介護職の夜勤はどのような仕事をする?仕事内容の詳細やメリットとは

介護職には夜勤があります。介護業界が初めての人は「日勤と何が違うの?」「勤務時間はどれくらい?」と働くイメージが湧かないかもしれません。よく「夜勤は大変」といわれますが、日勤にはないメリットもあります。仕事内容を詳しく見ていきましょう。

介護職の夜勤の仕事内容は?

ナースコール

(出典) photo-ac.com

入居型の介護施設では、勤務が「日勤」と「夜勤」に分かれています。夜勤の介護職員はどのような業務を行っているのでしょうか?

利用者の生活介助

生活介助とは、高齢者や体が不自由な人のために、食事・排泄・着替えなどのサポートを行う業務を指します。内容は日勤担当者と大きく変わらないと考えてよいでしょう。

夕方頃に出勤して引き継ぎを済ませた後、利用者の夕食準備と食事の介助をします。食後は口腔ケアと服薬介助を済ませ、就寝準備をするのが通例です。

利用者の中には自力でトイレに行けない人がいるため、介護施設では決められた時間に排泄介助を行っています。ただし利用者から求められれば、深夜でもトイレへの誘導やおむつ交換をしなければなりません。

夜勤担当者の最後の業務は朝の起床介助です。決まった時間に利用者を起こし、排泄・着替え・洗顔などをサポートします。

施設内の巡回と安否確認

消灯後の主な業務は、施設内の巡回と安否確認です。利用者の体調が優れない場合は、呼吸の状態や表情などをつぶさに観察し、必要に応じて家族や医師に連絡をします。

自分で寝返りを打てない利用者は褥瘡(じょくそう)になりやすいため、こまめに体位変換をしなければなりません。

施設によっても異なりますが、巡回の頻度は1~2時間に1回です。夜勤担当者が複数人いる場合は交代で休憩を取りつつ、朝まで巡回と安否確認を行います。

夜勤には日勤のような「レクリエーション」がありません。利用者の睡眠環境を整えることが夜勤担当者の役目といえるでしょう。

ナースコール・緊急時の対応

利用者の部屋にはナースコールが設置されています。体調が優れないときや排泄介助が必要なときはナースコールが鳴るため、夜勤担当者はすぐに対処しなければなりません。中には「眠れない」「水が飲みたい」などの理由で職員を呼ぶ利用者もいるようです。

高齢者が多い介護施設では、持病がない利用者でも体調が急変するケースが珍しくありません。夜勤担当者には、夜間緊急時の対応マニュアルに沿って臨機応変に動くことが求められるでしょう。

大抵の施設では「オンコール体制」を採用しており、緊急時は医師や看護師が駆けつけてくれます。

業務の引き継ぎ

朝の業務を終えた後は、日勤担当者(早番)に業務の引き継ぎを行います。利用者の夜間の様子を伝え、申し送り事項を記載した「介護記録」を渡して業務終了です。夜勤シフトに入るときも、同様の手順で日勤担当者(遅番)から業務を引き継ぎます。

施設にもよりますが、夜勤は2交代制の場合は午前10時頃、3交代制の場合は午前7時頃に業務が終わるケースが多いようです。なお、夜勤シフトの2交代制は16時間勤務になる場合が多く、夜勤1回分が2日間の労働時間に当たることも覚えておきましょう。

夜勤中の過ごし方は?

パソコンを見ながらの打ち合わせ

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利用者が起きている日中は、レクリエーションなどであっという間に時間が過ぎていきます。利用者が寝静まっている夜間は、夜勤担当者は空いた時間をどのように過ごしているのでしょうか?

空いた時間は記録業務

生活介助や巡回がない時間帯は、介護記録やケアプランの作成をはじめとする事務作業に時間を充てます。

介護記録とは、利用者の様子や健康状態、介護職員が利用者に提供したサービスなどを記す日誌のようなものです。指定用紙に手書きで書くところもあれば、パソコンやタブレットに入力するところもあり、施設ごとに仕様が異なります。

日勤が控えている場合は、レクリエーションの準備をすることが多いようです。毎日のようにレクリエーションをする施設では、ネタ切れでマンネリ化しやすいため、空いた時間を使って企画を考えます。

夜勤中の仮眠時間

仮眠時間の有無については、施設ごとに事情が異なります。そもそも仮眠室が設けられておらず、仮眠が取れないケースも珍しくありません。

日本医療労働組合連合会の「2021年 介護施設夜勤実態調査結果概要」によると、休憩時間と仮眠時間の合計時間(平均)は、3交代制で1時間8分、2交代制で2時間17分です。

グループホームは休憩・仮眠時間が最も短く、30分程度の休息しか取れない場合もあります。夜勤の人員配置が少ない施設では、排泄介助や見回りなどであっという間に時間が過ぎていくでしょう。

参考:23 休憩時間と仮眠時間|2021年 介護施設夜勤実態調査結果概要|日本医療労働組合連合会

介護職の夜勤が大変といわれる理由は?

落ち込んでいる白衣の女性

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夜勤がある職種は数多くありますが、中でも介護職の夜勤は肉体的・身体的にハードだといわれます。介護業界への転職を検討している人は、仕事の大変さをよく理解しておきましょう。

仕事の拘束時間が長くなる

2交代制の場合、夕方の17時前後に出勤し、翌朝の10時前後に退勤する「16時間勤務」が多いようです。仮眠・休憩時間が2時間程度しか取れないため、体力のない人はすぐに疲れがたまってしまうかもしれません。

体力に自信がない人は、3交代制(8時間勤務)の職場を選ぶのもよいでしょう。例えば22時に勤務を開始した場合、休憩1時間を含めると翌朝の7時に退勤ができます。

なお、多くの介護施設は「変形労働時間制」を導入しているため、1週間の労働時間が40時間以内であれば、1日8時間以上の勤務でも違法性はありません。

スタッフ数が少ない

日勤に比べ、夜勤はスタッフ数が少ない傾向があります。小さな施設の場合、1人で20人以上の利用者を見なければならない場合もあるようです。

スタッフ数が少ないデメリットとしては、休憩や仮眠時間が確保しにくいことが挙げられます。肉体的な負担はもちろん、「アクシデントが発生したらどうしよう」という心理的負担も重くのしかかるでしょう。

2人ならまだ心強いですが、1人の場合は誰にも相談ができず心細さを感じるかもしれません。

変則的な勤務で疲れる

夜勤は、生活リズムが崩れやすくなる点がデメリットです。人間の体は夜になると休息モードに入り、1日の疲れを癒す仕組みになっています。

活動する時間や寝る時間が不規則になると、「休みたいのに眠れない」「疲れがたまって体がだるい」といった症状が現れる人もいるかもしれません。

人によっては心身にストレスがかかり、さまざまな病気にかかるリスクが高くなる可能性があります。夜勤には向き・不向きがあるため、自分に無理のない範囲でシフトを組みましょう。

介護職の夜勤にメリットはある?

記録する

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大変さばかりがクローズアップされがちですが、夜勤シフトならではのよさもあります。特に収入面や将来性を重視する人にとっては、メリットが大きいかもしれません。

夜勤の手当がつく

介護職に限りませんが、夜勤をすると「夜勤手当」がもらえるのがメリットです。労働基準法の第37条「時間外、休日及び深夜の割増賃金」には以下のような記述があります。

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

通常の二割五分以上(25%以上)の割増賃金が支払われるので、日勤だけのシフトよりも多くの収入が得られます。夜勤手当の相場は1回につき3,000~1万円とみておきましょう。体力・気力に自信がある人は、夜勤専従として働くのもありかもしれません。

参考:第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)|労働基準法 | e-Gov法令検索

採用されやすい・昇進しやすい

収入が増えるメリットがあっても、介護職の夜勤は多くの人に敬遠されがちです。そのため、夜勤が可能な人材は転職市場で採用されやすく、採用後も重宝される傾向があります。

個人の能力にもよりますが、日勤でしか働けないスタッフよりも、日勤・夜勤の両方が可能なスタッフの方が昇進する確率が高いといえるでしょう。

介護職の代表的なキャリアパスとしては、「介護福祉士」「社会福祉士」「介護支援専門員」などがあります。

夜間の利用者を見守る大切な仕事

ベッドの高齢者と介護士の女性

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夜勤担当者の主な役目は、生活介助と夜間の見守りです。肉体的・精神的に大変なことが多いですが、その分充足感も大きいでしょう。夜間の利用者を見守るという責任感が人を一回りも二回りも成長させてくれるはずです。

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