総合職と一般職の違いは?仕事内容・迷ったときの選ぶポイントも紹介

男女雇用機会均等法の改正を機に、総合職と一般職のコース別採用が始まりました。よく耳にする言葉ですが、総合職と一般職にはどのような差があるのでしょうか。業務内容や働き方の違いなど、就職・転職の際に知っておきたいポイントを解説します。

そもそも総合職とは?

ノートに記入する男性

(出典) photo-ac.com

総合職とは、男女雇用機会均等法が定められたのをきっかけに生まれたコースです。いずれ会社の将来を担う、総合職の成り立ちについて解説します。

総合職と一般職ができた背景

1986年に男女雇用機会均等法が改正されたことにより、総合職と一般職という2つのコースが設定されました。コースを分けて募集を行ったのは、性別に関係なく働き方を選べるようにするためです。

それ以前は、性別によって採用が決められていたケースも多く、男性のみを募集している職業もありました。総合職と一般職を分けてコース別に採用する「コース別雇用管理制度」を開始することで、性別による差別を改善しようとしたことがきっかけとされています。

それまではサポート的な業務が多かった女性ですが、法律の改正により昇進を目指して総合職を希望することも可能になりました。自らの意思でキャリアを選べるようになったものの、現在も一般職は女性の割合が高くなっているのが実情です。

個人の希望に応じた働き方が可能に

男女雇用機会均等法の下では、名前の通り、性別に関係なく働き方を選べるようになりました。コース別採用がポピュラーになったことで、一般職を選ぶ男性や総合職を希望する女性も多くなっています。

労働者を採用する際に、合理的な理由がないにもかかわらず要件として全国転勤を求めることは「間接差別」と呼ばれています。男女雇用機会均等法では、こうした差別を禁じており、転勤を希望しない人もキャリアアップを目指すことが可能です。

親の介護や、子どもの学校生活などの将来のことを考えたり、家庭の事情から転勤できなかったりする人も数多く存在します。総合職と一般職に分けて採用を行うことで、性別や環境にかかわらずキャリアを選択できます。

総合職の種類

事務作業をする女性の手元

(出典) photo-ac.com

ひと口に総合職といっても、会社や職種によって、業務の内容に違いがあります。文系・理系に分けて、総合職の種類を見ていきましょう。

事務系の総合職

文系の分野を扱う総合職は、事務系の業務を担当するのが一般的です。採用や人材の管理に携わる人事や、経営管理を行う経理など、文系の総合職にはさまざまな仕事があります。

ほかにも営業や総務など、同じ総合職でも担当する職種はさまざまです。事務系の業務といっても、一般職の事務職とは違った業務であることを覚えておきましょう。

総合職における事務の仕事は、会社全体がスムーズに回るよう支える役割を果たしています。必要な備品を管理したり、会計業務を行ったりと、業務の内容が多岐にわたるのが特徴です。

技術系の総合職

文系の総合職とは異なり、実際に研究や開発などの業務に携わっているのが理系の総合職です。文系分野が事務系を担当するのに対し、理系分野は技術系の業務を担当しています。

技術系総合職の職種としては、プログラマーやシステムエンジニアなどが代表的です。ものづくりに関わるだけでなく、周囲とのコミュニケーションを取りながら業務を進めていく必要があります。

開発はもちろん、品質管理など、実際に商品・サービスを生み出す業務ができることがポイントです。技術系の総合職は、専門分野に精通したエキスパートとして活躍することが期待されています。

総合職と一般職の業務内容の違い

オフィスワークをするビジネスマン

(出典) photo-ac.com

労働者の採用は、総合職と一般職に分けて行われますが、2つのコースにはどのような違いがあるのでしょうか。業務面での違いについて紹介します。

総合職の業務内容

総合職で入社した人は、いずれは会社の中心的存在として、重要な役割を担うことを期待されています。そのため、総合職は、一般職に比べて幅広い業務を把握しておく必要があります。

同じ業務を長年担当する場合もあれば、数年ごとにさまざまな業務を経験する場合もあり、自ら考えて判断を下すような、責任が伴う業務を担当するのも総合職ならではです。

具体的な業務範囲が決められていないのも、総合職の特徴といえるでしょう。会社によって異なりますが、一般職に比べて業務内容が多岐にわたるのが総合職の特徴です。

一般職の業務内容

一般職の業務内容は、ある程度パターンが決まった作業が多く傾向にあります。マニュアルに従って対応できるので、慣れていくとともに毎日の業務をスムーズにこなせるようになるはずです。

一般職の業務では、自らの判断で何かを決めるような場面は少なく、基本的には総合職のサポート的な役割が多いため、総合職に比べて責任を負う機会は少ないといえるでしょう。

一般職の具体的な業務内容としては、事務的な作業がほとんどです。総合職の下で働き、その指示に従うことになるため、素早くミスのない仕事を求められます。

総合職と一般職の違い

仕事中のOL

(出典) photo-ac.com

総合職と一般職は、待遇はもちろん、働き方にもさまざまな違いがあります。コースごとの転勤の多さや、キャリアプランについてチェックしましょう。

年収・待遇

一般的には、一般職に比べて総合職の給与が高くなる傾向にあります。総合職は昇進の可能性が見込めるため、勤続年数が長くなればなるほど、年収の差が開いていくと考えられます。

総合職は担当する業務の範囲が広く、自らの責任で判断するケースも多いため、昇給も期待できるでしょう。一般職にも昇給制度はありますが、自分では努力しているつもりでも、仕事ぶりを評価されない場合もあるようです。

給与面だけではなく、ボーナスやさまざまな手当にも差がある会社は数多く存在します。待遇については入社前にも確認できるため、就職や転職を考えている人は、事前に確認しておきましょう。

異動・転勤

総合職として入社すると、さまざまな業務を経験するための異動が多くなる傾向にあります。そのため、一般職に比べて、ジョブローテーションによる全国転勤が起こりやすくなります。

一般職の場合は、同じ業務内容をこなしながら長年働いている人も珍しくありません。勤務地や部署も決まっている傾向にあるため、転勤を希望しない人は、一般職を選ぶのも1つの方法です。

人材を育てるという観点から見ても、総合職として働く中で、転勤の機会は何度もあります。会社によっては、勤務地域が決まった「エリア総合職」という役割もあるため、転勤を避けたい人にはおすすめです。

研修制度

総合職は、企業の中心的な存在として期待されているため、一般職よりも多く研修を経験することになります。そもそも研修制度とは、スキルアップのために開かれるもので、専門的な知識を得られるのがメリットです。

研修制度は、新卒社員向けというイメージがあるかもしれませんが、ベテランの社員や管理職向けの研修も存在します。そのため、昇進した後でも研修に参加する機会は多くなるでしょう。

リーダーシップ研修や、コンプライアンス研修など、研修制度で学ぶ内容はさまざまです。一般職にも研修は存在しますが、総合職に比べると内容が限定的になっています。

昇進のスピード

一般職と比較すると、総合職は会社の中でも重要な業務を任せられることが多くなっています。会社の中心となることを期待されているため、優秀な成績を残せばスピード出世の可能性も期待できます。

総合職は、ジョブローテーションを経験する中で、多くのスキルが身に付くため、転職して新たな職種にも挑戦できるでしょう。自分の努力や成果次第で、昇進のチャンスがあるのは総合職の魅力です。

一般職は、アシスタント的な業務が多くなるため、昇進を目指すのは難しい傾向にあります。昇進を考えているなら、社内の制度を利用して総合職に転向するのもよい方法です。

総合職・一般職のどちらを選ぶか迷ったら

履歴書を持っているスーツの男性

(出典) photo-ac.com

就職や転職の際に、総合職と一般職のどちらを希望するか迷ってしまう人も多いでしょう。コースを決める参考として、2つのポイントを紹介します。

仕事に求めるもので判断する

コース選びに迷ったときは、仕事をする上で重視したいものを振り返ってみるのが効果的です。入社してから後悔しないよう、自分が何を優先したいのかをよく考えてみましょう。

仕事と趣味の時間を両立したい人や、仕事に打ち込んで成果を出したいと考える人も存在します。金銭面や会社でのポジションを重視したいなら、総合職を選ぶのが適しているといえます。

プライベートの時間を確保したいと考えているなら、一般職がよいでしょう。コースを決める前に、ライフスタイルや仕事に求めるものをきちんと分析するのがおすすめです。

適性で判断する

総合職と一般職に求められるものは異なるため、自分の性格からコースを考えてみる方法もあります。事前に向き不向きを考えておけば、仕事で悩むことがあっても乗り越えやすいでしょう。

総合職は、重要な仕事を担当することが多いため、指示を出したり、周りとコミュニケーションを取ったりする必要があります。業務に必要な知識を得るため、自らスキルアップに取り組む向上心も不可欠です。

決まった仕事を担当する一般職には、こつこつと仕事をこなす着実な人が向いているといえます。無理なく仕事を続けられるよう、自分に合ったコースを選ぶのもポイントです。

入社後のキャリアチェンジは可能?

パソコンをデスクに置いているスーツの男性

(出典) photo-ac.com

企業によっては、入社した後に別のコースに変更できるキャリアチェンジ制度が存在します。異なるコースに転向したいときの参考にしましょう。

制度の有無は企業による

入社後にコースを見直したいときは、キャリアチェンジ制度を活用できます。キャリアチェンジ制度は職種転換制度とも呼ばれ、一般職で入社した人が総合職に、あるいは総合職から一般職に転向できる制度です。

入社後にコースを変更したいと思っても、そもそもキャリアチェンジ制度が存在しない会社もあります。一般職から総合職への転向を強く希望しているなら、転職を検討してもよいでしょう。

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総合職か一般職の違いを知り自分に合う働き方を見つけよう

パソコンで作業をする男性

(出典) photo-ac.com

総合職は「幹部候補生」ともいわれるように、いずれ会社の重要な役割を務める存在として期待されています。そのため、一般職よりも担当する業務の幅が広く、転勤の可能性も高くなります。

就職や転職の際には、会社選びはもちろん、どちらのコースを希望するかも重要なポイントです。入社後にコースを変更できる制度もありますが、昇進したいと考えているなら総合職を選ぶ方がよいでしょう。

会社にキャリアチェンジ制度がなかった場合、総合職への転向をかなえるためには転職という手段もあります。資格などのスキルを身に付け、一般職の経験を生かして求人を探してみましょう。