家庭の事情とはどういう意味?正しい使い方や注意点について解説

「家庭の事情」とは、どのようなことを指すのでしょうか?ビジネスシーンでも使われる言葉なので、正しい意味を知っておくことが大切です。具体的な使い方や、注意点について解説します。退職理由として伝える方法も紹介するので、参考にしましょう。

「家庭の事情」とは?

お辞儀する女性

(出典) pixta.jp

「家庭の事情」とは、主に退職や会社を休むときの理由として使われる言葉です。間違った使い方をしないために、正しい意味や該当する「事情」について知っておきましょう。

プライベートな事情のこと

「家庭」とは、親子・夫婦などの関係にある人が、共に生活している環境を意味する言葉です。つまり、家族・親子・夫婦など、家庭内におけるプライベートな事情を指す言葉で、具体的に以下のような例が該当します。

  • 家族や親族の結婚
  • 家族の病気
  • 家族の介護
  • 子どもの進学
  • 配偶者やパートナーの転勤

ビジネスシーンでは、これらの出来事が仕事に何らかの影響を及ぼす場合、具体的な理由を伝える代わりに使います。

【例文】

家庭の事情により、明日の午後から半休を取らせていただきます。

急なことで恐縮ですが、本日の会議は家庭の事情で欠席せざるを得なくなりました。

家庭の事情と似た言葉

家庭の事情と同じように、プライベートな事情を指す言葉はほかにもあります。それぞれに微妙な意味合いの違いがあるので、ビジネスシーンで使う場合は、その場に応じた言葉を選ぶことがポイントです。

  • 私事:自分の身に起こったこと、という意味の言葉。家庭に限定しない個人的な事情の場合に使う
  • 家庭の都合:家庭の事情とほぼ同じ意味。「事情」に比べて、やや深刻さを感じさせないため、誘いを断るときなどに使いやすい
  • 家事都合:家族や親族などに入院や介護など何らかの事情ある場合に用いる
  • 一身上の都合:自分の身の上に関する個人的な都合全般を指す。家庭の事情も、一身上の都合に含まれる。退職や内定辞退などの理由として使われることが多い
  • 自己都合:個人的な問題や身の上に関する事情。退職などの際に、会社側ではなく本人側の理由にするときに使われる

家庭の事情で退職はあり?

退職届

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家庭内の状況の変化によって、退職を余儀なくされる人も少なくありません。そのような状況になった場合は、退職の理由をどう伝えればよいのでしょうか?スムーズに会社を辞める方法も含めて、ポイントを3つ紹介します。

基本的に細かい理由は伝えなくてよい

出産・育児や家族の病気・介護など、個人的な事情を退職の理由にしても何ら問題はありません。プライベートな事情による退職では、基本的に細かい理由を伝える必要はないため、単に「家庭の事情により」とするだけでもOKです。

会社側からすれば、プライベートの問題には深く踏み込みにくいものなので、引き留められる可能性は低いでしょう。もし、事情について具体的に聞かれたら、言える範囲で退職がやむを得ないことを伝えるだけでも十分です。

具体的な理由を伝える方がよい場合もある

状況によっては、退職の理由を具体的に伝える方がよい場合もあります。会社側から、退職しなくてもよい方法を提案してもらえることもあるためです。

例えば、パートナーの転勤によって引っ越しせざるを得なくなった場合は、テレワークに切り替えてもらえるかもしれません。

育児や介護などによってフルタイムでの勤務が難しくなったときも、「時短勤務や休職扱いにしてはどうか」といった提案をしてもらえる可能性もあります。

人間関係や待遇面などへの不満がなく、勤務の継続を希望する場合は、理由を伝えて相談してみるのもよい方法です。

角を立てず退職したいときに使うこともある

職場に不満はあるものの、できるだけ円満に退職したいときは、あえて本当の理由を伝えない方がよい場合もあります。本当の理由を伝えてしまうと、引き留められる可能性もあるためです。

例えば、仕事内容や人間関係に不満があった場合、部署の異動などを提案されるかもしれません。異動によって解決する問題であれば、本当の理由を伝えるのも効果的です。

しかし、既に転職先が決まっている場合や、退職するまでの期間の人間関係が気まずくなるのを避けたいときは、家庭の事情を理由にした方が無難でしょう。

家庭の事情で退職するときの伝え方

上司に報告する

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退職する場合の伝え方についても知っておきましょう。理由を具体的に伝える方法や、詳しく言いたくない場合の例を紹介します。

結婚や出産

結婚や出産を理由に退職するときは、生活の変化によって勤務を続けるのが難しくなることや、家庭・育児に専念したいという意思を伝えると、引き留められにくくなります。

【例文】

実は、〇月に出産の予定です。結婚後、仕事と家庭を両立させてきましたが、出産後は育児に専念したいと考えています。

育児休暇の取得も考えてみましたが、夫とも話し合った結果、一度家庭に入ることを決めました。今まで大変お世話になりましたが、〇月〇日で退職させていただければと思います。

