男性でも事務職に転職できる?採用されるコツや働きやすさも解説

事務職は他の職種に比べて体力的な負担が小さく、年齢を重ねても長く働けるのが魅力です。男性が事務職にキャリアチェンジする場合、どのようなスキルを身に付けておく必要があるのでしょうか?未経験者のアピールポイントや転職に有利な資格も解説します。

男性が事務職で働くのは難しい?

事務作業をする男性

(出典) pixta.jp

受付や電話応対などを含む「事務職」は、女性に支持されやすい職種の1つです。男性が事務職に従事するのは、ハードルが高いのでしょうか?

事務職はやや女性が多い職場

事務職は社内の事務全般を担う職種です。総合職をサポートする「一般職」でもあり、書類作成や顧客対応などの定型業務が大部分を占めます。

総合職や営業職に比べ、事務職には女性が多い傾向があります。厚生労働省の「平成30年度雇用均等基本調査の結果概要」によると、女性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、一般職が46.5%、総合職が33.8%です。

他方、男性は総合職が51.5%と最も高く、一般職は31.2%にとどまります。業種・業態による差はありますが、事務職には女性、総合職には男性が多いことが分かるでしょう。

参考:「平成30年度雇用均等基本調査」の結果概要|厚生労働省

男性でも事務職で活躍できる

事務職の従事者には女性が多いものの、男性が活躍できないわけではありません。男女雇用機会均等法では、募集・採用の際に男女のいずれかを排除・優先することを禁じています。

ひと昔前までは「事務職は女性、営業職は男性」という企業もありましたが、採用にあたり性別を理由とした差別を設けるのは法に抵触します。

性別を問わず事務職に向いているのは、地道な作業が苦にならず、かつコミュニケーション能力が高い人です。

ただし、男性でも適性があれば採用される可能性は十分にありますが、「未経験OK」の求人は競争率が高くなる点は覚えておきましょう。

参考:企業において募集・採用に携わるすべての方へ 男女均等な採用選考ルール|厚生労働省

事務職の魅力とは

パソコンを操作する男性の手元

(出典) pixta.jp

事務職は楽な仕事ではありませんが、体力的な負担は少なめです。従事するのに必要な資格はなく、未経験者でも挑戦しやすいでしょう。事務職が多くの人に選ばれる、3つの理由を紹介します。

体への負担が少ない

事務職はデスクワークの代表格です。オフィスには冷暖房が完備されているため、年間を通じて快適な環境下で仕事ができます。立ち仕事である接客業や外回りが多い営業職、体力を必要とする運送業などと比べて、体への負担は少ないといえるでしょう。

体力的にきつい仕事はそれなりの収入が見込めますが、年齢とともに続けるのが難しくなります。体力に自信がない人や年齢を重ねても長く働きたい人は、事務職を選ぶ傾向があるようです。

ただし、パソコンの前に1日中座りっぱなしになるケースが多く、慢性的な肩凝りや腰痛に悩まされる可能性があります。

ワークライフバランスを実現しやすい

厚生労働省は、仕事と生活の調和を目指す「ワークライフバランス」を推進しています。職種や業界によっては長時間労働が常態化し、プライベートの時間が十分に確保できない人も珍しくありません。

事務職は他の職種に比べるとノルマや残業が少なく、ワークライフバランスを実現しやすいのがメリットです。仕事を覚えるまでに時間はかかりますが、慣れてしまえば自分のペースで作業ができるでしょう。

事務職は「いかに効率的にタスクを消化するか」を考えながら、仕事をしなければなりません。定時に帰れるかどうかは、本人の努力次第ともいえます。

参考:仕事と生活の調和の実現に向けた取組の推進|厚生労働省

未経験でも挑戦しやすい

事務職に必須の資格はなく、未経験者でも挑戦しやすいのがメリットです。未経験OKの求人案件は、採用要件がそれほど厳しくありません。社会人としての常識があり、WordやExcelの基本操作ができれば、採用される場合があります。

ただし、未経験者を受け入れる職場は競争率が高いため、自分を採用するメリットを企業側にしっかりとアピールすることが重要です。業務に関連する資格があれば、他の応募者との差別化ができるでしょう。

事務職で男性が働くデメリット

通帳を見ながら考える男性

(出典) pixta.jp

キャリアチェンジする前に、自分のライフスタイルやキャリアプランにふさわしい職種かどうかを、見極める必要があります。事務職で男性が働くデメリットを取り上げます。

事務職は年収が低めの傾向にある

転職の理由は人それぞれですが、多くの人はキャリアアップや年収アップを望みます。事務職は安定収入が得られる職種であるものの、専門職や管理職に比べると平均年収は高くはありません。

「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、平均年収(企業規模計10人以上・男性)は以下の通りです。

  • 事務従事者:581万8,400円
  • 管理的職業従事者:874万5,600円
  • 専門的・技術的職業従事者:634万5,100円

※年収は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 6 職種(大分類)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

女性が多い職場になじめない

男性が事務職に就くにあたって、人によっては女性が多い環境になじめない可能性があります。特に男性中心の業界で働いてきた人は、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。

同僚も女性、直属の上司も女性の職場において、コミュニケーションの取り方に悩む男性は少なくないようです。

事務職は1人で黙々と作業を進めるイメージがありますが、実はチームワークが求められます。小まめな報連相やコミュニケーションが欠かせないため、「女性が多くてなじめない」は通用しないのが現実です。

事務職に採用されるには

事務作業をする男性

(出典) pixta.jp

未経験でも挑戦しやすい職種ではありますが、「経験なし・スキルなし」では他の応募者に差を付けられてしまいます。事務職で生かせる自分の強みを探すと同時に、必要なスキルを身に付ける努力をしましょう。

パソコンの基礎的なスキルを身に付ける

事務職では必ずといってよいほど、パソコンスキルが問われます。少なくとも以下のスキルは身に付けておく必要があります。

  • 初級レベルのWordやExcelの基本操作
  • データの管理方法
  • ローマ字入力によるタイピングスキル
  • メールの送受信
  • チャットによるコミュニケーション
  • セキュリティに関する基礎知識

近年は、独自の管理ツールを導入する企業が増えていますが、Excelでデータを管理している中小企業がまだまだ多いのが実情です。少なくとも表の作成や四則演算、初歩的な関数には慣れておきましょう。

事務職への転職で役立つ資格

資格があると、転職時に自分のスキルを客観的に証明できます。パソコン関連の資格のほか、ビジネスマナーや簿記に関する資格があると、選考が有利に進むでしょう。企業のDXが進む昨今では、ITリテラシーがあると歓迎されます。

事務職への転職で役立つ資格を紹介します。

  • マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
  • 日商PC検定
  • 日商簿記
  • 秘書検定
  • ビジネス文書検定
  • ITパスポート

スキルや経験をアピールする

履歴書の自己PRでは、これまでに培ってきたスキルや経験をアピールしましょう。評価されやすいのはオフィスワークの経験ですが、接客業や営業職の経験が高く評価されるケースもあります。

主に以下のような能力について、アピールするのが有効です。

  • コミュニケーション能力
  • 作業の正確性・丁寧さ
  • スケジュールの管理能力
  • 臨機応変に対応できる能力

事務職は縁の下の力持ちという存在なので、リーダーシップや自律性を強調するよりも、サポート役に向いていることを伝えるのがポイントです。

多くの企業は、組織文化との相性(カルチャーフィット)を重視する傾向があるため、コーポレートサイトで企業理念やビジョンなども確認しておきましょう。

まとめ:男性でも事務職にチャレンジしよう

パソコンで作業をする男性

(出典) pixta.jp

事務職は女性の従事者が多い仕事ですが、男性にも活躍のチャンスはあります。性別だけで採用の可否を判断する企業は少ないため、思い切ってチャレンジしてみましょう。

事務職といっても、経理事務や営業事務、総務事務など、さまざまな種類があります。求められるスキルや経験は職場によって異なるため、募集要項をよく確認した上で応募に進みましょう。

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