空間デザイナーの資格とは?目指す職種に関係する資格からチャレンジ

店舗のディスプレイやインテリアなど、さまざまな「空間」をデザインする空間デザイナーは、活動領域が広くさまざまな分野で活躍できます。空間デザイナーとして活躍するのに役立つ資格や求められる能力、デザイナーとしての魅力などを解説します。

空間デザイナーと資格の関係

設計をする女性

(出典) photo-ac.com

特定の「空間」をデザインする空間デザイナーは、店舗の設計やディスプレイの演出、インテリアの領域など、活動範囲が広いのが特徴です。数あるデザイン職の中でも人気が高い職種ですが、特定の資格は必要なのでしょうか?

資格は必ずしも必要ではない

結論をいえば、空間デザイナーになるために資格は必要ありません。実際、資格を有することなく、空間デザイナーとして活躍している人は多くいます。

ただし、デザイン職は基本的に、定量化しづらいセンスを問われる仕事でもあるため、デザインに関する知識を証明できる資格を取得するのは、一定の効果が期待できます。

詳しくは後述しますが、例えばインテリア関連の分野で活躍したいならば、インテリアコーディネーターの資格を有していると、仕事が取りやすくなるでしょう。

ほかにもディスプレイに関するものや、照明デザインに関する資格などもあります。自分の興味のある分野や、将来活躍したい分野について、資格の取得を目指してみるのもよいでしょう。

空間デザイナーに関係する資格は?

色彩サンプルを持つ女性

(出典) photo-ac.com

空間デザイナーとして活躍するために特定の資格は不要ですが、関連する資格は多くあります。ここでは、空間デザインに関連する、代表的な資格の概要を紹介します。

在宅での受験も可能「空間ディスプレイデザイナー」

空間ディスプレイデザイナーは、店舗や商業施設などのディスプレイの設計や演出に関して、必要な知識を証明するための資格です。

商品の陳列や配置に関するものから、色彩・照明に関する技術など、さまざまな知識を問われる資格であり、日本デザインプランナー協会(JDP)が主催しています。空間デザイナーに最も関係している資格といえるでしょう。

在宅での受験となり、約2カ月に1度、試験が開催されています。ディスプレイの見栄えに関する知識や色彩の演出、照明に関する知識などを習得可能です。将来、店舗のディスプレイのデザインを手掛けたい人は、取得を目指してみるとよいでしょう。

参考:空間デザイン資格の空間ディスプレイデザイナー認定試験 | 日本デザインプランナー協会

難易度高め「インテリアコーディネーター」

インテリアコーディネーターは、住宅や店舗のインテリア部分の設計に関する資格で、空間デザインに関する資格の中でも特に有名です。

公益社団法人インテリア産業協会が主催しており、基本的なデザインや色彩に関する理論をはじめ、インテリアの選び方や設置、総合的な空間演出の知識や技術が身に付けられます。

さらに、住宅の構造や建材、家具や照明の素材や歴史についてなど、さまざまな知識を問われるのが特徴です。

屋内のデザインに特化した資格ではあるものの、汎用的な知識を身に付けられるので、デザイナー以外の職種にも人気があります。単にインテリアが好きな人が、取得を目指すケースも珍しくありません。

参考:公益社団法人インテリア産業協会

色彩系の資格「カラーコーディネーター」

カラーコーディネーターは色彩全般の知識を証明できる資格試験で、スタンダードクラスと、アドバンスクラスの2つのレベルがあります。

東京商工会議所が主催しており、色の持つ特性や性質、配置に関する理論や考え方が問われます。空間デザインはもちろん、服飾やWebデザインの分野でも活用できる、汎用性の高い資格といえるでしょう。

特に空間デザインの分野では、色彩とその配置の仕方が特定の空間にどういった影響を与えるかを加味し、さまざまな提案が可能になります。色彩に興味のある人は取得してみるとよいでしょう。

