有給休暇消化中に転職先で働ける?注意点やリスク・ポイントも解説

退職前にまとめて有給休暇(有休)を消化し、有休消化中に転職できれば時間をうまく活用できます。ただし有休消化中に転職先で働き始めることは、問題ないのでしょうか?有休消化中に転職ができるのか、現職と転職先で起こり得る問題や注意点を解説します。

有休消化中の転職は可能?

スケジュール帳に記入する

(出典) pixta.jp

有休消化中の転職活動や、転職先での勤務はできるのでしょうか?基本的な考え方と、ポイントを解説します。転職先での勤務を決める前に、確認事項もチェックしておきましょう。

転職活動をすること自体に問題はない

有休消化中に転職活動をするのは、問題ありません。有休の取得理由に制限はなく、転職活動をしていても責められることはないでしょう。

また、企業には、有休取得の申し出があれば受け入れる義務があるため、休暇の理由を「転職活動」と伝える必要もなく、私事であっても問題なく休めます。

退職前に有休を使い切ってしまおうと考えているなら、転職活動に生かすと休みを有効に使えるでしょう。

転職先で働く場合には確認事項がある

転職活動自体に問題はありませんが、有休消化中に転職し、働き始めてもよいのでしょうか?基本的には在職中の会社と転職先、両方の企業に相談が必要です。

法律上複数の職場で働くことは禁じられていませんが、就業規則や保険の問題があります。二重就労に問題がなく、雇用保険・社会保険の問題が解決できるようであれば差し支えはないでしょう。

しかし、二重就労によって労務上の問題が出ないか確認するのが大切です。判断が難しくどちらかの企業から断られた場合は、退職日を待ってから転職先で働き始めるようにしましょう。

有休消化中に転職する際の注意点

有休申請

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有休消化中の転職活動は、基本的に出勤しないので転職活動に時間を使いやすくなります。メリットは大きいですが、注意点はあるのでしょうか?

転職活動は有休消化をする前から始めておく

転職活動自体は、有休消化前に取り組むのがおすすめです。早いうちに応募先を検討しておくと、有休中に転職先を見つけられます。

フルタイムで働きながらの転職活動が難しい場合でも、少しずつ有休を消化していけば、面接の予定も立てやすいでしょう。

転職活動を始めるなら、求人サイトを使うのがおすすめです。「スタンバイ」でも、フルタイムの求人が見つけられます。求人サイトを使えば、仕事の合間に気になる求人のチェックや応募が可能です。

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転職活動が有休消化中に終わらない可能性もある

転職活動を終えてから退職日を決めるスケジュールでない限り、有休消化中に転職先が決まらない可能性もあります。

失業保険や貯金で生活できる程度の余裕があれば問題ありませんが、転職活動が長引いたときのリスクも考えておきましょう。

収入が激減すると、転職を焦りがちになってしまいます。金銭的に余裕がない場合は、退職や有休消化の前に転職先を見つける方が精神的な負担も軽く済むでしょう。

有休消化中に転職先で働く際の注意点

有休取得のイメージ

(出典) pixta.jp

在職中の会社と転職先の理解を得られた場合、有休消化中に転職先で働くケースもあります。転職先での勤務が決まったときの注意点を見ていきましょう。

雇用保険は二重加入不可

雇用保険は、原則1つの番号で運用されているため、2つの会社で加入はできません。在職中の会社で雇用保険に加入していると、転職先では雇用保険に入れないため、注意しましょう。

有休消化中に働くことを告げず、黙って転職先で働き始めたとしても、雇用保険に加入できないため、在職中であることが分かってしまいます。

転職先の就業規則で二重就労が禁止されているケースでは、トラブルに発展しかねません。転職先に迷惑がかかる可能性もあります。

参考:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省

現雇用先からの「雇用保険被保険者資格喪失届」が必要

在職中の会社と転職先の両方から理解を得られている場合は、有休消化中の会社に「雇用保険被保険者資格喪失届」を発行してもらいましょう。

いつまでに手続きや、書類の発行が必要なのかを転職先と相談し、在職中の会社に依頼します。雇用保険被保険者の資格を喪失すると、新しい会社で雇用保険の加入が可能です。

本来は退職日以降に雇用保険の資格喪失手続きが行われますが、前倒しで手続きが可能か確認しておきましょう。もしも、在職中の会社で、退職日まで資格喪失届が発行できないようであれば、転職先で勤務する日を遅らせる必要があります。

参考:手続き一覧表 |厚生労働省

有休消化中に転職ではなくアルバイトはOK?

カフェでアルバイトする男性

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有休が長い場合、アルバイトを始めたいと考える人もいるでしょう。有休消化中にアルバイトは可能なのでしょうか?一般的な注意点と、よくある問題を解説します。

アルバイトも二重就労になる

雇用先で副業や兼業が禁止されている場合、アルバイトでも二重就労になります。そのため、就業規則を確認し、許可を取った上でアルバイトを始めましょう。

許可が取れている場合でも、雇用保険・社会保険などの問題は発生します。保険加入の必要がある時間数・期間に該当するときは、必要な手続きをアルバイト先と在職中の職場に確認しておきましょう。

基本的に「二重就労」は雇用形態を問いません。アルバイト・パート・派遣勤務・業務委託など、種別を問わず確認が必要です。

有休消化中に内緒で転職した場合は?

