履歴書の正しい書き方とは?好印象を与えるコツと例を紹介

履歴書は、その人のこれまでの学歴・職歴などを記入するための書類です。就職・転職では採用の重要な資料とされるため、正しい書き方で好印象を与えることが必要です。を書くときのポイントや各項目の書き方、さらには注意したいポイントを紹介します。

履歴書を書くときのポイント

履歴書とペンと封筒

(出典) photo-ac.com

履歴書は、相手企業とのファーストコンタクトとなる書類です。「この人に会ってみたい」と思わせるために必要な、履歴書を書くときのコツを紹介します。

見やすさを意識する

中身がすっきりまとまっている履歴書は、読み手に配慮している印象です。職歴や免許・志望動機などを記入するときは、『簡潔で読み手に伝わりやすい言葉』で書くことを意識しましょう。

また文字は、丁寧に書くのが原則です。きれいに書く自信がない人は、鉛筆で下書きをしたりラインを引いたりしてもよいでしょう。書き方の指定がない場合は、パソコンで作成するのも一つの手です。

なお和暦と西暦が混在していると、履歴書が見づらくなります。どちらを選んでも構いませんが、統一することが大切です。和暦を選択する場合は「H」「R」などと略さず、必ず「平成」「令和」と記入しましょう。

書き損じたら新しい履歴書に書き直す

履歴書を書き損じて修正液やテープを使うと、「書き直しの手間を惜しんだ」とマイナスの印象を与えます

採用担当者が志望意欲が低いと感じれば、書類審査を通過できないかもしれません。書き損じた時点でその履歴書は諦めて、新しい履歴書に書き直しましょう。

訂正が許されるのは、新規作成が困難なときです。例えば履歴書を持参する形式の面接で「直前に間違いに気付いた」という場合は、書き換えようがありません。

訂正する際は間違った箇所を二重線で消して押印し、横に正しい内容を記入しましょう。見た目はよくありませんが、修正液を使うよりはマナーにかなっています。

なるべく空欄を作らない

各項目がきっちり埋まった履歴書は、本人の熱意や真剣さが感じ取れます。記入できるところは全て埋めて、空欄を作らないようにしましょう。

もちろんどうしても書くことがない欄については、無理をする必要はありません。記入すべき内容がないため、書かなかったということが伝わるよう、「なし」「特になし」と一言入れておくのがマナーです。

基本情報の書き方

自己紹介を書く人

(出典) photo-ac.com

基本情報欄は、採用担当者が最初に目にする部分です。自分の基本情報を書くだけですが、注意したいポイントもいくつかあります。見ていきましょう。

基本情報は「読みやすさ」を重視

現住所、電話番号、年齢、メールアドレスといった自身に関する情報を記入する欄ですが、文字のバランスや間隔を意識しましょう。

例えば名前は、名字と名前の間にスペースを設けると見やすくなります。

また住所は都道府県からきちんと書いて、マンション名なども省略せずに記入します。電話番号の数字やメールアドレスのアルファベットまで、1文字ずつ丁寧に記入しましょう。

証明写真の撮り方に注意

貼付する写真は、3カ月以内に撮影されたものを貼るのがマナーです。サイズは履歴書によって異なりますが、縦40×横30mmの写真を用意しておけば、大方は適応するでしょう。

また写真を撮るときは、男性はスーツにネクタイ・女性はジャケット着用が原則です。少しでも採用担当者に好印象を与えられるよう、「顔にかからない清潔感のある髪型」「真っ直ぐ伸びた背筋」「歯が出ない程度に口角を上げること」を心掛けましょう。

写真はスピード写真で撮ってもよいですが、仕上がりを重視するなら写真館がおすすめです。

志望動機の書き方

履歴書とペン

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志望動機は、入社したい熱意を伝える項目です。書く内容が履歴書の印象を大きく左右するため、しっかり練って作成しましょう。書き方や注意したいポイントを紹介します。

企業側が知りたいことをまとめる

採用担当者の多くは、応募者について「なぜうちの企業に入りたいのか」「どのように貢献できるのか」を知りたいと考えます。志望動機はこれらの答えが伝わるように意識してまとめましょう。

  • 入社したい理由:社風・事業内容・商品・経営理念などから考える
  • 貢献できること:『簿記2級を取得しているため、経理の即戦力になれる』『粘り強く打たれ強い性格のため、新規顧客開拓にまい進できる』など

