始めたばかりのパートを辞める理由には、どのようなものがあるのでしょうか?よくある理由や、ケース別の伝え方と具体例を紹介します。基本的な退職の手続きや、できる限り円満に退職するコツも確認しましょう。退職前に知っておきたいQ&Aも紹介します。
始めたばかりのパートを辞める主な理由
始めたばかりのパートを辞める理由は、大まかに分類すると、個人的な事情とやむを得ない理由の2種類です。それぞれどのような理由なのか、まずは概要を確認しましょう。
職場の雰囲気や適性など
厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概況」によれば、「転職入職者が前職を辞めた理由」として、労働条件や人間関係を挙げる人が多いという結果が出ています。
そのほかには、仕事への興味や賃金に対する不満もあるようです。パートに限定した調査ではないものの、傾向としては参考になるでしょう。
始めたばかりのパートを辞める理由としては、仕事内容や労働条件が思っていたものと違うといった可能性が考えられます。職場の人間関係が悪い、苦手な人がいるなど、人間関係も理由となるかもしれません。
「職場が合わなかった」と言い換えもできます。個人の適性や相性という問題から離職を決意する人は多いようです。
突発的なトラブル
始めたばかりのパートを辞める場合、やむを得ないトラブルも理由になるでしょう。家事・育児・介護など、パートタイム労働者にとって、仕事より優先しなければならない事情は多いものです。
パートを始めたばかりのタイミングであっても、トラブルは起こります。運悪く大きなトラブルが発生し、仕事を続けられない状況になれば辞めなければなりません。
本人や家族の急病やトラブル、何らかの事情で急きょ引っ越ししなければならないなど、やむを得ない事情の場合は、相手にも納得してもらいやすいでしょう。
個人的な事情で辞める際の理由と伝え方
職場の雰囲気や仕事内容が合わず、始めたばかりのパートを辞めたい場合には、どのように伝えればよいのでしょうか?伝え方のポイントを紹介します。
うそをつくのは避ける
基本的に、退職理由が何であってもパートは辞められます。理由を話す義務はなく、プライベートなトラブルについて具体的に説明する必要もありません。
しかし、うそをつくと後でバレた場合に余計な問題が起きる可能性があります。話しても支障のない範囲で、できるだけ正直に伝えましょう。特に、事実とかけ離れたうそをつくと、退職後の書類請求や近所に住む同僚と会った際にバレるケースもあり得ます。
パートを始めて数日で突発的なトラブルが起きるケースはまれです。何か建前上の理由を作ったとしても、多くの場合シフト変更や休暇を打診されるでしょう。
パートを始めてからの期間が短い場合、大げさなトラブルであるほど心配されてしまい、退職を切り出しにくくなります。職場の悪口や批判にならないよう気を付けた上で、相手に納得してもらえるよう、ある程度本当のことを伝えるのがポイントです。
正直に理由を伝える場合の伝え方
職場が合わないことが原因で辞めたいと考える場合でも、職場の悪口は言わないよう注意した上で、何が問題だったのか真摯に説明しましょう。具体例を紹介します。
【具体例】
3日間勤務させていただきましたが、予想していたよりも体力的に厳しい作業が多く、このまま続けると持病の悪化が考えられそうです。
軽作業で支障はないと考えていたのですが、事前の確認が足りず申し訳ありません。これ以上の勤務の継続が難しいため、退職させてください。
パートを始めてから間もない時期であれば、想像と現実がかけ離れていたという理由でも受け入れられやすいといえます。責任感のなさや想像力の欠如を指摘される可能性はありますが、退職理由がよくないからといって、勤務の強要はできません。
どうしても仕事が続けられそうにないときは、なるべく理由を説明し、退職を認めてもらえるよう心掛けましょう。
退職の意思を明確に伝える
仕事内容や人間関係の問題で退職する場合、引き留めに遭う可能性もあります。配置換えやシフト変更を打診され、退職の申し出がうやむやになってしまうケースも考えられるでしょう。
特にパートを始めたばかりだと、「しばらく続けると気が変わるかもしれない」と継続を勧められるケースもあります。どうしても辞めたいのであれば、退職の意思をはっきり伝えましょう。
言葉を濁さず、退職に必要な手続きや辞める時期について確認を取るのがポイントです。
やむを得ない事情で辞める際の理由と具体例
やむを得ない事情で辞める場合は、理由を説明した方が納得感は強くなります。細かく説明する必要はありませんが、責任者に概要を伝えれば退職を受け入れてもらえるはずです。事情別の伝え方や具体例を紹介します。
家庭の事情で辞めるケース
家庭の事情には、配偶者・親・子どもなど家族のトラブルが該当します。プライベートな事情なので「家庭の事情」とだけ話すこともできますが、やむを得ない事情であることを説明したい場合は具体的に話しましょう。伝え方を紹介します。
【具体例1】
昨日父が倒れてしまい、当面の間、介護をすることになりました。復帰のめどが立たず、出勤が難しいため退職させてください。急なことで申し訳ありません。
【具体例2】
子どもを保育園に預けてパートに出るつもりだったのですが、本人の急病や気持ちの面での問題もあり、登園が難しくなりました。
園からも現状預かるのは難しいと言われており、パートを辞めて育児に専念しようと思っています。突然で申し訳ないのですが、退職させてください。
急な引っ越しで辞めるケース
遠方への引っ越しは、引き留められにくい理由です。出勤が困難になるため、パートの場合はほぼ退職となるでしょう。引っ越しが原因でパートを辞める場合の伝え方を見てみましょう。
【具体例1】
昨日夫の会社から転勤の辞令が出てしまい、〇月頃に〇〇へ引っ越しすることになりました。申し訳ありませんが、〇月までで退職日を相談させてください。事前に確認しておりパートには支障がないはずだったのですが、突然の話で申し訳ありません。
【具体例2】
母親の介護のため、〇月〇日から実家に戻ることになりました。こちらに戻ってこられる予定が立たず、急なことで申し訳ありませんが退職日を相談させてください。
本人の体調不良で辞めるケース
体調不良による退職は、即日退職も認められやすい理由です。退職を考えているなら、復帰や休暇の話は避けた方がよいでしょう。病気やケガによるトラブルで辞める場合の伝え方を紹介します。
【具体例1】
申し訳ないのですが、ここ数日で突然体調が悪化してしまい、医師にかかったところ当分静養するようアドバイスされました。いつ勤務できるようになるか分かりませんので、申し訳ありませんが退職させてください。
【具体例2】
病院に行ったところ問題があり、〇日から急遽入院することになりました。退院後も立ち仕事が難しくなるので、始めたばかりですがパートを辞めようと考えています。急で申し訳ありませんが、〇日で退職させてください。
始めたばかりのパートでも退職はできる
パートを辞める場合、基本的なルールがあります。職場とトラブルに発展しないためにも、基本的なルールを知っておきましょう。始めたばかりのパートであっても、基本のポイントは同じです。
2週間以上前の申告が基本
民法627条では「期間の定めがない労働者が退職の意思を示してから2週間経つと雇用が終了する」とされています。雇用期間が設定されていなければ、2週間以上前の申告が基本となるでしょう。
しかし、パートでは雇用期間が設定されているケースが多くなっています。雇用期間の定めがある場合、退職時には基本的に双方の合意や、やむを得ない事情が必要です。
相手のことを考えトラブルを防ぎたいなら、就業規則を確認し、規則に書かれている時期より前に申し出ましょう。一般的には、1カ月以上前に退職を申し出るのが基本です。
ただし、始めたばかりのパートの場合、ほとんどは先輩が横について仕事を教えています。引き継ぎを考える必要はなく、人手不足でなければ即日の退職が認められるケースも多いでしょう。勤務先は後任を探す必要があるため、早めの申し出が大切です。
ただし、やむをえない事情があれば即日退職も交渉可
民法628条では「雇用期間の定めがある場合でもやむを得ない事情があればすぐに契約の解除ができる」とされています。何かしらのトラブルや事情があり即日退職しなければならない場合は、やむを得ない事情であることを告げた上で相談しましょう。
雇用期間の定めがある労働者が一方的な過失で仕事を辞める場合、損害賠償を請求されるリスクがあります。パート先とトラブルにならないよう、理由を説明しましょう。
なお、法律はあくまでも「パート先と労働者の合意がない場合」を前提としています。お互いに納得の上で即日の退職となるなら、退職理由が何であっても法律違反にはなりません。
退職を申し出る時期や辞めるまでの引き継ぎに関しても、基本はパート先の指示や規則に従いましょう。
パートを円満に辞めるコツは?
