転職で面接を控えている場合、何か準備をしておいた方がよいのでしょうか?質問への対策が必要な理由と、よくある質問への答え方を見ていきましょう。そのほか、当日の身だしなみや、面接前に用意しておきたい項目も紹介します。
面接準備の重要性
前もって準備をしておくと、面接を有利に進められます。準備に時間をかけるメリットを知り、当日に備えましょう。面接の受け答えが苦手で失敗した経験がある人は、面接前に準備するだけで大きな変化があります。
効果的に自分をアピールできる
面接では、さまざまなことを質問されます。準備として自分の特徴やスキルをまとめておくだけで、格段に魅力を伝えやすくなるでしょう。自分のことを知っているつもりでも、いざ質問されると明確に答えにくいものです。
面接前に自分の適性確認や自己分析を行うと、アピールがしやすくなります。長所と短所、自己PRの内容を掘り下げておきましょう。
応募する企業の研究も欠かせません。社風や業務内容を知ることで、仕事に対する熱意や志望度の高さをアピールできるでしょう。自己分析も企業研究も、準備に時間が必要です。
自信を持って受け答えできる
転職時の面接は、採用の可否を決める重要な場面です。緊張して普段通り話せなくなる人もいるでしょう。準備をしておくことで自信がつき、緊張による失敗を防ぐきっかけになります。
面接の準備とは、当日のシミュレーションです。面接官が何を質問し、自分がどう答えるのか何度も練習します。多くの面接では志望動機や自己PRなど決まった質問があるため、答える内容が分かっていれば緊張が緩和されるでしょう。
面接官に「我が社の商品の中で気になっているものを教えてください」と聞かれた場合、企業の商品やサービスが分かっていれば自信を持って答えられます。
自分のことや応募先の企業のことを知り、自信につなげましょう。
転職面接でチェックされるポイント
面接官がチェックするポイントや、よくある質問を知っておくと面接中に慌てずに済みます。具体的な質問例を見ていきましょう。
必要なスキルや経験があるか
転職の面接では自社が必要とする人物なのか、スキルや経験がチェックされます。資格や技術以外に、内面的なスキルも重要です。
技術や経験の分野では、これまでの経歴や自己PRを確認されます。仕事での実績や、業務に役立つ資格などが評価されるでしょう。
内面の部分では、『今までに失敗した経験』を質問される場合があります。忍耐強さや、失敗したときに問題を解決する能力があるかといった点を判断できる内容です。反対に、成功した体験を質問されるケースもあるでしょう。
仕事への意欲があり定着してくれるか
転職者の場合、仕事への意欲を確認するために『なぜ転職をしようと思ったのか』質問されることがあります。特に前職の在職期間が短い場合は、辞めずに仕事を続けてくれるのか、企業側も気になるところでしょう。
熱意や企業に対する思いを知るために、志望動機に関する質問もよくあります。なぜ自社に応募したのか、他社との違いは何だったのか具体的な答えを求められる場合が多いでしょう。
業務内容に対する熱意だけでなく、すでに会社で働いている従業員とうまくコミュニケーションが取れるかも定着率にかかわってきます。会社の方針や既存の社員との相性についても、面接官は確認していると考えましょう。
外見に関する準備
面接当日の身だしなみや話し方は評価対象に含まれます。服装や雰囲気は候補者の印象を左右するため重要です。面接までに適切な服装や、受け答えができるよう準備しておきましょう。
第一印象が与える影響は大きい
面接では、短い時間で候補者の性格や価値観を判断します。その中で多くを占めるのが『第一印象』です。ぱっと見たときのイメージは、面接官に大きな影響を与えます。
見た目だけでなく、話し方や表情も第一印象です。例えば、面接会場に入ったときに笑顔ではきはきとあいさつする人は『明るく元気がよい』と印象づけられるでしょう。
面接中の態度や声のトーンなど、全体を見られています。印象が悪い場合はマイナス評価につながるため、最低限の身だしなみと明るい話し方を心がけましょう。姿勢を正し、真摯に受け答えをすることも大切です。
清潔感を与える身だしなみを意識
