える

何月何日に退職するのかは、重要なポイントです。事前に退職を伝える場合、退職日が曖昧だとすぐにいなくなるのか、先のことなのかが判断できません。

退職日と退職の挨拶をする日が違うときは、メールでも口頭でも日程を伝えることが大切です。退職当日の挨拶の場合は、今日退職することが分かれば問題ないでしょう。

直接の上司と部下でなくても、退職までに確認したい内容がある人はいるはずです。事前の挨拶で退職日を伝えておけば、必要な確認作業をスムーズに進められます。相手が退職日までにスケジュールを組んで引き継ぎを済ませられるよう、気を配りましょう。

取引先には後任についても言及

取引先には、退職の挨拶とともに後任の担当者について話をしておきましょう。退職する旨だけをメールなどで伝えると、「今後は誰に連絡をすればよいのか」と余計な気を使わせてしまいます。

退職の挨拶は、後任の担当者が決まった後にするか、特定の後任が決まらないときでも連絡先をはっきりさせるようにしましょう。取引先の業務に支障が出ないよう心掛けるのが、退職の際のマナーになります。

挨拶の内容は、これまでお世話になったお礼と退職する日程、今後の引き継ぎや後任の話です。直接取引先に行く機会が多い場合は、後任の担当者を連れてくる日程とスケジュールも伝えておきましょう。

退職の挨拶における注意点は?

挨拶中の人

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退職の挨拶では、話さない方がよいこともあります。よくあるマナーや注意点を見ていきましょう。

一般的にマナー違反となる内容は、大勢に向けたスピーチだけでなく、個人的な挨拶のときもなるべく控えた方が好印象です。

退職理由は「一身上の都合」

退職の挨拶では、退職理由について詳しく述べるのは避けましょう。ネガティブな理由の場合、相手は反応に困ってしまいます。実際は職場に不満があって辞める場合でも、理由については触れないのがマナーです。

退職の挨拶をする際は、退職理由に触れずに挨拶をする、もしくは「一身上の都合」としましょう。ただし、出産などうれしいイベントのときは、一言理由を添えても構いません。

直属の上司には「健康上の問題で退職する」「家庭の事情で退職する」と本当の理由を伝えていたとしても、全員に詳細を知ってもらう必要はないでしょう。

思い出話はほどほどに

定年や結婚・出産による退職など、職場に強い思い入れがある場合は思い出話を語りたくなるかもしれません。しかし、仕事中や送別会で退職のスピーチをする場合、長い挨拶は聞いている側にも負担がかかります。

親しい仕事仲間は感動する内容でも、全員に伝わるとは限りません。関係の薄い人は、何の話をしているのか分からない可能性もあります。

退職の挨拶をする際は、自分の気持ちを長々とアピールするのではなく、これまでの感謝と退職の日程などを2~3分で簡潔に述べるようにしましょう。

恨み節はご法度

退職の挨拶で、退職する職場のことを悪く言うのはNGです。特定の社員や職場に対する不満が原因で退職に至ったとしても、悪口を言うのはやめましょう。

マナー違反な発言のことが知られると、今後自分にとって悪い評判がつきまとう可能性があります。転職活動の際に採用担当者に知られれば、「退職の際に会社の悪口を言う人」と思われて不利になることもあるかもしれません。

そのため、人間関係でトラブルがあり、悪いのは相手や職場であったとしても、大人の対応を意識しましょう。退職の挨拶のときは、周囲の雰囲気を暗くしないよう、前向きな気持ちで感謝の思いを伝えることが大切です。

退職の挨拶に粗品を付けるなら

プレゼント

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退職するとき、お礼の気持ちとしてプチギフトを配るケースがあります。1人あたりの予算はどのくらいなのでしょうか?相手の負担にならない粗品の選び方も紹介します。

平均的な予算

退職の際に配る粗品は、気軽に購入できるお菓子が一般的です。予算は、職場の社員数やどの範囲に配るのかで変わってきますが、トータルで2000〜3000円程度が目安です。

職場の人数が少ないときは、1人あたり200〜300円程度を目安に考えます。人数が多い場合は、1人あたり50~100円程度に調整しましょう。

職場の雰囲気や給与によるところもありますが、大きな予算をかけなくても問題はありません。

日持ちするお菓子がおすすめ

お菓子を粗品として渡す場合、消費期限が長いもの、かつ持ち帰りやすいものを選ぶのが最適です。

退職日に自分で配るとしても、相手がその日に食べるとは限りません。タイミングが合わなかった人は、後日受け取る可能性もあります。

常温で保管でき、ある程度時間がたっても食べられるお菓子がおすすめです。また、個包装タイプのものを選ぶと持ち帰りもしやすいでしょう。

最後の挨拶だからこそ気持ちのよい印象を

あいさつに向かう男性

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退職するときは、これまでお世話になった人たちに挨拶をするのが一般的なマナーです。今後どこかで会うことも考えて、気持ちよく最後の挨拶をしましょう。

挨拶をするのは、直属の上司・所属部署の同僚や社内でお世話になった人、取引先などです。上司・同僚には、退職することになった報告と退職日当日の挨拶をします。挨拶ができなかった人には、メールで連絡することも忘れないようにしましょう。

退職の際は、個人的な挨拶だけでなく、スピーチを求められることもあるはずです。ネガティブな発言は避け、短時間で感謝の気持ちを伝えましょう。