AD(アシスタントディレクター)とは?役割や仕事内容を解説

AD(アシスタントディレクター)といえば、有名なテレビ業界の職種であり、名前だけは知っている人も多いでしょう。これから制作側でテレビ業界を目指すならば、ADからキャリアをスタートするのが一般的なので、役割や仕事内容を知っておきましょう。

AD(アシスタントディレクター)とは?

テレビ撮影の様子

(出典) pixta.jp

テレビ業界におけるAD(アシスタントディレクター)とは、番組制作の要となるディレクターを補助する役割を担っている重要な仕事です。まずはADの仕事の概要から確認していきましょう。

ディレクターを補助する仕事

ADは「アシスタントディレクター」の名の通り、番組の制作を担うディレクターを補助する職種です。制作する番組のスケジューリングやロケーションの調査、セットの手配や準備など、仕事内容は多岐にわたります。

さらに出演者や他のスタッフとコミュニケーションを取りながら、番組制作を円滑に進行するために、裏方としてさまざまな雑務をこなさなければいけません。

番組の制作や放映において重要な役割を果たしますが、徹夜作業も多く、かなりハードなスケジュールの職種でもあります。

「AD」の呼称が変更される?

ADといえば、テレビ業界に詳しくない人でも一度は聞いたことのある職種でしょう。しかし近年は、テレビ業界の一部でADの呼称を変更する動きが出てきています。

例えば、SD(サブディレクター)やYD(ヤングディレクター)など、その役割に応じた名称に変えようという流れです。

ADにはきつい仕事のイメージが定着しており、業界全体としてADが不足傾向にあります。そこで具体的な役割ごとに名称を変更し、ネガティブなイメージを払拭しようとしているのです。

実際、同じADの立場でも、番組によって仕事内容が違うケースは多いので、名称を変更して仕事内容を明確にする意味もあります。ただし現状では反対派も多いので、しばらくはADの呼称が使われ続けるでしょう。

ADの仕事はとてもハード?

テレビ番組撮影の現場

(出典) pixta.jp

ADは上記のように、番組制作を担うディレクターの助手という立場であり、さまざまな仕事を任せられます。テレビ業界の中でも、とりわけハードな職種というイメージがついていますが、実際のところはどうなのでしょうか?

あらゆるサポートや雑務を担う

ディレクターの指示に従いさまざまな作業をする必要があり、非常にハードとされているのがADの仕事です。徹夜で作業しなければならないケースもあり、番組の制作や放映に関して必要なサポートや、こまごまとした雑務を一手に引き受ける立場でもあります。

きつい仕事ではありますが、将来的にディレクターやプロデューサーに出世できる可能性があるため、テレビ番組を作りたい人はADとして下積みをするのが一般的です。ただし時期によっては、忙しいときとそうではないときの落差が激しい場合もあります。

デスクワークも多い

テレビ業界のADといえば、番組のロケや収録などの場で、常に忙しく動き回っているイメージを持たれがちです。確かに番組収録では休む暇もなく仕事をしているADが多いですが、それ以外の時間はデスクワークが多いのも特徴です。

番組制作のための調査をしたり、資料を作成したりする作業も多いため、パソコンに向かい続けなければならないケースもあります。

基本的なPCスキルに加えて、オフィス系のアプリケーションに関する知識も求められる点は、一般的なビジネスパーソンと変わりません。

ADの主な仕事内容

アシスタントディレクター

(出典) pixta.jp

ADの仕事を、番組制作の流れに沿って解説します。番組の企画から撮影、編集に至るまで、全てのプロセスで何らかの役割を担っているのが分かるでしょう。

番組の企画会議

ADはテレビ番組の企画会議や制作会議で、資料を用意したり、会議の日時を出席者に連絡したりするなど、さまざまな業務を担います。

テレビ番組は企画会議や制作会議を経て制作がスタートしますが、いずれも中心となるのはディレクターや構成作家で、ADは会議室の予約や資料作成、弁当や飲み物の手配などが主な仕事です。

会議に出席するというよりは、参加者をサポートするのが主な仕事ですが、企画に関して意見を求められる場合もあるでしょう。雑用がほとんどですが、議事録を作成するなど、スムーズに会議を進めるために欠かせない役割です。

番組に関するリサーチ

企画会議で必要な情報や、会議で決まった事柄についてリサーチするのも、ADの重要な仕事です。インターネットで情報を検索するのはもちろん、必要に応じて専門の書籍や文献などを確認する場合もあります。

さらにSNSでユーザーの声を調べたり、専門家に電話やメールで質問したりなど、さまざまな角度から情報を収集しなければいけません。

また、集めた情報はディレクターや番組の出演者などが確認しやすいように、資料としてまとめるとともに、情報に間違いがないように裏取りも必要です。情報の収集や資料まとめで1日が終わるケースもあります。

ロケハンや現場の仕込みなど

テレビ番組の中には、全国各地でのロケが必要になるものもあります。ADはいわゆる「ロケハン(ロケーションハンティング)」と呼ばれる、ロケ地を選定する役割もこなさなければいけません。

上記の情報収集の一環としてロケ地にふさわしい場所を選定し、ディレクターに確認を取った上で、実際にロケ地に足を運んで下見をします。ロケにその地域の地主や行政機関などの許可が必要な場合は、ロケハンの際に撮影交渉を行うケースもあります。

周辺環境やテレビ局からの移動時間なども調査し、ロケ地としてふさわしければ、当日の動きの確認もしなければいけません。

さらにロケ当日には、撮影機材を持ち込んでセッティングを行い、弁当や宿泊先の手配や備品の準備、出演者への説明などもする必要があります。

スタジオ収録と編集

スタジオ収録で番組を制作する場合、資料を準備したり、出演者の楽屋を用意したりする役割を担います。リハーサル時には出演者の代わりに動いて映り方を確認したり、観客に番組を撮影する上で必要な説明をしたりする仕事もしなければいけません。

また、収録時には出演者に出番を知らせたり、ディレクターの指示でカンペを出したりするのもADの役割です。

撮影が終わったら、ディレクターの編集を補助する必要があります。内容を確認して間違いがないかチェックしたり、BGMやナレーションなどを入れる作業をしたりするのも仕事です。

ADに求められる資質

デスクワークをする女性

(出典) pixta.jp

ADは番組の企画から撮影、編集に至るまで、さまざまな役割をこなさなければいけません。求められる資質としては、長時間勤務に耐えられる気力や体力はもちろん、以下の要素も必要です。

臨機応変な対応力

ディレクターの指示でさまざまな作業を進めるADには、臨機応変な対応力が求められます。定型業務も多いですが、複数の作業を同時並行で進めるのに加えて、イレギュラーな事態にも迅速に対応しなければいけません。

状況によってはディレクターの判断で指示が変更になる場合もあるので、優先順位をしっかり付けて、重要な仕事がどれなのか素早く把握する力が必要です。

コミュニケーション力

ディレクターだけでなく、番組の出演者やロケ地での交渉相手など、さまざまな人と日常的にやり取りする必要があるため、ADにはコミュニケーション能力が欠かせません。

相手に指示や情報を的確に伝えるのに加えて、出演者に気持ちよく撮影に臨んでもらうため、細やかな気遣いも求められます。

膨大な仕事の中でも密なコミュニケーションを絶やさず、相手の気持ちをくみ取った対応ができれば、一緒に仕事をしたいと考えるテレビ関係者も多くなり、出世の道も開けるでしょう。

スケジュールの調整・管理能力

番組の制作プロセスに合わせて仕事を進めるのはもちろん、ディレクターの指示で追加的な作業が発生するケースもあるので、スケジュール管理能力も必要です。

その時点で最も優先すべき事柄を見極めて、締め切りや納期に間に合うように、作業を完了させなければいけません。

さらに仕事の優先順位も頻繁に変わるため、その都度うまくスケジュールを調整するスキルも身に付ける必要もあるでしょう。徹夜で仕事をしなければならない場合もありますが、体を壊さないように適宜休憩をうまく取る要領のよさも求められます。

ADに転職するには?

履歴書を提出する

(出典) pixta.jp

テレビ業界にADとして転職するには、どういった方法があるのでしょうか?特別なコネクションが必要だと考えている人もいますが、求人サイトを利用して応募が可能です。

未経験からでも挑戦が可能

ADは未経験から挑戦する人が多く、実際にディレクターの下で仕事をしながら、テレビ業界について学ぶ人がほとんどです。

映像関係の学校や大学のメディア学科などから、テレビ業界を目指す人もいますが、メディアとはまったく無関係な職種から転職する人も珍しくありません。

学生時代からアルバイトで入る人もいるので、興味のある人はテレビ局や制作会社の求人を調べてみるとよいでしょう。未経験からでも安心して仕事ができるように、充実した研修制度を設けているケースもあります。

求人サイトから応募するのが一般的

テレビ業界の職種の中でも、多くの人がキャリアをスタートさせるADは、基本的に求人サイトから応募が可能です。とりわけ近年はテレビ離れが進んでおり、ADも慢性的な人手不足に陥っているケースが少なくありません。

そのため、求人サイトで積極的に人材募集をしている場合も多く、中途採用の募集も多々あります。転職を考えている人は利用を検討してみるとよいでしょう。

ADから番組制作の世界を目指してみよう

番組撮影のイメージ

(出典) pixta.jp

テレビ業界におけるADの役割や、具体的な仕事の内容を解説しました。ADはディレクターの指示で、さまざまな仕事をこなす必要があります。徹夜も多くきつい職種ではありますが、番組制作に携わりたい人にとっては、非常にやりがいのある仕事でしょう。

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