ブリーダーへの転職を検討しているなら、仕事内容やなる方法を知っておくのがおすすめです。自分に向いているか、どのような努力をすればいいのかが分かります。ブリーダーに向いている人の特徴やおすすめの資格も押さえておきましょう。
ブリーダーとは
未経験から目指す人のために、まずはブリーダーの概要を紹介します。ブリーダーにはさまざまな種類があることも理解しましょう。
動物を繁殖させて販売する仕事
ブリーダーとは、動物を繁殖させて飼育・販売まで行う仕事です。犬や猫などのペットを扱うのが一般的ですが、家畜のブリーダーも存在します。
ペットの場合は血統書付きの動物を繁殖・飼育して、ペットショップで販売してもらったり自分で売ったりします。家畜を扱うブリーダーの仕事は、牛や馬などを顧客の要望に合わせて繁殖・飼育することです。
ブリーダーは自分で繁殖から手掛けるため、動物に関する豊富な知識と経験を持っています。特定の動物に強い、ショーで活躍するための動物を育てることに特化しているなど、さまざまなタイプが存在するのも特徴です。
ブリーダーの種類
ペットを扱うブリーダーには、主に下記の種類が存在します。
- セールスブリーダー:繁殖から販売までを行う一般的な業者
- ホビーブリーダー:趣味の延長で販売も手掛ける個人
- シリアスブリーダー:種の保存や品質向上を目指し計画的に繁殖を行う専門家
- パピーミル:利益を優先してとにかく子犬を増やす業者
ブリーダーとして働くなら、真面目に繁殖に取り組んでいる業者の下で、経験を積むのがおすすめです。近年問題になっているパピーミルには加担しないように注意しましょう。
ブリーダーの詳しい仕事内容
ブリーダーの主な仕事内容は、動物の繁殖・飼育・販売です。それぞれの過程で具体的にどのようなことを行っているのかを見ていきましょう。
動物を繁殖させる
ブリーダーの最も重要な仕事は、動物を繁殖させることです。血統に関する正しい知識を身に付け、遺伝的な疾患が生じないように、計画的な繁殖を行います。
繁殖を成功させるためには、母体の適切な管理も重要です。運動による体力づくりや食事による栄養管理を行い、健康な状態で出産できるようにサポートします。
また同じ種類の動物でも、年齢や体調により交配のサポートが変わることもあるため、日々観察して細かい変化に敏感にならなければなりません。一般的には、その日の作業を行う前に、飼育中の動物を詳しくチェックします。
動物を飼育する
生まれて間もない動物は、病気にかかりやすい状態です。ブリーダーは子犬や子猫の様子を常に観察し、きちんと衛生管理を行う必要があります。もちろん、産後の母親をケアすることも重要な仕事です。
飼育中の食事は、動物の年齢・成長具合・健康状態に合わせて、栄養や分量を調整します。尿・便の色や排せつ回数、呼吸や心音の状況は、健康状態を判断する大事な要素です。
予防接種や動物病院への通院も、定期的に行わなければなりません。子犬や子猫は人に慣れていないため、社会性を習得させるためのしつけや訓練も必要です。
動物を流通、直接販売する
事業としてのブリーダーは、育てた動物を販売することで収入を得ています。ペットショップやドッグカフェなどに流通させたり、ペットを飼いたい人に直接販売したりするのも、大切な仕事です。
子犬や子猫を欲しがる人の中には、ブリーダーから直接購入したいと考えている人も少なくありません。購入前に、動物の飼育環境を直接確認できるためです。
開業する場合は流通経路の確保と同時に、Webサイトを立ち上げるなど直接販売できる環境を整えておくと、収入が安定しやすくなるでしょう。
販売の仕事には、購入前の相談や購入後のアフターサポートも含まれます。例えば、しつけ・食事・排せつのやり方が分からない購入者に対しては、ブリーダーが指導を行います。
ブリーダーに向いている人
ブリーダーへの転職を目指すなら、向いている人に共通する特徴をチェックしておきましょう。自分に合う仕事かどうか、確かめるための参考にもなります。
動物への愛情、責任感がある人
命を預かる以上は、動物への愛情や責任感が求められます。どのような状況でも動物を愛し、きちんと面倒を見られる人は、ブリーダーに向いているでしょう。
ブリーダーの仕事は手間や費用がかかりやすい半面、最初から大きく稼げる仕事ではありません。
このため一部のブリーダーは、利益を出そうとして乱繁殖を繰り返しています。しかし、そのような状況で生まれた動物は愛情を注がれないため、トラブルを引き起こす恐れがあるのです。
動物に愛情を注げる人なら、こうした劣悪な飼育環境にはならないでしょう。動物に対してだけでなく、人に対する責任感を持つことも大切です。購入してくれた人が安心して育てられるように、責任を持って飼育できる資質が求められます。
知識や技術をアップデートできる人
専門学校や通信講座で学んだ知識だけでは、ブリーダーとして活躍するのは困難です。常に向上心を持って、知識や技術をアップデートできる人こそ、信頼されるブリーダーとして成長できます。
実際に繁殖や飼育を行うと、教科書通りにはいかないシーンに数多く直面するでしょう。さまざまな経験を通じて、自分の知識や技術を向上させようとする意識も重要です。
ブリーダーの業界には、仲間と交流を図れるコミュニティも存在します。積極的にコミュニティへ参加し、繁殖や飼育に関する最新の情報を得ることも必要です。他のブリーダーの仕事場に足を運んだり、ドッグショーに参加したりするのもよいでしょう。
毎日の世話が苦にならない人
動物を流通・販売するまでの間は、毎日世話をしなければなりません。観察・食事・運動・排せつ・しつけなど、飼育中に行うことは多岐にわたります。
常に動物に寄り添い、動物中心の生活になることへの覚悟が求められるでしょう。自分の都合を優先してしまう人は、動物の食事の管理やしつけがおろそかになりがちです。
世話をする人が自分勝手に行動すると、適切に管理できず動物にストレスを与えてしまいます。動物を本気で思いやり、自分のことは二の次で考えられる人が、ブリーダーに向いています。
ブリーダーになる方法
ブリーダーになるための、一般的なルートを紹介します。独立する方法も併せてチェックしましょう。
専門学校で知識や技術を学ぼう
ブリーダーになるために、特別な資格やスキルなどは必要ありません。動物が好きなら、業界未経験者でも目指すことは可能です。
ただし未経験者の場合は、どうしても転職で不利になります。専門学校や通信講座で動物飼育の知識や技術を学んでおけば、ブリーディング会社への転職を目指す際にアピールできるでしょう。
未経験者は現役ブリーダーの下で働くのもおすすめです。実際の仕事を直接見ながら学べるため、転職や独立にもチャレンジしやすくなります。
ブリーダーとして独立するには
ブリーディング会社や現役ブリーダーの下である程度経験を積んだら、独立・開業することも可能です。ただし開業するためには、所定の条件を満たし、第一種動物取扱業に登録しなくてはなりません。常勤職員の中から、動物取扱責任者を選定する必要もあります。
動物取扱業の手続きは都道府県により異なるため、住所を管轄する保健所に確認してみましょう。現役ブリーダーの下で働く場合は、どのような手続きで開業したのか聞いてみるのもおすすめです。
ブリーダーにおすすめの資格
ブリーダーになるために資格は必須ではありませんが、持っておくと仕事に役立つ資格はあります。おすすめの資格をチェックし、取得に向けて勉強してみましょう。
愛犬飼育管理士制度
愛犬飼育管理士とは、犬に関わる公衆衛生の向上、および適正な指導的役割を担う人材を育成するための資格です。犬を扱いたい人は、取得を検討するとよいでしょう。
愛犬飼育管理士は、多くの自治体で動物取扱業の登録要件となっているため、将来的な独立を目指す人にもおすすめです。1日間の講習を受講し、同日に行われる筆記試験に合格すれば、資格を取得できます。
講習会と試験は年に数回実施されますが、それぞれの会場が異なります。全国各地で行われるため、日時と会場を事前に確認しておきましょう。
参考:愛犬飼育管理士制度について・講習会・試験情報 | 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ
ペット繁殖インストラクター
犬や猫に関する種類別の繁殖方法の知識を証明できる資格が、ペット繁殖インストラクターです。交配の方法や犬の妊娠周期、取引不成立事由など、ブリーダーに求められるさまざまな知識を習得できます。
受験のための特別な条件はありません。試験は2カ月に1回のペースで実施され、申込みから受験までインターネットで完結します。
ただし合格基準は70%以上の正答率となっているため、ある程度の勉強が必須です。確実に合格したい場合は、通信講座を利用するとよいでしょう。
参考:ペット繁殖インストラクター(ブリーダー資格) | 日本インストラクター技術協会【JIA】
愛玩動物飼養管理士
愛玩動物飼養管理士は、公益社団法人日本愛玩動物協会が認定する民間資格です。ペットの愛護および適正な飼育管理に必要な、知識や技術を証明できます。
資格を取得するためには、協会が提供するカリキュラムの受講が必須です。テキスト教材で学習を進めながら課題を提出し、最後に行われる試験に合格すれば取得できます。
1級と2級に分かれており、2級の資格を持っている人のみ1級を受講することが可能です。例年2月と11月しか受験チャンスがなく、申込期間も決まっている点に注意しましょう。
参考:愛玩動物飼養管理士
ブリーダーを目指そう
ブリーダーは動物の繁殖・飼育・販売を行う仕事です。動物への愛情がある人や責任感が強い人、毎日の世話が苦にならない人は、適正があるといえます。
なるために資格は不要ですが、専門学校で知識や技術を学んでおけば、転職で有利になります。動物関連の資格もチェックし、転職に向けて取得するのもおすすめです。
ブリーダーの仕事を探すなら「スタンバイ」を活用しましょう。全国各地の豊富な求人が掲載されており、自分に合った仕事がすぐに見つかります。