電話面接では話し方や声のトーンに注意。うまく進めるコツを解説

電話面接は採用面接の中でも比較的珍しい形式なので、これまで経験したことがない人は多いでしょう。対面での面接に慣れていると、電話面接をしづらいと感じたり苦手意識を抱いたりします。うまく進めるコツをチェックしましょう。

電話面接の基本

スマホをかける手元

(出典) photo-ac.com

電話面接が初めてだと、どんな点に注意すればいいのかわからず、不安を感じてしまう場合があります。まずは、電話面接の基本をチェックしましょう。

対面面接と基本的には同じ

電話面接は対面ではなく、電話を通じて面接する方法です。通常は応募者が企業に出向いて面接を受けますが、新型コロナウイルスの流行にともない電話面接を取り入れる企業が増えました。

応募者が遠方に住んでいる場合でも、面接を受けやすいメリットがあります。形式は違いますが、質問の内容や企業側が応募者に対して確認したい点は対面の場合と同じです。

企業研究や志望動機の掘り下げなど、面接対策の基本的な部分は対面面接と同様です。志望動機と自己PRは必ず聞かれる部分なので、万全な準備をしておきましょう。

開始から終了までの流れ

自身を持って面接に臨むために、どのような流れで電話面接が進められるのか把握しておきましょう。

  1. あいさつ
  2. 応募職種や仕事内容に関する説明
  3. 応募者への質問
  4. 質疑応答
  5. 意思確認
  6. 今後の流れ
  7. 面接官へ不明点の確認とお礼

電話面接ではあらかじめ決められた日時に、面接官から電話がかかってきます。基本的には面接官が進行してくれるので、応募者は流れに従って返答や質問をしましょう。

面接官は簡単なあいさつと自己紹介の後、自社や応募職種に関する説明を簡単に行います。その後、応募者の情報を聞き取るための質問に移るのが一般的です。

質疑応答の時間も設けられるので、企業に対する質問を考えておきましょう。質疑応答の後、応募に対する意思確認と必要に応じて面接後の流れが説明されます。

いつどんな方法で合否が知らされるのか確認し、最後に不明点があれば尋ねましょう。何もなければ、面接に対するお礼を伝えて終了です。

対面面接と比べて難しい点

通話している女性

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電話面接は、対面の面接にはない難しさがありますが、対面面接との違いをしっかりと押さえておけば、事前に対策ができるはずです。どんな点が難しいのか見ていきましょう。

面接官の印象に残りにくい

電話面接は声だけで情報のやりとりを行うので、対面の面接よりも相手の印象に残りにくいという特徴があります。

従来の面接では、表情や身振り手振りなどからも、どんな人物なのかが伝わるものですが、電話だと声以外の情報がないので口調や声のトーンなどを意識した伝え方が重要です。

焦って早口にならないように注意しながら、聞き取りやすい適度な速さで言いたいことを丁寧に伝えましょう。

面接官の反応がわかりにくい

電話面接では自分のことを伝えにくいと同時に、面接官の反応もわかりにくいという点を押さえておきましょう。対面面接では、すぐ目の前で相手の反応を見られるので「伝わってなさそう」だと思ったら内容を補足するなどの対応ができますが、電話面接ではなかなかそうはいきません。

相手の反応を探りづらいため、会話がかみ合いにくかったり、内容を深く理解してもらえなかったりという問題が起きやすいのです。

対面面接の場合よりも、相手にとってわかりやすい話し方を意識しなければならない点を頭に入れておきましょう。

電話面接を受ける前の準備

スマホとノートとペン

(出典) photo-ac.com

電話面接を受ける前に、準備を万全にしておけば失敗しにくくなります。事前に準備しておくべきポイントを確認しましょう。

電波状況のいい静かな環境を用意

電話面接には、落ち着いて話せる静かな環境が必須です。騒々しい場所ではお互いの言葉が聞き取りづらく、聞き直しが何度も発生するでしょう。意思疎通を図りにくい状態では、失敗のリスクが高まります。

外出先ではなく自宅の方が、静かな環境を作りやすいでしょう。

住宅事情はそれぞれ違うので、自宅が難しい場合はレンタルスペースを利用する方法もあります。電波状況が悪いと通話が途切れるので、スムーズに電話ができる場所を選びましょう。

当日、初めてのレンタルスペースを利用するのは避け、事前に電波状況や通話の可否を確認しておくと安心です。

筆記用具やメモなどを備えておく

対面の面接とは違い、電話面接はメモや資料を確認しながら話ができます。緊張して言葉に詰まったときのために、要点やエピソードをまとめたものを準備しておくのがベターですが、メモを見ながら書いてある通りに話すのではなく、自分の言葉で志望動機や自己PRなどを語れるようにしておくことが大切です。

質問内容などもメモしておくと、逆質問の機会が来た際にあわてずに済みます。また、面接官の話で重要だと思う部分を書き留めておけるため、既に話していた内容を再び質問する失敗も防げます。

電話面接のメリットを生かすため、筆記用具やメモなどを準備しておきましょう

イヤホン利用またはハンズフリーがおすすめ

電話面接の所要時間は企業によって異なりますが、30分~1時間前後です。不公平感が出ないように、あらかじめ応募者1人あたりの時間を決めて面接を行うという方法が一般的にとられています。

長時間の面接ではハンズフリー機能やイヤホンを利用し、両手の空いた状態で受ける方法がおすすめです。負担を軽減できるとともに、メモをとったり資料を確認したりしやすくなります。

電話用のヘッドセットを利用するのも便利です。イヤホンやヘッドセットにはさまざまなものがありますが、できるだけ性能が良いものを選ぶとクリアな音で面接に臨めます。面接当日に初めて使うと失敗しやすいので、使い方をあらかじめ把握しておきましょう。

電話面接での受け答えのコツ

パソコンを見ながら通話する女性

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電話面接はお互いの姿が見えないため対面面接とは異なる難しさがあり、コツを押さえておかないと思わぬ失敗をしがちです。次に、電話面接を成功させるコツを紹介します。

明るくハキハキと話す

電話ではお互いの顔見えないので、どんなに明るい表情をしていても声のトーンが低いと暗い印象を与えがちです。面と向かって話す場合よりも、高めの声を意識して話しましょう。

低いトーンで話すとボソボソしゃべっているように聞こえます。電話対応や接客が必要な職種に応募する場合は、声が聞き取りにくいとマイナスの印象を与えるため、意識してハキハキと話すことが大切です。

声が聞き取りにくいと、何度も聞き直される、言いたい内容が伝わらないといったデメリットが生じます。電話面接では大きめの声ではっきりと発声しましょう。

内容は簡潔にわかりやすくまとめる

面接官の質問に答える際は、要点をわかりやすくまとめて話しましょう。履歴書に志望動機や自己PRを記載する場合と同じで、結論から話し始め具体例につなげると端的に伝えられます。

顔が見えない状態で長々と話すと「結局、何が言いたいのかわからない」という状態になりやすいので、注意しましょう。

焦ってしまうと、質問の意図を誤解して間違った方向に答えてしまう場合があります。面接官が何のために質問をしているのか、意識しながら回答しましょう。

適度に相槌を打つ

面接官が話している間、ずっと無言でいると「話を理解してくれているのかな?」と、不安を感じさせてしまいます。対面では表情の変化やうなづきなどの動作を見て、話を理解しているか否かの判断ができますが、電話面接ではそうはいきません。

話を真剣に聞いていたとしても、理解していることが相手に伝わらなければ面接がスムーズに進みません。面接官の話に対し、適宜「はい」と相槌を打ち話を聞いていることを伝えましょう。

相槌は話のタイミングを考慮してを打ちます。ただし、あまりに頻繁だと話を急かすような印象を与えるので、過剰にならないように注意しましょう。

「えー」や「あのー」を使わないように意識する

話し始める前に「えー」や「あのー」などの言葉を発してしまう人がいます。

例えば「あなたの強みは何ですか?」と質問されたときに「えー、あのー、責任感があるところです」と言うよりも、「はい。責任感があるところです」と言った方が、相手は聞き取りやすく、自信がある印象を受けます。

面接では、なかなか言葉が出てこない場合があり「えー、あのー、うーん」など、意味のない言葉を連発して場を持たせようとするケースも珍しくありません。

なかなか答えが出てこない場合は「申し訳ありませんが、少々お時間をいただけますか」というように、はっきりと伝えた方が好印象を与えられます。答える前に一言発するのが癖になっていると、自分ではおかしいと気づかず、面接でも癖が出てしまいます。スムーズな受け答えを目指し、普段から使わないように意識しましょう。

電話面接によくあるトラブルに備える

スマホを操作する手元

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電話面接は、対面面接では起こりづらいトラブルに見舞われる場合があります。よくあるトラブルへの対処法を見ていきましょう。

相手の声が聞き取りにくい場合

面接官の声がよく聞き取れなかったときに、なんとなくの推測で答えると間違った回答をしてしまいます。後から「よく聞こえていませんでした」と伝えると、「なぜ、そのときに言わないのか」と思われてしまう可能性があります。

相手に気を使ったつもりでも結局は迷惑をかけることになりかねません。

聞き取れなかった場合は「申し訳ありませんが、質問の内容が聞き取れませんでした」と正直に伝えましょう。

電波が悪くなって一時的に声が聞こえづらくなった場合も、素直に状況を説明しましょう。聞こえているふりをして面接を進めてしまうと、後になって話に食い違いが出てしまいます。

通話が途中で切れてしまった場合

電話面接中に、意図せず通話が切れてしまう場合もあります。誤って電話が切れてしまった際は、すぐにかけ直して「申し訳ありません、お電話が急に切れてしまい失礼しました」と謝りましょう。

丁寧に謝ってから、電話面接を再開してもらうことが大切です。面接官以外の人が電話に出た場合は、状況を説明し担当の面接官に取り次いでもらいましょう。

「○○様に電話面接をしていただいていた、△△(自分の氏名)と申します。途中で電話が切れてしまったのですが、取り次いでいただけますでしょうか?」とお願いします。

企業側の事情で電話が切れてしまった場合は、相手からかけ直してくるケースもあるでしょう。相手がかけ直してきてくれたら「お手数をおかけします」「わざわざすみません」などの一言を伝えると、丁寧な印象を与えられます。

電話面接を成功させるポイント

パソコン、スマホ、時計などが置かれたデスク

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電話面接を成功させるには、どのような対策をすればいいのでしょうか。電話面接を成功させるポイントを紹介します。

話す内容をしっかり準備する

面接では、質問の答えを自分の言葉で話せるようにしておくことが大事ですが、緊張していると要点を忘れてしまう場合があります。気持ちに余裕があった方がうまく話せるので、電話面接の場合は手元にメモを置いて備えましょう。

ただし、メモがなければ話せないようでは、説得力がありません。面接官は、何かを見ながら話しているときとそうでないときの話し方の違いに気づくものです。

想定外の質問をされた場合にまるで答えられない状態では、印象を悪くしてしまうおそれもあるため、メモに頼りすぎないようにしましょう。

また、こちらから聞きたい内容をメモしておくと便利ですが、既に聞いた内容を再び質問すると「話を聞いていない」と思われてしまいます。会話中に出てきた内容は、何度も質問しないように気をつけましょう。

当日は早めに準備を完了する

電話面接の当日になって準備を始めるのではなく、前日までに準備を済ませておきましょう。当日は面接の時間が来るまで、余裕を持って行動します。

開始時間の直前に準備するのではなく、早めに電話の前で待機して電話面接の流れをイメージしながら、伝えるべき内容を頭の中で整理しておきましょう。

また、携帯電話の充電が面接の途中で切れないように準備することも重要です。途中で充電が切れると、準備不足な印象を与えてしまいます。30分~1時間程度は話すことをあらかじめ想定し、十分に充電しておきましょう。

事前に練習しアドバイスをもらう

可能であれば、電話面接に臨む前に、信頼できる人物に面接官役を頼んで練習してみましょう。友人や先輩などの第三者からアドバイスをもらえば、1人で練習するだけでは見つけられない改善点に気づくことができます。

答える前に「えー」「あのー」と言ってしまうなど話し方の癖がないかという点や、話すスピードや声の大きさ、声のトーンなどを客観的に判断してもらいましょう。

自分で録音した声を聞いてみる場合は、志望動機や自己PRなどで伝わりにくい部分がないかなどをチェックしてみましょう。

初めての電話面接は誰でも緊張するものですが、あらかじめ練習しておけば自信を持って本番に臨むことができるでしょう。

電話面接は事前準備が重要

スマホを操作する女性の手元

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電話面接であっても、万全の準備をしておけば、うまく受け答えをすることができるでしょう。前述の通り、対面面接とは違い、メモや資料を見ながら話せる点はメリットです。

ハンズフリー機能やイヤホンを使えば両手が自由になり、メモをとったり資料を見たりできます。

面接の所要時間は30分~1時間程度が一般的なので、充電が途中で切れないように準備しましょう。また、電話が切れてしまった場合の対策も押さえておけば、何があってもあわてずに済むはずです。可能ならば信頼できる人物に協力してもらって練習し、受け答えのクオリティーを上げておくとよいでしょう。

寿マリコ
【監修者】All About ビジネスマナーガイド寿マリコ

コミュニケーションでまごころを伝える、ビジネスマナーの専門家。池坊短期大学教授。日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程修了。勤務校でビジネスマナーやコミュニケーション、就職の面接対策講座を担当。企業や官庁関連機関で就労支援講座を行う。
All Aboutプロフィールページ

著書:
VUCA時代をよりよく生きるためのキャリア形成とコミュニケーションスキル(ナカニシヤ出版)
心地いい人がしている、人づきあいに役立つ習慣術(ぱる出版)
新社会人のためのビジネスマナー講座(ミネルヴァ書房)