非言語コミュニケーションとは?効果や種類、活用方法について解説

「非言語コミュニケーション」とは、コミュニケーションの際に用いられる手法の1つです。ビジネスシーンで活用されることも多く、身に付けておくとさまざまな場面で役立つでしょう。効果や種類のほか、具体的な活用方法について解説します。

非言語コミュニケーションとは?

オフィスで談笑する女性社員

(出典) pixta.jp

コミュニケーションには、言葉で伝える言語コミュニケーションと、言葉以外で伝える非言語コミュニケーションの2種類があります。

ビジネスシーンで適切に活用するために、まずは非言語コミュニケーションがどのようなものなのか、知っておきましょう。

言語以外で伝えるコミュニケーション

非言語コミュニケーションとは、言語を用いずに、動作・表情・声のトーンなどを通じて情報を伝えるコミュニケーション方法のことです。心理学者のアルバート・メラビアンも、「3Vの法則」によって非言語コミュニケーションの重要性を説いています。

3Vの法則とは、言語(Verbal)・聴覚(Vocal)・視覚(Visual)の3つの情報のうち、聴覚・視覚による情報が、言語情報より相手に与える影響が大きいことを提唱するものです。

例えば、同じ言葉でも表情や声のトーンによって、印象が大きく異なるという経験をしたことのある人は多いでしょう。非言語コミュニケーションは、情報を伝える方法として、言語以上の役割を果たすものとして重要視されています。

非言語コミュニケーションの目的や効果

対面で打ち合わせする男性

(出典) pixta.jp

非言語コミュニケーションを用いる目的や、具体的な効果についても確認しておきましょう。代表的なポイントを3つ挙げて解説します。

相手に情報を伝えやすい

まず、相手に情報を伝えやすいという効果が挙げられます。具体的には、笑顔で話すと相手に対する好意的な感情が伝わりやすい、大事なことを伝えるには大きくゆっくりした口調が効果的などが、その例です。

メールなどの文章による伝達では、意図を誤解されてしまうケースや、微妙なニュアンスが伝わりにくいことなども少なくありません。身ぶりや表情などを組み合わせることで、言葉だけでは伝わりにくい情報を補完し、自分の意図をより明確に伝達できます。

また、言葉だけを用いるより情報を迅速に伝達できるため、効率的なコミュニケーションも可能になるでしょう。

信頼関係を築きやすい

非言語コミュニケーションをうまく使うことで、相手に安心感を与え、信頼関係を築きやすくなります。例えば、上司と部下の信頼関係の構築にも効果的です。

部下に対して、親しみやすい表情やオープンな姿勢で接することで、部下から上司に対する親近感が生まれ、より良い関係性を築けるでしょう。

初対面の人と接する際も、相手の目をしっかり見たり、話を聞きながら適度にうなずいたりすることで、好感を持ってもらいやすくなります。

感情や状況を理解しやすい

非言語コミュニケーションは、相手の感情や状況を理解するのにも役立ちます。誰しも、本当は何か問題を抱えているのに、言葉では「大丈夫です」と言ってしまうことはあるでしょう。

しかし、表情や声のトーンなどに、いつもと異なる雰囲気があることを察知できれば、その人に起こった変化に気付ける可能性があります。

例えば、いつも笑顔の人があまり笑わないときは、私生活や仕事において心配事・問題を抱えているとも考えられます。相手の感情や状況を理解できれば、改善するための適切なサポートも可能になるでしょう。

非言語コミュニケーションの種類【身体編】

スーツのボタンを締める

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身ぶりや声のトーンなど「身体」に関する非言語コミュニケーションには、主に4つの種類があります。それぞれの種類について、具体的に見ていきましょう。

身体的特徴

髪形・身だしなみ・体形などの身体的特徴も非言語コミュニケーションの1つです。例えば、清潔感のある身なりをしていると、相手に好感を持たれやすくなります。

一方、髪形・身だしなみが乱れていると、だらしないというマイナスの印象を与えてしまう可能性があるでしょう。太っている・痩せているなどの体形によっても、相手に与える印象は変わります。

身体的特徴による非言語コミュニケーションは、相手に特定の意図を伝えるというより、その人自身の印象に関して感覚的な影響をもたらすものといえるでしょう。

ジェスチャーや動作

アイコンタクト・表情・目の動き・姿勢などのジェスチャーや動作は、最もポピュラーな非言語コミュニケーションの種類です。例えば、適度にアイコンタクトすることで、相手に対する関心や誠実さを示せます。

一方、腕組みをしたり背中を丸めたりする姿勢は、威圧感を与えたり消極的な印象を持たれたりする可能性のある動作です。

国籍・文化などで言語が異なりコミュニケーションが難しいときも、身ぶり手ぶりを使えば相手に意思を伝達しやすくなるでしょう。

接触行動

接触行動とは、相手の体に直接触れることによるコミュニケーション方法です。「スキンシップ」とも呼ばれるもので、相手に対する親密さや信頼関係を示す効果があります。例えば、肩をたたいたり握手をしたりすることで、友好的な関係性を表現できます。

ただ、接触行動は文化・習慣による影響が大きく、ハグや握手などが日常的になっている欧米人に比べて、日本人には定着しにくい傾向です。

また、近年は体に触れるとハラスメントになる可能性もあるため、用いる際には相手との関係性や状況などに注意することが必要です。

近言語(パラ言語)

近言語は「パラ言語」とも呼ばれ、相づち・声のトーン・イントネーション・話す速度などによるコミュニケーションの種類です。同じ言葉を用いても、伝え方によって相手に与える印象は大きく変わります。

例えば、肯定的な言葉でも、冷たい口調で話せば否定的なメッセージとして伝わるでしょう。大きな声ではっきり話す方が、小さくぼそぼそとつぶやくより、明るくポジティブな印象を与えます。

近言語は、言語コミュニケーションにおいて言葉の意味を補完したり、感情をより伝えやすくしたりする効果があります。

非言語コミュニケーションの種類【その他】

会話をする上司と部下

(出典) pixta.jp

非言語コミュニケーションには、ほかにもさまざまな種類があります。代表的な3つの種類について、見ていきましょう。

【プロクセミクス】距離が伝える無言のメッセージ

プロクセミクスは、対人距離によって生じる非言語コミュニケーションを指します。対人距離は、相手との親密さ・関係性を表すものという考え方です。

親しい間柄ほど距離が近くなる傾向にあるため、相手との関係性やシチュエーションによっては、不快感・威圧感を与えることになります。

適切な距離感は文化によっても異なり、日本ではよほど親しい関係でなければ、対人距離を大きく縮めることはありません。プロクセミクスを用いるときは、相手との関係性や文化的背景を考慮した上で、適切な距離を保つことが大切です。

【人工物の使用】身に着けるもので自分を表現

人工物の使用とは、服装やアクセサリーなどを通じて、自分を表現する非言語コミュニケーションです。身に着けるものには、その人の個性やステータス、価値観などが反映されます。

例えば、TPOに合った服装をすることもその例です。面接にTシャツやジーパン、派手な髪色で行けば、常識のない人という印象を与えてしまう可能性もあるでしょう。

また、賞状やトロフィーなど、身に着けるもの以外のアイテムを使って表現することもあります。名刺を渡して自分の立場を伝えるのも、人工物の使用によるコミュニケーションといえるでしょう。

【環境】場の雰囲気が与える影響

環境も、コミュニケーションに影響を与える非言語的な要素の1つです。インテリア・照明・音楽などによって、場の雰囲気がガラリと変わるといった経験は誰にでもあることでしょう。

例えば、柔らかな照明や静かな音楽は、リラックスした雰囲気をつくります。逆に、明るすぎる照明や騒々しい環境は、緊張感を高める可能性があるでしょう。

オンライン会議における「背景」も、環境による非言語コミュニケーションといえます。背景によって相手に与える印象が変わるため、会議の内容や雰囲気に合ったものを選ぶことが大切です。