外見の印象は、面接官に大きな影響を与えます。特に営業職や接客業は、厳しくチェックされる傾向にあるでしょう。
転職面接の際は、指定がない限りスーツの着用が一般的です。服装自体を迷うことは少ないはずですが、シワの有無やサイズ感をチェックし清潔感を意識しましょう。
シャツは白で、小物類もベーシックカラーのシンプルなものが適しています。男性の場合はさっぱりとしたヘアスタイルで、ひげをきちんと剃って面接に挑みしょう。ネクタイは派手すぎないものを選び、靴はきれいに磨いておきます。
女性はオフィスに適した大人しいメイクを心がけ、長い髪はまとめてすっきりした印象を意識しましょう。
面接のよくある質問に備える
面接でよくある質問に対しては、事前に答えを準備できます。それぞれ、質問の意図や答え方の基本を見ていきましょう。
自己紹介や自己PRなど本人に関する質問
面接では自己紹介や自己PRを求められます。
転職の面接における自己紹介は、自分の経歴や現在の所属先など個人情報を端的にまとめたものです。また、自己PRは自分の長所や魅力をアピールするものといえます。
自己紹介では、氏名と合わせて職務経歴を端的にまとめて伝えましょう。自己紹介は1分程度の短いものです。応募先に関連の深い経歴と概要を再度確認しましょう。
自己PRは、自分を宣伝するために重要な場面です。自分自身の魅力を伝えるために、自己分析をしておきましょう。
自己分析はこれまでの経験を整理して、長所や短所、価値観を見つけ出す作業です。成功や失敗の体験を振り返ることで、共通する特徴を発見できます。
職務経歴に関する質問
自己紹介ではなく「職務経歴を教えてください」と質問された場合は、応募先企業で役立つ経歴や実績に絞って回答します。
例えば接客業に応募する場合、コミュニケーション力をアピールできる回答が適切です。現職と応募先企業の業種が違っても、「取引先と話をする機会が多く、部署と担当者を結ぶ役割を果たしている」とアピールできます。
注意点もいくつかあります。実績が分からない回答や、話が長すぎて面接官の印象に残らないような答え方は避けましょう。履歴書に書いた内容にプラスして、具体例を加えると好印象です。
仕事に生かせる経験やスキルに関する質問
自己PRや職務経歴などを伝えた上で「あなたの長所やスキルを仕事でどのように生かせるのか」を質問されるケースも多いでしょう。
踏み込んだ質問だけでなく、「今までの業務経験の中で印象深い出来事を教えてください」とぼかして質問される場合もあります。
質問の意図は、入社後にどうやって貢献してくれるのかを知ることです。回答によって、自社で能力を生かせる人材かどうかを確認しています。
質問に答える際は意図を読み取り、業務経験と合わせてその経験によって学んだことを付け加えましょう。持っているスキルをアピールするなら、応募先の具体的な業務内容やサービスに触れながら、どこでどうやって生かせるのかを明確に答えるのがポイントです。
志望動機についての質問
転職の面接では、ほとんどの場合「志望動機は何か」と聞かれます。アルバイトでは「家から近い」という軽い動機でもそれほど問題はありませんが、転職では企業研究が重要です。
なぜその企業を選んだのか、具体的に説明するには企業のことを知っていなければなりません。商品やサービス、経営理念などを調べておきましょう。
志望度が高い候補者は、「定着してくれそう」「第一志望として自社の選考を受けている」と判断されやすく、プラスの評価につながります。
最後に聞かれる「何か質問はありますか」
面接の最後に、逆質問をされることがあります。自分が気になっていることを、企業に質問するチャンスです。
面接官が逆質問をする理由は、意欲や志望度の高さを知ることや、社風・条件と候補者の希望が一致しているかを確認するためです。「質問はない」と終わらせるのではなく、あらかじめいくつか質問を準備しておきましょう。
集団面接の場合、準備していた質問を誰かが先に聞いてしまう場合もありえます。複数の質問を用意していれば、スムーズに対応できるはずです。
踏み込んだ質問をすれば、意欲の高さをアピールできます。また、雇用条件や職場の雰囲気について質問することで、入社後のビジョンが描けるでしょう。
面接直前の準備を確認
