転職を検討し、応募先から職務経歴書の提出を求められた場合、どのように書けばよいのでしょうか?特に、初めての転職では書き方に悩むことも多いでしょう。項目が多いため、それぞれの書き方や主な例文を紹介します。簡単に書くための方法も確認しましょう。
職務経歴書を簡単に書くための下準備
職務経歴書はさまざまな形式があり、何も準備をせずに書こうとすると行き詰まってしまう可能性があります。まずは下準備をして、スムーズに書く段取りを進めましょう。基本のポイントを紹介します。
出典:ハローワークインターネットサービス - 履歴書・職務経歴書の書き方
テンプレートや見本を用意する
職務経歴書には、さまざまなテンプレート・見本があります。まずは、書きやすいものを見つけましょう。
テンプレートがあれば、指示に従って書き込んでいくだけで職務経歴書が完成します。自分で内容を決める必要がないため、簡単です。
ハローワークでも、職務経歴書の記載例や書き込んで使える別冊ワークブックを配布しています。まずは、基本の形を確認しましょう。
そのほか、通販サイトや文具店で職務経歴書の購入も可能です。手書きにはなりますが、書き込むだけで完成します。
別冊ワークブックや市販の商品が合わないときは、インターネットで配布されている無料テンプレートを探してみるのもよいでしょう。
基本項目を理解する
職務経歴書をスムーズに作成するためには、基本項目の理解が欠かせません。ある程度自由に作成できるからこそ、最低限書くべき内容を押さえておく必要があります。
まず、表題・提出日・氏名・職務経歴は必須項目です。どのような形式を選ぶとしても、必ず記入しましょう。
また、よほど経歴が短くない限り、内容を簡単にまとめた職務要約も記入します。資格・スキルや自己PRなど、自分の経歴・強みをアピールできる項目も書き込みましょう。
これまでの経歴に合わせた形式を選択
職務経歴書は、一般的に編年体式・逆編年体式・キャリア式・フリースタイルから、形式を選んで記入します。
編年体式は経歴を古い順に記入する方法で、逆編年体式は経歴を新しい順に書いていく形式です。
キャリア式は、仕事内容や職種別に分けて内容を記入します。フリースタイルは、それ以外の柔軟な書き方です。
もし今までの経歴と合わない形式を選んでしまうと、応募先へのアピールがしにくく作成も難しくなります。
簡単に職務経歴書を作成するポイント
実際に作成を始めるときは、作成方法や適切な用紙のサイズ、枚数も把握しておきましょう。ある程度方向性が分かっていれば、職務経歴書もまとめやすくなります。
パソコンで作成し効率を重視する
職務経歴書は決まった形式がないことから、パソコンでの作成が一般的です。手書きが望ましいかどうかは、応募先の募集要項や仕事内容によって変わります。
パソコンで作成すると、基本の部分は使い回しができます。応募先が変わっても、氏名やこれまでに勤めた社名・期間に変わりはありません。
基本の部分だけを作っておき保存しておくと、応募先に合わせて作り変える部分のみを入力すればよいため、時間が短縮できます。
修正・追記も簡単にでき、ファイルを保存しておけば、面接対策のために何枚もコピーを取っておく手間が省けるでしょう。
A4用紙1~2枚が適切な枚数
職務経歴書のサイズや枚数は、A4用紙に1~2枚が基本といわれています。職務経歴書は応募先へのアピールが中心となるため、全ての職歴を詳細に書く必要はありません。
履歴書にしっかり職歴が書かれていれば、応募先と関連する仕事を中心に書いても問題はないでしょう。
転職回数やキャリアによっては枚数が増える可能性もありますが、なるべくボリュームを調整して、採用担当者が読みやすい1~2枚にまとめます。
職務経歴書の書き方を簡単に解説【項目別】
職務経歴書には、職務経歴以外にさまざまな項目を書き込みます。それぞれ、基本的な書き方と書くべき内容を確認しましょう。項目を順番に記入していけば、抜けや漏れがありません。
表題・日付・名前の書き方
職務経歴書の必須項目でもある表題・日付・名前を書くときは、以下のポイントに注意しましょう。職務経歴書の一番上に書く内容でもあり、採用担当者の目に留まりやすい部分です。
誤字・ミスがないよう、しっかり確認しましょう。まず、表題は基本的に「職務経歴書」が一般的です。日付は、応募先に提出する日を記入します。
年号は西暦・和暦どちらでも構いませんが、職務経歴書内で統一し、提出する他の書類ともそろえる方が好印象です。
職務要約の書き方
職務要約は必須の項目ではありませんが、職務経歴が長くなる場合や、応募先にアピールできる職歴をピックアップしたい場合に書き込みます。複数の職歴があるときや、担当していた職務内容が多いときには、積極的に記入しましょう。
基本的には、200字程度で短くまとめるのがポイントです。なるべく在籍期間が長い勤務先や、前職の勤務先について詳細に記入しますが、応募先との関連があるかも考えた上で、必要な職歴を抜き出すようにしましょう。
職務要約を書くと、採用担当者が全体の概要を把握しやすくなり、アピールが目に留まる可能性も高くなります。
職務経歴の書き方
職務経歴には、これまでの職歴や職務内容をまとめます。
職歴として書く主な内容は、社名・在籍期間・事業内容や規模・所属部署・役職・雇用形態などです。必要に応じて項目を増減しても構いませんが、社名と在籍期間は書いておいた方が分かりやすいでしょう。
職歴だけでなく、それぞれの会社で担当していた職務内容をまとめるのも大切です。具体的な業務内容や、実績を記入しましょう。
スキルや資格の書き方
保有スキルや資格を書くと、応募先へのアピールにつながります。職歴の下に、スキルや資格を書く欄を設けましょう。
主な内容として、パソコンスキル・語学スキル・保有資格・職業訓練や研修の成果などがあります。
特別なスキルや資格を持っていない場合、転職先で生かせそうな経験を書いても構いません。ボランティアや仕事以外での活動であっても、仕事に生かせそうな内容であればアピールしましょう。
自己PRの書き方
職務経歴書には、自己PRや志望動機も記入できます。履歴書にも自己PRや志望動機を書く欄はありますが、職務経歴書では履歴書の補足や職歴に関するアピールが可能です。
これまでの仕事で得た自分の強みや、応募先でどのように働きたいかなど、性格・特性を交えて書いていきます。
自己PRは長すぎず、短すぎない内容を意識しましょう。300字程度が一般的ですが、アピール内容のボリュームによって文字数が前後しても問題はありません。
職務経歴書の職務要約の例文【職種別】
職務経歴書に書く「職務要約」は、職種によって基本的な書き方が異なります。主な職種の例文と、書き方のポイントを確認しましょう。
職務要約の例文【営業職】
営業職に応募する場合、これまでの職歴から「コミュニケーション能力」や「積極性」をアピールできる項目を抜き出すのがおすすめです。
また、営業経験がある場合は、実績を数値で表すと説得力が増します。
【例文】
新卒入社から5年間、○○で接客業務を担当していました。主な業務内容はレジでの接客とホールでの注文受付です。特にお客さまとのコミュニケーションを重視し、サービスの質向上に努めました。これまでの経験を生かして、次のステップとして営業職でのキャリアを築きたいと考え、転職を決意しました。
職務要約の例文【事務職】
事務職に応募する場合、これまでの職歴から「パソコンスキル」「事務職の経験」「真面目にコツコツ頑張る性格」を伝えられる項目をピックアップして、アピールするのがおすすめです。
事務経験がある場合、経験のある仕事内容を具体的に記入すると、アピールポイントになるでしょう。
【例文】
大学卒業後、4年間○○株式会社で一般事務を担当していました。主な業務は、Excelでの売上表作成や取引先・顧客対応です。在職中に簿記2級の資格を取得し、業務の効率化と正確性の向上に努めました。これらの経験とスキルを生かし、経理事務の仕事に挑戦したいと考え、転職を決意しました。
職務要約の例文【介護職】
介護職に応募する場合、職務要約には「介護に対応できる体力・精神力」「介護の経験やスキル」をピックアップすると効果的です。
介護経験がある場合は具体的な経験を交えて、これまでの経歴が分かるようにまとめましょう。
【例文】
○○高校を卒業後、○○で3年間、荷物運搬の仕事をしていました。体力とチームワークを生かして、安全かつ効率的に業務を遂行しました。介護の仕事に興味があり、資格を取得して専門的な仕事に就きたいと考え、退職後に職業訓練で介護職員初任者研修を受講しました。今後は、実務経験を積みながら、介護福祉士の資格取得を目指しています。
職務経歴書の自己PRの例文【職種別】
応募先の職種によって、「自己PR」に書く内容は変わってきます。営業職・事務職・介護職の例文と、書き方のポイントを見ていきましょう。
自己PRの例文【営業職】
応募先が営業職で、営業経験がある場合は「実績」「努力したこと」「自分の強み」などを自己PRに盛り込みます。特にこれまでの仕事で、応募先に関連する業務の実績がある場合は積極的に伝えるようにしましょう。
【例文】
新卒入社から6年間、自社サービスを販売する個人営業として働いてきました。お客さまのニーズを把握し、それに合ったサービスを提案することを重視しており、担当顧客とのコミュニケーションに時間をかけています。2022年の上半期には、○○営業所に所属する営業社員30人のうち、個人売上3位を達成しました。これまでの経験を生かし、貴社の販売目標達成に貢献できるよう努力を続けたいと考えています。
自己PRの例文【事務職】
事務職への応募で、これまでの経験をアピールする場合、社内・社外とのコミュニケーション能力や、事務に関するスキルを盛り込むのがおすすめです。
保有しているスキル・資格は別途書きますが、自己PRではスキルを使って何ができるのか、具体的に説明すると説得力が増します。
【例文】
これまで、営業事務として営業職のサポート役を務めてきました。各社員からの要望を受け、お客さまに商品説明をするための資料や、納品・売り上げに関わる書類を作成してきたため、Excel・Word・PowerPointでの資料作成は一通りこなせます。取引先・顧客との電話対応も担当しており、事務や電話対応でお役に立てると考えております。
自己PRの例文【介護職】
介護職に応募する場合、自己PRには「関連業務の経験」「やる気」「体力」「資格を生かしてできること」などをアピールするのがよいでしょう。未経験の場合は、仕事に対する熱意や、学ぶ姿勢を伝えるのもおすすめです。
【例文】
前職の営業職では○○を担当しており、高齢のお客さまと接する機会も多かったことから、介護施設の利用者さまとのコミュニケーションも取りやすいと考えています。介護業界は未経験ですが、営業で培った会話力と体力を生かしてサポートをしていきたいです。
見やすい職務経歴書を作成するコツ
採用につながる職務経歴書を作成するには、「見やすさ」も重視しましょう。内容以外に、気を付けたいポイントを紹介します。少し注意するだけで、格段に見やすい書類が出来上がるでしょう。
書体と文字サイズを統一する
パソコンで職務経歴書を作成する場合、書体や文字サイズの選択が必要です。基本的には、書体と文字サイズは統一します。
フォントは、明朝体が一般的です。明朝体以外を選択する場合でも、ビジネスで使われる基本のフォントから選択しましょう。
文字サイズは、見出しや強調を除いて11ポイントが一般的です。見出しや強調部分は、別途統一しましょう。Wordでの作成であれば、「スタイル」から見出しサイズの選択ができます。
基本の装飾を使って目立たせる
職務経歴書では複数の項目を記入するため、文字の装飾が必要になる部分があります。見出し設定や強調など、基本的な作業です。
ビジネスでは過度な装飾は不要ですが、書類を見やすくするための基本的な装飾は欠かせません。
表題の文字をタイトルとして設定し、各項目に見出しを付けて分かりやすくしましょう。アピールしたい部分には太字を使うと、採用担当者の目に留まりやすくなります。
箇条書きや表を活用する
職務経歴書に書く内容によっては、箇条書きや表を活用するのもおすすめです。特に職務内容や実績など、短い文章で複数の項目をまとめる場合は、箇条書きが向いています。文章で書くと読みにくくなる項目もあるため、うまく使い分けましょう。
そのほか、何らかの細かい実績や数値を表現するときは、表を使うと分かりやすくなります。表を使うときは、公開してよいデータなのかを確認した上で、著作権に配慮するためなるべく自作のものを使用するのが無難です。
職務経歴書に書かない方がよい内容
「職務経歴書には多くの経歴を書かないといけない」と思いがちですが、書かない方がよい内容もあります。履歴書とはルールが異なるため、書かなくてもよい内容も把握しておきましょう。
応募先の求める人材と一致しない自己PRや実績
職務経歴書は、応募先にアピールするために提出します。明らかに応募先とは無関係な内容や、プライベートな経歴を細かく書くのは避けましょう。
転職経験や仕事内容が多い人は、職務経歴を全て書いてしまうと膨大な量になります。書類を読む相手の立場になって、関係のある内容をピックアップしましょう。
