テレワークはワークライフバランスの実現に有効?影響や効果を解説

仕事だけでなくプライベートも充実させるため、テレワークに興味を持つ人もいるでしょう。育児や介護で仕事に復帰できない、キャリアアップに時間を充てたいなどの希望を持つ人に向けて、テレワークの利用によるワークライフバランスの取り方を解説します。

この記事のポイント

ワークライフバランスの定義
仕事と生活の調和を意味します。ワークライフバランスが実現した社会とは、やりがいを感じながら仕事に打ち込める社会、また人生の段階に応じて多様な生き方を選択できる社会のことです。
ワークライフバランスの効果
1日の時間を有効に使えるため、キャリアアップの機会や家族との時間が増えます。また、生き方や働き方の選択肢が多様化します。
テレワーク勤務での注意点
上司や同僚の目が届かないため、長時間労働や負荷の偏りを生じる可能性があります。自己管理ができないと効率が悪化します。

テレワークはワークライフバランスに影響を与える

テレワークをする女性

(出典) pixta.jp

働く場所を選択できるテレワークは、ワークライフバランスを実現する上で有益です。しかし、全ての企業が導入しているわけではありません。

理想のバランスをかなえるために、まずは制度を理解しておくと効果的です。ここでは、基本的な定義を確認しましょう。

ワークライフバランスとは

内閣府の男女共同参画局によれば、ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和」です。この調和が実現した社会では、仕事にやりがいや充実を感じながら責任を果たせます。

また、子育て期や中高年期など、人生の段階に応じて多様な生き方を選択できると定義されています。具体的には、以下の3点が満たされている社会です。

  • 就労による経済的自立が可能
  • 健康で豊かな生活のための時間が確保できる
  • 多様な働き方、生き方が選択できる

ワークライフバランスが実現すると、性別や年齢にとらわれず、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。その結果、仕事だけでなく家庭や地域活動など、自分の希望する生き方の実現が可能です。

出典:仕事と生活の調和とは(定義)|内閣府 男女共同参画局 仕事と生活の調和推進室

テレワークがワークライフバランスに影響を与える理由

勤務する会社のオフィス以外で、働く場所を柔軟に選択できる勤務体系をテレワークといいます。情報通信技術やオンラインミーティングツールなどを用いて、自宅などでの勤務が可能です。

テレワークを利用すれば、自宅からオフィスまでの通勤時間や通勤で生じる疲労を削減できます。この時間を家事や育児、自己啓発などに充てられれば、ワークライフバランスの改善に役立つでしょう。

自宅で仕事をする在宅勤務以外にも、企業のサテライトオフィスや貸会議室などを利用するケースもあります。仕事やライフスタイルに合わせて、勤務時間を柔軟に選択できる企業も存在します。

テレワークがワークライフバランスに与える具体的な効果

テレワークをする男性

(出典) pixta.jp

自宅などで仕事ができると、通勤にかかる時間や労力を削減できます。削減したリソースは、自分のやりたいことに費やせます。ここでは、テレワーク利用による具体的な効果を見てみましょう。

時間を有効に使える

通勤時間を自分のために使えるようになれば、偏っていたバランスを改善できるでしょう。1日1時間削減した場合、20日間で20時間もの余裕が生まれ、この時間で新しいことにも挑戦できます。

通勤電車の中でも本を読む、資格の勉強をする、仕事の資料を読むなどは可能です。しかし、移動中は騒音や振動、人混みなどで集中できず、効率的ではありません。

通勤時間の削減によって時間ができれば、副業など別のスキルアップにチャレンジすることもできます。副業を許可する会社も増えており、収入アップだけでなく自分のスキルを伸ばす良い機会です。

家族の時間を増やし、子どもと向き合う時間を増やすのもよいでしょう。早めに保育園などに迎えに行き夕食を一緒にとるのも、子どもが小さい時期にしかできない経験です。

業務が効率化する

家庭との団らんや自己啓発によるスキルアップで充実した時間を過ごせれば、本業の仕事効率も上がります。リフレッシュして集中力が高い状態で仕事に臨むことで、ミスも少なくなるでしょう。

満員電車や長距離の運転などで疲労が蓄積し、休んでも疲れが取れない人もいます。オフィスに出社しても休憩場所がないなどの理由で、たまったストレスをうまく緩和できないかもしれません。

在宅勤務であれば、オフィスよりも自分のペースで仕事を進められます。騒がしさのない静かな環境で集中でき、リフレッシュしたいときに一息つくことも可能です。

働き方や生き方の選択肢が増える

テレワークで家族との時間を作れるようになれば、育児や介護と仕事の両立もしやすくなります。突然の体調不良など突発的な出来事で思い通りにいかないこともあるため、勤務時間に柔軟性があると便利です。

けがの回復途中でオフィスまで行けない、家族の看病で出社できないなどのケースもあるでしょう。在宅勤務ができれば、仕事への影響を低減できます。

時間に余裕が生まれると、仕事以外のタスクにも時間と労力を費やせます。オフィス出社では仕事を諦めて退職しなければならないケースでも、テレワークなら勤務を継続できる可能性が高まります。

テレワークがワークライフバランスに悪影響を与えることも

疲労がたまっている女性

(出典) pixta.jp

在宅勤務は、同僚や上司がいない状況で仕事を進めます。集中できるなどメリットもありますが、デメリットもあります。

自己管理ができないと成果が出ず、かえってバランスを崩してしまうでしょう。ここでは、自己管理に関する注意点を紹介します。

長時間労働になる可能性がある

テレワークでは、働く時間を自分で管理します。仕事に集中するあまり、夜遅くまで働いてしまうなど、オフィスにいるときよりメリハリを付けづらいのはデメリットです。

一部の社員に負荷が集中していても分かりづらいため、チーム全体の業務量のバランスが悪くなる可能性もあります。タスクを終えるまで長時間労働を強いられると、生産性が落ちてしまうでしょう。

