ビジネスにおける中抜けの意味は?時間の取り扱いと疑問点を解説!

勤務中に社員が一時業務を離れる「中抜け」は、宿泊業界や飲食業界ではよく見られる光景です。しかし、フルタイムで勤務している人にとっては、なじみのない働き方ではないでしょうか?ビジネスにおける中抜けの扱いについて、基本的なところを解説します。

「中抜け」の意味とは?

業務中断

(出典) pixta.jp

ビジネスシーンにおける「中抜け」とは、以下のように、勤務時間中に社員が業務から離れることを指す言葉です。まずは、中抜けの意味や言葉の使い方を、きちんと理解しておきましょう。

勤務時間中に業務から離れること

中抜けは、シフト制で社員やアルバイトが勤務している業界に多い制度で、勤務時間中に一時的に業務から離れることです。

宿泊業界では「たすき掛け」と呼ばれるシフトの入り方としても有名で、2~3時間ほど業務から離れた後、再び仕事に戻る働き方です。

ホテル・旅館などの宿泊業界に加えて、飲食業界でも社員が一時的に業務から離れ、忙しくなる時間帯に戻ってくるケースがよく見られます。

個人都合・会社都合がある

宿泊業界や飲食業界などでは、会社の都合で社員の中抜けが発生する場合がほとんどです。しかし中には、社員やアルバイト個人の都合で、中抜けシフトが使われることもあります。

一時的に業務を離れて子どもの送り迎えをしたり、病院に行ったりなど、さまざまな私用で中抜けを利用する人が多くいます。

また、朝に出勤して勤務した後、2~4時間ほどの長めの休みを取ってから、再び夜に勤務に入るケースも少なくありません。看護師をはじめ、医療業界でも見られるシフトです。

中抜け中はどう扱われる?

勤怠管理表

(出典) pixta.jp

勤務中の中抜けは一般的に、どのような時間として扱われるでしょうか?業界の慣習や企業の方針などによって位置付けが異なるものの、主に以下のパターンに分けられます。

休憩時間として扱われるケース

中抜けを、社員の休憩時間として扱っている企業は多くあります。中抜けの時間が比較的短時間の場合に多いパターンであり、中抜けした分の時間を始業時間の前倒し・終業時間の後ろ倒しにして、対象社員の休憩時間として考える方法です。

例えば、通常の就業時間が9〜18時で、休憩時間が12〜13時の企業があるとします。社員が11〜12時の間の中抜けを希望している場合、始業時間を8時にしたり、終業時間を19時に調整したりします。

中抜け分の業務時間を、始業あるいは終業時間を調整することで補填するわけです。

2回の勤務に分けるケース

中抜けの時間の前後を、それぞれ別の勤務に分けて考えるケースもよく見られます。このパターンでは、中抜け時間は休憩時間の扱いとはなりません。

勤務の前半・後半の合計で勤務時間が6時間を超える場合、企業はいずれかの勤務中に、45分以上の休憩を社員に与える必要があります(8時間を超えると60分以上)。

さらに、中抜け前後のいずれかで6時間の勤務を超えた場合にも、労働基準法の規定により、その時間に45分の休憩時間を与えなければいけません。

出典:労働基準法 第34条(休憩)|e-Gov法令検索

年次有給休暇を適用するケースも

中抜けの時間を、年次有給休暇として扱っている企業もあります。原則として、年次有給休暇は日単位で付与されるものですが、企業と労働者との間に合意があれば、1時間単位・半日単位での年次有給休暇の取得も可能です。

ただし、労働基準法により、時間単位で取得できるのは年に5日までと決まっている点には注意しましょう。年次有給休暇として扱う場合、始業時間・終業時間の調整などは不要で、そのまま休暇扱いとなります。

出典:労働基準法 第39条第4項(年次有給休暇)|e-Gov法令検索

中抜けに関するQ&Aもチェック

Q&A

(出典) pixta.jp

最後に、業務中の中抜けに関して、多くの人が感じている疑問・不明点を解説します。テレワーク中や、フレックスタイム制の場合の中抜けについても、基本的なポイントを理解しておきましょう。

テレワーク中に中抜けしたい場合は?

テレワーク中でも、会社の許可を得ているならば中抜けが可能で、先に紹介した扱われ方のパターンで処理されます。

実際、子どもの送り迎え・高齢者の介護などを理由に、テレワーク中でも中抜けをする人は珍しくありません。

ただし、会社の許可を得ずに勝手に中抜けをした場合、服務規律違反と見なされる可能性があるため十分注意しましょう。

テレワークでは、特に労働時間に関して問題・トラブルが発生しがちなので、きちんと会社のルールに従う必要があります。

フレックスタイム制の場合も中抜けになる?

フレックスタイム制の場合、コアタイム以外の就業時間(フレキシブルタイム)ならば、社員が自由な時間に出勤して仕事ができます。フレキシブルタイム中の中抜けは、社員自身が労働時間を調整すれば問題ありません。

例えば、朝の6〜10時までと、15〜19時までがフレキシブルタイムの企業があるとします。午後のコアタイムの終了後、15〜17時まで中抜けする予定ならば、普段よりも2時間早く出勤して仕事をするなどして、自分で調整を図ることが可能です。

ただし、必ず仕事をする必要のあるコアタイム中に中抜けをする場合は、事前に申請して会社の許可を得る必要があります。

中抜けの扱いをしっかり確認しよう

ビジネスマンの足元

(出典) pixta.jp

業務中の中抜けは、宿泊業界や飲食業界などでよく見られる働き方です。休憩時間として扱われる場合や、中抜けの前後を2回の勤務として扱うケースがあります。企業によっては、中抜け時間を年次有給休暇の一環と見なすことも少なくありません。

いずれの場合でも、会社と労働者との間に合意があれば問題はないので、中抜けが必要な場合は、事前に会社に申請して許可をもらっておきましょう。企業が中抜けをどのように扱っているか、事前に確認しておくことが重要です。