アイドルタイムとはどういう意味?デメリットや対策について解説

飲食店などで勤務すると、「アイドルタイム」という言葉を耳にします。客足が減る時間帯のことを指す言葉ですが、元々はどのような意味があるのでしょうか?アイドルタイムのデメリットや、有効活用するための対策についても解説します。

アイドルタイムとはどういう意味?

飲食店で働くスタッフ

(出典) pixta.jp

飲食業をはじめとするサービス業界でよく聞く「アイドルタイム」とは、元々どのような意味がある言葉なのでしょうか?由来や正しい意味について解説します。

仕事がない時間や働けない時間のこと

「アイドルタイム」の「アイドル」とは、英語の「idle」が由来となっている言葉で、「仕事がない」「遊んでいる」「動いていない」などの意味があります。

ビジネスシーンでは、仕事量が少なくて暇な時間や、働こうとしても働けない時間のことを、アイドルタイムと呼ぶのが一般的です。

主に、1日の業務時間内に繁閑や仕事量の差が発生しやすい、接客業・製造業などで使われることの多い言葉です。アイドルタイムの長さは、数秒から数時間までと幅があり、業界・業種によって時間帯も異なります。

アイドルタイムが発生しやすい業種

工場のライン

(出典) pixta.jp

アイドルタイムは、主に接客業・製造業などで発生しやすいといわれています。業種別のアイドルタイムの意味や、時間帯について見ていきましょう。

飲食業

飲食業では、モーニング・ランチ・ディナーなど客足が増えるピークタイムの合間の時間に、アイドルタイムが発生します。

店舗の立地によって多少の違いはあるものの、食事がメインのレストランなどでは15~17時あたり、カフェの場合は13~15時あたりになるのが一般的です。

居酒屋のようにアルコールの提供がメインの店では、夕方のオープンタイムから19時頃までと、同じ飲食業でも業態によって客足の少ない時間帯は異なります。

ピークタイムとオフタイムの差が出やすい飲食業においては、アイドルタイムの発生をなくすのは困難です。また、豪雨や雪など、天候条件が客足に影響を及ぼすこともあります。

製造業

製造業では、工場のラインの稼働が止まっている時間帯のことを指します。主に、段取り替えの間・材料や工具などを待つ時間・故障など突発的な事態が起こったときに、発生するのが一般的です。

ほかにも、製品の需要が少なくなる閑散期などで生産量を調節するため、計画的にアイドルタイムをつくるケースもあります。

製造業では、飲食業のようにアイドルタイムが企業の売り上げにどう影響するのか、見えにくいのが特徴です。

計画的な生産調整の場合は別として、いかにアイドルタイムを削減し、効率的に作業するかが生産性向上のための課題となります。

その他の接客業

ホテルやコンビニなど、飲食業以外の接客業でもアイドルタイムは発生します。

ホテルの場合、フロント業務と客室清掃業務とで忙しい時間帯は異なりますが、主に接客が中心となる「フロント業務の仕事量が減少する時間帯」を指すのが一般的です。

そのため、チェックアウトから次のチェックインまでの間や、最終チェックインから翌日のチェックアウトまでの深夜帯が、アイドルタイムに当たります。

コンビニでは、通勤・通学や昼食時などのピークタイムを除く時間帯のほか、外出している人が少ない深夜・早朝にも客足が減少しがちです。

アイドルタイムのデメリットは?

飲食店の厨房

(出典) pixta.jp

アイドルタイムには客足が減るため、飲食店にとっては売り上げを増やしにくいのがネックです。そのほか、どのようなデメリットがあるのか、具体例を3つ挙げて解説します。

アイドルタイム中もコストが発生する

客足が減り、売り上げが見込めない時間帯でも、店舗を営業していればコストは発生します。飲食店の営業には、人件費・光熱費・食材費などの変動費のほか、家賃・設備のリース代といった固定費もかかるのが一般的です。

