転職で正社員を目指すときは、履歴書の書き方やルールを覚えておくと書類審査がスムーズに進みます。ほかの雇用形態ではそれほど重視されないことでも、正社員募集では注意が必要です。履歴書の選び方や、書き方のポイント・郵送時のマナーも紹介します。
正社員を目指すなら履歴書はどれがよい?
正社員の求人に応募する場合、適した履歴書の規格はあるのでしょうか?主な履歴書のフォーマットと、特徴を紹介します。状況に合わせて、書きやすく必要項目がそろっている履歴書を選びましょう。
使いやすいのは厚労省の「履歴書様式例」
履歴書の様式は基本的に自由ですが、厚生労働省は「履歴書様式例」を公開しています。
2020年までは一般財団法人日本規格協会による「JIS規格」が推奨されていましたが、同協会が履歴書様式例の削除に至った経緯もあり、2021年に厚生労働省が新しく様式例を作成したものです。
応募者のプロフィールや経歴を書く欄に加えて、アピールのための自由欄など、ひととおりの項目がそろっています。新卒入社や転職など、状況を問わず使用できる様式です。
あくまでも基本の様式のため、履歴書を作成するメーカーによって「志望の動機・特技・好きな学科・アピールポイントなど」の欄を複数に分け、書きやすくしているものもあります。応募にあたって必要な項目がそろっているか確認し、ぴったり合う履歴書を購入するのがポイントです。
アピールできるスペースがあるのは「一般用」
一般用の履歴書は、厚生労働省の様式に似たタイプが多く、基本的に必要な項目がそろっています。項目がシンプルで、状況を問わずに使えるため、どの履歴書を使うか迷ったときは「一般用」と書かれているものを選ぶのがおすすめです。
特に、自己PRや趣味・特技欄が大きく作られている履歴書は、新卒採用に適しているといえます。
職歴が少ない第二新卒や、自己PRで熱意をアピールしたい人にも向いています。
職歴欄が広いのは「転職用」
「転職用」の履歴書は、職歴欄が広くなっています。複数の職を経験し、これまでの職歴をアピールしたい人におすすめです。
職歴欄が広いと、履歴書に職歴が書ききれない問題も軽減されるでしょう。転職用の履歴書は、メーカーによって項目や内容が異なります。
新卒入社で聞かれやすい内容よりも、仕事にスポットを当てた履歴書が多い傾向にあります。職務経歴書がセットになっているものもあり、必要な書類をそろえる手間が省けます。
シフト希望欄がある「アルバイト・パート用」
「アルバイト・パート用」の履歴書には、シフト希望欄が設けられているタイプがあります。勤務時間や日数がそれぞれ違うからこそ、細かい希望を伝えられる履歴書になっています。
一般用の履歴書では伝えにくい項目が追加されているため、内容を確認し、応募先に合うタイプの履歴書を見つけましょう。
しかし、正社員の求人への応募には、アルバイト・パート用の履歴書は不向きです。不要な項目が多く、書きづらい可能性が高いため、一般用や転職用の履歴書を準備する方がおすすめです。
正社員を目指す際の履歴書の書き方「基本ルール」
正社員を目指すなら、履歴書の基本的な書き方を覚えておきましょう。アルバイト・パートとは異なり、細かい内容をチェックされる可能性があります。一般的なルールと注意点を紹介します。
誤字脱字・修正ペンはNG
履歴書は、一般的にボールペンや万年筆などの「消えないインク」を使って記入します。書き損じや誤字脱字があったときは、最初から書き直しします。
鉛筆・消せるボールペン・修正液・修正テープの使用は避けましょう。ただし、跡が残らないよう下書きに使うだけであれば、鉛筆の使用は問題ありません。
間違えないよう、ゆっくり丁寧に書くのがポイントです。文字の訂正ができないことに不安を感じる場合は、パソコンで作成するのも1つの方法です。
応募先が積極的にパソコン作成の履歴書を受け入れているか、手書きの履歴書を求めているのか確認した上で、どちらを用いるのかを検討しましょう。
空欄を作らない
履歴書の項目は、原則として全て埋めるのが基本です。空欄があると、書き忘れなのか、何も書くことがなかったのか判断ができません。
応募先に合わない項目が履歴書に存在し、記入することがないときでも「特になし」のように一言を記入しましょう。しかし、アピールできる項目を「特になし」でまとめると熱意が疑われます。
自己PRや、志望動機・趣味・特技などはできる限り「特になし」以外の回答を記入しましょう。
「なし」「特になし」が許容されるのは、保有資格の記入欄はあるが資格を何も持っていないとき、希望店舗記入欄はあるが応募先が店舗ではないなど、どうしても書けないケースです。
過去に使用した履歴書は使い回しをしない
履歴書は、応募先ごとに書き直すのが基本です。使い回しをすると、応募先とミスマッチな内容になる可能性があります。
不採用になると、応募先から履歴書が返却されるケースもあります。そのまま使えそうに感じてしまうかもしれませんが、全て破棄しましょう。
パソコンで作成した履歴書であっても、応募先ごとに、日付・自己PR・志望動機など、書き換えの必要がないプロフィール・学歴などを除いては書き換えます。
他企業に提出した履歴書を再利用していると分かれば、応募先に悪い印象を持たれてしまいかねません。
正社員を目指す際の履歴書の書き方は?
正社員への応募では、履歴書の内容にもこだわりましょう。重要とされる志望動機を書くポイントや、証明写真の撮り方を解説します。
志望動機が重要
正社員を目指す場合、企業について深く考察し、熱意が感じ取れる志望動機を考える必要があります。
アルバイト・パートでも志望動機はチェックされますが、正社員と比べると企業研究や同業他社との違いを把握していなくても採用につながるでしょう。
しかし、無期雇用かつ安定した賃金で雇用される正社員だからこそ、企業側も熱意のある人を採用したいと考えます。短すぎず長すぎない志望動機にし、入社意欲をアピールしましょう。
正社員の求人であれば、250字前後を意識して志望動機をまとめます。100字程度では熱意が薄いと受け止められる可能性があり、400字を超えるとやや冗長と捉えられかねません。
証明写真はスーツ姿で
正社員の求人に応募する場合、履歴書の証明写真もスーツを着用して撮影しましょう。アルバイト・パートでは写真の服装をチェックされることは少ないですが、正社員の求人ではスーツが基本です。
面接と同じように、証明写真でも転職活動時の正装を意識します。私服OKの企業があったとしても、複数社に応募することも考えてスーツを選ぶ方が無難です。
私服を選択すると、採用担当者の好みや企業の考え方によっては、書類審査が不利になる恐れがあります。スーツを着用するだけでなく、髪形やメイク・身だしなみにも注意しましょう。
正社員の志望動機は履歴書にどう書く?
志望動機は、企業に自分をアピールできる項目です。志望動機の基本的な書き方と、内容のまとめ方を解説します。
最初に志望理由を簡潔に書く
正社員の求人の志望動機では、論理的思考とビジネスで重視される「結論から書く能力」もチェックされる傾向にあります。
そのため、志望動機は志望理由から記入しましょう。伝わりやすさを意識し、簡潔にまとめるのがポイントです。
応募した職種を選んだ理由や、きっかけとなった重要な出来事を短くまとめます。結論部分は端的に、1~2行で書き切ることを意識しましょう。
なぜ応募企業なのか理由をまとめる
志望理由を書いた後は、結論に至るまでのエピソードや原因を詳しく書いていきます。続けて、応募先を選んだ理由も付け加えましょう。
「業界」「職種」「仕事内容」「雇用形態」への憧れは、複数の企業に該当する内容です。どの企業でもよいと考えている人と、応募先でなければ希望がかなわないと考えている人がいれば、応募先への熱意を持っている人の方が好印象を与えられます。
企業に魅力を感じている人は、内定辞退に至る心配が少なく、採用側にとっても魅力的です。企業に対する思いがあれば、積極的に伝えるようにしましょう。
入社後にしたいこと・ビジョンに触れる
入社後に活躍できるイメージを与えられると、採用につながりやすいため、志望した理由と絡めて入社後のビジョンも伝えましょう。
「前職でできなかった仕事をしてみたい」「応募先だからこそかなえられる夢がある」など、やってみたい仕事のアピールをする分には違和感がありません。
入社してすぐにやってみたい仕事ではなく、数年間のキャリアを意識すると将来像がイメージしてもらいやすくなります。
状況別でみる履歴書の職歴欄の書き方
履歴書の職歴欄は、これまでの職務経験によって書き方が異なります。状況に合う書き方と、注意点を覚えておきましょう。派遣勤務から正社員を目指すケースと、アルバイトから正社員を目指すケースの基本的な書き方を解説します。
派遣から正社員を目指す場合
派遣から正社員を目指す場合、履歴書には派遣社員としての職歴を記入します。
給料の支払いや、仕事の紹介は「派遣元」の企業が行うため、実際に勤務するのは「派遣先」です。職歴欄には、派遣元・派遣先が分かるよう、両方記入しましょう。
派遣元・派遣先との契約によっては、派遣先企業の名称を明かせないケースもあります。企業名を公開できない契約を結んでいる場合は派遣元のみ記入し、派遣先は「〇〇関係の大手企業」などのように、企業名を出さずに書きましょう。
アルバイトから正社員を目指す場合
職歴がアルバイトやパートのみの場合は、職歴欄にアルバイトの経験を記入します。転職では正社員の経験と混同されないよう「アルバイト」と追記した方が分かりやすいでしょう。
一般的に、派遣・契約社員・正社員で働いた経験があるときは、アルバイトの経験を書かずに、その経歴だけを記入します。ただし、アルバイトの経験を除くと無職期間が長いように思われてしまいそうな経歴や、アルバイトの経験が応募先の業務と関連しているときはアピールとして記入します。
アルバイトから正社員登用された経験があるときは、アルバイトと正社員の両方を記入する方がよいでしょう。正社員としてスカウトされるほど仕事をしっかりこなしていた証しでもあり、事実を書く方が有利になります。
空白期間がある場合
働いていない期間が長いときや、職歴そのものがない場合は、虚偽ではなく事実を書きます。
特に、職歴を偽ると経歴詐称になってしまいます。空白期間があるときは、働いていた期間と勤務先名のみ記入し、事情があれば簡潔にまとめましょう。
病気療養や、勉強・転職活動が長引いたなど、納得できる理由があればマイナスのイメージを軽減できます。働いていない期間が長いときは、どうしても評価が下がりがちになってしまいます。しかし、マイナス面も正直に申告することで、プラスに捉えてもらいやすいでしょう。
正社員を目指す際の履歴書の書き方のポイント
志望動機や職歴以外にも、履歴書にはいくつかの項目があります。それぞれ、どのように記入すればよいのでしょうか?書き方の基本と、うまく書くためのポイントを紹介します。
自己PRの書き方
正社員を目指すときは、企業が求める人材を意識して、スキルや実績をアピールします。これまでの仕事経験や、資格・スキルについて、自己PRするのが基本です。
