職務経歴書の書き方とは?目に留まる経歴書を書き上げるポイント

転職のときは「履歴書」のほかに、「職務経歴書」を提出するのが一般的です。職務経歴書とは、何を記載する書類なのでしょうか?フォーマットがさまざまで何を書くか分からない人も多いはずです。内容や作るときの注意点、提出方法を解説します。

職務経歴書とは?

履歴書を書く人

(出典) photo-ac.com

社会人経験がある人が転職活動をする場合、履歴書とあわせて職務経歴書の提出を求められます。どちらも、合否にかかわる重要な書類です。職務経歴書に記載する項目や、履歴書との違いを知っておきましょう。

業務経験とスキルを記載する

職務経歴書は、これまでの経験や能力をまとめた書類です。具体的には、これまで勤務してきた会社の名前や雇用期間、業務内容などを記載します。

スキル面としては、これまでの業務で得た技術・資格を記載することになるでしょう。転職者は学生と異なり、これまでの業務経験に差があります。それぞれの業務経験を端的にまとめたものが職務経歴書です。

採用担当者は応募者を採用するにあたって、必要な経験やスキルを持っているかを職務経歴書から判断します。

履歴書との違い

履歴書には氏名・住所・学歴など本人の基本情報を記載します。志望動機や保有資格なども履歴書に記載する項目です。採用担当者は、基礎的な情報から人物のイメージや志望の理由を確認しています。

職務経歴書は、これまでの業務経験から得た知識や過去の仕事内容を知るためのものです。履歴書には定型書式がありますが、職務経歴書は人によって書くべき内容や長さが変わってくることもあり自由に記載するものが多くなっています。

職務経歴書の形式

職務経歴書とペン

(出典) photo-ac.com

職務経歴書の形式は、自由に選択できます。アピールしたい職歴や業務内容に応じて、使いやすい形式を選びましょう。よく使われる3種類の形式を紹介します。

①編年体形式

過去の職歴から順番に記載していく方法です。最初に勤務した会社から始めて、直近に退職した会社で終わります。

自分の経験を順番に伝えたいときに役立つ記載方法です。過去から記載していくことで、どのように経験を積んできたのかがはっきり分かります。

これまで勤務してきた仕事のカテゴリが1種類で、転職によって順調にキャリアアップを重ねた人は一連の流れを記載することで説得力が増すでしょう。

ただし、勤務した会社の数が多い場合、採用担当者が直近の勤務状況を把握しにくくなります。転職回数が少ない場合など、ひと目で職歴が分かる人に向いている形式です。

②逆編年体形式

直近に勤めていた会社から順番に過去へさかのぼる形式です。最新の実績を重視する場合に役立ちます。

志望する会社が直近に勤めていた会社の同業である場合も、採用担当者の目にとまりやすくなるでしょう。職務経歴が多く全てを記載するのに時間がかかるときも、逆編年体形式の職務経歴書なら重要なポイントを最初に伝えられます。

③キャリア形式

業務内容ごとにまとめて記載する方法です。具体的な経験や実際の業務についてざっくりと記載する形になり、転職回数が多い人もすっきりとした職務経歴書が作れます。

フリーランスやエンジニアなど、プロジェクトごとに業務内容が異なる人もキャリア形式での記載がおすすめです。

キャリア形式を選択する場合でもこれまでの経歴を一覧で併記すると、さらに分かりやすいでしょう。併記する場合は職務経歴を簡素化し、入退社や配属部署など簡単な内容でまとめます。

職務経歴書を書く前の準備

ファイルを持つ男性とパソコン

(出典) photo-ac.com

職務経歴書を書く前に、まずは準備をしましょう。情報を整理し必要なものを抜き出すことで、採用担当者の心に響く職務経歴書が作れます。職歴やアピールポイントを書き出した上で構成を考えましょう。

現在までの職歴の洗い出し

職務経歴書を書く前に、今までの職歴を把握するところから始めましょう。転職回数が多い人は、内容を整理するのに時間がかかる可能性があります。

職歴を記載するには、該当の会社に勤めていた時期の把握も必要です。入退社の履歴や会社名、会社の規模に間違いがないかも確認しておきましょう。正確な情報が分からないときは、給与の入金履歴や過去の源泉徴収票から判断もできます。