パートナーの転勤による引っ越し

パートナーの転勤に伴って引っ越しが必要になった場合は、差し障りのない範囲で転居先の地域まで伝えることがポイントです。

テレワークを提案された場合、退職の意思が固まっていれば、「地元の企業で仕事を探したい」などの理由を伝えるとよいでしょう。

【例文】

このたび、夫が〇〇県に転勤することになったため、〇月〇日をもって退職させていただきたいと思っています。単身赴任してもらう選択も考えたのですが、まだ子どもも小さいため、夫婦で話し合った結果、家族で引っ越すことに決めました。

親の病気や介護

親の病気が理由の場合、具体的な病名や詳しい病状を伝えなくても問題ありません。介護が理由で退職するときも、詳しい状況を話す必要はないものの、仕事との両立が難しいと分かる程度の背景を伝えた方が、納得してくれやすいでしょう。

【例文】

親の介護をすることになったため、退職させていただきたいと考えています。入院していた母が退院し、日常生活での介助が必要な状態になりました。高齢の父のみに任せるのは難しく、家族とも話し合って私がサポートすることに決めました。

詳しい理由を言いたくない場合

会社への不満や転職による退職で、詳しい理由を言いたくない場合は、うそをつくより「家庭の事情」とする方が無難です。詳しい理由を聞かれたら、伝えられないことを丁寧に説明しましょう。

【例文】

突然の申し出で恐縮ですが、家庭の事情により〇月〇日で退職させていただきたいと思います。家庭内のことですので詳しい事情は控えさせていただきますが、仕事を続けるのが難しくなりました。

勝手な話で大変申し訳ありません。どうか、ご理解賜りますようお願いいたします。

家庭の事情で休むときはどうする?

通話する

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「家庭の事情」は、会社を休むときの理由にも使われます。伝え方のポイントを確認しておきましょう。

大まかな範囲で理由を伝える

家庭の事情で会社を休むときは、言える範囲で大まかな状況を伝えることがポイントです。

上司や同僚に納得してもらいやすくなるというのも理由の1つですが、具体的に伝えないことで「何か重大な問題が起きたのではないか」と、心配されるのを防ぐためもあります。

ただし、子どもの病気や通院などの場合は、詳しい病状まで伝える必要はありません。前日までに休むことが分かっているときも、どのような予定が入っているのか、プライバシーに関わらない範囲で理由を伝えた方が、理解を得やすくなるでしょう。

引き継ぎ事項や緊急連絡先を伝える

休み中の引き継ぎ事項や、何かあったときの緊急連絡先も伝えておくことが必要です。急きょ休むことになったときは、電話だけでなくメールでも伝えておくと、連絡ミスなどを防げます。

電話に出られない時間帯があるときは、メールやチャットの連絡先も伝えておきましょう。休みの予定が決まっているときは、引き継ぎを依頼する相手の負担を減らすために、なるべく前日までに仕事の区切りを付けておくことも大切です。

また、引き継ぎ事項がないときも、その旨を伝えておく必要があります。

「家庭の事情」を使う場合の注意点

注意のイメージ

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「家庭の事情」を、退職や休みの理由に使う場合の注意点についても、知っておきましょう。主なポイントを2つ紹介します。

不必要なうそはつかない

具体的な理由を聞かれたときに、不必要なうそをつくのはやめましょう。円満に退職するための建前として「家庭の事情」を理由に使う場合は、特にリスクが高くなります。

例えば、転職のために退職するのに「親の介護が必要になった」などとうそをつくのはNGです。万が一、転職していることがバレた場合、社会人としての信用を失ってしまいます。

また、理由に対して深く掘り下げて聞かれた場合、取り繕うためのうそを重ねなければなりません。つじつまが合わなくなれば、うそだと見抜かれてしまう可能性もあります。

うそをつかず、「プライベートのことなので詳しく言えない」と曖昧に濁しておきましょう。

一人暮らしの単身者は使い方に注意

一人暮らしの単身者は、「家庭の事情」の使い方に注意しましょう。「家庭」とは、親子・夫婦などの家族が同じ世帯で生活している環境のことを指すため、一人暮らしには該当しません。

個人的な事情で退職したり会社を休んだりする場合は、「一身上の都合により」や「私事のため」などの言葉を使うのが一般的です。

ただし、一人暮らしの単身者でも、実家の親に何かしらの事情があった場合は「家庭の事情により」という理由を使います。

「家庭の事情」の意味を知って正しく使おう

お辞儀をする女性

(出典) pixta.jp

「家庭の事情」とは、一緒に生活をしている親子・夫婦などの家族に関連する、プライベートな事情を指します。ビジネスシーンでは、結婚・出産・育児・病気・介護・子どもの進学など、退職や会社を休む際の個人的な理由として使われる言葉です。

また、円満に退職するために、建前として「家庭の事情」を理由にした方がよい場合もあります。ただし、一人暮らしの場合は、個人的な事情でも「家庭の事情」とはいいません。「一身上の都合」「私事のため」など、別の言葉を使います。

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