参考:東京商工会議所検定サイト|カラーコーディネーター検定試験

屋外に特化「エクステリアプランナー」

エクステリアプランナーは、住宅周りの設計や設備の計画に関する資格制度です。

公益社団法人日本エクステリア建設業協会が主催しており、建物の外観の空間を演出・デザインするエクステリアの専門家を認定するもので、庭のディスプレイから植栽の配置、さらに外壁塗装や工事に関する知識が問われます。

1級と2級のクラスがあり、2級は建物周りの設計に関する基本知識を有している必要があり、1級は住宅の建物周り全般の設計や、工事に関する専門知識のある者が認定されます。建物周辺の設計やデザインに興味のある人は、取得を目指してみましょう。

参考:エクステリアプランナー - 資格・講習:JPEX 日本エクステリア建設業協会

そもそも空間デザイナーとは

タブレットを使う手元

(出典) photo-ac.com

ほかのデザイナー職に比べて、空間デザイナーは特に関わる分野が幅広いのが特徴です。さらに空間デザイナーと名乗って活動している人もいれば、別の肩書きではあるものの、実質的に空間デザイナーの仕事をしている人も少なくありません。

それでは、空間デザイナーとはどういった職種なのでしょうか?空間デザイナーの主な仕事内容や、インテリアデザイナーとの違いを押さえておきましょう。

主な仕事内容

空間デザイナーはその名の通り「空間」をデザインする職種であり、極端にいえば、屋内外を問わずどういった場所であってもデザインの対象となります。

実際、飲食店やアパレルショップ、宿泊施設から公共の場所に至るまで、さまざまな場所のデザインや演出を担います。商業施設内の空間をまとめてデザインするといった案件も、珍しくありません。

その空間に存在する全てを設計・演出するため、建物の内装や外装はもちろん、照明やインテリアに至るまで、企画から設計・構成を一貫して担当する場合がほとんどです。

空間そのもののコンセプトから考える必要があり、クライアントから直接要望を聞き出し、デザインに落とし込む重要な役割を担います。

インテリアデザイナーとの違い

空間デザイナーと混同されがちな職種に、インテリアデザイナーがあります。インテリアデザイナーの方が多くの人にとってイメージが湧きやすく、さらに有名な職種であるため、何となく同じような仕事だと思われることも少なくありません。

しかし、屋内に特化したインテリアデザイナーに対し、空間デザイナーは屋内外を問わず、どういった場所でもデザインの対象となる点に違いがあります。

空間デザイナーが手掛ける範囲は幅広く、個人宅から商業施設・ホテル・公共施設など、基本的に規模の大小を問いません。一方、インテリアデザイナーの手掛ける案件の多くは、個人宅や個室のインテリアであり、比較的規模は小さめです。

ただしインテリアデザイナーの肩書きで、大規模な商業施設のデザインを手掛ける人もおり、両者の垣根にこだわらず、広く仕事を請けるデザイン事務所も多くあります。

空間デザイナーに求められる能力

打ち合わせをする二人のデザイナー

(出典) photo-ac.com

空間デザイナーとして活躍するために、求められる能力はさまざまです。基本となるデザインセンスや空間を捉えるスキル、色彩に関する知識などは必須であり、独学やスクールで身に付けたり、技術を高めたりすることが可能です。

しかし、デザイナーとして安定して仕事を請け続けるためには、以下の能力も求められます。

コミュニケーション能力

空間デザイナーは「空間」という抽象的なものをデザインする仕事であるため、クライアントの要望を正しく聞き出し、しっかりとコンセプトに反映させなければいけません。

また、考え出したデザインを基に作業をする業者とも、頻繁にやり取りする必要があるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。

アーティストとは違い、クライアントの要望に添うデザインをしなければならず、設計した空間についてプレゼンテーションをする機会も多くあります。

自分の提供する価値や判断について的確に説明し、クライアントに納得してもらったり、業者にしっかりと動いてもらったりするには、相応のコミュニケーションスキルがなければいけません。

