履歴書の「扶養家族の人数」って?正しい書き方をチェックしよう

用意した履歴書の様式に「扶養家族の人数」の項目がある場合、「扶養家族って何?」「間違って書いたときはどうすればいい?」など悩む人もいるでしょう。扶養家族の定義や、正しい書き方を紹介します。書き間違えたときの対処法も見ていきましょう。

履歴書にある「扶養家族の人数」の意味

履歴書

(出典) photo-ac.com

履歴書には、「扶養家族の人数」を記入する欄がありますが、そもそも扶養家族とは何なのでしょうか?履歴書に扶養家族の人数を記入する理由とともに解説します。

扶養家族の定義について

順調に書き進めていた履歴書の中で、扶養家族の人数の項目で手が止まってしまう人もいるでしょう。扶養家族とは「自身の給与で養っている家族」のことで、次の2種類があります。

  • 税法上の扶養家族:被扶養者は所得税・住民税の一部が免除される。結婚している配偶者・子どもの年間所得の合計額が48万円以下、もしくは給与収入のみの場合は103万円以下が条件。
  • 健康保険上の扶養家族:被扶養者は健康保険に加入できる。内縁の妻・夫も含み、年間収入が130万円未満かつ被保険者の年間収入の1/2未満が条件。

上記のうち、履歴書に書くのは「健康保険上の扶養家族」であることが一般的です。それぞれ考え方が異なるため、扶養家族の意味を理解していないと、間違った人数を記入してしまうことにもなりかねません。

扶養家族の人数を記入する理由

「なぜ履歴書に扶養家族の人数を書くの?」と疑問に思う人は少なくないでしょう。履歴書に記入する主な理由は、扶養家族の人数を元に会社側が手続きを行うためです。

扶養家族の人数から所得税の計算をしたり、各種手当の手続き・福利厚生の利用手続きをしたりなど、さまざまな処理がなされます。

そのため、適当な人数を書くのではなく、自分自身の扶養家族の人数は何人なのか、正しく理解した上で記入することが大切です。

【ケース別】扶養家族の人数の書き方

資料に記入する手元

(出典) photo-ac.com

扶養家族の人数の書き方は、配偶者や子どもの有無、同居家族の収入などそれぞれの家庭によって変わります。扶養家族の人数の適切な書き方を、ケース別に確認していきましょう。

【ケース1】独身で一人暮らしの世帯の書き方

一般的に、独身で一人暮らしなら扶養家族はいないので、次のように書きます。

  • 配偶者「無」
  • 配偶者の扶養義務「無」
  • 扶養家族数「0人」

ただし、独身の場合でも、離れて暮らす親族に生活費を送っているような場合は、扶養家族がいることになります。そのため、扶養家族に当たる人数を記入する必要があるのです。

なお、扶養家族に該当するかどうかは、その親族の年齢や年収によっても変わります。

【ケース2】独身で親(60歳代)と同居の世帯の書き方

同居している親にも収入がある場合、「扶養家族からは外れるのでは」と思いがちですが、条件が合えば扶養家族に含まれます。

通常、年収が130万円以上ある家族は扶養家族には含まれませんが、次の条件に当てはまる場合は例外です。

  • 60歳以上75歳未満であること
  • 年収が180万円未満で、被保険者の年間収入の半分未満であること

そのため、仮に母親を扶養しているとすると、以下の書き方になります。

  • 配偶者「無」
  • 配偶者の扶養義務「無」
  • 扶養家族数「1人」

【ケース3】既婚で夫婦が共働き(子どもなし)の家庭

夫婦で共働きしているケースでは、配偶者の収入額により扶養義務が変わります。扶養家族の人数には、配偶者は含めない点にも注意しましょう。

【配偶者の収入が130万円以下の場合】

  • 配偶者「有」
  • 配偶者の扶養義務「有」
  • 扶養家族数「0人」

【配偶者の収入が130万円以上の場合】

  • 配偶者「有」
  • 配偶者の扶養義務「無」
  • 扶養家族数「0人」

配偶者の年収が、「130万円」以上あるかどうかで分かれることがポイントです。

【ケース4】既婚で配偶者が専業主婦/主夫(子どもあり)の家庭

配偶者が専業主婦/主夫で収入がない場合は、【ケース3】の通り、配偶者の扶養義務が発生するため「有」となります。

さらに子どもがいるケースでは、子どもの収入の有無や収入額に応じて、扶養家族の人数に含めるかが変わってきます。

【配偶者が専業主婦/主夫、子ども1人(収入なし)の場合】

  • 配偶者「有」
  • 配偶者の扶養義務「有」
  • 扶養家族数「1人」

【配偶者が専業主婦/主夫、子ども1人(収入が130万以下)の場合】

  • 配偶者「有」
  • 配偶者の扶養義務「有」
  • 扶養家族数「1人」

【配偶者が専業主婦/主夫、子ども1人(収入が130万以上)の場合】

  • 配偶者「有」
  • 配偶者の扶養義務「有」
  • 扶養家族数「0人」

履歴書の記入を間違えた場合の対処法

履歴書入りの封筒を差し出す

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履歴書を書き間違えてしまった経験は、社会人なら一度はあるでしょう。少しの間違いや、後から間違いに気が付いた場合の対処法と2つのポイントを解説します。

新しい履歴書で書き直しが鉄則

修正テープは、間違えたときにキレイに修正できる便利なアイテムですが、履歴書で使うのは避けましょう。

履歴書は、個人情報から経歴まで正しい情報を企業に開示するための書類です。修正テープで修正されていると、書類としての信頼度が低くなってしまいます。見栄えが悪いだけでなく、本人が修正したものかどうかは会社側には分かりません。

扶養家族の人数の欄は、項目自体も小さいため、重要な項目とは一見分かりにくいものです。しかし、会社側が手続きに使う大事な項目のため、正しい数字を記入する必要があります。

間違えた場合は修正するのではなく、新しい履歴書に一から書き直すようにしましょう。

履歴書提出後に間違いに気付いたら

履歴書を提出した後に、「あの項目、もしかして間違えたかも」と書き間違いに気が付くこともあります。この場合、間違いをそのまま放置しないことが大切です。

「間違えたのは一部だし、黙っていれば大丈夫」とそのままにしていると、誤った情報が企業側に伝わっているのにもかかわらず、正式な情報として処理されてしまいます。

間違いに気が付いた時点で、できるだけ早く提出先に履歴書の訂正を伝え、正しい情報に修正しましょう。

連絡の手段は、直接担当者と話せる「電話」がベストです。メールで連絡をすると、相手方の担当者が見落とす可能性があります。

落ち着いて速やかに対処することが、社会人として信用される行動です。訂正をするときは、こちら側の不手際であることを意識し、提出先には誠実に対応しましょう。

履歴書に扶養家族を正しく記載しよう

履歴書と封筒

(出典) photo-ac.com

「扶養家族の人数」は、履歴書で書く機会の多い項目の1つですが、内容をよく理解していないと間違いやすいため注意が必要です。正しい扶養人数を書くには、扶養家族の定義を知ることが大切です。

正しく記入された履歴書を提出することが、アピールや信用につながります。扶養人数の定義を理解し、自分の状況に合った正しい数を記入しましょう。

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー