介護の職種にはどんなものがある?おすすめの資格と年収も紹介

介護業界で働いていない人が、介護系職種の違いに注目する機会はほとんどないかもしれません。介護業界で働いてみたいと思ったら、まずはどのような職種があるのかチェックしてみましょう。キャリアに役立つ資格や平均年収も紹介します。

介護にまつわる主な職種

介護士の女性と車いすの高齢者

(出典) photo-ac.com

一口に介護の仕事といっても、業務範囲は職種によって異なります。介護業界にどのような職種があるのかとともに、それぞれの業務内容について詳しく見ていきましょう。

介護士

「介護士」とは一般的に、介護の仕事に携わる人の総称です。ケアワーカーと呼ばれる場合もあります。

日中のみ利用者を預かるデイサービスセンターや、特別養護老人ホームなどの介護保険施設、サービス付き高齢者向け住宅などが主な勤務先です。業務内容は、身体介護・生活援助・レクリエーション・生活リハビリなどがメインです。

ただし利用者に直接触れる身体介護は、有資格者でなければ担当できません。資格がない場合は掃除や食事・服薬の見守りなど、体に触れずにできる仕事を担当することになります。

ホームヘルパー(訪問介護員)

利用者の自宅を訪れて介護にあたる介護士を、ホームヘルパーといいます。日常生活を満足に送るのが難しい利用者に代わって、掃除・料理・洗濯などの家事サポートをします。

必要な資格を有していれば、排泄や入浴介助も業務範囲です。通院や日用品の買い物への付き添いを求められるケースもあるでしょう。

また介護を必要とする人やその家族は、悩みや心配事を抱えている場合も多々あります。利用者の話に耳を傾けて心の負担を取り除くメンタルケアも、ホームヘルパーの大切な仕事の1つです。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャーの主な仕事は、利用者個人の状況に合わせたケアプラン(介護サービス計画書)の作成です。

デスクワーク中心ではありますが、サービス事業所と利用者・家族の調整役も担うため、コミュニケーション能力の高さが必要とされます。

ケアマネジャーになるには、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格した上で、「介護支援専門員実務研修」の課程を修了し、介護支援専門員証の交付を受けなければいけません。

なお、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格は以下の通りです。

  • 介護福祉士や看護師など特定の国家資資格を持ち、資格に基づく業務(※1)に通算5年かつ900日以上従事していること
  • 生活相談員・支援相談員など特定の業務(※2)を、通算5年かつ900日以上経験していること

1と2の業務に通算5年かつ500日でも受験が認められます。そのほか勤務地などの詳しい条件は自治体によって変わるため、住んでいるエリアの情報を調べてみましょう。

参考:令和5年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 | 公益財団法人 東京都福祉保健財団

サービス提供責任者

サービス提供責任者は、通称「サ責」と呼ばれる訪問介護サービスの責任者です。訪問介護事業所には、常勤のサービス提供責任者を1人以上配置する必要があります。

サービス提供責任者の仕事は、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいた訪問介護計画書の作成とホームヘルパーの業務管理です。

サービス提供責任者になるには、次のいずれかを満たす必要があります。

  • 介護福祉士
  • 介護福祉士実務者研修の修了者
  • 指定障害福祉サービス(共生型訪問介護)のサービス提供責任者
  • 旧介護職員基礎研修課程修了者(2023年1月現在は廃止)
  • 旧訪問介護員養成研修1級課程修了者(2023年1月現在は廃止)

訪問介護の分野を目指すなら、キャリアプランに組み入れたい道の1つといえるでしょう。

参考:
厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者(◆平成24年03月13日厚生労働省告示第118号)
厚生労働省|参考資料2 | 訪問介護における サービス提供責任者について

その他サポート職

介護業界で働くのは、直接介護に関わる人だけではありません。例えば利用者がサービスを利用する際には、送迎車を運転するドライバーが必要です。

食事を提供する施設には、管理栄養士や調理スタッフがいます。さまざまな人が関わる大きな施設であれば、サ責だけで事業所を管理するのは難しく、事務作業を担うスタッフが欠かせません。

得意分野を生かして介護の現場に挑戦するのも、1つの選択肢として検討してみましょう。

介護職におすすめの資格

高齢者の介助をする介護士

(出典) photo-ac.com

介護職に資格がなくてもできる仕事はありますが、しっかり業界でのキャリアを積みたい人には資格の取得がおすすめです。難易度が低い研修から国家資格まで、介護職のキャリアアップに役立つ資格を3つ紹介します。

