ハローワークの「認定日」とは、失業手当の受給資格者が失業認定を受ける日です。認定日までに済ませたいことや当日の流れ、アルバイトをする際の注意点を知って、不備のないよう手続きを進めましょう。行けなかったときにどうなるのかも解説します。
ハローワークの認定日とは?
雇用保険の被保険者は、失業時に基本手当が受給できます。受給資格が決定した後は、定期的にハローワークに足を運び、失業の認定を受けなければなりません。失業認定の日は「認定日」と呼ばれるのが一般的です。
失業状態であるかを確かめる日
雇用保険の基本手当を受け取るには、認定日にハローワークへ足を運び、失業状態にあると認定を受ける必要があります。失業状態にない人は、基本手当が受給できません。
失業状態とは、どのような状態を指すのでしょうか?厚生労働省では、以下のように定義しています。
就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある
次のような人は、失業状態に該当しません。
- 病気やケガで、すぐに就職できない場合
- 妊娠・出産・育児で、すぐには就職できない場合
- 定年などで退職した後、一定期間の休養を考えている場合
- 家事に専念するため、すぐに就職できない場合
あくまでもすぐに働ける状態で就業の意思もあるのに、就職先が見つかっていない人のことを指します。
出典:ハローワークインターネットサービス - 雇用保険の具体的な手続き
認定日は4週間ごと
認定日は個人が自由に決められるわけではなく、ハローワークが事前に指定します。
失業認定までの流れを大まかに説明すると、受給資格の決定後は、離職票の提出と求職の申込みをした日(受給資格決定日)から7日間の待期期間を経て、1回目の認定日が設定されます。
2回目以降の認定日は、4週間に1回が原則です。1回目の認定日に失業の認定を受けられなかった場合、待期期間が経過したと見なされない点に注意しましょう。
自己都合や懲戒解雇で退職した人は、7日間の待期期間後に2カ月または3カ月の「給付制限期間」があります。したがって、2回目の認定日が設定されるのは、給付制限期間の経過後です。
認定日までに準備しておくこと
認定日は、受給者本人がハローワークに出向きます。失業状態のチェックを受けるに当たり、どのような準備が必要なのでしょうか?初回認定日以降に受給者がやるべき事項を解説します。
2回以上の求職活動をする
職探しをしている客観的な事実(証拠)が確認できなければ、失業状態にあると認められません。2回目の認定日以降は、認定対象期間中(前回の認定日から今回の認定日の前日まで)に2回以上の「求職活動の実績」を積む必要があります。
求職活動実績として認められるのは、次のような行動です。
- 求人に応募する
- ハローワークや許可を得た民間の職業紹介事業者で、職業相談や仕事の紹介を受ける
- ハローワークや許可を得た民間の職業紹介事業者が実施する講習やセミナーを受講する
- 再就職に役立つ国家試験や検定を受ける
なお、「求人情報を見た」というだけでは実績にならないことに注意しましょう。
参考:
求職活動実績について
主な求職活動とその実績について|雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり|厚生労働省
失業認定申告書を作成する
失業認定申請書は、失業認定を受けるために必要な書類です。労働した事実や求職活動の実績を記載した上で、認定日ごとに提出します。以下は記載内容の一例です。
- 就職・就労・内職・手伝いの有無
- 内職や手伝いで得た収入額
- 求職活動の方法と内容
- 求職活動をしなかった理由
虚偽の内容で失業手当を受給した場合は、不正受給と見なされてしまいます。実績を偽ったり収入を隠したりする行為はNGです。
失業認定申請書は、離職後の雇用保険説明会で配布されるほか、インターネットでもダウンロードできます。書き方の詳細を確認しておきましょう。
受給期間中にアルバイトをした場合
失業手当の受給期間中は、アルバイトや内職も可能です。ただし、雇用契約の内容によっては就職したと見なされ、基本手当が受給できなくなってしまいます。
就職扱いになるのは、週20時間以上の労働です。週20日未満の場合でも、1日ごとの労働時間によって、その日の支給がなくなったり減額されたりするケースに注意しましょう。
- 1日4時間以上働いた日は不支給
- 1日4時間未満でも、賃金の額に応じて減額
1日4時間未満の場合、賃金が支払われる時点で減額計算をします。
- 減額された日の基本手当日額=基本手当日額-減額幅