履歴書を見る

(出典) pixta.jp

双方の職場で許可が取れており、手続きができる場合は有休消化中の転職に問題はありません。しかし、内緒で働き始めると、さまざまなリスクが生じかねません。在職中の職場と転職先で起こり得る問題を確認しておきましょう。

現職場では懲戒処分される可能性がある

転職先で働き始めることによって、現職場では就業規則違反による懲戒処分のトラブルが起こると考えられます。

在職中の現職場で「二重就労の禁止」が就業規則で定められている場合は、注意が必要です。退職前の有休消化中とはいえ、雇用されている状態で働き始めるのは、二重就労の禁止に該当する恐れがあります。

懲戒処分の対象になると、退職金や支給予定の給与が減る可能性もあるでしょう。解雇になると、今後の転職に影響を与えかねません。円満に退職し、転職を成功させるためにも就業規則のチェックは重要です。

転職先には入社を取り消される可能性がある

転職先でも、二重就労の禁止や保険加入のルールが設けられている可能性があります。最悪の場合、入社を取り消されることも考えられるでしょう。

転職先で社会保険の二重加入や雇用保険のトラブルが発生すると、二重就労の事実はすぐに分かってしまいます。重要な連絡事項を伝えず、迷惑をかけると懲戒処分もあり得ます。

転職先での印象が悪くなると、新しい場所で頑張ろうとする気持ちが台無しになりかねません。事前に有休消化中であることを伝えておきましょう。

トラブルを避けるには

余計なトラブルを避けるには、退職後に働き始めるのがおすすめです。

企業・部署・専門家によって意見が分かれるケースもあり、上司や人事担当者に確認していても、後からトラブルが起きる可能性もあります。

転職活動や採用面接で入社日について聞かれた場合は、退職後の日付を回答しましょう。退職日の前に転職先で働かなければならない場合は、有休の買い取りや退職日を早めてもらうなど、雇用先に相談するのがおすすめです。

有休消化する際に気を付けたいポイント

有休申請書類を持つスーツの男性

(出典) pixta.jp

退職前に有休消化を考えているなら、まずは有休の状態や退職の相談時期を確認しましょう。スケジュールがうまくいかない場合、有休消化や転職に影響が出る可能性もあります。注意しておきたいポイントを見ていきましょう。

有休の残りの日数を調べておく

有休の残り日数を調べておくと、スケジュールが立てやすくなります。有休は継続勤務年数によって付与日数が変化し、最大の付与日数は1年につき20日です。

有休を取得しないままでいると、発生日から2年間で消滅する決まりです。そのため、2年間で残っている有休は最大で40日となり、単純計算すると、2カ月程度休めます。

有休の残りの日数に合わせて、退職の相談や転職先への入社日を決めましょう。有休が多いほど転職活動が長引いても金銭面の不安は少ないですが、転職先に入社できる日は遅くなります。

参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省

退職の意思は早めに伝える

退職の意思を早めに伝えておくと、有休取得のスケジュールを相談しやすくなります。引き継ぎにかかる日数や、退職したい日程によっては、有休消化の予定がうまく組めません。

従業員側から相談があれば、企業は有休を与えなければなりませんが、退職日までに有休が消化しきれない場合、退職日をもって有休は消滅します。

退職の意志を伝えるのは、法律の観点から考えると2週間前でよいと定められていますが、引き継ぎや、残りの有休日数によっては、早めに伝える方がよいケースもあるでしょう。就業規則で退職を申し出る時期が定められている場合もあるため、確認した上でできるだけ早い段階で相談しましょう。

参考:民法第六百二十七条 | e-Gov法令検索

有休消化までに引き継ぎを終わらせておく

退職前の有休消化は、企業側から拒否できません。しかし、円満退職を考えているなら、有休消化までに引き継ぎが終わるようスケジュールを組みましょう。

退職の相談から引き継ぎまで、1カ月程度かかると想定し、有休が40日残っている状態なら、退職日までは約3カ月の猶予があります。遅くとも退職したい日の3カ月前には退職の意思を伝えておかなければ、うまくスケジュールが組めないと考えられます。

有休消化前に引き継ぎを終わらせておかなければ、休暇中に質問や確認が来ることもあり、有休を有効に使えません。退職日を遅らせるよう打診される可能性もあるため、スムーズに転職するためにも、引き継ぎは計画的に終わらせるのが基本です。

有休消化中は転職活動のみに留めておこう!

履歴書とペンとスマホ

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有休消化中の転職活動は、問題なく進められます。しかし、有休消化中に転職先で働き始めようと考えている場合は、注意が必要です。現職・転職先の就業規則や、保険加入の状態によっては、トラブルが発生する可能性があります。

双方の許可が取れており、必要な手続きを全て済ませているならトラブルが発生するリスクは低いと考えられますが、判断が難しいときは、退職日以降に転職先で働き始めるようスケジューリングしましょう。

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