併せて該当の会社で担当していた業務についても書き出します。配属部署や昇進の記録、大きなプロジェクトなど記載できる内容をざっくりとまとめていきましょう。

書くことをノートなどである程度整理してから職務経歴書を書き始めると、重要な情報の記入漏れを防げます。

スキル・アピールポイントの整理

応募する企業によって、重要視したいスキルやアピールポイントは異なります。これまでの業務で得たスキルを把握し、整理しましょう。

職務経歴書に記載したいのは、転職後も活用できる資格や業務経験です。特定の企業だけで役立つものではなく、同じ業種の企業で幅広く利用できるスキルを意識しましょう。

事務として働くなら、PCソフトの利用経歴や資格がスキルとして記載できます。技術や資格だけでなく、実行能力やコミュニケーションスキルも業務の中で得られるものです。

職務経歴書に技術面以外のスキルを記載するときは、『スキルを活かして達成した業務』を具体例としてあげるのが望ましいでしょう。

応募先に合わせた内容をチョイス

自分の経歴やスキルを把握した後は、応募先に合わせて必要なものを抜き出します。重視する経歴とスキルが目立つように記載し、採用担当者の目にとまるよう工夫しましょう。

同じ職歴であっても、応募する企業によって必要とされる能力は変わってきます。例えば転職先でも営業職に就きたい場合、過去の営業経験やコミュニケーションスキルを重視して経歴を記載することになるでしょう。

過去に営業経験がない場合でも、会社の売上に貢献した事実などを記載すると評価につながります。毎回同じ内容の職務経歴書を使うのではなく、応募先の業務内容によって内容を書き換えるのがベターです。

基本の書き方とポイント

パソコンを操作する人

(出典) photo-ac.com

職務経歴書を書く上で、記載が必要な内容や体裁を意識することは大切です。履歴書と同じように手書きで書く必要があるのか、レイアウトの決め方についても見ていきましょう。

職務経歴書で書くべき内容

職務経歴書の体裁は自由ですが、記載する項目はある程度決まっています。『職務経歴書』の名称・氏名・作成日・職務要約を250字程度で上部に記載しましょう。要約は簡潔にまとめるのがポイントです。

その後に職務経歴を一覧で記載し、下部には資格・スキル・自己PRをまとめます。資格やスキルは箇条書きでシンプルに記載し、自己PRでは実績や経験をアピールしましょう。

職務経歴書での自己PRは、売上や達成した記録など事実を記載した上で、どう活かせるのかを伝えることがポイントです。

手書きよりパソコンがベター

職務経歴書には経歴や職務内容、資格など複数の項目を記載します。入社・退社年月日も含まれ、体裁を整えるにはパソコンのソフトで作成する方がきれいに見えるでしょう。

記載内容が多いこともあり、手書きで記入すると間違いも考えられます。誤字脱字の度に修正していると、手間がかかってしまいます。

パソコンはデータを保存できるので、内容を少し変えるだけで別の企業に応募するときも使えます。手書きの文字や雰囲気は履歴書で伝えられるため、職務経歴書はパソコンで作る方が手軽です。

文字の大きさやレイアウトにも凝ってみる

職務経歴書は文字量が多いため、見やすいデザインを心がけるのが大切です。用紙サイズはA4サイズが適しています。

文字の大きさやデザインは、事務処理ソフトの初期設定程度を意識すると見やすいでしょう。Wordの場合、明朝体で10.5ptです。読みやすさを意識するなら、もう少し大きめのフォントでもよいでしょう。

職務経歴書は体裁が自由であることから。シンプルで使いやすいものを探して、アレンジするのもおすすめです。

把握しておきたい職務経歴書の注意点

封筒と職務経歴書とペン

(出典) photo-ac.com

職務経歴書を記載するときは、いくつかの注意点があります。自由形式であるからこそ、枚数や記載内容にこだわりましょう。最終の見直しも重要なポイントです。

長すぎても短すぎてもNG

職務経歴書は重要なアピールの場です。しかし、長すぎると本当に伝えたい職歴や経験が伝わりにくくなってしまいます。読むだけで時間がかかる職務経歴書だと、重要な部分が見落とされる可能性もあるでしょう。

