柔道整復師とはどんな仕事?資格の取得方法や活躍できる職場を紹介

街で見かける整骨院や接骨院で働いているのが柔道整復師で、骨折や脱臼をはじめとした外傷に施術します。柔道整復師を目指す人は、具体的な仕事内容と資格の取得方法を確認しましょう。活躍できる主な職場や将来性についても解説します。

柔道整復師の仕事内容とは?

整体のイメージ

(出典) pixta.jp

骨折・脱臼・打撲・捻挫などの外傷に対し、手術以外の方法で施術を担当するのが柔道整復師の主な仕事です。柔道整復師が担当する整復法・固定法・後療法の3つを詳しく紹介します。

骨や関節がずれた箇所を元に戻す整復法

骨折や脱臼・捻挫をはじめとした受傷部位に対して、けん引や圧迫などの手技療法を施すのが柔道整復師としての役割の1つです。手技療法の一例には以下のものがあります。

  • 軽擦法(けいさつほう): 患部を軽くさすって新陳代謝を促す
  • 揉捏法(じゅうねつほう): 筋肉をもむことで筋肉疲労を回復させる
  • 叩打法(こうだほう): 患部を軽くたたいて神経や筋肉の動きを改善する
  • 圧迫法(あっぱくほう): 患部を圧迫することで神経を鎮静化させる

柔道整復師は、ほかにもさまざまな手技療法を活用します。なお、柔道整復師が扱う外傷のうち、骨折と脱臼に関しては、応急処置を施す場合を除いて、柔道整復師法17条の定めにより医師の同意が必要です。

参考:柔道整復師法 | e-Gov法令検索

患部を固定して治癒を促す固定法

外傷の治癒を促すには、患部の固定が欠かせません。柔道整復師は、以下の固定法を用いて患部を固定し、早期の治癒を促します。

  • 包帯や副木(そえぎ)・ギプスを使用して直接患部を固定する
  • テーピングを施して関節の損傷を予防する
  • アルミ副子を使用して受傷部位を自然な形で固定する

骨折をはじめとした重傷を負った場合は治癒までに時間がかかり、その間はきちんと固定しておかなければなりません。

固定は治療に必要なものとはいえ、患者に一定の制限を課すものであることは事実です。そのため、患者の負担をできるだけ軽減できる固定法を選ぶことも大切です。

複数の手法で患部の機能回復を早める後療法

大きく負傷した場合、受傷部位が治った後も、従来の機能を取り戻すまでには一定の時間がかかります。そのような場合において、機能回復を目的として以下で紹介する3つの療法を施すのも、柔道整復師の役割です。

  • 手技療法: 軽擦法や圧迫法などのさまざまな手技によって刺激を与える
  • 物理療法: 温熱療法や低周波治療などによって物理的な刺激を与える
  • 運動療法: 運動に取り組むことでスピーディーな機能回復を目指す

特に、整形外科を構える病院や診療所で柔道整復師として働く場合、医師の指示を受けつつリハビリの分野に携わるケースが多くなるでしょう。

柔道整復師の資格を取得する2つのルート

勉強する女性

(出典) pixta.jp

整骨院や接骨院、病院などで柔道整復師として働くには、国家資格を取得しなければなりません。柔道整復師国家試験には受験資格が定められているため、まずは受験資格を満たすことが必要です。これから目指す場合は、以下のいずれかを選択することになるでしょう。

大学を卒業して国家試験を受験

医療系の大学を中心に、柔道整復師を目指すための学部・学科を設置している大学があります。そのような大学に通い、カリキュラムを修了すれば国家試験の受験資格を得られます。

大学を卒業する必要があるため、学士の学位を取得できるのもメリットです。一方、4年間通い続けなければならず、授業も日中に行われることを考えると、働きながら柔道整復師を目指す場合にこのルートを選ぶのは難しいでしょう。

これから大学に進学する人にとってはおすすめの選択肢です。

柔道整復師養成施設を卒業し国家試験を受験

専門学校などの柔道整復師養成施設として認められている教育機関に通い、所定のカリキュラムを修了することでも、柔道整復師国家試験の受験資格を得られます。

柔道整復師養成施設は3年間で修了でき、開講時間も午前・午後・夜間など多様です。働きながら資格を取得したい人は、自分の勤務時間や休日に合った時間に開講している施設を選ぶとよいでしょう。

社会人が柔道整復師を目指す場合、こちらのルートを選ぶのが一般的です。

社会人が柔道整復師資格を取得する方法

足にテーピングをする整体師

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すでに社会人として働いている人が、これから柔道整復師を目指す場合におすすめの方法を詳しく見ていきましょう。今回は、一般的な企業の勤務時間に従って働いている人を想定しています。

夜間部がある柔道整復師養成施設に通う

一般的な企業の勤務時間は8・9時~17・18時というケースが多いため、養成施設に通うのは夜間になるでしょう。そのため、夜間部を設置している柔道整復師養成施設を探す必要があります。

多くの柔道整復師養成施設の夜間部は、授業開始が18~19時、終了が21~22時に設定されているのが一般的です。通勤・通学に要する時間にもよりますが、夜間部は現実的な選択肢といえるでしょう。

無事に3年間のカリキュラムを修了したら、次の段階に進みます。

柔道整復師国家試験に合格する

柔道整復師になるには、毎年3月に実施される柔道整復師国家試験に合格しなければなりません。試験で出題される分野の一例は以下の通りです。

  • 解剖学
  • 生理学
  • 病理学概論
  • 衛生学・公衆衛生学
  • 整形外科学
  • リハビリテーション医学
  • 柔道整復理論

上記はいずれも柔道整復師に求められる知識・スキルで、大学や養成施設で学習する中で習得できます。ただし、合格率が極端に高い試験というわけではないため、事前に十分に対策することが必要です。

参考:柔道整復師国家試験の施行|厚生労働省

参考:第31回柔道整復師国家試験の合格発表について|厚生労働省

柔道整復師が活躍できる職場

ギプスを巻く

(出典) pixta.jp

柔道整復師の国家資格を取得すると、柔道整復師としてさまざまな場所で働けるようになります。開業権もあるため、いずれは自分で事業を営むことも可能です。柔道整復師が活躍している主な職場を紹介します。

接骨院や整骨院

柔道整復師が中心となって施術する施設を、接骨院や整骨院と呼びます。接骨院や整骨院に医師は常駐していないことが大半ですが、柔道整復師は法令の範囲内で施術が可能です。

一般的に、骨折や脱臼の応急処置、打撲・捻挫の施術に携わります。これらの治療に各種健康保険を適用できるのもメリットです。柔道整復師は開業も可能なため、資格取得後に経験を積んで自分の接骨院・整骨院を持つことも目指せます。

病院や診療所

整形外科を設置している病院や診療所に在籍している柔道整復師も存在します。医療機関で働いている柔道整復師は、医師の指示に基づいてリハビリを担当するのがメインの仕事です。

リハビリ分野では、運動療法や物理療法をはじめとしたさまざまな療法を用います。いずれも柔道整復師が精通している治療法です。

医療機関では、ほかに骨折・脱臼の治療を担当するケースもあります。医師の指示があれば応急処置以外の分野でも骨折・脱臼の治療が可能なため、この部分のスキルアップも見込めるでしょう。

柔道整復師の需要と将来性

整体師

(出典) pixta.jp

柔道整復師を目指そうと思っているなら、需要や将来性が気になるのではないでしょうか。ここでは、柔道整復師の需要を左右する要素を2つ紹介します。

全体的に需要が高く有効求人倍率が高い

柔道整復師は整骨院・接骨院・医療機関だけでなく、リハビリ施設や介護施設などでも活躍しています。中にはスポーツトレーナーとして働いている人もいることを考えると、多方面で需要が高い職種といえるでしょう。

2021年度の求人統計データによると、柔道整復師の有効求人倍率は3倍を超えています。これは求職者1人あたり3件以上の求人があることを示しているため、データからも需要が高いことが分かるでしょう。

参考:柔道整復師 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

将来的にも需要の増大が見込まれている

少子高齢化の進展に伴い、柔道整復師の施術を必要とする人が増えると考えられます。けがの整復だけでなく、リハビリ分野や介護分野での需要が高まるでしょう。スポーツトレーナーとして活躍する柔道整復師の数も、増加すると考えられます。

これらの需要が急減する可能性は考えにくく、今後も多くの柔道整復師が求められる状況が続くと考えられるでしょう。これから柔道整復師を目指す人も、将来性を過度に心配する必要はないといえます。

柔道整復師と混同しやすい職種

マッサージ師

(出典) pixta.jp

日本国内には柔道整復師と混同しやすい職種がいくつかあります。間違いやすい職種の中から、あん摩マッサージ指圧師と理学療法士について、柔道整復師との違いを見ていきましょう。

あん摩マッサージ指圧師

身体面の不調を緩和することを目的として、あん摩・マッサージ・指圧の3つの技術を用いて施術するのが「あん摩マッサージ指圧師」です。疾病の予防・治療や健康維持を目的として施術し、業務に携わるには国家資格が求められます。

柔道整復師がけがの整復を目的としているのに対し、あん摩マッサージ指圧師は不調の回復が目的です。あん摩マッサージ指圧師は骨折や脱臼の応急処置、外傷への対応はできません。

自分が携わりたい分野がどちらなのかを明確にし、目指す職種を決めましょう。

理学療法士

理学療法士はリハビリ分野に携わり、治療計画の策定やリハビリの実施を担当します。医療機関か介護施設のいずれかで活躍している人が多く、けがが原因で身体の動きに不調を抱えるようになった人や、老化で身体を思うように動かせなくなった人の機能回復が主な仕事です。

医師の指示に基づいてリハビリ計画の策定にも携わるのが理学療法士ですが、柔道整復師は自分の専門分野を生かした施術のみを担当します。また、理学療法士には開業権がありません。

柔道整復師の資格を取得して転職を目指そう

医療従事者

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けがの整復やリハビリを担当し、接骨院や整骨院・医療機関で働く柔道整復師は需要が高く、将来性にも期待できる職です。国家資格が必要で資格取得までにある程度の時間がかかるため、転職の難易度が低い職種とはいえません。

しかし、柔道整復師に魅力を感じるのであれば、養成施設に通って積極的に学習し、資格取得を目指すとよいでしょう。

すでに資格を持っていて転職を検討している人や、ブランクからの復帰を検討している人は、自分に合う求人がないか探してみることをおすすめします。求人を探している人は、全国各地の案件を豊富に取り扱っているスタンバイを利用してみましょう。

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