ダブルワークの注意点とは?確定申告や保険・税金についても解説

ダブルワークをして副業収入を得るためには、さまざまな注意点があります。会社の就業規則を破ったり、本業に支障をきたしたりしないよう、しっかりチェックしておきましょう。ダブルワークする際の注意点や、確定申告・税金についても解説します。

ダブルワークする際の注意点

自宅で仕事をする女性

(出典) pixta.jp

本業以外の収入を得るために、ダブルワークを検討する人が増えています。ダブルワークをする際は、会社の就業規則や、本業への影響など、注意すべき点がいくつかあります。詳しく見ていきましょう。

会社の規則を確認する

正社員でもアルバイトでも、ダブルワークを検討する前に、現在勤めている会社の就業規則を確認しましょう。

就業規則とは、会社が定めた雇用に関する規則です。労働基準法第89条により、常時10人以上の従業員を雇用している企業には、就業規則の作成と行政官庁への届け出が義務付けられています。

就業規則の雇用条件で、副業・兼業が禁止されていなければ、ダブルワークができます。しかし、トラブルを防ぐためにも、副業を始める前に上司へ確認を取る方が賢明です。

参考:第九章 就業規則(作成及び届出の義務)第八十九条労働基準法 | e-Gov法令検索

ダブルワークが禁止される理由とは?

正社員のダブルワークを会社が認めない理由は、主に3つ挙げられます。

1つ目は、従業員が本業以外に仕事を持つことで、長時間労働につながる恐れがあるためです。

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で、従業員の労働時間は本業と副業を合わせて、1日8時間・週40時間以内としています。フルタイムで働いている従業員がダブルワークをすると、労働時間を超えてしまう上に、会社が時間外労働を把握しづらくなる点も懸念されます。

2つ目は、本業に支障をきたす恐れがあるためです。副業による疲労やストレスで、本業のパフォーマンスが落ちる可能性もあるので、ダブルワークを認めていない会社も存在します。

3つ目は、顧客情報の漏えいや、知識やスキルの流出リスクを防ぐためです。従業員が本業で知り得た情報・技術が、流出することを懸念して、ダブルワークを禁止している会社もあります。

参考:副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省

本業に支障が出ないようスケジュール管理する

ダブルワークをする場合、本業に支障が出ないようにしなければなりません。スケジュールをしっかり管理していないと、本業と副業の時間が重複してしまったり、移動に想定外の時間がかかり、遅刻してしまう可能性もあります。

就業日時を間違えてしまう重大なミスにも注意が必要です。スマホのカレンダーや、スケジュールアプリを上手に使って、しっかりスケジュール管理をしましょう。

また、ダブルワークの予定を詰め込み過ぎず、働く日数や時間に余裕を持たせることも大切です。

体調を崩さないよう無理のない働き方をする

ダブルワークをすると、プライベートの時間は必然的に減ってしまうものです。休息や気分転換の機会が減ってしまう恐れもあるため、本業に集中できなかったり、体調を崩したりしてしまう原因にもなりかねません。

稼ぎたいと思って始めたダブルワークで体調を崩し、本業を休むことになると本末転倒です。

労働時間を増やすと、休息の時間が減るということを念頭に置き、無理のない働き方を目指しましょう。

自分が続けやすい仕事を選ぶ

ダブルワークをするときは、本業と両立しやすい仕事を選ぶのがおすすめです。本業が土日祝休みなら、飲食店・サービス業などの、週末や休日に働けるシフト制や、単発・日雇いのイベントスタッフ、試験監督の仕事を探すのも一案です。

PCやスマホでできる在宅ワークなら、通勤する必要がなく、体の負担にもなりにくいでしょう。空き時間を利用してできるので、業務量を多くしすぎなければ、本業に影響を及ぼさずに済むといえます。

PC作業が得意な人は、クラウドソーシングを利用して、データ入力やライティング業務などを探すのもおすすめです。

スケジュールや作業内容的に、自分が続けやすい仕事を選び、上手に本業と両立しましょう。

ダブルワークは確定申告が必要?

確定申告書類を見る女性

(出典) pixta.jp

ダブルワークで得た収入の金額によっては、確定申告が必要になるケースがあります。会社が行う年末調整とも関係するので、自分の状況と照らし合わせて確認しておきましょう。

本業以外で年間所得が20万円以上ある人は必要

会社に勤めていると、所得税・住民税・社会保険料は、毎月の給料から差し引かれます。この中で、所得税の納め過ぎ、または不足を調整するために、会社が行う調整を「年末調整」といいます。

そのため、本業だけの場合は、会社員が自分で確定申告をする必要はありません。

しかし、ダブルワークをしていて、副業の年収が20万円を超える人は、会社が行う年末調整に反映されないため、確定申告が必要です。

1月1日から12月31日の間で、売上から経費を差し引いた副業の所得が年収になります。年末調整済み給与所得者の副業の確定申告は、スマホでも行えるので、該当年度の提出期限までに手続きをしましょう。

参考:スマホで確定申告(副業編)|国税庁

年間所得が20万円以下でも確定申告が必要な場合も

副業の年間所得が20万円以下でも、本業の会社で年末調整をしていない人は、確定申告が必要となります。

例えば、本業の会社で確定申告をしておらず、本業と副業の合計年収が103万円を超える場合です。年末前に退職したり、書類を出し忘れたりした人なども該当します。

また、医療費控除・雑損控除・寄付金控除や、住宅ローン控除は、年末調整の対象外です。副業の所得が20万円以下であっても、各種控除を受けたい場合は、確定申告をしましょう。