- 減額幅=(4時間未満の賃金÷4時間未満の労働日数-内職控除額+基本手当日額)
-賃金日額×80%
失業中にアルバイトや内職をするときは、時間や賃金に注意しましょう。
認定日の1日の流れ
認定日当日は、指定された時間までにハローワークに出向き、失業認定の手続きをします。手続きが少しでもスムーズに進むように、1日の流れを把握しておきましょう。
必要書類を受付に提出する
認定日の日時は、受給資格者証に赤のゴム印で押印されています。当日は、決められた時間までにハローワークに行き、必要書類を受付に提出します。当日の持ち物は以下の通りです。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書(認定日前日までの状況を記載)
雇用保険受給資格者証は、基本手当の受給資格があることを証明する書類です。原則、ハローワークの雇用保険説明会で配布されます。受給期間満了までは大切に保管しましょう。
失業認定の手続きを行う
失業認定手続きは、ハローワーク職員との個別面談によって実施されます。以下のような質問をされるので、現在の状況をありのままに伝えましょう。
- 就職の意思があるか
- すぐに働ける状態にあるか
- 求職活動の実績
- 期間中の労働の有無
失業状態にあると判断されると、基本手当の受給(認定された日数分)が決まります。金融機関にもよりますが、預金口座に振り込まれるのは、失業の認定から約7日後が目安です。
ハローワークに来たついでに、職業相談や求人への応募をして、次回分の求職活動の実績を作っておきましょう。
認定日に行けなかった場合はどうなる?
「認定日が面接日と重なった」「うっかりして忘れていた」など、認定日にハローワークに行けなかった場合はどうなるのでしょうか?考えられる問題と、日時変更ができるケースについて解説します。
基本手当が支給されない
認定日にハローワークに行かない人は、失業認定が受けられません。不認定の扱いとなり、その認定日までの期間に関連する基本手当が支給されなくなってしまいます。
基本手当の受給期間は、離職日の翌日から1年間が原則です。不認定が続くと、基本手当の支給時期がどんどん短くなり、受給期間が過ぎてしまう可能性があります。
原則として認定日の変更はできませんが、時間の変更は可能です。予定時刻に間に合わないときは、認定日当日の業務時間内にハローワークへ行きましょう。
認定日をうっかり忘れた場合は、次の認定日前日までに足を運びます。行けなかった認定日の翌日以降の期間については認定を受けられます。
認定日の変更が可能なケース
失業認定日に行けないと分かった時点で、管轄のハローワークに電話で連絡しましょう。やむを得ない理由に該当する場合は、認定日の変更が可能です。以下のような事情があれば、認定日をずらせます。
- 就職した
- 面接や選考・採用試験と重なった
- 国家試験や検定など資格試験と重なった
- ハローワークの指導で講習を受ける日と重なった
- 仕事に就けない期間が14日以内の病気やケガをした
- 本人が婚姻するタイミングと重なった
- 親族の看護や危篤・死亡・婚姻と重なった(親族の範囲に指定あり)
なお、認定日の変更には、やむを得ない理由の事実を確認できる証明書が必要です。詳細はハローワークの窓口で確認しましょう。
就職が決まった場合も足を運ぼう
就職が決まった場合もハローワークに足を運ぶ必要があります。
- 就職日よりも前に認定日が設定されている場合:通常通りの失業認定を受ける
- 就職日よりも後に認定日が設定されている場合:認定日の前日までに行く
基本手当は、就職日の前日まで受給が可能です。就職日よりも後に認定日が設定されている場合、失業認定を受けると同時に就職の届け出をします。必要書類は以下の通りです。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 採用証明書等
就職が決まった人のうち、基本手当の所定給付日数が1/3以上残っていれば、「再就職手当」を受け取れる可能性があります(要件あり)。
受給ルールを守って積極的な求職活動を
認定日には、ハローワークに行って失業状態のチェックを受けます。不認定とならないように、スケジュールはしっかりと確保し、自分の状況をしっかり報告しましょう。
受給期間中は、アルバイトや内職をしても構いません。ただし、時間や賃金によっては就職と見なされたり、受給額が減額されたりする点に注意が必要です。受給ルールを確認した上で、アルバイトや求職活動に励みましょう。
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