派遣社員の職務経歴書は、書き方にルールや注意点があります。雇用形態による書き方の違いや、ポイントを押さえておきましょう。フォーマットの種類や、職務経験数ごとのアピール例を紹介します。派遣社員ならではの魅力の伝え方も覚えておきましょう。
派遣社員が職務経歴書を書く際の基本ルール
派遣社員は、直接雇用の社員とは職務経歴書の書き方が異なります。基本的なルールと書き方を確認しましょう。
派遣元・派遣先の書き分け
派遣社員として働いていた場合、職務経歴書には「派遣元」である派遣会社と実際に働いていた「派遣先」を書きます。
派遣社員の雇用者は、「派遣元」の企業です。直接雇用ではなく、派遣されて働いていたことが分かるように記入しましょう。
どちらが雇用している派遣元で、どちらが派遣先なのか明確にするのがポイントです。書き方は自由ですが、「派遣元:〇〇株式会社」「派遣先:〇〇株式会社」のように分類するか、「〇〇株式会社に登録」「〇〇株式会社に就業」のような形で記入しましょう。
詳細かつ分かりやすく記載
派遣社員として働いていると派遣元・派遣先の両方を記載しなければならず、職務経歴書の内容が複雑になります。
レイアウトの分かりやすさは、担当者が職務経歴書を見る際にも重要なポイントです。見づらいレイアウトは意図が伝わらないだけでなく、多忙を理由に避けられる可能性もあります。派遣元・派遣先を明確にするだけでなく、統一感や見やすさを意識しましょう。
保有しているスキルや実績、働いた期間を書くのも大切です。内容を簡素化するのではなく、必要な情報については詳細に書いた上で、レイアウトにもこだわりましょう。
書き方が自由だからこそ、見やすいレイアウトで職務経歴書を書ける人材は魅力的です。
入社・退社は基本的に使わない
派遣社員には主に、「登録型派遣」「紹介予定派遣」「常用型派遣」に分けられます。
登録型派遣の場合は、一般的に入社・退社という言葉を使いません。派遣元と契約を交わした日は入社ではなく「登録」です。
派遣先で働き始めたときも、「入社」ではなく「就業」と記載します。派遣先を辞めたときは、「退社」ではなく「派遣期間満了」または「派遣期間終了」です。
紹介予定派遣で直接雇用に切り替わった場合は、派遣期間と直接雇用の期間は別にカウントしましょう。
常用型派遣の場合は、派遣先の有無を問わず派遣会社の社員として雇用され、給与を得ます。あくまでも社員としてさまざまな場所で働いているだけなので、派遣元企業に「入社」と書きましょう。
実際に働いていた派遣先について書く場合は、「就業」や「派遣期間満了」と記載します。
自分の魅力を伝える書き方のポイント
職務経歴書には、自己PRやスキルについても記載します。派遣社員として働いてきた中でつちかったスキルや魅力を伝える際のポイントや、書き方を押さえておきましょう。
派遣社員特有の適応力をアピール
派遣社員は派遣先が変わるシーンが多く、さまざまな職場で働いた経験を持っているのが魅力です。どの職場でも素早く仕事を覚え、戦力になれる適応力は職務経歴書にも記入できます。
環境が変わってもすぐに力を発揮できるなら、転職先でもすぐに職場になじみ、仕事を覚えられる能力があるというPRにつながります。
多くの人と関わってきた経歴からは、コミュニケーション能力や洞察力をアピールできるでしょう。仕事内容や職場を問わず生かせるスキルを中心に、ピックアップしましょう。
スキル獲得のための努力にも触れる
派遣社員は派遣期間が短い場合が多く、即戦力として働く役割を求められます。相応のスキルが必要となり、アピールできる資格やスキルを持っている人も多いでしょう。
職務経歴書には、持っているスキルを記入できます。これから取得を目指していて、勉強中のものを書くのもよいでしょう。
転職先でも努力を続ける姿勢をアピールするため、派遣先で身に付けたスキルや資格取得で努力したことを、自己PRとして付け加えるのもおすすめです。
派遣先・派遣元どちらの評価も盛り込む
職務経歴書の実績や評価は、派遣元・派遣先どちらであっても記入できます。自分でスキルをアピールするだけでなく、他者の評価があるのであれば積極的に書きましょう。
自己PRに比べて、客観的な実績や評価は重要視されます。数値や表彰歴など、誰が見ても分かる評価があれば、職務経歴書に書くと有利です。
派遣先での評価は、担当した業務内容や売上実績、プロジェクトへの参加などが挙げられます。派遣元での評価は、派遣先からの評価を受けての賃金アップや、保有するスキルへの評価などが該当するでしょう。
経験数ごとの職務経歴書のアピール例
職務の経験数によって、適切なアピール方法は異なります。経験数が少ない場合と多い場合に分けて、効率的なアピール例を紹介しましょう。
経験数が少ない場合
派遣社員としての職歴が浅いか、長く同じ場所で働いていた場合は経験数が少なくなります。職歴が数社以内で派遣元も1社であれば、会社情報に加えて、職務内容や実績を詳しく書くのがおすすめです。
勤務期間や派遣元・派遣先を分かりやすく記載した上で、以下のように詳しい内容をアピールしましょう。
【会社情報・職務内容の一例】
○○株式会社に就業
事業内容:生命保険事業
企業規模:従業員数800人
(▲▲事務所:従業員数50人)▲▲事務所にて、営業事務を担当
【職務内容】
・社内・社外文書の作成(Word)
・来客対応
・取引先からの問い合わせ対応(電話・メール)
・営業データの入力および本社への送信
・営業補佐【実績】
営業部長補佐として、取引先に同行
スケジュール管理やプレゼン資料の作成を担当
経験数が多い場合
派遣社員として多くの企業で働いている場合は、職務経歴書の内容が多くなります。分かりやすくまとめるには、職務概要やスキル・実績の欄でアピール項目をピックアップし、経歴の部分では社名や勤務期間を分かりやすくまとめて記載しましょう。
応募先の事業や担当業務と関係のない経歴が多い場合は、キャリア別にまとめる方法もあります。
【職務経歴の一例】
○年○月 ○○株式会社(派遣元)に登録
【勤務期間:派遣先(勤務部署)】
○年○月〜○年○月:○○株式会社(○○事業部)
○年○月〜○年○月:株式会社○○(○○営業事務所)
○年○月〜○年○月:○○株式会社(本社○○部)
○年○月〜○年○月:○○株式会社(○○事務所)
アピール内容によってフォーマットを選択
職務経歴書のフォーマットを考慮することで、応募先へのアピールがさらにしやすくなります。経験の多さやアピールしたい項目に合わせて使い分けましょう。一般的な3タイプのフォーマットを紹介します。
編年体式
編年体式は、時系列に沿って職歴を並べるフォーマットです。職務経歴書では基本の書き方といえ、指定がない場合や特別な事情がなければ編年体式を選択するとよいでしょう。
派遣社員としての職歴がそれほど多くない場合は、1枚で最新の職歴までまとめられます。順を追って記入するため、キャリアアップの流れもそのままアピールが可能です。
上部に「職務概要」としてこれまでの経歴を要約し、職務経歴を古い順に書いていきます。最新の職歴が一番下になるため、職歴が少ない人や全般的にこれまでの経歴を見てもらいたいと考える人におすすめです。
逆編年体式
逆編年体式は、最新の職歴から順に経歴を書いていくフォーマットです。職歴が多い場合には、重要な直近の職歴を目立たせるために使えます。直近の実績やスキルを強調したいなら、逆編年体式を選びましょう。
職歴の前半部分にアピールできる経験がない場合にも、おすすめできます。まずは職務概要をまとめ、前職の経歴から書き始めましょう。一番下に来るのは、初めて正社員や派遣社員として働いた企業です。
キャリア式
派遣社員の場合、携わってきた業界が幅広く、時系列に並べても分かりにくいケースがあります。業界やプロジェクトなど、一定のキャリアごとに職務経歴をまとめるフォーマットがキャリア式です。
応募先に関連するキャリアを目立たせ、アピールしたい場合に役立ちます。業界が複数にまたがり、各種の実績を分かりやすく分類したいケースではキャリア式を選択しましょう。
職務経歴の順序は問いません。目立たせたいものから順に書いていきましょう。スキルや実績を絡めやすく、専門的な職業では積極的に使いたいフォーマットです。
派遣社員が職務経歴書を作成する際の注意点
派遣社員が職務経歴書を書くにあたり、直接雇用の従業員にはあまりない注意点があります。うっかり忘れてしまうとトラブルにつながる注意点を覚えておき、抜けや漏れのないよう心掛けましょう。
企業名の記載はNGなケースがある
派遣先の了承が得られない場合は、企業名の記載はできません。守秘義務によって公開が禁止されているケースでは、職務経歴書であっても書くのは避けましょう。トラブルの原因になるだけでなく、違反が分かると転職活動にも響きます。
辞めた後に秘密を公開する人だと判断されると、採用担当者に悪印象を持たれてしまうでしょう。
転職時に企業名を記載してもよいか否かは、契約書を読むか派遣元に問い合わせると判断できます。特に、秘密保持契約が結ばれているのであれば、企業名やサービス名の公開はできません。
企業名の記載ができない場合は、業界や分類を大まかに記入します。「〇〇エリアの有名大学」「大手保険会社」など、ざっくりとした分類を書くのは問題ありません。
ぼかしても分かってしまうような場合は、守秘義務により企業名の記載ができない点を正直に書きましょう。
短い派遣期間の記入漏れに注意
派遣社員として長く働いていると、派遣先が多くなります。職務経歴書では短期間の職歴であっても全て書くのが原則のため、記入漏れには注意しましょう。
抜けがあると無職期間であると捉えられるだけでなく、経歴を偽ったと判断される可能性もあります。
派遣先が多く、業務内容や細かい実績まで書ききれない場合は、会社名・勤務期間・業種や職種などを簡易的な書き方でまとめても問題はありません。アピールにつながる実績や業務内容は、長く働いた派遣先を中心にまとめましょう。
まとめ:企業のニーズを把握して的確にアピールを
派遣社員として働いた経歴があれば、履歴書や職務経歴書に記載できます。直接雇用とは異なる注意点や、書き方のポイントがあるため覚えておきましょう。
派遣社員からの転職を検討しているなら、スタンバイで求人を探せます。派遣社員だけでなく、正社員・契約社員など、希望する雇用形態で絞り込んで検索するのもよいでしょう。
職務経歴書の書き方を押さえておけば、どの雇用形態を目指すにしても、適切なアピールができます。