適性試験とはどういう検査?問題の傾向や対策を解説

人材採用で実施される適性試験とはどのようなものか、不安に思う人も多いでしょう。検査の目的やテストの内容にはさまざまな種類があるため、どのような準備をするべきか知りたい人も多いはずです。適性試験の問題の傾向や対策について解説します。

適性試験とはどんなもの?

資料に記入する手元

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人材採用の過程で適性試験を実施する企業は多いものです。試験の結果は選考にどの程度影響があるのでしょうか。適切に対策するためにも、適性試験とはどういうものなのか理解しておきましょう。

性格や能力を判断するためのテスト

適性試験とは、企業が採用選考のあるタイミングで行う検査のことです。企業によっては「適性検査」と呼ぶこともあるでしょう。受検者の性格や能力を理解し、その人が自社の求める人材なのか判断するために行われます。

試験には大きく分けて、性格を判断する「性格検査」と一般常識や基礎学力を見る「能力検査」の2種類があり、面接だけでは分からないその人の性質や業務への適応力を見極めるのが目的とされています。

適性試験の結果を面接と同じくらい重視する企業もあるため、しっかり対策をしておくことが大切です。

主には採用試験の初期段階で行われる

適性試験は採用試験の初期段階で行われる場合が多いものです。一般的に中途採用では書類審査を通過した後、一次面接の前に受検するケースがよくあります。

中途採用では募集する職種が決まっているため、応募者がその職種に適しているかは重要なポイントです。適性試験により人材のパーソナリティや能力を客観的に計測できるので、面接の前に把握しておきたいという企業も少なくありません。

企業の中には適性試験の結果を見て、面接するか否かを判断するところもあります。

代表的な適性試験(能力検査)

デスクで勉強する女性

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適性試験と一口にいっても、さまざまな種類があります。ここでは、能力検査の中で代表的な4つの試験を紹介します。

1.SPI

SPIは、リクルートマネジメントソリューションズが開発した適性試験です。SPIには能力検査と性格検査の2種類があります。多くの企業がSPIの能力検査と性格検査を実施しているため、受検する確率は高いといえるでしょう。

能力検査は主に基礎能力を測るのが目的です。検査は言語分野と非言語分野から出題され、問題の理解力や論理的な思考力、処理能力を測定します。

言語分野は、言葉の意味や話の大意を的確に理解できるか見極めるのが目的です。非言語分野では、数的な処理能力や論理的思考力を計測します。

2.玉手箱

玉手箱は日本エス・エイチ・エルが提供している適性試験です。計数・言語・英語・パーソナリティの4つのジャンルから構成されており、知的能力と性格を総合的に診断します。

問題自体は比較的シンプルではあるものの問題数が多いので、時間内に効率よく答えていかなければなりません。不正解の割合を測る誤謬率は測定されないため、自信がなくても回答欄を埋めておく方がよいでしょう。

SPIに次いでよく使われている検査なので、問題集で練習するなどの対策がおすすめです。

3.TG-WEB

TG-WEBは、他の適性試験とはやや問題形式が異なるのが特徴です。従来型と新型の2種類があり、問題数も異なります。新型は従来型より問題数が多いですが、受検時間が短くなっている点に注意しましょう。

従来型も新型も言語分野と計数分野に分かれています。計数分野は、他の適性試験では出題されない図形や暗号問題も出るので、専用の対策が必要です。

言語分野では従来型・新型のどちらにも長文読解が含まれます。短時間で素早く回答しなければならないため、難易度が高いといえるでしょう。

4.GAB

GABは総合職の採用のために開発された検査です。テスト方式に沿って4種類に分かれていますが、どれもパーソナリティと言語や計数などの知的能力を測定します。テストセンターで行うC-GABでは、英語力を測る検査も行うので準備しておきましょう。

言語では500字程度の長文問題を30秒ほどで回答しなければならないため、素早い読解力と判断力が必要です。計数問題では計算機を使えない場合もあります。

採用している企業はそれほど多くないものの、SPIなど他のテストと比較すると難易度が高いことから、万が一のためにしっかり対策しておくのがおすすめです。

適性試験の受検方法は3種類

パソコンを操作する手元

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適性試験は受検方法によって3つのパターンに分かれます。それぞれの方法の特徴と受検する際の注意点を説明します。

1.ペーパー試験

ペーパー試験は、全国各地に設置されたテストセンターや、応募先の企業内で実施される記述式の検査です。言語・非言語の能力検査と同時に性格検査を実施する場合もあります。

一般的にはマークシート方式を採用している場合が多いため、シャープペンシルや鉛筆などの筆記具を用意しましょう。塗りやすさを考えて、なるべく柔らかめの鉛筆を準備しておくのがおすすめです。予備用に何本か持っていくとよいでしょう。

2.WEBテスト

WEBテストは自宅のパソコンから受ける検査です。会場まで出向く必要がなく、ネット環境が整っていれば場所や時間を選ばずに受検できるのが便利な点といえるでしょう。

しかし状況や時間帯によっては回線が混みあってしまう場合もあり、ネット環境が不安定だと途中で接続が切れてしまうケースも想定されます。自宅で受ける場合は、環境音で集中できない場合もあるかもしれません。

このような事態を避けるために、ネット回線を確認したり、落ち着いて受検できる環境を整えたりすることが大切です。

3.テストセンター

テストセンターは、専用の会場に出向いて受検する方法です。会場は応募先の企業ではなくテスト会社が用意した場所で、全国各地に設置されています。

テストセンターの特徴は、受検する場所や日時を自分で選べる点です。企業から受検の案内メールが届くので、会場と日時を予約します。

自宅のPCで性格検査を受けてから、予約した日にテストセンターへ行って能力検査をするという流れが一般的です。

適性試験に向けた対策

資料を読んでいる男性

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適性試験は種類によって出題傾向や内容も異なるため、どのような対策をしたらよいか悩むところです。ここでは能力検査と性格検査に分けて、基本的な対策方法を説明します。

能力検査は問題集を活用する

能力検査は種類によって問題の内容が異なるため、自分の志望する企業が採用している試験に合った対策が必要です。どの試験を使っているか知りたければ、口コミサイトなどをチェックすると分かる場合もあります。

試験の内容が分からないなら、SPIや玉手箱のようにメジャーな試験の対策をしておくのがおすすめです。数多くの問題集が販売されているので、繰り返し練習して出題の傾向を覚えておくとよいでしょう。

非言語分野の試験では電卓を使えないケースも多いので、計算の正確性やスピードを上げておくのも重要です。

性格検査はありのまま答える

性格検査は自分の性格が企業にマッチしているかどうかを測るためのものなので、事前に対策する必要はありません。ありのまま解答することが大切です。

自分をよく見せようと取り繕った解答をすると一貫性がなくなり、かえって不信感を抱かれる結果となってしまいます。無理をして企業の求める人物像に近づけるような解答をして採用されても、後々自分が苦しむ結果にもなるでしょう。

お互いのためにも、ありのままの自分を判断してもらうことが大切です。

万全な対策をして適性試験を突破しよう

問題集の上に置いてある眼鏡

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適性試験は、企業が採用活動の際に人材の性格や仕事への適性を知るために行う検査です。しかし性格検査や能力検査は、自分自身を客観的に見るためにも効果があります。希望する職種が必ずしも自分の能力に合っているとは限らないからです。

点数を競うための試験ではありませんが、自分が持っている力を十分発揮できるよう、問題集などでしっかり対策をして本番に挑みましょう。