スタッフのシフトや、仕入れる食材の量の調節などで変動費を抑えることは可能でも、固定費は必ず発生してしまいます。

1日の売り上げを時間単位で見たときに、発生するコストが利益を上回ってしまいがちなアイドルタイムは、赤字になりやすい時間帯ともいえるでしょう。

スタッフのモチベーションが低下する

ピークタイムが過ぎて仕事の量が減ると、スタッフは手持ち無沙汰になってしまいます。中には、仕事への緊張感がなくなったり、ただ時間が過ぎるのを待つことを苦痛に感じたりする人もいるでしょう。

休憩に入ってもらうケースもありますが、休憩時間は時給が発生しないため、拘束されているのに給与が出ないことで、仕事のモチベーションが下がる可能性もあります。

また、人件費削減のためにスタッフのシフトを減らすと、稼ぎたいのに働けない人は辞めてしまうかもしれません。

サービスの質が下がる可能性がある

接客サービスの質が落ちる可能性もあるでしょう。アイドルタイムにスタッフの人員を減らしてしまい、予想以上の客足があったときに対応しきれなくなることもあるためです。

また、清掃など他の作業をしていた場合は、接客に集中できず客への対応がおざなりになってしまう恐れもあります。スタッフの態度に、ピークタイムのような緊張感がなくなると、店そのものの印象が悪くなってしまうかもしれません。

アイドルタイムを有効活用するには

飲食店のスタッフ

(出典) pixta.jp

接客業などにとっては、客足が減少する時間帯をいかに効率良く活用するかが課題です。有効活用する方法の例を、3つ紹介します。

ピークタイムの準備をする

次のピークタイムに備えて、料理の仕込みなどをする時間として活用するのがおすすめです。仕事に余裕がある時間帯にある程度準備しておくことで、料理の提供がスムーズになり、ピークタイムに効率良く稼働できます。

その日の天候や1回目のピークタイムの売れ行き状況などから、必要となりそうな食材を準備するなど、臨機応変な対処も可能です。

ほかにも、ピークタイムには手が回らない店内の清掃などにも活用できます。特に、トイレなどの水回りを衛生的に保つためにも、アイドルタイムを使って汚れをきれいに落としておくことが大切です。

新人スタッフを教育する

新人スタッフに、仕事を覚えてもらう時間としても活用できます。店舗の印象は、接客サービスの質によるところも大きいため、スタッフへの教育は重要です。

新人スタッフにとっても、しっかり教えてもらえないうちから、いきなり仕事を任されるとなれば不安を感じてしまいます。慣れるまでは、指導できるスタッフも含め、あえてアイドルタイムにシフトを入れて仕事を覚えてもらいましょう。

ホールを担当しているスタッフにキッチンの仕事を教えるなど、異なる業務を経験させるのもよい方法です。自分の担当以外の仕事についても知ることで、店舗のサービス全体への理解が深まります。

集客につながる工夫をする

なるべくアイドルタイムをつくらないよう、集客につながる工夫をして、利益につなげる方法もあります。ピークタイム以外にも集客できれば、効率的に稼げるでしょう。

例えば、主婦層が多い地域にあるカフェであれば限定メニューを提供したり、居酒屋ならアイドルタイムにアルコール飲料の価格を割り引いたりする方法があります。ポイントは、客足が減る時間帯のみに利用できるサービスを考えることです。

また、昼はカフェ・夜は居酒屋など、1つの店舗の営業形態を時間帯によって変える方法もあります。提供するメニューや店内の照明などを変えてみるだけでも、店舗の印象は変わるため、異なる客層を獲得するのに効果的といえるでしょう。

アイドルタイムの意味を知っておこう

飲食店の女性スタッフ

(出典) pixta.jp

アイドルタイムとは、1日の営業時間のうち、仕事量が少なく働こうとしても働けない時間のことを指します。接客業で働きたい人は、アイドルタイムの意味や活用方法について理解しておくのがおすすめです。

求人数が豊富な「スタンバイ」には、接客業の求人も多く掲載されています。スマホからでも全国の求人を検索できるので、スキマ時間を活用した仕事探しも可能です。気になる人は、ぜひチェックしてみましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイトなら