就活を控えているなら、インターンシップへの参加を検討しましょう。実際の職業体験を通して、さまざまなメリットを得ることが可能です。種類や参加する流れ、採用直結型など、インターンシップとは何かを詳しく解説します。
インターンシップとは
これから就活を始める人の中には、インターンシップについてよく理解できていない人もいるでしょう。まずは、インターンシップの基礎知識を解説します。
就業前に企業で職業体験を行うこと
インターンシップとは、主に学生が就業前に仕事を体験することです。業務の内容や仕事への適性を把握する目的で、実際に特定の企業で職業体験を行います。
インターンシップの対象となるのは、一般的に大学2~3年生です。企業によっては、大学1年生から参加できるケースもあります。1日で終わるものから数カ月にわたるものまで、実施される期間もさまざまです。
かつてのインターンシップは、学生が企業を訪れて参加するタイプがほとんどでした。しかし、コロナ禍以降はオンラインで行う企業も増えています。
インターンシップとアルバイトの違い
インターンシップの主な目的は、仕事内容や仕事への適性を理解することです。一方、アルバイトは収入を得るための手段であり、両者は目的が異なります。
なお、インターンシップでも労働に該当するものは、原則として給料を得ることが可能です。ただし、給料が発生するインターンシップであっても、アルバイトとは別の枠組みであることを理解しておく必要があります。
収入を得られないインターンシップの代表例は、短期のインターンや見学・体験のみなど、労働に該当しないものです。インターンシップとアルバイトを兼ねたい場合は、内容をしっかりとチェックする必要があります。
インターンシップの内容
インターンシップで実施されるプログラムの内容は、主にセミナー型・業務体験型・業務実践型・課題突破型に分けられます。
- セミナー型:会社説明会やセミナーが実施される
- 業務体験型:実際の業務に近い仕事を体験する
- 業務実践型:職場に通いながら実際の業務に従事する
- 課題突破型:グループワーク・グループディスカッションで、課題解決やプレゼンを行う
どのような内容のプログラムを実施するのかは、企業や職種により異なります。インターンシップに参加する目的を明確にした上で、自分に合ったプログラムを選ぶことが大切です。
インターンシップの種類
インターンシップの種類は、短期と長期に大きく分けられます。プログラムの内容や給料の有無など、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
短期インターンシップ
1日のみまたは1週間~1カ月程度の期間で実施されるのが、短期インターンシップです。開催期間が1日のみのインターンシップでは、会社説明会や社員との座談会、短時間のグループワークなどが実施されます。
開催期間が1週間~1カ月程度の場合、一般的なプログラムの内容はグループワークです。4~5人程度でグループを組み、企画立案・課題解決・プレゼンなどを行います。
短期インターンシップが開催される主な時期は、大学生が参加しやすい夏休みまたは冬休みです。無給になるケースがほとんどですが、取り組む内容が労働に該当する場合は短期でも給料が発生します。
長期インターンシップ
長期インターンシップの一般的な期間は、数カ月です。中には、数年にわたるケースもあります。実際に企業で働くことになるため、原則として給料をもらえます。
長期インターンシップを実施する企業側の目的は、学生に即戦力として入社してもらうことです。そのため、インターンシップが終わった頃には、即戦力として働けるスキルやマナーが身に付いています。
長期インターンシップを実施することが多い企業は、ベンチャー企業やスタートアップ企業です。企業規模が小さいほど、求められるスキルや労働時間は多くなりますが、成長のスピードも速くなります。
インターンシップに参加するメリット
インターンシップへの参加は強制ではありませんが、就活生にとってはメリットが大きい経験になります。インターンシップに参加するメリットを知り、参加するかどうか判断する際の参考にしましょう。
業界や職種をより深く知れる
インターンシップに参加するメリットの1つに、希望する業界や職種の理解を深められることが挙げられます。実際に職業体験をすることで、業界や職種に関する理想と現実のギャップを埋められるのです。
大学生は基本的に仕事の経験がないため、業界や職種に対して漠然としたイメージしか持てません。しかし、インターンシップに参加して職業体験を行えば、現場でしか分からない明確な情報を得られます。
複数の短期インターンシップに参加した上で、長期インターンシップに参加する業界や職種を絞り込むことも可能です。目指す方向が定まらない人も、インターンシップで就活の方向性を模索できます。
入社後のミスマッチを回避できる
職業体験を通して自分の得意・不得意を把握できることも、インターンシップに参加するメリットの1つです。自分に合う仕事が分かるため、入社してから後悔することを防げます。
希望する業界や職種がはっきりと決まっている場合、入社後のイメージをポジティブに抱きがちです。しかし、実際に企業で働いてみなければ分からないことも、数多くあります。
「自分が苦手とする作業が意外に多い」「社風が自分に合っていない」といったことに事前に気付ければ、入社後のミスマッチを回避できるのです。
逆に、仕事がやりやすかったり、社風が自分に合っていたりする場合は、安心してその企業に応募できるでしょう。