非言語コミュニケーションの活用方法

面談

(出典) pixta.jp

非言語コミュニケーションは、ビジネスのさまざまな場面で活用できる手法です。代表的な活用方法を、3つ挙げて解説します。

部下との1on1・面談

部下との1on1・面談では、部下が安心して本音を話せる雰囲気をつくることが重要です。そのためには、部下の話に耳を傾け、適切なタイミングでうなずいたり相づちを打ったりする、傾聴の姿勢が求められます。

部下がリラックスできるような場所を選んだり、ゆっくりとした口調で話したりなどの工夫も大切です。相手に威圧感を与えないよう、適度な距離感も保ちましょう。会話中は部下の表情やしぐさなどから、本心を察知することも必要です。

商談・プレゼン

商談・プレゼンでは、身ぶり手ぶりを交えながら話すことで相手の注意を引き、情報を伝えやすくなります。ただし、大げさすぎる動作は威圧感を与える可能性があるため、適度な表現にとどめておくことが大切です。

重要なポイントで声のトーンを変えたり、ゆっくり話したりすることで、話の内容に説得力が生まれて印象に残りやすくなるでしょう。

話をする際の姿勢や目線により、相手への敬意・関心を示すことも重要です。また、相手の反応を見ながら、言葉には出さないニーズを読み取る必要もあります。

入社面接

入社面接では、応募者が本来持っている力を発揮できる環境を整えることが重要です。面接官が厳しそうな表情をしていると、応募者は緊張してしまいます。

リラックスした状態で面接を受けられるよう、柔らかな表情や穏やかな口調を心掛けましょう。応募者が話をしているときには、しっかり顔を見ながらタイミングよくうなずくなどして、話を聞いていると伝えることも大切です。

非言語コミュニケーションは、応募者の資質・適性の評価にも役立ちます。身だしなみに清潔感があるか、明るくハキハキ答えているかなどを見ることで、会社が求める人材とマッチしているか判断できるでしょう。

非言語コミュニケーションのポイント

女性社員

(出典) pixta.jp

非言語コミュニケーションを活用する際の、ポイントについても知っておきましょう。主なポイントを3つ紹介します。

相手の言動や動作をまねする

親近感を持ってもらうためには、相手の言動や動作をまねする「ミラーリング」が効果的です。人は、自分と同じような動作をする相手に対し、無意識のうちに親密さを感じるといわれています。

例えば、会話をしながら同じタイミングでうなずいたり、似たような姿勢を取ったりすることで、相手との心理的な距離感を縮める効果が期待できるでしょう。

ただし、あからさまにまねをすると不自然になってしまうため、さりげなく取り入れることが大切です。

話す速度や声のトーンを意識する

話す速度や声のトーンを意識することで、相手に与える印象をコントロールできます。自分のペースだけでなく、相手のペースに合わせて話すように心掛けることが重要です。

例えば、相手が楽しそうに話している場合は、同じように明るく応じることで話しやすい雰囲気になり、円滑なコミュニケーションにつながります。

特に、電話のように声のトーン・口調だけで相手の意図をくみ取る必要があるシーンでは、ゆっくり落ち着いて話すことを心掛けましょう。

相手の話にしっかり反応する

適度に反応しながら、相手の話を聞くことが大切です。無反応でいると、相手は不安になったり、途中で話をやめてしまったりする可能性があるでしょう。

適宜うなずきながら聞けば、話にしっかり耳を傾けていることが伝わり、相手に安心感を与えられます。相手の話に興味を持っていることを示すには、質問を投げかけてみるのも効果的です。

相手の感情を理解し、共感していることも伝えられれば、より深いコミュニケーションが可能になるでしょう。

非言語コミュニケーションを活用しよう

オフィスで談笑する社員

(出典) pixta.jp

非言語コミュニケーションは、言語による伝達を補完し、より豊かで円滑なコミュニケーションを可能にするための手法です。

自分の意図を明確に伝えられるだけでなく、相手のしぐさや表情から、言葉だけでは読み取れない本心にも気付けます。適切に活用するポイントを理解し、良好な人間関係を構築しましょう。

非言語コミュニケーションは、ビジネスシーンでも活用されており、スキルとして求められる職種も多くあります。気になる人は、求人検索エンジン「スタンバイ」をチェックしてみましょう。

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