応募先と関係が薄い部分は簡略化し、重要な部分をピックアップするのが基本です。転職回数が多いときはキャリア形式で記載するなど、最も伝えたい部分を抜き出す書き方を心がけましょう。

反対に、短すぎるのも本気度が伝わりにくくなるためNGです。職歴が少ない場合は、内容を充実させましょう。適切な文量はA4サイズに2枚程度といわれています。転職回数にもよりますが、2〜3枚に収めましょう。

仕事に関係のない事柄は基本的には書かない

職務経歴書には、履歴書の職歴情報に加えて、社会人としての経験や実績、スキルなどを記載します。仕事と直接関係のない内容は記載しないようにしましょう。

自分の思いばかりを書いてしまうと、重要な職歴やスキルの有無が伝わりにくくなります。気持ちの部分は面接で補完し、職務経歴書には事実を記載しましょう。

趣味やボランティア活動への参加も仕事とは無関係です。アピールにつながる内容を履歴書の自己PR欄などに記載するのは問題ありませんが、職務経歴書には記載しないようにしましょう。

誤字脱字にも注意

職務経歴書に誤字脱字や間違った言葉が多い場合、印象が悪くなる可能性があります。特に同じようなレベルの候補者がいる場合、誤字脱字があると大きなマイナスです。

ビジネスでは、正確さが求められることも多いでしょう。誤字脱字が多いと言葉の使い方が分かっていないと捉えられてしまい、書類審査で不利になるかもしれません。

仕事の内容によっては、ミスが許されないものもあります。適性がないとみなされると、合否に影響を与えることも考えられるでしょう。

誤字脱字や記載内容の間違いは見直しで防げます。履歴書と併せて確認し、間違いがあったときは訂正しましょう。

職務経歴書の送り方

ポストに投函する人

(出典) photo-ac.com

職務経歴書の提出方法は、企業によって異なります。履歴書と同封して郵送するケースが多いですが、中にはメールやWeb上でやり取りすることもあるでしょう。職務経歴書を送付するときの、一般的な手順を紹介します。

郵送の場合

職務経歴書を郵送で送る場合は、履歴書や送付状を同封します。封筒のサイズは書類が曲がらないものを用意しましょう。

添え状は、『応募書類を送付した』という内容を記載した挨拶状のようなものです。日付・宛先・自分の住所と名前を記載し、時候の挨拶や簡単な自己PRなどを添えて作成します。

封筒の表面に宛先、裏面に自分の住所と名前を記入しましょう。表面の左下には『応募書類在中』の旨を赤字で記載します。

会社に書類を送るときは、敬称にも注意しましょう。宛先が個人名のときは『様』、会社名など団体の場合は『御中』を使います。

メールの場合

メールで職務経歴書を送る場合は、メール本文に職務経歴書を送ることを記入します。

メールの件名はシンプルにまとめるのが基本です。『氏名』と『応募書類の送付』であることが分かるように設定します。また、職務経歴書のファイル名も、『職務経歴書(氏名・提出日)』など分かりやすいものを心がけましょう。

メールで職務経歴書などの個人情報を送信する場合、企業ごとに指示があるはずですので従いましょう。ファイルを添付するか、特定のクラウドストレージでの共有を提案されることもありえます。

パスワード付zipファイルの利用は、2020年にセキュリティ対策の意味が薄いとして内閣府でも廃止されています。ファイルの添付方法やメールで個人情報の送信を行うことに疑問がある場合は、企業の方針を確認した上で指示に従いましょう。

自分の強みをアピールできる経歴書を作ろう

紙に記入する男性

(出典) photo-ac.com

職務経歴書は、これまでの職歴やスキルを記載するための書類です。ただ職歴を羅列するのではなく、応募する企業に合わせてピックアップする内容を変えましょう。

見やすさ、読みやすさを重視し、パソコンで作成するのがおすすめです。職歴が少ない場合でもこれまでに携わってきた業務内容を振り返り、充実した内容の経歴書に仕上げるようにしましょう。

転職の際には必須ともいえる書類のため、データを残しておくと汎用性が高まります。

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー