月収21万円の生活レベルを把握するためには、生活のモデルケースを知っておくのがおすすめです。手取りや生活イメージがわかれば、自分の状況を見直すのに役立つでしょう。月収21万円の手取りや控除額、ケース別の家計簿を紹介します。
月収21万円の手取りはいくら?
月収21万円なら手取りはどのくらいになるのでしょうか。手取りの計算方法と月収21万円の手取りの目安額について解説します。
額面から税金と保険料を引いたものが手取り
手取りとは、額面から税金と社会保険料を控除した残りのお金です。基本給・各種手当・ボーナスなど、会社から支給されるお金の総額を額面と呼びます。
月給と月収の違いも理解しておきましょう。月給は基本給+固定手当、月収は月給+変動手当です。月収=1カ月あたりの額面給与となります。
求人票に「月収21万円」と記載されている場合は、基本給に全ての手当をプラスした金額が21万円です。「月給21万円」のケースでは、残業手当や通勤手当といった変動手当を追加でもらえる可能性があります。
25歳独身の手取りは約16万7,000円
手取り額は収入や家族構成などにより異なり、額面の75~85%になるのが一般的です。基本的には、収入が増えるほど控除される金額が大きくなり、また扶養家族が多いほど手取りは増えます。
25歳独身で月収21万円の場合、手取りや控除額の目安は以下の通りです。
- 所得税:約3,980円
- 住民税:約7,700円
- 健康保険料:約1万790円
- 厚生年金保険料:約2万130円
- 雇用保険料:約1,050円
- 手取り額:約16万6,350円
控除額の合計は約4万3,000円、手取り額は約16万6,770円とわかります。月収に対する手取りの割合は、16万6,770円÷21万円=約79.4%です。
月収21万円から何が控除される?
手取りは、額面から税金と社会保険料を差し引いて算出されます。具体的にどのようなものが控除されているのかを理解しておきましょう。
税金
額面から差し引かれる税金は、所得税と住民税です。2037年までは、所得税の2.1%分の復興特別所得税も課税されます。
所得税は、個人の所得にかかる国税です。会社員の場合は毎月の給与から源泉所得税として概算額が控除され、年間所得が確定したタイミングで行われる年末調整により、差額が清算されます。
住民税は、前年の所得を基準に算出される地方税です。あらかじめ12分割した分が毎月の給与から徴収されるため、ボーナスには課税されません。前年の収入がない場合も、住民税は差し引かれないことを覚えておきましょう。
社会保険料
月収から控除される社会保険料は、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料です。介護保険料は40歳以降に徴収されます。
課税額の全額が給与から天引きされる税金と異なり、社会保険料は会社も一部負担してくれます。健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は原則として会社との折半負担、雇用保険料における従業員の負担割合は約1/3です。
なお、従業員や会社が加入する保険には上記以外に労災保険もありますが、労災保険料は全額会社が負担します。毎月の給与から労災保険料が天引きされることはありません。
月収21万円は多い?少ない?
月収21万円の場合、自分の収入がどのくらいのレベルなのか気になりがちです。世間一般と比較して月収21万円がどのような水準かを紹介します。
大卒初任給と同レベル
月収21万円は、大卒の初任給とほぼ同じです。20代前半で月収21万円なら、年齢相応の収入レベルといえるでしょう。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」により、2019年における学歴別・男女別の初任給の平均がわかります。
大卒の初任給の平均は男性が21万2,800円、女性は20万6,900円です。男女計の平均は21万200円となっており、月収21万円が大卒初任給と同レベルであることが見てとれます。
参考:令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給 | 厚生労働省
20代後半以降は平均以下
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、2021年における年齢別・男女別の平均賃金は、以下のようになっています。
<男性>
- ~19歳:18万5,600円
- 20~24歳:21万5,400円
- 25~29歳:25万3,300円
- 30~34歳:29万500円
- 35~39歳:32万7,000円
- 40~44歳:35万7,600円
- 45~49歳:38万2,800円
- 50~54歳:41万2,100円
- 55~59歳:41万3,600円
<女性>
- ~19歳:17万7,300円
- 20~24歳:21万700円
- 25~29歳:23万6,200円
- 30~34歳:24万8,500円
- 35~39歳:26万円
- 40~44歳:26万9,900円
- 45~49歳:27万900円
- 50~54歳:27万7,900円
- 55~59歳:27万3,300円
月収21万円が平均レベルであるのは、男女ともに20代前半までです。20代後半以降で月収21万円なら、平均より少ないと考えましょう。
参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 第2表 | 厚生労働省
月収21万円の生活のモデルケース
月収21万円ではどのような生活を送れるのでしょうか。手取り月額16万7,000円で25歳独身の場合のモデルケースを紹介します。
1人暮らし
- 家賃:6万円
- 食費:3万円
- 水道光熱費:1万円
- 交通・通信費:1万円
- 被服費・日用品費:1万円
- 医療費・保険代:1万円
- 趣味・交際費:1万7,000円
- 貯金:2万円
家賃を6万円としていますが、一般的に家賃は手取りの約3割以内が目安とされているため、可能であれば5万円程度まで抑えたいところです。食費3割を実現するためには、自炊をメインにする必要があります。
上記のモデルケースを見れば、1人暮らしなら節約を意識すれば十分に生活できる上、貯金にも多少のお金を回せることがわかるでしょう。
2人暮らし
- 家賃:6万円
- 食費:4万円
- 水道光熱費:1万円
- 交通・通信費:1万円
- 被服費・日用品費:1万円
- 医療費・保険代:1万円
- 趣味・交際費:7,000円
- 貯金:2万円
月々の貯金を意識した2人暮らしのモデルケースです。食費が増える分、趣味・交際費を減らしています。通信費を増やさないために、夫婦ともに格安SIMを利用するのがおすすめです。
月収21万円でも夫婦2人暮らしはできるものの、ゆとりのある生活は厳しくなるでしょう。突発的な出費に対応しにくい点もデメリットです。
生活に余裕を持つためには、共働きを前提とした方がよいでしょう。
子どもあり
- 家賃:7万円
- 食費:5万円
- 水道光熱費:2万円
- 交通・通信費:1万円
- 被服費・日用品費:1万円
- 医療費・保険代:1万円
- 養育費:1万円
- 趣味・交際費:7,000円
各支出を最小限に抑えた貯金なしの上記モデルケースでも、16万7,000円から2万円オーバーしてしまいます。
子どもが小さいうちは家賃・食費・水道光熱費を抑えられるかもしれませんが、子どもが大きくなったり家族の人数が増えたりしたら、月収21万円では生活は難しいかもしれません。共働きまたは転職を検討する必要があります。
月収21万円で住宅ローンは利用できる?
マイホームが欲しい場合、基本的には住宅ローンの利用が必須です。月収21万円で住宅ローンが組めるかどうか解説します。
フラット35なら最低年収の条件設定なし
住宅ローン審査においては、年収が高い方が有利です。年収だけが評価されるわけではないものの、金融機関によっては最低年収の条件を定めているケースもあります。
しかし、長期固定金利住宅ローンの代表格「フラット35」なら、月収21万円でも住宅ローンを利用しやすいでしょう。フラット35は最低年収の条件がないためです。
月収21万円なら、返済期間35年・融資金利1.98%の条件で、2,000万円程度まで借りられる可能性があります。借入可能額の計算には、以下のツールを使用しました。なお、融資金利1.98%は、物件価格の9割超を融資するケースで最も多い金利です。
月返済額の目安は手取りの25%以下
フラット35では、年収400万円未満の場合、年収に占める年間合計返済額の割合を30%以下に抑えなければなりません。
ぎりぎり30%で借りられれば融資可能額を最大限まで高められますが、返済負担も大きくなります。
返済比率の適正値は20~25%とされており、20%以下に抑えられれば生活にゆとりが生まれやすくなります。一方で返済比率を下げると、借入できる金額も少なくなります。
借入額を増やして理想のマイホームを手に入れたいのなら、共働きによるペアローン・収入合算を利用したり、自分の収入を増やしたりするのがおすすめです。
参考:【フラット35】:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】
月収21万円で将来が不安なら転職も検討を
月収21万円の手取りは、25歳独身で約16万7,000円が目安です。大卒初任給と同レベルですが、20代後半になると平均月収より少なくなってしまいます。
月収21万円で将来に不安を感じる場合は、転職による年収アップを図るのも1つの方法です。国内最大級の求人サイト「スタンバイ」を利用すれば、豊富な求人情報から今より年収が高い転職先を探せます。
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