参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

ダブルワークで注意したい税金

現金と電卓んとノート

(出典) photo-ac.com

ダブルワークをするにあたって注意すべき税金に、住民税と所得税があります。申告の要・不要と基準について、しっかり把握しておきましょう。

住民税

住民税は副業の所得に関係なく申告が必要です。住民税の納税金額は、年間所得の総額によって決まります。年間所得が20万円以下で、確定申告が不要の場合も同様です。

住民税とは、市町村民税と道府県民税を合わせたものです。会社員の場合、住民税は給料から差し引かれる「特別徴収」として、会社が納付しています。

多くの会社は、従業員の住民税を給与から差し引く義務がある「特別徴収義務者」です。そのため、会社に申告せずに副業をしている場合は、住民税が上がるので、副業していることがわかってしまう可能性があります。信用問題にも発展しかねないので、副業をする場合は、必ず会社に申告しておきましょう。

参考:個人住民税|総務省

所得税

所得税は1月1日から12月31日までの、年間所得にかかる税金です。収入の全てにかかるのではなく、収入から経費を差し引いた金額にかかることを、覚えておきましょう。

例えば副業の年収が25万円で、経費が7万円かかった場合、年間所得は18万円です。この場合、所得税の確定申告は不要で、住民税の申告のみが必要です。

副業の年間所得が20万円以上で、195万円以下の場合、5%の所得税がかかります。所得が増えると税率が上がっていく超過累進課税制度なので、副業の年間所得には注意しておきましょう。

参考:
身近な税  所得税について教えてください。|財務省
所得税のしくみ| 国税庁

ダブルワークで注意したい保険関係

書類と印鑑

(出典) photo-ac.com

本業が会社員の場合、社会保険と雇用保険にはすでに加入しています。しかし、副業であっても、一定の条件を満たすと、新たに社会保険に加入する必要がある人も存在します。パート・アルバイトでダブルワークをしている人にとっても、重要な事柄なので、しっかり確認しておきましょう。

社会保険に加入する必要がある人

従業員数101人以上の企業で働く人は、正社員でなくても条件を満たせば、社会保険に加入する必要があります。

「1週間の所定労働時間が20時間以上・30時間未満」「雇用見込みが2カ月以上」「1カ月の給料が8万8,000円以上」「学生でないこと」の全てを満たすケースです。

パート・アルバイトでダブルワークをする場合は、週20時間以上の本業と、週20時間未満の副業なら、本業の職場でのみ社会保険に加入します。

本業も副業も週20時間以上なら、社会保険はどちらで加入するかを選択し、給料の割合に応じて按分し、それぞれの会社から社会保険料が差し引かれます。

なお、2024年10月からは、従業員数51~100人の企業まで範囲が拡大される予定です。

参考:2022年10月から段階的に一部のパート・アルバイトの方の社会保険の加入が義務化されます。|厚生労働省

雇用保険に加入する必要がある人

雇用保険の加入条件は「1週間の所定労働時間が20時間以上」「雇用見込みが31日以上」「学生でないこと」です。

パート・アルバイトでダブルワークをしており、本業と副業の両方で条件を満たしていても、社会保険のように両方で加入できません。

この場合は「重たる賃金を受ける事業所」つまり、給料の多い方で雇用保険に加入します。

参考:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! 適用基準及び加入手続|厚生労働省

ダブルワークのメリット・デメリット

考え事をする女性

(出典) photo-ac.com

ダブルワークをすることで得られるメリットと、デメリットについて解説します。メリットとデメリットを踏まえてダブルワークを検討しましょう。

経験・スキルが身に付き自分の強みになる

ダブルワークをすると、働いたら働いた分だけ、収入が増えるのはもちろん、スキルや経験を身に付けられます。本業で行き詰まったときの気分転換になったり、独立や起業のきっかけになったりすることもあります。

本業とは違う経験を積むことで、スキルアップにつながったり、自分の適性に気付いたりできるのも、ダブルワークの魅力でありメリットです。副業での経験が自分の強みにもなるはずです。

体力的・精神的な負担が増えやすい

ダブルワークをすると、プライベートの時間を割いて副業することになります。

休息や趣味など、自分のために使える時間が減りやすく、疲れが取れなかったり、ストレスがたまったりすることもあるでしょう。家族や友人と過ごす時間も少なくなってしまうため、人間関係が悪化する恐れもあります。

また、正社員の場合は、スケジュール管理をしっかりしておかないと、副業・本職のどちらもおろそかになってしまうケースもあります。

ダブルワークをする場合は、体力的・精神的な負担が増えやすいことを、念頭に置いておきましょう。

注意点を押さえてダブルワークを検討しよう

在宅勤務

(出典) photo-ac.com

正社員で働いている人は、ダブルワークを検討する前に、勤めている会社の就業規則を確認しましょう。副業をすると住民税が増えるケースがあったり、年間所得が20万円を超える場合は確定申告もする必要があります。

本業・副業のスケジュール管理や、体調面でも負担を強いられないよう、ダブルワークの注意点を押さえ、自分が目指す働き方を検討しましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら