介護休暇中に給与は支給される?お金をもらえるケースや金額を紹介

家族の介護のために介護休暇を取得しようと考えている場合、給与が支給されるのかどうかは気になる点です。給与が支給されるケースや、給与以外でお金をもらえるケースを紹介します。給付金の支給条件や、金額も把握しましょう。

介護休暇中に給与はもらえる?

介護休暇申請

(出典) pixta.jp

介護休暇中に、会社から給与は支払われるのでしょうか?基本的なルールと、給付金制度を利用できるケースを紹介します。

給与の支払いは会社の規定による

「介護休暇」は、1日または時間単位で取得できる介護のための休暇です。家族の中に、条件を満たす対象者がいる場合に取得できます。

介護休暇期間中の給与の支払いは、法律により会社に義務付けられているわけではありません。会社ごとの規定によって異なるため、勤務先で介護休暇の取得に関するルールを確認しましょう。

会社の規定において給与が出るとされている場合は、規定に従った金額が支払われます。給与支払いの対象にならないという規定の場合は、無給です。

取得できる日数は、対象者が1人の場合には年5日まで、2人以上の場合は年10日までとなっています。年に数日間の休暇とはいえ、短期間の介護には役立つでしょう。

出典:介護休業制度|厚生労働省

介護休業なら給付金制度を利用可能

「介護休業」も、介護のための休暇の1つに挙げられます。介護休業は、対象者1人につき3回まで、通算93日まで取得できる休業制度です。

介護休業を申請し、一定の要件を満たしていると認められた被保険者は、給付金制度の対象となります。

給与とは異なり「給付金」のため、会社から支払われるものではありません。介護が必要と認められる状況であれば、制度の利用を検討するのもよいでしょう。

出典:介護休業について|介護休業制度|厚生労働省

介護休業給付金の支給条件と申請方法

給与

(出典) pixta.jp

介護休業給付金は、どのようなケースで支給されるのでしょうか?支給条件と申請方法を解説します。条件を満たしている場合は、申請が可能です。

出典:Q&A~介護休業給付~|厚生労働省

条件を満たす家族のための介護である

介護休業は、定められた条件を満たす家族の介護をするためのものです。給付金をもらうには、対象者が「常時介護を必要とする状態」であり、2週間以上要介護状態が続いていることが条件です。

また、「家族」の定義も細かく定められています。同居をしている必要はありませんが、配偶者(婚姻関係と同等と認められるケースを含む)・親(義父母・養父母含む)・子(養子も含む)・兄弟姉妹・祖父母・孫に限定されています。

「要介護2以上」もしくは特定の条件を満たす場合は、介護休暇・介護休業の申請が可能です。家族の状態が要介護と判断されるかどうかという点を、まずは確認しましょう。

出典:常時介護を必要とする状態に関する判断基準

被保険者期間の条件を満たしている

介護休業給付金を申請するには、被保険者期間の条件を満たしていなければなりません。雇用保険に加入し、介護休業を開始した日の前2年間に被保険者期間が12カ月以上あれば、対象となります。

なお、1カ月当たり11日以上勤務していることも条件の1つです。本人の疾病など、例外的な問題がなければ、勤務状況も重要といえるでしょう。

有期雇用では、介護休業開始予定日から起算して、93日目から6カ月を経過する日までに労働契約が満了する場合は、対象外です。

ただし、事前に更新が終了すると明確に伝えられていない場合は、更新の見込みがあると判断されます。

事業主を通してハローワークに申請する

介護休業給付金は、事業主を通してハローワークに申請します。給付金をもらいながら介護休業を取得したい場合は、まず勤務先に相談しましょう。

勤務先が状況を聞き取り、介護のための休業として認められる場合は手続きが可能です。申請自体は会社が行ってくれるため、必要な書類の記入や提出を進めましょう。

状況によっては、対象者が要介護状態であることを証明するために、医師の診断書などを求められるケースもあります。会社に確認し、必要書類をそろえておきましょう。

出典:よくあるお問い合わせ(事業主の方へ) |厚生労働省

介護休業給付金制度でもらえる金額

お札と電卓

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給付金の制度を利用すると、どのくらいのお金がもらえるのでしょうか?計算方法や、支給されないケースについて解説します。もらえる金額を把握し、介護中の生活や復帰のスケジュールを立てておきましょう。

出典:Q&A~介護休業給付~|厚生労働省

休業開始時賃金の約67%が支給される

介護休業給付金の対象となる給与は、「休業開始時賃金」です。原則的に、休業開始前6カ月間の総支給額(賞与を除く)を180で割ったものが「休業開始時賃金日額」となります。

