人事とはどのような仕事?業務内容や必要なスキル、役立つ資格を紹介

人事への転職を検討しているなら、仕事内容・やりがい・必須スキルを確認しましょう。自分が人事に向いているか否か分かるため、転職後のミスマッチを防ぐことが可能です。人事とはどのような仕事なのかについて詳しく解説します。

人事とはどのような仕事?

人事面談

(出典) pixta.jp

人事として働きたい人は、まずは人事の概要について押さえておきましょう。間違えやすい総務との違いも解説します。

会社の人材に関わる業務

人事とは、会社の人材に関わるさまざまな業務を担当する職種です。企業の経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報のうち、ヒトに関する幅広い仕事を担当します。

企業に人事部が必要とされる大きな理由は、経営戦略において人材は重要な役割を持っているためです。経営目標を達成するため、人事部には人材リソースを適切に配分する役割が求められます。

採用・教育・評価といった業務を通して組織を活性化できる点や、人事情報を一元管理できる点も、人事部が存在する理由です。経営基盤の安定を図るためには、人事の存在が欠かせません。

総務との違い

人事と意味を混同しやすい職種に、総務があります。総務は主に専門部署が存在しない業務を担当する職種です。総務の主な仕事内容として、以下が挙げられます。

  • 来客・受付・電話対応
  • 備品・施設管理
  • イベントの企画・運営
  • 防犯・防災対策
  • 株主総会の企画・運営

一方で、人事の主な仕事内容は以下の通りです。

  • 人材採用
  • 人材育成
  • 評価体制の構築・運用
  • 労務管理

なお企業によっては、人事と総務が1つになった人事総務部を置いているケースもあります。名称や業務範囲は企業によりさまざまです。

人事の主な業務内容

資料をチェックする

(出典) pixta.jp

人事は企業における人材に関するさまざまな仕事を行います。人事の主な業務内容を見ていきましょう。

人材採用

人事が担う重要な仕事の1つに、新卒採用や中途採用などの人材採用業務があります。人材の採用は、企業に不足している戦力を補う上で重要な業務です。

人材の採用に関する主な業務は、採用スケジュールの調整や募集要項の作成、選考です。採用決定後の入社手続きなども人事が担当します。

SNSでの情報発信や就活イベントの企画・運営など、近年の採用活動の多様化にも対応しなければなりません。面接時には人事が企業の顔となるため、採用担当として応募者に対して誠実な対応をとることも重要です。

人材採用業務は人事のみで進めるものではなく、他部署や経営層との連携が欠かせません。各部署の責任者や経営者が面接官を担当するケースもあります。

人材育成

従業員の育成も、人事に課せられた役割です。新卒者・中途採用者や既存社員に対し、生産性を高める目的で人材育成に関わる研修や能力開発を行います。

企業で実施される代表的な研修は、新人研修や階級別研修・管理職前研修です。一部または全部の人材育成業務を外注するケースもあります。ただし、外部に委託する場合でも、委託先との調整は人事が行わなければなりません。

資格取得やスキルアップに対する支援体制も、人事が構築・運営します。企業によっては人材育成専門の部署を設け、人事部とは別の部署としているケースもあります。

評価制度の運用

人事は、従業員を評価する制度を設計・運用しています。企業における評価制度は、従業員の高いモチベーションを保つための重要な仕組みです。

透明性・公平性がある評価制度を整えておけば、従業員が評価に納得できるため、モチベーションが低下しにくくなります。従業員を評価する側にとっても、適切な評価の仕組みがあれば、安心して評価できるでしょう。

評価制度の設計・運用は、従業員の離職率を下げることにもつながります。優秀な人材の流出を防ぐためにも、人事による評価制度の運用は重要な業務なのです。

労務管理

労務管理とは、勤怠管理や労働保険・社会保険の手続き、就業規則などの整備を指します。定期健康診断の実施やハラスメント対策も、労務管理に含まれる業務です。

人事がきちんと労務管理を行うことで、従業員は安心して働けるようになります。業務においても高いパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。

企業の労務管理業務はデジタル化が進んでおり、労務管理を楽にするツールやシステムも豊富に存在します。業務効率の改善を図りやすい仕事の1つです。企業によっては、労務管理の一部を、総務や経理が担当するケースもあります。

社内制度や労働環境の整備

人事が行う業務には、社内制度や労働環境の整備も含まれます。従業員が働きやすい制度・環境を整え、従業員のモチベーションを維持する重要な仕事です。

従業員のやる気を引き出して維持する代表的な施策としては、福利厚生の充実が挙げられるでしょう。価値観の多様化に伴い、近年は従業員自らが福利厚生を選べる仕組みへと変化しています。

社員間のコミュニケーションの活性化を図るためのイベント企画や、従業員の心理的安全性を確かめるためのアンケートの実施なども、人事が担うべき業務です。

評価制度の構築と同様に、社内制度や労働環境の整備においても、公平性・透明性を意識する必要があります。従業員に喜ばれる制度や環境を整えられれば、従業員のモチベーションや売り上げの向上を期待できるでしょう。

人事のやりがい

面接をする男性

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人事の仕事には、どのようなやりがいがあるのでしょうか。自社の人材を管理する人事の魅力について解説します。

会社の顔として働ける

企業の採用シーンにおいて、応募者が最初に接する部署は人事です。企業説明会や面接では、基本的に人事が応募者と対面してやりとりすることになります。

「面接をしてくれた人事の人の印象がよかったため入社を決めた」という人も少なくありません。会社の顔として働けることが、人事の大きなやりがいの1つです。

採用業務以外にも、人事の仕事には会社の顔として行うものが数多くあります。会社を背負っているという重要な役割を実感できるため、仕事を通して企業に貢献していることにもやりがいを感じられるでしょう。

採用した従業員の成長を見守れる

採用に関わった従業員が戦力として活躍する姿を見られるのも、人事ならではのやりがいです。期待していた能力を十分に発揮して成果を出してくれれば、選考における自分の判断に自信を持てるようになります。

人事部は従業員から相談を受ける機会も多い部署です。従業員が気持ちよく働けるようになるために、悩みに向き合って解決策を考えてあげる必要があります。

キャリアに関する相談を受けた場合は、従業員のキャリアに対して企業ができることを検討しなければなりません。このように、従業員の成長に深く関われる点も人事の魅力です。

人事に向いている人の特徴

事務作業をする女性

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どのような人が人事に向いているのかについて解説します。自分に該当する項目が多ければ、人事として活躍できる可能性が高いでしょう。

論理的思考ができる

人事の仕事は、客観的ん視点から判断する仕事が多く含まれます。主観に左右されることなく、冷静かつ公平に物事を考える論理的思考力が必要です。

例えば採用の現場では、応募者のさまざまな情報を客観的に判断して選考を進めなければなりません。経験による直感が生きるシーンもありますが、基本的には主観を捨てて応募者を評価する必要があります。

偏った考え方や自分の感情が判断材料になると、大きなミスを引き起こしかねません。「本当に必要な人材か」「適切に評価しているか」など、あくまでも物事を論理的に考えることが大切です。

人間観察力が高い

優れた人間観察力を備えた人も、人事に向いています。人間観察力とは、他人を観察して必要な情報を収集し、適切な判断を下せる能力です。

人間観察力が高い人は、相手が話す内容だけでなく、表情や仕草からも相手が考えていることを読み取れます。特に面接で応募者を判断する際には、人間観察力があれば応募者を正しく評価できるでしょう。

従業員のメンタルの状態を把握する場合にも、人間観察力が必要です。近年は企業のメンタルヘルス対策が重要な課題となっているため、人間観察力が高い人は重宝されるでしょう。

口が堅い

人事は従業員の個人情報や企業の機密情報を数多く取り扱います。口が軽い人はこれらの情報を外部に漏らしてしまう恐れがあるため、人事には向きません。

個人情報や機密情報が社外に漏洩してしまうと、自社の社会的信用を大きく損なう恐れがあります。情報漏洩による損害が発生した場合、企業の存続にも影響を及ぼしかねません。

口が堅い人や他部署と適度な距離を保てる人は、人事に向いています。口の堅さに自信がある人も、人事として働く場合は重要な情報を扱っていることを改めて強く意識する必要があるでしょう。

人事に役立つ資格

試験勉強

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人事として働くために資格は不要ですが、人事の仕事に役立つ資格は存在します。人事を目指す人におすすめの資格をチェックしておきましょう。

社会保険労務士

社会保険労務士は、社会保険や労働関連における法律の専門家です。社会保険労務士の資格を持っていれば、人事全般や労務関係の仕事に役立てられます。

社会保険労務士は国家資格であり、誰でも簡単に取得できるものではありません。法律に関わる領域が多いため、法改正に対応するために資格取得後も積極的に学び続ける姿勢が必要です。

受験時期は年1回、毎年8月の第4日曜日に実施されます。一定の受験資格を満たせば試験を受けることが可能です。難易度が高いため、合格するためにはしっかりとした対策が求められます。

参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、職業選択や能力開発に関する相談・助言を行える国家資格です。人事としては、従業員のキャリア形成に関する業務に生かせるでしょう。

キャリアコンサルタントは学科試験と実技試験の両方に合格することで、キャリアコンサルタント名簿に登録されます。資格取得後も知識や技能の維持を図る目的で、5年ごとに更新講習を受講する必要があります。

キャリアコンサルタントは登録制の名称独占資格です。守秘義務や信用失墜行為の禁止義務が課されています。資格を持っていれば、人事以外にも幅広い分野で活躍することが可能です。

参考:国家資格 キャリアコンサルタント試験 公式ウェブサイト | 国家資格 キャリアコンサルタント試験

メンタルヘルス・マネジメント検定

人事の重要な役割の1つに、従業員の心の不調を未然に防ぐことが挙げられます。メンタルヘルスに関する業務で役立てられる資格が、メンタルヘルス・マネジメント検定です。

メンタルヘルス・マネジメント検定はⅠ~Ⅲ種にランク分けされており、人事に関わる立場なら、人事スタッフや経営層を対象としたⅠ種の取得が望ましいとされています。

メンタルセルフケアを学べるⅢ種や、部下のメンタルケアに必要な知識を習得できるⅡ種は、社内におけるコミュニケーションの活性化に役立てられるでしょう。

参考:メンタルヘルス・マネジメント検定試験 | 働く人たちの心の健康と活力ある職場づくりのために

人事として働く方法

働く二人の女性

(出典) pixta.jp

人事を仕事にする方法としては、社内での異動を希望する方法と、他社に転職する方法の2種類が挙げられます。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

自社内で異動を希望する

現在働いている会社に人事部がある場合、異動を希望すれば人事部に配属される可能性があります。勤務先や生活スタイルを変えたくないケースでおすすめの方法です。

今まで人事部で働いた経験がなくても、社内での働きぶりや実績を評価されれば、人事部への異動が認められやすくなるでしょう。社内でそれなりに高い評価を受けているなら、人事部への異動にチャレンジする価値はあります。

ただし、社内でのキャリアアップを図りたいと考えている場合、企業によっては人事部への異動が必ずしも出世コースであるとは限らない点に、注意が必要です。自社において人事部がどのような存在であるのか、きちんと見極める必要があるでしょう。

他社に転職する

人事として働く方法の1つに、他社への転職も挙げられます。未経験でも人事への転職は十分に可能です。人事に向く資質やスキルがあることをアピールしましょう。

ただし、正社員として採用された場合は、将来的な転勤や部署異動の可能性があります。人事の仕事にこだわるなら、派遣社員として人事の仕事に就くのも1つの方法です。

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面接の様子

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人事とは、企業における人材に関わる職種です。人事の主な業務として、人材採用・人材育成・評価・労務管理などが挙げられます。

論理的思考力のある人や人間観察力が高い人は、人事に向いているでしょう。会社の顔として働けることや従業員の成長を見守れることが、人事の代表的なやりがいです。

人事に役立つ資格を取得しておけば、転職で有利に働きます。人事の仕事内容・魅力・必須スキルを確認し、入念な準備をして転職を成功させましょう。