始めたばかりのパートを辞める場合、できる限りトラブルを避けるよう心掛けましょう。すぐに辞めたいと申し出るだけで印象が悪くなる可能性が高く、退職を申し出るときの態度や行動が重要といえます。円満に辞めるために避けた方がよい行動を覚えておきましょう。
職場のことを悪く言わない
パートを辞めるとき、職場を悪く言うとトラブルにつながります。職場環境・同僚・上司について悪く言うのは避けましょう。
働いている職場や仲間を悪く言うと、退職の話し合いがこじれる可能性があります。退職後も荷物の返却や書類の受け渡しで出勤を求められるケースがあるため、悪い印象を与えないよう注意が必要です。
勤務開始からすぐに辞めてしまう時点でよい印象を残すのは難しいとはいえ、余計なトラブルを招く発言は避けましょう。
無断で欠勤を続けない
始めたばかりのパートでも、退職を申し出てきちんと辞める必要があります。無断欠勤は避けましょう。無断で職場に行かなくなると、トラブルの原因になります。
無断欠勤を続けると電話連絡や自宅訪問があり、家族に迷惑をかける可能性もあるでしょう。自分は辞めたつもりでも、会社が退職手続きをできずにそのままになってしまうケースも考えられます。
退職手続きを終わらせておかなければ、転職の際に問題となるリスクも否定できません。大きな損害を与えてしまうと、損害賠償を請求される恐れもあります。
パートを退職する手続きと流れ
パートを退職する場合、退職の申し出や手続きが必要です。退職の意思を伝える方法や、基本的な手続きについて解説します。
責任者に退職の意思を伝える
パートを辞めるときは、責任者に退職の意思を伝えます。始めたばかりのパートでも、基本の流れは同じです。
勤務開始からすぐに退職を決意した場合でも、まずは責任者または担当者に相談しましょう。
基本的には、対面で退職の意思を伝えます。出勤したときや退勤時などに時間を取ってもらい、できるだけほかの人がいない場所で切り出すのがポイントです。責任者に直接会うのが難しい場合は、電話やメールでアポイントを取るのもよいでしょう。
書類上の手続きを進める
始めたばかりのパートであっても、企業内で退職時の手続きがルール化されている場合は書類提出を求められる可能性があります。
「退職届」「退職願」のような書類の記入が一般的です。貸与物の返却がある場合は、用紙に記入が必要なケースもあります。どのような手続きがあるかは、退職の相談時に確認しましょう。
退職を申し出た時期や手続きの状況によっては、保険の切り替え手続きも必要です。すでに保険証が手元にある場合は、会社に返却しなければなりません。切り替え手続きについては、行政機関の担当窓口に相談しましょう。
始めたばかりのパートを辞めるQ&A
始めたばかりのパートを辞める場合、退職連絡の方法や給料について気になる人もいるでしょう。電話やメールでの退職連絡や、すぐに辞めたときの給料事情について紹介します。
電話やメールで退職の連絡をしてもいい?
パートが退職を申し出る場合、マナーとして対面で伝えるのが基本です。しかし、対面で伝えるのが難しいケースでは、電話やメールでも連絡できます。
特に始めたばかりのパートは、退職が言い出しにくい可能性も考えられます。出勤が難しいときは、直接連絡ができないことを謝罪し、電話で退職を申し出ましょう。メールでも連絡はできますが、文章だけでは気持ちが伝わりにくいため電話の方が適しています。
SNSでの連絡は、重要な退職の連絡には不向きです。会社側が容認しているケースを除いて、なるべく避けた方がよいでしょう。
すぐに辞めても給料はもらえる?
パートを辞めるまで数日であっても、働いた分の給料はもらえます。稼働1日目で仕事をしておらず、来てすぐに帰ったようなケースでは賃金が出ない可能性も考えられますが、労働契約を結んでいる以上、賃金の支払いは会社の義務です。
ただし、給料の受け取りはパート先が指定した方法になります。取りに来るよう指示があれば、退職した会社に行かなければなりません。
給料を払わないと伝えられたときは、労働基準監督署に相談できます。パート先が手続きや受け取り方法を決めるため、もめないよう注意して相談を進めましょう。
参考:賃金の不払いが発生したら、迷わず労働基準監督署に相談、申告してください!|厚生労働省
始めたばかりのパートを辞めるなら早めに連絡
始めたばかりのパートであっても、やむを得ない理由や双方の合意があれば退職が可能です。退職の意思を伝えるのが気まずいとしても、無断欠勤や事実とかけ離れたうそをつくのは避けましょう。
責任者に事情を説明し、納得してもらえれば退職手続きが進められます。職場が合わずに次のパートを探す場合は、求人サイトを活用しましょう。
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