面接前には、忘れ物や遅刻がないよう事前の準備が必要です。当日ではなく、早めに終わらせておきましょう。面接前にしておきたい基本的な準備について解説します。
会場までのルートを調べる
面接当日は何かと慌ただしいものです。時間に遅れないよう、会場までのルート確認をしておきましょう。企業の所在地は知っていても、面接会場が別の場所という場合もありえます。一次面接と二次面接で会場が変わるケースも考えられるでしょう。
企業からの連絡はその都度確認し、場所に間違いがないかチェックしておくことが大切です。
電車やバスなどの時刻表や、会場までのルートを見ておくと間違いがありません。駅からどちらの方向へ向かうのか、地図アプリを使ってチェックしておきましょう。
公共交通機関を利用する場合、当日の状況により遅延が発生する可能性もあります。できるだけ早めに到着するよう心がけましょう。
持ち物は前日までに用意
面接当日に慌てることのないよう持ち物は前日までに準備しておきましょう。履歴書や印鑑など、持ってくるよう指示があるものはチェックが必要です。
普段と違うカバンを使う場合は、財布や交通系ICカードを移し替えておきます。何かあったときに連絡が取れるよう、スマホも持っていきましょう。
筆記用具・ハンカチ・ティッシュなど、基本的な持ち物もあると便利です。書類を渡されることも考えて、カバンはA4サイズの書類が入るサイズを選びましょう。
オンライン面接の準備は入念に
自宅でのオンライン面接も、事前に準備が必要です。オンラインでの面接には、音声や映像を映す環境が求められます。
会議用ツールのインストール、そのほか会社から指示があった作業は早めに終わらせておきましょう。パソコンにカメラやマイクがついていない場合は、別途購入も必要です。
パソコンに対応したWebカメラやイヤホンマイクを準備し、映りや音声を事前確認しておきましょう。
またパソコン画面では顔が暗くなりがちです。明るい印象を与えたい場合は、オンライン会議向けのリングライトを用意しておくのもよいでしょう。
模擬面接で本番を意識した準備を
質問に対する答えを考えておくだけでなく、『模擬面接』を行うと面接の流れを掴めます。模擬面接のメリットや、1人でチェックする方法を見ていきましょう。
模擬面接のメリットと効果
『模擬面接』は、家族や友人を面接官として設定し、面接のような雰囲気で質問をしてもらうことです。模擬面接を行うことで、面接に近い雰囲気を体感できます。
頭の中で考えているだけでなく、実際に声に出して誰かに聞いてもらうことで、自然な会話になるよう練習できるでしょう。模擬面接を頼んだ相手に、違和感がないか指摘してもらえるのもメリットです。
模擬面接は、自分の中で面接の準備が終わった段階で行いましょう。最終チェックと、面接の雰囲気に慣れることで本番での緊張緩和が期待できます。
自分で模擬面接を行う方法
模擬面接は、1人でも可能です。面接官役を頼める相手がいない場合は、自分でチェックしましょう。Web会議ツールの録画機能やスマホの動画撮影を使い、面接官の質問に答えるつもりで行います。
録画や動画撮影では表情もチェックできるので、面接官に自分がどう映るのか確認するのに適切です。
スマホスタンドを使い、広範囲を撮影できるように設置すれば、歩き方や姿勢も見直せるでしょう。
動画撮影を活用した模擬面接では、客観的に観察しないと気づかない声のトーンや表情が分かります。何度か繰り返し、好印象な話し方や表情を練習しましょう。
事前準備をして自信を持って面接に向かおう
面接は事前準備をすることで、面接官の質問に対して迷わず答えられます。自己分析や模擬面接を取り入れ、当日までに対策をしておきましょう。
第一印象を改善するためには、身だしなみや話し方にも注意が必要です。また、会場までのルートを調べたり、持ち物の確認をしたりと、準備の内容は複数あります。
当日、自信を持って対応できるよう、できるだけの準備をして面接に挑みましょう。
国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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