【休業開始時賃金日額の計算式】

  • 休業開始前6カ月間の総支給額(賞与を除く)÷180=休業開始時賃金日額

休業開始時賃金日額に支給日数を掛け、算出された金額に67%を掛けると、支給額の計算が可能です。

【支給額の計算式】

  • 休業開始時賃金日額×支給日数×67%=支給額

例えば、1日当たりの休業開始時賃金が6,000円の場合、月の支給額は以下の通りになります。

  • 6,000円×30日間×67%=12万600円

給与をもらうよりも少なくはなるものの、介護中にも一定の金額を受け取れるのであれば、休みも取りやすくなるでしょう。

支給されない期間やケース

介護休業給付金は、介護休業中に給与が支払われない人に対し、支給されるのが原則です。会社から給与が支払われる場合は、対象にはなりません。

基本的なルールとして、「給与の80%以上が会社から支払われている場合は、給付金はもらえない」と考えましょう。さらに、80%未満であっても、金額に応じて給付金が減額されるケースがあります。

また、「1回の支給単位期間において就労日数が10日以下でない」場合も、支給の対象にはなりません。何らかの事情で就労しなければならない場合でも、日数には注意しましょう。

そのほかに、「介護休業を取得する時点で退職を決めている」場合も、支給の対象外です。介護休業は、職場への復帰を前提とした制度のため、退職予定である場合はもらえないと覚えておきましょう。

介護をしながら給与をもらう方法は?

手を取る介護士

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介護休暇が無給であっても、介護をしながら給与をもらう方法はいくつかあります。収入を減らしたくない場合は、給与をもらいながら働く方法や、介護休業給付金の申請を検討しましょう。

有給休暇を利用して休む

有給休暇の取得に際して理由は問われないため、介護が必要なときにも使えます。家族の状態が要介護と認められにくい場合や、介護休暇中に賃金の支給がない場合には検討しましょう。

ただし有給休暇は、企業による「時季変更権」が認められています。多くの場合において労働者の都合が優先されますが、業務に明らかな支障が出るケースでは注意が必要です。

また一般的に、有給休暇は事前に申請をして取得するものです。当日に申し出たとしても手続きが後日になり、事後申請となる可能性があります。事後申請を受け付けているかどうかは、それぞれの会社の規定によるため、あらかじめ確認しておきましょう。

介護サービスを利用する

介護サービスを利用すれば、仕事を休まずに済む可能性があります。要介護状態であると認められているなら、介護保険を利用してサービスを受ける選択肢も検討しましょう。

デイサービスや訪問介護など、働いている間に利用できるサービスは複数あります。サービスを利用するのにお金はかかりますが、介護保険の対象であれば金額を抑えられるでしょう。

どうしても休めないときや、働いた方が経済的な余裕が大きい場合には、サービスの利用が向いているかもしれません。

介護休暇に関するQ&A

Q&A

(出典) pixta.jp

介護休暇・介護休業の取得前に確認しておきたい疑問を、Q&A方式で解説します。給付金が支給される時期や、休み方を選ぶポイントを確認しましょう。

介護休業給付金を申請するといつもらえる?

介護休業給付金の申請は、「1回の介護休業期間が終了した後」に行います。給付金の申請手続きが終われば、1週間程度で振り込まれますが、休業中には手元に入りません。

介護休業は、中長期で利用可能な制度のため、長期間にわたって休む可能性も考えられます。しかし、休業中には給付金が入ってこないため、生活や介護に必要なお金を事前に準備しておかなければなりません。

取得前に、どのようなスケジュールで休み、いつの時点で給付金を申請するかという点を考えておいた方がよいでしょう。有給休暇が残っているようであれば、併せて取得を検討すると、給与や給付金が入ってこない期間を最小限に抑えられます。

介護休暇と介護休業どちらを利用すればよい?

介護のために休む方法は複数あり、選択肢は豊富です。基本的には、取得したい日数や家族の状況、給付金が必要かどうかという点を考えて決めなければなりません。

例えば、会社から給与が67%以上支払われるのであれば、介護休暇を利用する方が有利です。有給休暇を振り替えできる場合も、給付金より金額が高くなるでしょう。

長期間休みたい場合や、給付金が必要なときは、介護休業を選択します。介護休暇は、対象者1人につき年5日しか取得できないため、長期の休みが必要な場合には不向きです。まずは会社の制度と、自分が置かれた状況を把握しましょう。

介護休暇を活用して仕事と両立を目指そう

介護休暇とスケジュール

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介護休暇に対して、給与の支払い義務はありません。支払われるか否かは、会社の規定によって異なるでしょう。介護休業を選ぶと、給付金の支給対象となる可能性があります。

会社の福利厚生や、国の制度を積極的に活用するのもおすすめです。介護が長引く場合や、両立を実現したいときには、働くスタイルを変える必要も出てくるかもしれません。

もし、介護をしながら働ける会社を探したいときは、「スタンバイ」を活用してみましょう。さまざまな条件を設定して検索できるため、自分の状況に適した仕事を見つける上で役立ちます。

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