また、オフィスにいるときは、周囲とのコミュニケーションの機会が頻繁にあり、進捗管理や情報収集も短時間でできます。自宅ではチャットやメールなどを利用するため、非効率になりがちです。

公私の切り替えが難しい

自宅を仕事場にするケースでは、仕事とプライベートの切り替えが難しいのも課題です。仕事を始める気にならない、だらだら仕事をして時間内に終わらないなど、気持ちのオン・オフができないと非効率です。

また、仕事に集中していても電話がかかってくる、郵便物のサインを求められるなどで中断が発生します。自宅に家族がいれば、急用で話しかけられることもあるでしょう。

一度集中力が切れると短時間で元に戻すのは困難なため、邪魔されない環境を構築するのがポイントです。勤務中は自宅にいないものとして、電話などには対応しないのも選択肢の1つです。

テレワークによってワークライフバランスを実現させるポイント

テレワークをする若い女性

(出典) pixta.jp

自宅で仕事をすると通勤時間が削減され、自分の時間を確保できます。一方、時間やモチベーションなどの管理も求められます。与えられた役割を果たし、成果を出すには次のポイントを意識しましょう。

自己管理をしっかり行う

オフィスにいるときと同等以上の成果を出さなければ、効率が良いとはいえません。期日までに与えられた仕事を完了するには、自己管理の徹底が求められます。

周囲の目がないため、オフィスにいるときよりも強い意志で行動しなければなりません。誘惑に負けたり、時間にルーズになったりしないよう、きちんとスケジュール管理を行いましょう。

また、体調や精神面にも注意が必要です。働き過ぎて体調の悪化を招き、仕事へのモチベーションが低下するとミスも多くなります。適度な休息や運動、食事なども自己管理の1つです。

作業効率を意識する

自由な時間を増やすには、無駄な作業をできる限り排除して効率良く仕事を進めます。普段の仕事内容を見直して、短縮できる作業や削減できる作業を特定してみましょう。

例えば、開催している会議が本当に必要かを確認します。毎日の開催を2日に1回にするなど、頻度を見直すのも一案です。情報を共有しているだけの会議も代替方法を検討できます。

会議の議題を事前に明確にする、必要な資料を事前に配布するなど、会議を短時間で終えるための方法も考えてみるとよいでしょう。自分だけではなく、参加者全員にとってメリットがあります。

チーム全体が効率良く仕事を進めるために、タスク管理ツールを導入するのも効果的です。個人の作業量や進捗とチーム全体のデータが共有されるため、負荷の偏りも回避できます。

勤務体制が整備された会社で働く

テレワークでの勤務を希望する際、自分に合った勤務体制が整備されているかを確認しましょう。テレワークを導入している企業は少なくありませんが、そのルールは企業によってさまざまです。

環境が整っている企業の特徴を把握しておきましょう。主に次の4つの項目を確認すると状況を把握できます。

  • 明確な在宅勤務制度のルールがある
  • 長時間労働を防ぐ措置が取られている
  • テレワークでも適切に評価される
  • 費用負担に関する決まりがある

個人の裁量に任せるだけでなく、在宅勤務でもオフィス勤務に比べて不利益がない環境であることを確認します。光熱費や業務に不可欠な備品の費用負担も、事前にチェックしておくと安心です。

スキルアップを図る

テレワーク勤務により生み出された時間を、自分のスキルアップに使うと将来の役に立ちます。年功序列制度はもはや過去のものとなり、1人1人の能力やスキルが価値を持つ時代です。

今後はAIツールを駆使できるスキルなど、今の仕事にとらわれずさまざまな領域に挑戦できます。テレワークは場所に依存しない働き方が可能で、自分の価値を提供できる機会が豊富にあります。

働き方の多様化を実現するため、社員の副業や兼業を許可する企業も増えてきました。普段の業務では獲得できないスキルや知識を副業で得られれば、自分のキャリアアップにも役立つでしょう。

テレワーク以外でワークライフバランスを実現しやすい制度もある

ノー残業デーのポスターと男性

(出典) pixta.jp

仕事とプライベートのバランスを取るために利用できるのは、テレワークだけではありません。他にも以下のような制度があります。

  • 変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • ノー残業デー

変形労働時間制は、労働時間を1日単位ではなく週・月・年単位で計算します。忙しさが季節によって変動する場合、繁忙期以外の閑散期の労働時間が短くなり、柔軟な労働時間の設定が可能です。

フレックスタイム制は、社員が自分で始業・終業時刻を決められる制度です。自分の予定に合わせて業務時間をシフトできます。ノー残業デーを設けている企業は、設定した日の残業を一律で禁止します。

テレワークでワークライフバランスを実現するには環境も重要

テレワークをする若い男性

(出典) pixta.jp

テレワークはオフィス勤務に比べて在宅勤務は通勤が不要で、自由な時間を長く確保できます。空いた時間を家族との時間やスキルアップに使うことで、公私のバランスが取れます。

一方、正確な勤務時間や業務の偏りを把握しにくいのが課題です。また、在宅勤務中には自分で時間や精神面を管理する意識が求められます。自己管理ができなければ、ワークライフバランスは取れないでしょう。

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