もちろん、無関係な職種やプライベートな内容であっても、プラスに働くと判断できる場合は書いても構いません。
特別な事情を除く退職理由
詳細な退職理由は、基本的に職務経歴書に書かなくてもよい内容です。在籍期間のみ書くか、「一身上の都合」などでまとめます。
全ての職歴に対して詳しい退職理由を書くと、ネガティブなイメージを与えてしまう可能性もあるでしょう。面接で聞かれない限り、自分から書く必要はありません。
ただし、明らかに短期間での離職が続いている場合や、病気療養などの特別な事情があれば、書いておいた方が違和感を持たれないケースもあります。
職務経歴書を提出する前のチェックポイント
完成した書類は、提出前にチェックが必要です。内容のチェックポイントや、管理の方法を解説します。応募先に提出が完了するまで、気を抜かないようにしましょう。
内容に間違いがないか最終チェックをする
職務経歴書を書き終わった後は、内容を最終チェックしましょう。間違いや抜けがあると、採用に影響する可能性もあります。
【基本のチェック項目】
- 誤字脱字がないか
- 入社日や退社日の抜け・漏れはないか
- 略語や略称を使っていないか
- 書体や文字サイズは統一されているか
- 具体的な職務内容や会社の規模が分かる仕様になっているか
チェックが終わった後は、封筒に入れて持参・郵送しましょう。データ提出の場合は封筒は不要ですが、面接対策ができるようデータを残しておき、印刷できる状態にしておくと便利です。
書類の折れやシワがないよう管理する
職務経歴書は、履歴書など他の書類とまとめて提出します。手渡しであっても、A4サイズが折らずに入る封筒に入れ、持参しましょう。
持ち歩くときは、クリアファイルを使うのがおすすめです。書類をクリアファイルに入れるだけでなく、2~3枚のファイルを使って封筒を覆うようにカバーすると、書類と封筒がきれいに保てます。
面接後に受け取る書類があれば、封筒を覆うのに使ったクリアファイルに入れて持ち帰れるでしょう。
職務経歴書に関するQ&A
基本の書き方以外に、職務経歴書について気になる悩み・疑問もあるでしょう。主な疑問点と回答を、Q&A方式で紹介します。
パートで働いていたときの職務経歴は書くべき?
職務経歴書には、基本的に社員として働いた経験を書きます。しかし、パートから正社員に応募するなど、これまでの主な職歴がパートであるケースでは、パートの職歴であっても書くのが基本です。
また、応募先に関連する仕事内容であれば、パートの経歴を書いても問題はありません。応募先にアピールできるかどうかで、判断しましょう。
パート・アルバイトへの応募の場合は、職務経歴書の提出を求められるケースはまれです。もしどうしてもアピールしたい職歴がある場合、応募先に確認した上で提出するのは差し支えありません。
在籍期間が短い勤務先も書いた方がよい?
短期間で離職した場合、応募先へのアピールにつながるケースはほとんどありません。職務経歴書に全ての職歴を書く義務はないため、明らかに無関係な職種や短期間の在籍であれば、省略しても問題ないでしょう。
ただし、職務経歴書で省略したとしても、履歴書には全ての経歴を書く必要があります。書きたくない経歴を省略するのではなく、応募先に関連する職歴・職務内容を、できるだけ具体的にピックアップするものと考えましょう。
もし省略する場合は、空白期間であると認識されないよう書き方にも注意が必要です。
空白期間がある場合はどのように書けばよい?
転職活動や何らかの事情で、勤務と勤務の間に空白期間が生まれることがあります。2~3カ月の場合、転職活動の期間としても一般的です。よほど長期にならなければ、詳しい説明は求められないでしょう。
しかし、半年以上働いていない期間があるなど、採用担当者が違和感を持つような空白期間があれば、説明を加えた方が事情が伝わりやすくなります。
その期間に資格取得や職業訓練を受けていたり、アルバイトやフリーで収入を得ていたりなどの事情があれば、簡単に説明しましょう。
職務経歴書の書き方をマスターしよう
職務経歴書は、転職の際に提出する書類です。これまでの職務経歴を具体的に伝えるため、一般的にはスキルや自己PRも加えます。
履歴書に比べるとフォーマットが固定されていないため、必須事項以外は柔軟に変更できる点が特徴です。仕事探しの前に職務経歴書の書き方を把握しておけば、書類選考・面接で悩むこともありません。
概要を把握した後は、「スタンバイ」で転職先候補を探してみましょう。