自己PRを1分で話すポイントは?まとめ方や練習法をチェック

転職活動で面接を受ける際に、面接官に自己PRを1分で話すように指示されることがあります。事前に準備しておかないと、うまくまとめられず焦ってしまうでしょう。自己PRのまとめ方のポイントや、練習方法などを紹介します。

自己PRを1分でまとめる方法

時計を確認するスーツの男性

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自己PRを1分程度にまとめるには、コツが必要です。どのようにしてまとめればよいのか、見ていきましょう。

1分間で話せる文字数は300文字程度

相手に内容を分かりやすく話す速さを文字量に換算すると、1分間に300文字程度です。書いた文章を丸暗記し思い出しながら話すと感情を込めにくいので、履歴書に記載した自己PRをもとに、自分の言葉で話せるように準備しておきましょう。

履歴書の内容と一言一句同じ内容にする必要はありませんが、要点は同じになるように話します。履歴書に書いた文字量が少ない場合、書き切れなかったエピソードを加えると内容をより充実させられます。

伝えるべき要素だけを盛り込む

自己PRを1分程度に収めるには、伝えるべき要素だけを盛り込みましょう。できるだけ多くのアピールポイントを語りたくなる人もいるかもしれませんが、指定された時間を大幅に超えて話してしまうと評価が低くなります。

話が長すぎると、話を簡潔にまとめる能力がないと思われてしまうでしょう。長所や強みなどがいくつもある場合は、1つに絞って伝えます。

それでも話が長くなってしまうときは、アピールポイントを裏付けるエピソードをいくつも盛り込んでいないか、チェックしましょう。

話す速度も重要なポイント

自己PRを300文字程度にしても、話す速度によっては1分にまとめられない場合があります。早口で話せば1分未満になったり、ゆっくりと話しすぎれば1分をオーバーしたりしてしまうでしょう。

面接で緊張していると、つい早口になりがちです。早口で話すと何を言っているのか聞き取りにくく、焦っていると思われます。

普段の口調や速度で話すのではなく、面接官に内容が伝わりやすいよう、ややゆっくりとした口調で、落ち着いて話しましょう。

自己PRを1分程度にまとめる理由

手帳にメモを取る男性

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自己PRを1分程度でまとめる理由が分かっていた方が、うまく伝えやすくなります。まずは、なぜ1分程度でまとめる必要があるのか見ていきましょう。

面接官に話の要点を端的に伝えるため

自己PRを1分程度にまとめる理由は、面接官に話の要点を伝えやすくするためです。グループ面接の場合は1人で持ち時間を多く使ってしまうと、ほかの人にも迷惑をかけてしまうので必ず持ち時間を守りましょう。

また、1分程度で言いたいことを端的にまとめられれば、情報をきちんと整理して言語化する力があると評価されるはずです。企業は限られた時間で全ての応募者を面接しなければならないので、内容を簡潔に話すことを求めています。

自分を客観視できていると伝えるため

自己PRを1分程度でまとめる理由は、面接官に自分を客観視できていると伝えるためでもあります。

実際の業務をうまく進めるには、主観的な考えだけでなく、客観的な視点が必要です。仕事で壁にぶつかったとき、多角的な視点や、周囲の意見を取り入れながら解決するために何が必要かを判断しなければ、うまくいきません。

そのため的確に自己PRをできれば、仕事に必要な能力を備えているとアピールできます。

面接官がチェックしているポイント

バインダーを手にしているスーツの女性

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自己PRは、志望動機と同じように重要視されている質問です。面接官はどんな点をチェックしているのか、見ていきましょう。

自己分析が十分にできているか

面接官は1分間の自己PRを聞き、応募者が十分に自己分析できているかをチェックしています。自分の強みを仕事でどのように生かせるのかを言語化するには、自己分析が欠かせません。

自分を客観視し、長所・短所・強みなどを理解していれば、向いていない職種や企業を選ばずに済みます。企業は長く働いてくれる人を採用したいと思っており、早期退職をする可能性がある人を雇うのはリスクが大きいのです。

また、自己分析ができているかチェックすることで、仕事をうまく進められる人物であるかもチェックされています。

仕事をうまく進めるには、物事をさまざまな角度から見て判断しなければなりません。例えば、商品やサービスを売り込む際にアピールすべきポイントを見つけられないと、購入につながらないでしょう。

自社とのマッチング

面接官は自己PRの内容から、自社とのマッチングもチェックしようとしています。応募者がアピールした強みを自社で生かせないと感じる場合は、ほかの企業で働いた方が活躍できると判断されるでしょう。

