社会人2年目が職場に求めるられることは?平均給与やボーナスもチェック

新入社員時代が終わり、社会人2年目に突入すると、自身の仕事や周りの環境が大きく変化していきます。平均給与額や、今後身につけるべきスキルを知りたい人も多いでしょう。社会人2年目になった社員に対して、職場が求めることを詳しく解説します。

社会人2年目に起こることとは?

スーツの男性

(出典) photo-ac.com

社会人2年目になると、どのような変化が起こるのでしょうか。具体的な例とともに、詳しく解説していきます。

新入社員の後輩ができる

社会人2年目になると、新入社員時代も終わり、1年間の業務をひと通りこなした存在として扱われるようになります。入社して1年しかたっていないのに、新入社員の後輩の面倒を見る立場になることも少なくありません。

後輩から質問されることで、自分でも分かっていなかった仕事の疑問点が可視化され、質問に答えられない…という場合もあります。入社して1年しかたっていないわけですから、仕事への理解度も先輩と比較すると劣っていると感じることが多いでしょう。

後輩に仕事を教える立場にあるけれど、自分の理解度に自信がないといったギャップから、ストレスを感じやすいのが特徴です。

同期が仕事を任され始め、差を感じることも

任される仕事量や評価など、同期との差が少しずつ現れ始めるのも、社会人2年目からです。入社して1年目は、同期が皆同じように仕事を教わる期間ですが、2年目になると個々のスキルに合わせて割り振られる仕事に差が出てきます。

上司や先輩は、自主的に学ぼうとしている社員や、仕事に対して前向きな姿勢の社員に仕事を割り振りたいと考えるものです。言われたことだけをこなす社員や、向上心のない社員に対しては、扱いに差が生まれてしまうこともあります。

同期との差を感じるという人は、仕事や自身のスキルアップに対する姿勢を、今一度振り返ってみましょう。

先輩や上司に初歩的な質問がしづらくなる?

社会人2年目になると、後輩ができることも重なり、上司や先輩から新人扱いされることはなくなります。仕事の理解度が周囲の期待ほど追い付いていない場合は、初歩的な質問や相談をしづらいと感じることもあるでしょう。

ただ、上司や先輩目線からすると、不安や疑問を一人で抱え込まず、なるべく相談してほしいと思うものです。どうしても自分で解決できないような問題に関しては、一人で抱え込まず、周りに相談してみるのも1つの方法と言えます。

ただ何度も同じことを聞いたり、自分で調べずに質問したりするのはNGです。まずは自分で調べて、「〇〇の部分について、自分では〇〇だと思いますがどうでしょうか?」というように、自分の考えを添えつつ質問することを心がけましょう。

社会人2年目の平均給与額は?

給与明細とお札

(出典) photo-ac.com

社会人2年目の平均給与額はいくらなのでしょうか。2年目は「住民税」を払い始める時期です。学歴別に平均給与額を紹介しましょう。

平均給与額は約21万円

高卒から大卒の人が社会人2年目にあたる男女20~24歳を対象に厚生労働省が行った調査によると、平均給与額は21万3,000円でした(賞与・手当含まず)。学歴別の平均給与額は下記の通りです。

  • 高卒:19万9,000円
  • 専門学校卒:21万4,100円
  • 高専・短大卒:21万700円
  • 大卒:22万9,400円

参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

「住民税」が引かれて手取り額は減少する

社会人2年目になると、住民税の控除が始まるため、1年目と比較して手取り額は減少する傾向にあります。

住民税は前年の所得に対して課せられるもので、後払いの税金です。具体的に支払い始める時期は、社会人2年目の6月からとなります。収入の増加と税金の増加に約1年のズレがあるため、社会人2年目で増えた収入分の住民税は、3年目に払うことになります。

会社員が納付する住民税は、前年の課税所得に税率10%をかけた「所得割」と、所得にかかわらず住んでいる自治体によって定額でかけられる「均等割」を合算して算出しています。社会人1年目の年収が200万円だとすると、住民税は1カ月で8,000円前後です。

社会人2年目の平均年収は?

通帳と電卓と札束

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社会人2年目の平均年収は一体いくらなのでしょうか?2年目は、ボーナスをもらい出す時期でもあり、年収が大きく変化する時期です。学歴や職業別に平均年収を紹介します。

平均年収は約256万円

高卒から大卒の人が社会人2年目となる男女20~24歳を対象に厚生労働省が行った調査をもとに試算よると、平均年収は約255万6,000円でした。前述した1カ月の平均給与額(月収)に12をかけて年収になるように計算しています(賞与・手当含まず)。

  • 高卒:238万8,000円
  • 専門学校卒:256万9,200円
  • 高専・短大卒:252万8,400円
  • 大卒:275万2,800円

参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

職業別の平均年収一覧

職業別の平均年収も見ていきましょう。男女20~24歳を対象に厚生労働省が行った調査をもとに、職業別の平均年収を算出しました。年収が高い5つの業種を紹介します。

  • 情報通信業:278万4,000円
  • 医療・福祉:270万4,800円
  • 金融業・保険業:268万2,000円
  • 学術研究・専門・技術サービス業:267万6,000円
  • 不動産業・物品賃貸業:266万8,800円

こちらも、1カ月の平均給与額(月収)に12をかけて年収になるように計算しています(賞与・手当含まず)。

参考:令和3年賃金構造基本統計調査(産業別)|厚生労働省

ボーナスの支給が始まり、年収はアップする

多くの企業では社会人2年目からボーナスの支給が始まります。1年目はボーナスの査定期間である10月~3月に在籍していないことから、ボーナスをもらえる機会がありませんが、1年間フルで働ける2年目は、ボーナスが満額支給になります。

社会保険の支払いが発生するため、1年目と比較して月々の手取り額は減りますが、年収ベースでみると大幅にアップするのが特徴です。早い人だと2年目で昇給したり、仕事を任され始めて残業し始めたりするため、さらに年収が上がる可能性もあります。

社会人2年目に会社が求めることとは?

ネクタイを締める男性

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社会人2年目に、会社が求めることはどんなことでしょうか?具体的な例とともに、詳しく解説します。

独り立ちの自覚を持つ

社会人2年目になると、会社からは「上司や先輩の仕事を手伝う」のではなく「自分の頭で考えて仕事をこなす」という、独り立ちの自覚が求められるようになります。

上司からは独り立ちの自覚を求められていても、2年目社員がそれを自覚しておらず、「自分はまだ周りに教えてもらう立場だ」と考えている場合、両者の間に大きなギャップが生まれ、ストレスになってしまいます。

社会人になると、「2年目だからもう独り立ちだぞ」と言われることも少なくないため、2年目社員自らが独り立ちの自覚を持つことが大切です。

多くの仕事量をこなす

新人時代に1年分の仕事を経験しているため、2年目からはよりスピード感のある仕事が求められるようになります。

1日のうちの限られた時間の中で、効率よく仕事をさばくタイムマネジメント能力が問われるだけでなく、成果をあげることを求められ出すのも2年目の特徴です。上司からの期待とともに仕事量は増え、残業が多くなり出す時期でもあります。

難易度の高い仕事をこなす

2年目社員がこなす仕事は、3年目に向けたステップアップのために、徐々に難易度の高い仕事をこなすことが求められます。

仕事の難易度に加え、仕事量と責任感も同時に求められるため、2年目社員になると「仕事についていけない」と感じる場面も多くなってくるでしょう。自分の理想と現実とのギャップにつらくなるのも社会人2年目の特徴です。

日々の仕事をただこなすだけでなく、仕事を覚えスキルアップする時間を確保することが重要になってきます。

後輩の指導を行う

2年目社員に新入社員の後輩がついた場合、後輩への指導力や、人間関係を築くコミュニケーション能力が求められるようになります。このとき、ただ単に仕事を教えるだけでなく、後輩のフォローや、理解度に合った指導が欠かせません。

2年目社員にとって、新入社員と同じ目線に立ち、相手に合わせて物事を考える力が重要になってきます。2年目社員は新入社員に一番近い存在なので、新入社員目線に立った指導が比較的しやすいと言えるでしょう。

また、自分が過去に経験した失敗談や、経験談を伝え、新入社員に対して自分の内面を開示することが、信頼し合える人間関係を築くポイントです。新入社員時代に指導してくれた先輩を思い浮かべ、ときには反面教師にして、後輩への指導にあたりましょう。

リーダーになるための準備をする

社会人2年目は、リーダーシップを養っていくことが求められます。数年後にリーダーやマネージャーといったマネジメント層として人の上に立つために、少しずつ準備を始めていくスタート時期であると言えるでしょう。

リーダーシップとは、単にリーダーになってチームをまとめるだけではありません。仕事を自分事としてとらえて当事者意識を持ち、「自分がどのように仕事と関わると、いい影響を与えられるか」と考え始めることがリーダーシップの基礎となります。

自分の周りにいるマネジメント層が、どのように仕事をこなし、周囲にどういった影響を与えているのか日々観察してみましょう。日々の小さな積み重ねで仕事への姿勢が変わり、リーダーシップの基礎能力が養われていきます。

社会人2年目が今後身につけたいスキルは?

手帳に記入する男性

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社会人2年目が今後身につけたいスキルとはどのようなものでしょうか?経済産業省が提唱している「社会人基礎力」をもとに、今後の長い社会人生活で活躍し続けるために求められるスキルを解説します。

参考:社会人基礎力(METI/経済産業省)

自分自身で深く考え抜く力

仕事に対して疑問を持ち、自分自身で課題を見つけて深く考え抜く力が今後必要とされてきます。考え抜く力には大きく分けて3つの要素があり「課題発見力・計画力・創造力」で構成されています。

「課題発見力」は、ただ与えられた仕事をこなすだけではなく、目の前の仕事に対して常に疑問を持ち、隠れた課題を見つける能力です。

「計画力」とは、自分で見つけた課題に対して、解決への道筋を立てて準備する能力を指します。解決に向けて取り組む中で、思わぬアクシデントが発生した際に、臨機応変に対処できるかが大切なポイントです。

「創造力」とは、自分で筋道を立てて問題解決した課題に対して、新しい価値を生み出す能力です。固定概念にとらわれない、柔軟な考え方が重要になってきます。

一歩前に踏み出す力

今の自分の現状から抜け出し、変化に対して前向きに対処する力です。一歩前に踏み出す力には大きく分けて3つの要素があり「主体性・働きかけ力・実行力」で構成されています。

「主体性」とは、物事に積極的に取り組み、自らの力で前向きに対処する力です。当事者意識を持ち、指示待ちをせず自ら動く力が求められます。

「働きかけ力」とは、周囲の人たちとのつながりを大切にし、多様性を受け入れ、周囲を巻き込む力を指します。チームで仕事をすることが欠かせない会社にとって、とても重要な力と言えます。

「実行力」とは、物事にチャレンジし、やりきる力です。仕事を最後までやりきるには、モチベーションや目的意識も重要な要素となります。

目標達成に向けてチームで働く力

会社の中で働くという事は、チームの中で目標達成に向けてともに協力する力が必要になります。チームで働く力には6つの要素があり、下記のように分類されます。

  • 発信力:自分の考えや意見を相手に伝える力
  • 傾聴力:相手の意見を聞く力
  • 柔軟性:多様性を認め、意見や考えの違いを受け入れる力
  • 情況把握力:自分と周囲との関わりから、関係性を読み解く力
  • 規律性:社会人としてのルールや規律を守る力
  • ストレスコントロール力:自分のストレスを上手にコントロールする力

チームで働くということは、相手を認めて多様性を受け入れる能力や、自分の意見を積極的に発信するスキルが必要になってきます。

社会人2年目は大きな分岐点!

タブレットを操作する男性の手元

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社会人2年目は、新入社員時代と比較して環境も変わり、会社から求められることも大きく変化する時期です。2年目からは独り立ちという意識を持つことが要求され、自ら積極的に行動することが重視されるようになってきます。

ただ1年間仕事をこなしただけなので、仕事への理解度も十分とは言えない時期です。ときには職場からの要求に戸惑い、挫折しそうになることも多いでしょう。

2年目からの仕事の取り組み方と姿勢で、今後の成長が大きく変わってきます。自分の可能性と未来を信じて仕事に取り組み、今後の成長につなげましょう。

 

久保田嘉郎
【監修者】All About 薬剤師ガイド久保田嘉郎

薬剤師。北里大学東洋医学総合研究所で漢方を、慶應義塾大学大学院で医療マネジメントを専攻。美容クリニックでの勤務、薬局開業を経て薬学部に社会人入学し薬剤師免許取得。これから薬剤師を目指す方、今後のキャリアアップについて考えている薬剤師の方に役立つ情報をお届けします。
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著書:
子宝漢方のひみつ
40代からは漢方でやせる。若くなる
薬剤師 (わたしの仕事)

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー