漫画家になるには?さまざまなデビュー方法や仕事内容を紹介

雑誌で連載を持つ有名漫画家は、人気を集めるストーリーやキャラクターを生み出す魅力的な仕事であると同時に、収入面でもメリットが大きい職業です。漫画家になるには、どんな方法があるのでしょうか?仕事内容やスキルを身に付ける方法も解説します。

漫画家になるには

漫画家のデスク

(出典) pixta.jp

漫画家になる方法は、いくつかあります。ストーリーやキャラクター作成、イラストの完成度が重要となる仕事ですが、どうやって目指せばよいのでしょうか?主なパターンを紹介します。

新人賞に応募する

漫画雑誌や出版社が企画する新人賞に応募し、受賞すると漫画家デビューにつながります。自宅から応募でき、作品を編集者に必ず読んでもらえるのが新人賞のメリットです。

開催情報は雑誌の公式サイトなどに出ているので、チェックしてみましょう。受賞者は順位に応じて賞金が出る他、上位に入れば副賞として掲載の確約がもらえることもあります。

賞金のみの場合でも、受賞経歴は残るため、出版社が魅力を感じれば声をかけてもらえる可能性もあります。漫画家への道としては、王道の手段といえるでしょう。

出版社に作品を持ち込む

出版社へ作品を持ち込んで評価され、デビューを果たす人もいます。作品に魅力があり、商業作品として成り立つと判断されれば、漫画家への道が開けるでしょう。

ただし持ち込みでは、必ず作品を見てもらえるとは限りません。持ち込みを受け付けていないケースや、商業作品として一定のレベルに達していなければ断られる可能性もあります。

アポイントメントや、持ち込みが可能かどうかの確認は必ず取りましょう。ある程度の実力があり、新人賞に不向きな作風や特定の出版社向けのジャンルを取り扱っているのであれば、持ち込みで直接交渉するのが向いています。

同人活動をする

同人活動から、プロデビューも可能です。趣味とはいえ、実力があればファンは増えていくでしょう。

同人活動は、主に同じ趣味の人たちが集まり、自分の作品を自費出版する活動です。一次創作と呼ばれるオリジナル作品や、既存作品のキャラクター・ストーリーを使用した二次創作があります。

即売会やWeb上で作品を販売し、ファンがついて購入が多くなれば利益が出る仕組みです。出版社が発行するアンソロジーへの寄稿依頼もあり、プロの漫画家と変わらない活動をしているケースもあります。

人気のある同人作家はファンが付いているだけでなく、作品がポートフォリオとなり実力もアピールできるため、持ち込みや出版社からの誘いで漫画家デビューにつながることも多いでしょう。

SNSに漫画をアップする

SNSやホームページで作品を公開し、人気を集めればデビューがかなうこともあります。インターネットは無料で閲覧でき、注目を集めやすい媒体です。

続きや他の作品を読みたいと考えるファンが多ければ、編集者から打診があり、電子書籍化や出版につながる可能性も高いでしょう。

自費出版の費用が捻出できないときでも、インターネット媒体なら気軽に作品を公開できます。同人活動の宣伝や、作品の更新状況を伝えるためにSNSを活用する人も多いでしょう。

漫画家の仕事内容

デジタルで漫画を描く

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漫画家の主な仕事は、いうまでもなく漫画作品を完成させることです。編集者との打ち合わせやアシスタントの管理など、制作以外の業務を除いた基本的な仕事内容を見ていきましょう。

プロット、ネーム作成

基本的に漫画制作は「プロット」と「ネーム」の作成から始まります。ストーリーやキャラクター設定を考え、大まかにまとめるのが「プロット」、形式に沿ってイメージを作っていくのが「ネーム」です。

ネームの段階では、漫画のコマ割りやセリフ、キャラクターの配置、ざっくりとした雰囲気を描いていきます。特に長編漫画を描くときは、プロットとネームが重要です。

プロの漫画家になるとプロットを作ってから編集者と打ち合わせを行い、作品として公開できるか検討していきます。

下描き、ペン入れ

ネームまで完成すると、本格的に漫画を形にしていきます。ネームを元に、キャラクターや背景を書き込むのが基本的な流れです。

鉛筆・シャープペンシルで下描きし、漫画制作用のペンを使って清書する作業がペン入れです。最近ではデジタルツールで漫画を制作するケースも多いため、アナログでの下描き・ペン入れ作業は必須ではありません。

デジタル漫画では専用のペンやインクを購入する必要がなく、イラスト作成や漫画制作に特化したソフトがあれば、作業が進められます。

仕上げ

ペン入れをした後は、漫画としての体裁を整えるためベタ塗りやトーン貼りをしていきます。アナログ原稿では時間のかかる作業ですが、デジタルツールを使う場合は比較的難易度の低い作業です。

ベタ塗りは髪・服・背景などを黒く塗りつぶしていき、イラストにメリハリを与える目的で行われます。トーンは、黒では表現できない部分に貼り付けるフィルムです。さまざまな柄や模様が印刷され、影や薄い色合いを表現するときに使われます。

表紙やフルカラーの漫画は、色付けも必要です。全体の仕上げが終わり、入稿すれば漫画制作は完了です。

漫画家の種類

漫画を描く

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漫画家は、仕事の分類によっていくつかの種類に分けられます。多くの人が抱く漫画家のイメージに近いのは商業漫画家ですが、広告やWeb媒体で活躍する人もたくさんいます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

商業漫画家

商業漫画家は、基本的に出版社と契約し作品を販売する漫画家を指します。雑誌掲載の場合は原稿料、単行本販売では印税が主な収入源です。

週刊誌・月刊誌・コミックなど、出版物の種類は問わず、商業誌で連載や読み切り漫画を描く人が該当します。自費出版以外で漫画を描き、販売しているケースは商業漫画家といえるでしょう。

商業漫画家になる方法は、前述のとおり新人賞への応募や同人活動、作品を持ち込んで交渉するなどさまざまです。編集者の目に留まれば、商業漫画家として活動できます。

広告漫画家

広告漫画家は、企業の依頼で宣伝用の漫画を描く仕事です。商品説明や効果のアピールだけでなく、依頼があれば自治体・官公庁のアピール漫画なども作成します。

商業漫画とは異なり、ストーリーやキャラクターは企業のイメージや希望に合わせることが求められます。商品や広告元の魅力を分かりやすくまとめ、アピールをするのが仕事のため、単発の短編漫画が主流です。

広告漫画家として働くには、イラストレーターや漫画家を募集している会社に所属するか、漫画家向けの求人サイトで単発の仕事を請け負うのが一般的でしょう。商業漫画家として活動していると、広告漫画の制作依頼が入る可能性もあります。

Web漫画家

Web漫画家は、比較的ハードルの低い職業です。SNSやホームページで作品を無料公開しているだけでも、Web漫画家としての活動になります。報酬が得られない活動もありますが、自分の作品を見てもらい、ファンを作るには大切な作業です。

公開している作品の人気が出ると、電子書籍発行や無料漫画アプリでの公開など、さまざまなチャンスが巡ってきます。

ただし収入は、電子書籍のダウンロード数や作品が読まれた回数によって変化します。人気が出なければ、安定した収入は期待できないといってもよいでしょう。

目指すだけであれば簡単ですが、収入を得るには多くの人が作品を購入してくれるような魅力が求められます。

漫画のスキルの身に付け方

漫画家のデスク

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漫画を描くスキルは、どうやって身に付けるのでしょうか?主な方法と、特徴を紹介します。実力が重要な仕事だからこそ、自分でスキルを身に付ける努力は大切です。

独学をする

世の中には、見本となるプロの漫画が数多く販売されています。コマ割りや影の付け方、キャラクターの表情やポーズは漫画を読むだけでも理解できるはずです。

実際に漫画を描く作業は、プロを目指すには避けて通れません。センスや魅力的なイラストを描く能力が欠かせない仕事だからこそ、自分で何度も描いてスキルを身に付ける努力が必要です。

やみくもに描くだけでなく、漫画に関連する講座や美術の勉強、デジタルツールの使い方を覚えるなど、技術を向上させるアクションも求められます。ホームページやSNSにアップし、漫画に詳しい人たちに評価してもらう方法もあるでしょう。

漫画家のアシスタントになる

ストーリーやキャラクターを練り、締め切りまでに漫画を作り上げるのは時間のかかる作業です。収入が安定しているプロの多くは、アシスタントを募集しています。

重要な部分は漫画家が描き、背景や細かい部分の描き込み、デジタルツールでの処理はアシスタントに任せるケースも少なくありません。

アシスタントになると実際にプロの漫画を見て学べるため、上達も早くなります。ある程度の実力や漫画を描く知識があるなら、求人を探してみるのもおすすめです。

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専門学校に通う

漫画家を養成する専門学校に通うと、漫画の描き方やキャラクターの作り方を教えてもらえます。プロの漫画家や編集者が講師として在籍しているケースも多く、さまざまな知識・スキルを学べるでしょう。

ただし、専門学校に通ったからといって、必ず漫画家になれるわけではありません。魅力のある漫画を描けるかどうかは、本人の資質が関わってきます。

漫画の基礎や魅力的なイラストを描くコツ、編集者が何を見て作品を評価しているかなど、独学では分からないスキルを身に付けたいときは、専門学校を検討してみましょう。

なお、漫画やアニメの専門学校といっても一般教養の勉強はあるため、全ての時間を漫画に費やせることは少ないようです。

スキルを積み漫画家へのチャンスを生かそう

ペン

(出典) pixta.jp

漫画家になるには、自分から作品をアピールするための努力が必要です。アクションを起こさなければ、編集者の目に留まる可能性は低いでしょう。

インターネットを活用して作品を公開する、新人賞に応募するなど、方法はいくつもあります。漫画の描き方をある程度理解しているなら、アシスタントを目指すのもよいでしょう。

描き方が分からないときは、独学で勉強する以外に専門学校に通う方法もあります。さまざまなスキルを磨きつつ、チャンスを確実につかみとりましょう。