よい評価を得るには、企業が求める人物像や社風に合っている内容を話しましょう。面接官に自社の利益に貢献してくれそうな人物だと判断してもらえれば、採用される可能性が高まります。

人間性やポテンシャル

自己PRの内容からは、応募者の人間性やポテンシャルも見えてきます。企業は一緒に働きたいと思える人材を求めているので、能力が高くても人間性に問題がありそうだと判断されると不利になってしまいます。

例えば、接客業は顧客のニーズに合った行動を取らなければならないので、「気配り上手」「人の立場になって物事を考えられる」などを示せるエピソードやアピールポイントを挙げられる人の方が、評価が高くなります。

アピールポイントの見つけ方

考え事をする女性

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自己PRで何をアピールすればよいのか分からないと、自信を持って話せません。アピールポイントを見つける方法を見ていきましょう。

褒められた出来事を振り返ってみる

自己PRで使えるアピールポイントが見つからないときは、過去に褒められた出来事を振り返ってみましょう。第三者にどのように評価されているかは、自分を客観的に判断する要素の1つです。

例えば「いつも元気だね」「頑張り屋だね」など、ちょっとした褒め言葉からも、アピールできるポイントが見つかることは珍しくありません。褒められた内容を掘り下げ、仕事と結び付ければ立派な自己PRになります。

仕事での成功と失敗を書き出す

これまでの仕事での成功や失敗を全て書き出し、応募先に合うものを選ぶ方法もおすすめです。成功体験は何をしてどのような結果を得たのか、という流れで思いつくものを全て書き出してみましょう。

失敗した経験を強みに言い換える場合、例えば「あらゆる可能性を考えすぎ、迅速に行動できなかった」という失敗談があると仮定しましょう。

このとき複数の選択肢や可能性を考えた慎重さは、強みになります。失敗談からも、自分の強みを探し出せると考えましょう。

長所を掘り下げる

自己PRでは長所を掘り下げていくとアピールできるものが見つかります。ただし、仕事に結び付けて表現できないと、よい印象は与えられません。

例えば、コミュニケーション能力が高い点が長所であっても、仕事でどのように役立てているかは人それぞれです。人の話を聞くのが得意な人もいれば、対象をよく観察して必要なアクションを起こせるという人もいます。

長所を一言で言い表そうとする必要はありません。どんな場面でどのようなことができるのかを、具体的に伝えられるようにしましょう。

1分間の自己PRに盛り込むべき要素

面接を受ける3人の女性

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1分間という短い時間で上手に自己PRをするには、盛り込むべき要素を理解する必要があります。何を盛り込めばよいのか、チェックしましょう。

企業に貢献できるポイント

自己PRでは自分の長所を伝えるだけでなく、どうやって企業に貢献できるのかを盛り込みましょう。自分のこれまでの経験や、何を得意としているのかを冒頭で述べ、具体的にどう貢献していくかという流れで話を組み立てるとよいでしょう。

企業への貢献というと、どのように売り上げを伸ばすかという方向に考えがちですが、職種によって貢献の方法はさまざまです。仕事内容への理解が不足していると、間違ったアピールをしやすいので注意しましょう。

自己PRの根拠となるエピソード

どんなに素晴らしい自己PRでも、信憑性に欠けると思われてしまうとよい評価は得られません。自己PRで伝える長所や強みは、根拠となるエピソードとセットで語れるように準備します。

自己管理ができる点をアピールしたいなら、どんな場面で自己管理力を生かしているのか伝えられるような準備が必要です。

例えば、過去に準備不足が原因で失敗した経験から「細かなタスク整理」「スケジュールへの落とし込み」「定期的な進捗確認」を意識的に行っているなど、具体的なエピソードを伝えましょう。

仕事への生かし方

自己PRでは、仕事への生かし方が分かる長所や強みを伝えます。長所や強みを、応募先でどう生かすのかが分からないと、面接官は応募者に好印象を抱けません。

自己PRで応募先の企業や商品がどれだけ好きかをアピールしても、仕事への生かし方が分からなければ、よい評価は得にくいといえます。

応募先の企業を好きという気持ちを、仕事にどのように生かすかを伝えることが大事です。「この人なら、こういう仕事の仕方をしてくれそう」と、イメージさせられる内容にしましょう。

自己PRを考える際の注意点

デスクに座る男性

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必要な要素を全て押さえても、間違った方向にアピールしてしまうと失敗してしまいます。自己PRを考える際の注意点を見ていきましょう。

応募先の企業に合ったPRをする

自己PRは、応募先の企業が求める人物像や社風を理解した上で考えましょう。募集要項だけでなく企業のホームページやSNSなどから、どんな人材を求めているのか見えてきます。

自己分析だけでなく企業研究もしなければ、面接官の心に響く内容にできません。複数のアピールポイントがある人は、その企業に合うものを選びましょう。

面接官は、自社で生き生きと活躍してくれる人を求めています。自社に合わない人物を採用してしまうと早期退職のリスクがあり、双方にとって利益になりません。

一貫した人物像を意識する

自己PRを伝える際は志望動機や長所などと矛盾がないように、一貫した人物像を意識しましょう。ほかの項目と自己PRの内容が矛盾すると、どちらかが間違っていることになり、説得力がなくなってしまいます。

かといって、自己PRと志望動機を全く同じ内容にすれば手抜きをしていると思われ、志望度が低いと判断されてしまうでしょう。

自己PRは過去の経験から何を得てきたのかを中心に考え、志望動機は入社後に実現したいことといったイメージを持って書き分けることをおすすめします。

1分で話す自己PRの例文

パソコンを操作する男性

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よくあるアピールポイントの例文を見ると、どんなことを伝えればよいのかイメージしやすくなります。自己PRを1分でまとめる際の例文を見ていきましょう。

コミュニケーション能力が高い

コミュニケーション能力は、多くの企業で重視されます。社外の人と接する仕事ではなかったとしても、社内の人とうまくやっていく上で欠かせない能力です。

【例文】

私は、さまざまな人とコミュニケーションを取ることが得意です。前職では10代から60代まで、さまざまな人と一緒に働く環境でした。

従業員同士で意見が衝突することがあり、業務に支障をきたすことが日常的になっていました。争いが起きたときに不公平感がなくその場を収めるには、1人ひとりの話を聞くことが重要だと考えて実行しました。

さまざまな人の話を聞くうちに、相手の意見を否定せずに受け入れ、自分の意見も言うことがお互いを分かり合うために必要だと学びました。

私が希望する営業事務では営業職を的確にサポートするために、よくコミュニケーションを取り、相手の立場になって行動することが必要だと思います。

御社でも、前職で身に付けたコミュニケーション能力を生かし、早く職場の人々と打ち解けて仕事がしやすい環境を作りたいです。

忍耐力がある

忍耐力がある人はつらいことや苦しいことに耐え忍ぶことができ、1つのことを長続きさせられます。粘り強さや継続力と言い換えることもでき、さまざまな職場で重宝される能力です。

自己PRでうまく伝えるには、忍耐力を生かしてどんなことをしたのか盛り込みましょう。

【例文】

私は忍耐力があり、困難なことでも逃げずに立ち向かえます。前職は、新人でもどんどん仕事を与えてくれる方針でしたが、新人教育やマニュアルなどがなく体当たりで仕事を覚えることを求められました。

始めたばかりの頃はどうしたらよいか分からず、固まってしまうことがありましたが、1人前の仕事ができるようになるには、自分から分からない点を積極的に質問したり、マニュアルを作成したりすることが重要だと感じ、実行しました。

自分なりに注意点やコツなどをまとめて、同じ失敗を繰り返さないようにし、後輩を指導する際にも自分で作成したマニュアルを役立てました。

これからも少々の困難には辛抱強く接して、自分を成長させるチャンスだと考えて仕事に取り組んでいきたいです。

リーダーシップがある

リーダーシップがなければ、組織を牽引できません。多くの企業で、リーダーシップがある人材の需要があります。上手にアピールするには、どのようにチームをまとめる工夫をしてきたのか伝えましょう。

【例文】

私は自分から積極的にコミュニケーションを取って、チームをまとめるのが得意です。前職では軽作業チームのリーダーとして、チームの全員がスムーズに仕事ができるように取り組んできました。

特に新人の指導には力を入れ、作業全体の流れを把握してもらうことから始め、仕事内容を理解できるように努めています。仕事内容についての理解が薄いと、失敗を繰り返す原因になるためです。

チームワークを高めるために、お互いが声を掛けやすい雰囲気作りにこだわり、分からないことがあれば遠慮せずにどんどん声を上げてもらうようにしました。

すると、チームワークが高まり仕事のミスも減らせたのです。今後もチームワークを高めるために何が必要かを考え、行動していきたいと思っています。

自己PRを伝える際の注意点

ストップのイメージ

(出典) photo-ac.com

自己PRの内容に問題がなくても、伝え方を間違えるとマイナスの評価を受けてしまいます。1分間で自己PRを伝える際の注意点を見ていきましょう。

アピールポイントを絞る

自己PRで伝える長所や強みは1つに絞って、具体例で補足しましょう。1分は短いので、あれもこれもとアピールポイントを伝えようとすると、内容がブレてしまいます。

1つに絞った方が内容が薄くならず、要点を伝えやすくなります。複数の長所や強みを1分間の中に盛り込もうとすると、面接官は「結局、この人が1番伝えたいことは何なのだろう?」と思ってしまい、人柄をうまくイメージできません。

たくさんのアピールをしたつもりが、肝心な部分を分かってもらえなかったという事態に陥ってしまうでしょう。

口癖や話す態度に注意する

自己PRを伝える際は、口癖や話す態度に注意しましょう。話す前に、つい癖で「あー」「えーと」などの無駄な言葉を入れてしまうことがあります。

自分では気付かなくても、ほかの人から見ると気になるものです。面接では緊張しやすいので、意識して直しましょう。

話すときの態度にも注意が必要です。自分をアピールする部分なのに、熱意に欠けたりおどおどして自信がなかったりする態度だと、マイナスの評価を受けます。

丁寧な口調を心掛ける

面接ではビジネスシーンであることを意識し、丁寧な口調を心掛けましょう。話が弾んで面接官との距離が近くなると、つい親し気な口調で話してしまいがちです。

砕けた口調で話すと、その場に相応しい言葉遣いができない人だと思われます。基本的にはですます調の敬語で話し、「○○なんですよね」「○○ですよ」などの語尾は避けましょう。

一人称は「わたくし」を使用し、企業のことは「御社」と表現します。文章で書くときは「貴社」を使用するので、混同せずに使い分けましょう。

1分間で自己PRをまとめる練習法

スマホを操作する女性

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自己PRを1分にまとめて話せるようになるには、練習が必要です。準備不足は失敗する原因になります。すぐに取り組める練習法を見ていきましょう。

ストップウォッチで計測しながら話す

自己PRをまとめたら、声に出して読んでみましょう。スマホや時計のストップウォッチ機能を使用し時間を計測すると、話し終えるまでにどれだけ時間がかかっているのか判断できます。

ストップウォッチを使用すれば、誤差が正確に分かり修正できるでしょう。何度も計測しながら練習することで、1分間の感覚が身に付くようになります。

面接当日に自信を持って話すには、自信が持てるようになるまで練習を繰り返すことが大事です。もし、本番で緊張してしまっても何度も練習したことを思い出せば、平常心を取り戻せます。

録音・録画をして客観的にチェックする

自分が話しているときの様子を客観的に知るには、スマホで録音や録画をする方法がおすすめです。自分ではゆっくりと喋っていると思っても、録音した音声を聞いてみると早口に聞こえるケースは少なくありません。

話す速度だけでなく、声量もチェックします。面接会場が広いと、普段話している声では面接官のところまで届きません。はっきりと声を届かせるには、やや大きめの声で話しましょう。

録画すれば、話しているときの目線もチェックできます。目線をキョロキョロとさせると落ち着きや自信がない印象を与えるので、できるだけ面接官の方へ視線を向けて話しましょう。

第三者に聞いてもらう

何度も練習して自分では完璧だと思っても、第三者が聞くと改善点が見つかることがあります。できれば、友人や家族などに自己PRを聞かせて、どのような印象を持ったか教えてもらいましょう。

分かりにくい表現が見つかったり、自分では気付かなかった話し方の癖などが見つかったりすることは珍しくありません。

あまり関係が深くない間柄の人だと、遠慮して本音を言い出せない心配があるので、親しい人に協力してもらう方法がおすすめです。

要素をまとめ落ち着いて話せるように準備しよう

スピーチのイメージ

(出典) photo-ac.com

自己PRを1分間で行うには事前に自己分析を徹底的に行い、盛り込むべき要素を押さえることが大事です。面接官は応募者の人間性を知り、企業とのマッチングをチェックしようとしているのだということを忘れずに自己PRをまとめましょう。
 
短い時間で要点を伝えなければならないので、アピールポイントを1つに絞ってどのように企業に貢献できるかを伝えます。話す速度や口癖などもチェックし、自信を持って落ち着いて話せるようになるまで練習を積み重ねましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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著書:
人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備