資格や実績は名前や数値を用いて詳細にアピールします。正社員経験がない場合は、派遣社員・契約社員・アルバイト・パート・自営業など、どの雇用形態での経験があるのかを記入しても構いません。
働いた経験がないときは、職業訓練校や、学校で学んだ知識・資格などを自己PRに記入します。
仕事の実績や資格に関連する自己PRが思いつかないときは、自分の長所などを応募先の業務内容につなげてアピールするのも1つの方法です。
趣味・特技の書き方
趣味・特技欄が設けられているときは、あくまでも採用判断の1つとして質問されていることを意識します。趣味・特技を確認する目的は、人間性のチェックや、仕事に役立つスキルを持っているかどうかです。
趣味を書く場合、反社会的な内容や、一般的に印象がよくないものは避けましょう。アルコール・ギャンブルなどについては、問題を起こすリスクを心配され、健全な範囲であっても誤解を生む可能性があるため、避ける方が無難です。
本人希望欄に注意
一般的な履歴書には「本人希望欄」「本人希望記入欄」といった名称の項目が設けられています。本人希望欄は「特別な配慮が必要な事柄」を記入する項目です。
そのため、特別な希望以外は原則として記入しません。あまり細かく要求を書くと、応募先が希望する人材とマッチせず、採用を見送られる可能性もあります。
どうしても対応できない時間帯や業務がある場合は、事情と合わせて簡潔に伝えておきましょう。事情として一般的に認められるのは、子育て・介護・身体的トラブルなどです。
特に希望がないときは「貴社規定に従います」と記入します。
正社員を目指す際に履歴書を郵送する場合のマナー
アルバイト・パートに比べると、正社員は社会人としてのマナーが求められます。履歴書を郵送するときは、マナーに注意して送付するのがポイントです。マナー違反にならないよう、基本的なルールを押さえておきましょう。
封筒の選び方・書き方
まず、履歴書を折らずに入れられる大きさを選ぶのが基本です。サイズは角形2号が一般的とされ、封筒は白色を選ぶのが無難です。
封筒の表面には、応募先の住所と会社名、会社の公式サイトや求人情報に従って部署名や担当者名を記入しましょう。宛先が会社名・部署名で終わるときは「御中」、担当者名で終わるときは「様」を敬称として付けます。
封筒左下には、履歴書のみなら「履歴書在中」、履歴書以外の書類も入っている場合は「応募書類在中」と記入、履歴書であることが分かるようにしましょう。裏面には自分の住所と名前を記入します。
郵送時に気を付けたいポイント
履歴書を郵送するときは、応募先に届いたときの状態にも気を配りましょう。郵送の前に、以下のポイントを確認します。
- 必要書類が全て入っているか
- 履歴書の項目に抜け・漏れはないか
- 封筒の記入項目漏れや誤字脱字がないか
- 封筒に切手は貼ってあるか
- 履歴書の受付締切に間に合うか
そのほか、履歴書が折れ曲がらないように配慮し、料金不足がないように重さと大きさをきちんと調べて切手を貼ります。
郵便局から郵送すると、料金不足の心配がなく、速達や特定記録郵便を利用できるのもメリットです。締切までに時間がないときや、確実に到着したのかを確認したいときは郵便局を活用しましょう。
添え状は同封する
履歴書を郵送するときには、添え状を同封するのが基本です。添え状は、応募書類の内訳・内容や、送り主の情報をまとめた書類で、採用担当者が内容確認の際に使用します。
添え状に記入するのは、一般的に以下の内容です。
- 履歴書の送付日(作成日)
- 履歴書の宛先(会社名・部署名・担当者名)
- 書面のタイトル(履歴書送付であると分かる内容)
- 送付のあいさつとアピール文
- 同封した書類の一覧
添え状がある方が書類の確認がしやすく、あいさつやアピール文で中身をしっかり読んでもらいやすくもなります。履歴書のみを送付するよりも丁寧な印象になるため、添え状を忘れずに同封しましょう。
まとめ:正社員を目指すなら履歴書を作り込もう!
正社員を目指す人は多く、企業側も良い人材を厳選して採用したいと考えています。特に正社員への応募が初めての場合は、履歴書の書き方やルールをチェックしておきましょう。
一般常識やマナーを守って履歴書の作成ができていると、採用してもらえる率も高まります。
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