まずは企業の情報を書き出して整理しましょう。自分にとって「これが魅力的だ」と思えるポイントを挙げて、情報を補足します。

一方、入社後のビジョンは、自分の経験・スキルを踏まえて具体的に説明します。特にない場合は、熱意と前向きな姿勢を見せることが大切です。

なお志望動機は、簡潔に200~300文字程度か記入欄の8割程度を埋めることを目安にまとめます。長すぎると担当者が読む気をなくしますし、少なすぎるとやる気がないと誤解されるかもしれません。

給与や待遇面しか書かないのはNG

志望動機で給与や待遇面にしか触れない人は、条件にしか魅力を感じていないと捉えられる可能性があります。たとえ一番大きな志望理由が給与や待遇面だったとしても、ストレートに書くのは控えましょう。

どうしても書きたい場合は、社員に有利な給与や待遇を実現する、企業の姿勢にひかれたとアピールするのが無難です。

例えば『資格手当で社員のスキルアップを奨励するなど、チャレンジが認められる貴社の社風に強く惹かれました』などと書けば、悪い印象を与えずに済むでしょう。

学歴・職歴・免許・資格の書き方

ペンを持つ人

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学歴・職歴・免許・資格欄は、必要な情報を漏らさずに書くことが必要です。西暦・和暦を統一し、見やすさを心掛けましょう。

記入時のポイントを紹介します。

学歴・職歴は年代順で

学歴は欄内の一番最初の列中央に「学歴」と記入して、古い順に書き始めます。

義務教育は不要なので、高校の入学・卒業からでOKです。大学は学校名・学部や学科、さらには専攻までをきちんと書きます。もしも中退している場合は、「一身上の都合により中途退学」「海外留学のため中途退学」「家族の介護のため中途退学」など理由を書きましょう。

学歴を書き終えたら1行空け、やはり中央に「職歴」と書いてから就職した年月順に記入します。転職が多く書き切れないときは、職務経歴書として別紙にまとめた方がすっきりするでしょう。

なおアルバイトの期間がある場合は、アルバイトも職歴に含めて構いません。年単位で働いたり社会保険に加入したりしたアルバイト先は、きちんと記入しておくのがおすすめです。

免許、資格の順で書く

免許や資格の欄は免許から記入するのが一般的です。車の免許であれば省略せず「普通自動車第一種運転免許 取得」などと記入しましょう。

続く資格は、取得年月日順に正式名称で書くことが大切です。例えば英検は「実用英語技能検定」、簿記は日商簿記であれば「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験(日商簿記)」、全経簿記であれば「全国経理教育協会主催 簿記能力検定試験(全経簿記)」、全商簿記であれば「全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定(全商簿記)」となります。

また、TOEICなどのようにスコアでレベルを測るものは、一定以上の点数がないとアピールポイントになりません。求人のレベルやニーズを見極めて、記入する資格・しない資格を判断するのがおすすめです。

本人希望・趣味・特技の書き方

机に向かう女性

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本人希望欄・趣味・特技欄も、採用担当者は細かくチェックしています。何気ない一言で「この人はなし」につながらないよう、十分に注意しましょう。

記入方法を紹介します。

本人希望欄で「特になし」は避ける

特に本人希望がない場合は、「貴社の規定に従います」と記入するのが無難です。

また本人希望がない人がいる一方で、給与面・待遇面に細かい条件を持つ人もいます。強い希望・要望がある場合でも、ストレートに記入するのは避けましょう。

本人希望欄は「求職者が提示する入社条件」と考える採用担当者もいます。細々書くと「この人はうちの会社に合わない」と判断されて、面接まで進めないかもしれません。

趣味・特技は面接を意識して書く

応募者の性格や性質は判断材料となります。あなた自身に興味を持ってもらうチャンスのため、「特になし」は避けましょう。

「サッカー観戦」「食べ歩き」「パン屋巡り」など、あなたのイメージが伝わりやすい趣味・特技を記入するのがおすすめです。

また採用担当者の中には、趣味・特技のネタを面接前のアイスブレイクに使う人もいます。趣味・特技を選ぶときは、話の広げやすさも意識しておくとよいでしょう。

正しい履歴書の書き方で好印象を与えよう

履歴書と封筒とペン

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履歴書は、あなたの第一印象を決める重要な書類です。最後まで興味を持って読んでもらえるよう、見やすさや分かりやすさを意識して作成しましょう。

特にフリーで書ける志望動機や趣味・特技欄は、他者との差別化を図るチャンスです。しっかり書けば、その分熱意も伝わりやすくなります。

正しい履歴書の書き方をマスターし、採用担当者へのアピール力を高めましょう。

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
All Aboutプロフィールページ

著書:
美文字履歴書の書き方&マナー