就活における強みになる
インターンシップの経験は、就活での大きな強みになります。例えば、応募企業に対して感じる魅力を志望動機で述べる場合、インターンシップに参加していれば説得力がより高まるのです。
また、インターンシップに参加したこと自体が、応募企業に対する熱意の表れになります。早い時期から積極的に就活を始めていることは、採用担当者に好印象を与えるでしょう。
インターンシップで体験したこと・学んだことを、応募書類や面接で積極的にアピールすれば、より説得力が増します。インターンシップに参加することで、就活を有利に進められるようになります。
インターンシップへ参加する流れ
インターンシップに参加したい場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか?参加前に確認しておきたいことも、併せて解説します。
インターンシップのタイプを絞り込む
インターンシップを探す前に、まずは自分のしたい仕事を明確化しておきましょう。徹底した自己分析を行い、何がしたいのかをはっきりさせておけば、有意義な活動になります。
業界や職種を絞り込めない場合は、期間・内容で選ぶのがおすすめです。無理なく参加できるスケジュールか、体験したいプログラムを提供しているかをチェックする必要があります。
なお、就活で応募する企業が決まっているなら、その企業が実施するインターンシップに参加しましょう。募集が終了している場合でも、同じ業界内のインターンシップに参加すれば、希望する業界や職種の理解を深めやすくなります。
自分に合ったインターンシップを探す
インターンシップのタイプを絞り込んだら、自分に合ったインターンシップを探しましょう。就活準備情報サイトを活用すれば、豊富な選択肢の中から選べます。
大学のキャリアセンターや、知人・卒業生に紹介してもらうのもおすすめです。さまざまな面でフォローしてもらえる可能性があるほか、ネットでは知り得ない情報を得られることもあります。
なお、希望のインターンシップに必ず参加できるとは限りません。選考が行われる場合は、エントリーシートや面接の内容が重視されることも覚えておきましょう。
参加前には服装やマナーをチェック
インターンシップの服装について特に指定がない場合は、スーツで参加するのが無難です。私服OKの場合も、派手なものを着ていくのは避けましょう。
インターンシップでは、入社後も一緒に働く人と接します。服装・髪形で第一印象が決まるため、「一緒に働きたい」と思われるような見た目を意識することが重要です。
また、インターンシップでは基本的なマナーを習得できているかどうかも見られます。特に、あいさつや言葉遣いは企業が気にする大きなポイントになるため、事前にチェックしておきましょう。
採用直結型インターンシップについて
いわゆる「採用直結型インターンシップ」が可能になったことで、インターンシップの取り扱いが2025年卒の就活から変わります。インターンシップにおける今後の動向について、見ていきましょう。
2025年卒の就活から政府公認となっている
かつてのインターンシップは、企業側にとって優秀な人材を探すための有効な場でした。しかし、このことが問題視されたためルールが定められ、表向きにはインターンシップで得た情報を採用活動に使えなくなったのです。
ただ、ルールが定まった後も、多くの企業がインターンシップを採用の参考にしていたことから、政府は一定の基準を満たした場合のみ「採用直結型インターンシップ」を認めるルールを定めました。2025年卒の就活から、政府公認となっています。
採用直結型インターンシップとして認められるための条件は、次の通りです。
- 就業体験:実施期間の過半数が就業体験に該当する
- 指導:企業の社員が学生を指導し、フィードバックを行う
- 実施期間:汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上
- 実施時期:卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中に実施する
- 情報開示:学生情報を活用することを募集要項に明示する
出典:若者の雇入れを検討している事業主の皆さまへ|厚生労働省
採用直結型インターンシップの種類
インターンシップをはじめとする、学生のキャリア形成支援に関わる取り組みは、以下の4つに分類されています。
- タイプ1.オープン・カンパニー
- タイプ2.キャリア教育
- タイプ3.汎用的能力・専門活用型インターンシップ
- タイプ4.高度専門型インターンシップ
このうち、汎用的能力・専門活用型と高度専門型がインターンシップと呼ばれ、採用直結型インターンシップの対象になります。「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」が目的であり、就業体験は必須です。
インターンシップへ積極的に参加しよう
インターンシップとは、就職前に企業で職業体験を行うことです。収入を得ることが目的のアルバイトと異なり、インターンシップの目的は仕事内容や仕事への適性を理解することにあります。
インターンシップに参加すれば、業界や職種への理解をより深められます。入社後のミスマッチを回避できることや、就活における強みになることもメリットです。
2025年卒の就活からは、採用直結型インターンシップが政府公認となっています。インターンシップへ積極的に参加し、就活を有利に進めましょう。