介護職員初任者研修

介護業界でのキャリアの第1歩となる入門資格です。無資格で就職したとしても、たいていの場合、事業所からこの資格の取得をすすめられるでしょう。

基本的な介護の知識・技能を習得できる研修を修了すると、利用者に直接触れての身体介護ができるようになります。

受験資格は設けられておらず、誰でも受験できます。座学・実技合わせて130時間の研修をスクールに通って集中的に受ける、働きながら通信教育で座学を学んで実技のみ通学するなど、修了までの道はさまざまです。

参考:1 介護員養成研修 開講日程の御案内 東京都福祉保健局

介護福祉士実務者研修

介護職員初任者研修の上位資格で、より専門的な知識・技術を身に付けられる研修です。初任者研修とは異なり、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアも学びます。

実務者研修に受講条件はなく、初任者研修を受けていない人でも受講が可能です。座学・実技合わせて450時間(介護職員初任者研修の修了者は320時間)の研修が必要となりますが、継続して勉強できれば取得が難しい資格ではありません。

実務者研修の修了者は、同時にサービス提供責任者になる資格が得られます。なお、さらに上位の資格である介護福祉士を目指す場合、介護福祉士実務者研修の修了が必須です。

参考:
介護福祉士実務者研修に関するよくあるご質問Q&A/近畿厚生局
介護福祉士養成施設等における医療的ケアの教育及び実務者研修について/東北厚生局

介護福祉士

介護に関する唯一の国家資格です。ある程度の社会経験を積んでから介護業界へ転職する人が多いこともあり、さまざまな年齢層の人々がチャレンジしています。

介護福祉士の資格を取得すると、介護にまつわる一定の知識や技能を身に付けていることが証明され、社会的な信頼度も飛躍的にアップするでしょう。

身体介護や生活援助に加え、介護福祉士には社会支援活動や後進育成のリーダー的役割も期待されます。あらゆる角度から利用者を支える、介護のプロフェッショナルになるための資格といえるでしょう。

参考:介護福祉士とは | 日本介護福祉士会

介護業界の年収は?

通帳と電卓とペン

(出典) photo-ac.com

仕事にやりがいは大切とはいえ、異業種から転職するとなると収入面も気になるところです。介護業界の年収は、平均してどの程度なのでしょうか。

※年収は「賃金構造基本統計調査」の各データより、「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

平均して375万円前後

2021年度の「賃金構造基本統計調査」によると、ケアマネジャーの平均年収は約410万円とされます。医療福祉施設における介護職員は約353万円、訪問介護従事者は約364万円です。

このことから、介護業界の平均年収は300万円台後半と考えられます。ただしこの平均年収は、経験年数・保有資格の有無や種類・年齢を問わない数字です。

実際には順調にステップアップして経験を積んだ場合、平均年収を上回るケースも予想されます。生涯年収を増やすには、できるだけ早いうちに実務に就き、資格の取得を目指すとよいでしょう。

参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

介護職の適性もチェック

高齢者を介護する女性

(出典) photo-ac.com

希望する仕事に転職できたとしても、適性がないと長く続けるのが難しくなります。介護職に向いているのは、どのような人なのでしょうか。

介護職に向いている人

次のような人は、介護職で能力を発揮できるでしょう。

  • コミュニケーションが好き
  • 気持ちの切り替えが上手
  • 勤務時間の融通が利く
  • 体力がある

介護士との会話を楽しみにしている利用者も多いため、コミュニケーション能力の高さや、オンオフの切り替えの早さは大切な素質です。おしゃべり上手な人はもちろん、聞き上手な人にも向いています。

利用者がサポートを必要とするのは、日中だけではありません。シフト勤務や夜勤をこなせる時間の余裕や、不規則な勤務でも体調を万全に整えておける体力も必要でしょう。

介護職に向いていない人

以下のような人は、介護職で苦労を感じやすいと考えられます。

  • 自分のペースで働きたい人
  • 潔癖症の人
  • 落ち込みやすい人
  • 体力のない人

無資格でできる仕事でも、介護の現場ではケアマネジャーや看護師など、さまざまな人と連携を取る必要があります。自分1人でコツコツ作業したい性格だと、やり取りする人が多い状況に対応しにくいでしょう。

介護士は場合によって排泄や入浴の介助も行うため、潔癖症の人には大きなストレスになるかもしれません。また、メンタルや体力に自信がない場合、仕事を続けていくのが難しくなる可能性が高くなります。

介護業界でやりがいを見つけよう

笑顔の介護士と高齢者

(出典) photo-ac.com

今後ますます介護職の需要は増えると考えられているため、介護業界への転職を視野に入れている人も多いでしょう。適性さえあれば、介護はとてもやりがいのある仕事だといえます。

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