フットワークの軽さと体力

ベースとなるデザイン業務に加えて、クライアント・業者との打ち合わせや現場の視察、必要な資材や人員の調達など、空間デザイナーの仕事は多岐にわたります。

デスクワークだけではなく、現場と事務所を中心に駆け回ることが多い仕事なので、すぐに動けるフットワークの軽さが必要です。

また、納期までの期間が短かったり、イレギュラーな事態が発生したりするケースも多いので、状況に臨機応変に対応できる力や、長時間労働でもパフォーマンスを落とさない体力も求められます。

スケジュール管理能力

デザイン業は明確に納期が決められている場合がほとんどで、特に空間デザイナーの場合、デザインする場所の利用制約や、時間的な制限があるケースもよくあります。従って、スケジュールを適切に管理する能力も必要です。

特にクライアントの希望が最優先の仕事や、設計士や工事業者など、関わる人が多いプロジェクトの場合、それぞれの都合やスケジュールの整合性を取りながら、仕事を進める能力が求められます。

また、思い通りのデザインができない、必要な資材が入ってこないなど、さまざまなトラブルも考えられるので、先のことまで見据えた上で、柔軟に計画を進める力も磨かなければいけません。

空間デザイナーに向いている人・やりがい

打ち合わせをする空間デザイナー

(出典) photo-ac.com

空間デザイナーはさまざまな知識やスキルが必要で、気力や体力も求められる職種です。仕事がつらいと感じる場合も出てくるでしょう。しかし、以下のように多くの達成感や、やりがいを感じられる仕事でもあります。

イメージ通りにデザインできたときの達成感

もともとインテリアやデザインが好きな人にとって、自分のイメージ通りにでき上がった空間を見た際の達成感は、格別なものでしょう。

クライアントの要望に添いつつ、多くの人が楽しんだり安らいだりできる空間を作り上げるプロセスこそ、楽しいと感じる人も多くいます。特に、もの作りが好きだったり、さまざまな演出にこだわりがあったりする人は、空間デザイナーに向いています。

多くの人とつながることができる

空間デザイナーは、クライアントはもちろん業者や設計士、インテリアに必要な資材を探す際に出会う人など、さまざまな出会いがある職種でもあります。

仕事を通じて人脈が広がりやすく、別の仕事でお世話になった人に会えることもあるでしょう。次の仕事を紹介してもらえる機会もあります。

さらに、プロジェクトを進める中でチームとしての絆が強まり、共に仕事を続ける仲間が増えることも珍しくありません。一生涯付き合える人と出会える可能性もあり、多くの人とつながりたい人にとって、魅力的な職種です。

自分の仕事が認められたときのうれしさ

クライアントの期待に応えたことで仕事を認められた際には、デザイナーとして大きな喜びを感じるでしょう。

たとえ大変な思いをしてきたとしても、苦労が報われたと感じるはずです。さらに、クライアントにセンスやスキルを買われ、継続的な受注につながるケースもあります。

自分の仕事を認めてもらえた、満足させることができたと思えるうれしさは、特にデザインやもの作りに携わる職種において、仕事への大きなモチベーションにつながります。その喜びを感じるために、デザイナーを目指している人も多いでしょう。

クライアントと喜びを分かち合える人も、空間デザイナーに向いています。

資格取得で仕事に必要なスキルを学ぼう

打ち合わせをするインテリアデザイナー

(出典) photo-ac.com

空間デザイナーにおすすめの資格には、空間ディスプレイデザイナーやインテリアコーディネーターなどがあります。

いずれもデザイナーとして必須の資格ではありませんが、自分の活躍したい分野の資格を取得しておけば、知識やスキルを証明でき、仕事を取りやすくなるでしょう。

ただし、デザイナーとして安定して仕事を取り続けるには、コミュニケーション能力や、フットワークの軽さも重要です。

空間デザイナーへの転職を目指している人は、キャリアプランを明確にした上で、どういった知識やスキルが必要か、自分なりに明らかにしてみましょう。1つ1つ必要な技能を身に付けていくことが大事です。

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