中小企業診断士とは?仕事内容や働き方、取得するメリットなどを解説

中小企業診断士の資格取得を検討している人は、どのような仕事なのかを事前に知っておくのがおすすめです。仕事内容やメリットを理解すれば、取得すべきかどうか判断しやすくなるでしょう。中小企業診断士とはどのような仕事なのか詳しく解説します。

中小企業診断士とは

コンサルタントの男性

(出典) pixta.jp

中小企業診断士は、経営コンサルティングの仕事に関連する唯一の国家資格です。中小企業診断士の概要や役割・やりがいについて解説します。

中小企業の経営課題を解決する専門家

中小企業診断士とは、中小企業が抱える経営課題の解決をサポートする専門職です。中小企業診断士の資格を取得すれば、国から認められた経営コンサルタントとして働けます。

日本企業の大半は中小企業であり、日本の経済を成長させるためには中小企業の成長が不可欠です。中小企業診断士の重要性は、今後ますます高まっていくと予想されています。

また、中小企業診断士の仕事はAIに取って代わられる可能性が低い点もポイントです。数字に表れないものを読み取る能力やコミュニケーション能力が重要な中小企業診断士は、将来性が高い仕事だといえるでしょう。

中小企業診断士の役割ややりがい

中小企業診断士の大きな役割は、専門知識を活用して企業の成長戦略の策定に関してアドバイスを行うことです。幅広い活動に対応できる専門知識や高い能力が求められます。

成長戦略を実行するにあたり、具体的な経営計画の立案や実行後の支援を行うことも、中小企業診断士が担う役割の1つです。中小企業と行政・金融機関をつなぐ役目を果たすケースもあります。

中小企業診断士がやりがいを感じるのは、自分が担当した企業が経営改善に成功したときです。責任を全うして企業からの信頼を得られれば、モチベーションもアップするでしょう。

中小企業診断士の仕事内容

データ分析

(出典) pixta.jp

中小企業診断士の主な仕事内容は、対象企業の現状把握と提案書作成、戦略実行後のフォローです。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

データを収集・分析・調査して現状を把握

中小企業診断士の仕事で最初に行うことは、依頼を受けた企業の現状把握です。経営に関するさまざまな資料を提出してもらうほか、企業へのヒアリングも実施します。

経営状況を把握する際は、企業の要望に応じる形で診断方針を定めるのが一般的です。課題解決に向けて必要となるリソースを洗い出し、スケジュールに沿って作業を進めます。

企業における全ての問題点を、経営者が把握しているとは限りません。経営者も気付いていない課題が内在している場合もあるため、中小企業診断士には鋭い洞察力が求められます。

経営改善のための提案書の作成

企業の経営に関する現状把握の後は、経営改善のための提案書を作成します。明確になった問題点を解決に導くために何を行えばよいのか、具体的な方法を提案する書類です。

提案書の作成には、専門知識の活用が不可欠です。課題解決に向けたさまざまなアプローチが考えられるため、中小企業診断士は支援分野についても詳しくなっておく必要があります。

中小企業診断士が作成する提案書は、金融機関から融資を受ける上でも必要な書類です。具体的な施策で経営改善に導けることを、第三者が納得できる内容で説明しなければなりません。

実行後のフォロー

経営改善に向けた提案書を作成し、具体的な施策の実行を開始した後は、状況に応じて中小企業診断士がフォローを行うケースもあります。戦略実行後のフォローも、企業の課題を解決するための重要な仕事です。

中小企業診断士が行う支援業務の1つに、補助金申請の代行があります。経営改善の施策の内容によっては、国や自治体から補助金を受けられるケースがあり、申請作業を中小企業診断士が代行するのです。

一般的に、経営改善に関する補助金を受け取るためには、事業計画書を提出しなければなりません。経営のプロである中小企業診断士なら、補助金申請が認められるような申請業務を担当してもらえます。

中小企業診断士の働き方

セミナー講師

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中小企業診断士が活躍できるシーンについて解説します。企業に就職するだけでなく、さまざまな働き方がある点を知っておきましょう。

企業内で活躍

中小企業診断士が能力を存分に発揮できる職場の1つが、コンサルティング会社です。会社が依頼を受けた案件の企業を担当し、経営課題の改善に向けて支援を行います。

近年は、中小企業診断士が企業内でスキルを発揮するケースも増加傾向です。経営分野のプロとして特定の部署に所属し、戦略策定や課題解決に尽力します。

例えば営業部では、営業コンサルティングとして顧客の課題解決をサポートできます。IT部門に所属する中小企業診断士は、企業の経営に大きな影響を与えるIT施策の立案に貢献できるでしょう。

経営コンサルタントとして独立

中小企業診断士の資格を取得した人の中には、コンサルティング業務の実務経験を積んだ後、経営コンサルタントとして独立する人もいます。中小企業診断協会のアンケートによると、中小企業診断士の約半数が独立しています。

独立後の中小企業診断士の主な仕事内容は、中小企業に対する経営コンサルティングです。民間企業と直接契約して業務にあたる以外に、民間企業から依頼を受けた行政機関からの相談に応じるケースもあります。

独立後の仕事を軌道に乗せるためには、差別化できる強みを持つことや、案件につながる人脈を増やすことが大切です。開業直後を乗り切る資金も用意しておく必要があるでしょう。

参考:「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について | 一般社団法人 中小企業診断協会

セミナーや研修の講師

中小企業診断士の中には、セミナーや研修の講師として活躍する人もいます。企業や団体から依頼を受け、依頼者が求めるテーマに沿った内容の講演を行って報酬を得る流れです。

セミナーや研修の講師として知名度が高まると、個別に経営コンサルティングの案件を受けられる機会が増えていく可能性もあります。セミナーや研修は自分の名前を売る場でもあるのです。

講師として活躍するためには、幅広い知識を身に付ける必要があります。話す内容を参加者に分かりやすく伝える能力も必須です。

中小企業診断士を取得するメリット

勉強する手元

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中小企業診断士の資格は、どのようなことに役立てられるのでしょうか。中小企業診断士を取得する代表的なメリットを紹介します。

経営状態を多面的に把握できるようになる

中小企業診断士を取得すると、中小企業の経営状態をさまざまな角度から把握できるようになります。専門知識を活用して経営の診断・改善を行える点がメリットです。

資格取得により得たスキルは、独立後だけでなく企業に所属しながらでも活用できます。目の前にある業務改善だけでなく、効果的な経営改善の戦略立案により、組織全体の課題解決にも貢献できるでしょう。

転職にあたり中小企業診断士をアピールするのも有効です。コンサルティング会社以外にも、多くの企業が自社の経営改善を図るために、中小企業診断士取得者を求めています。

信頼を得られる

中小企業診断士は、経営コンサルティングに関する国内唯一の国家資格です。経営改善のスキルを国から認められている点は、大きな信頼につながります。

自社の経営課題を解決したい経営者にとって、コンサルティングを誰に依頼するかは重要な問題です。中小企業診断士を取得していれば、コンサルティングを求める経営者に安心感を与えられます。

自社内で信頼を得られる点もポイントです。資格を取得することで会社から能力を期待され、新しいプロジェクトやより責任の大きな仕事を任されるようになるでしょう。

キャリアアップにつながる

中小企業診断士を取得するメリットとしては、キャリアアップにつながりやすい点も挙げられます。経営に関する知識を手に入れて、企業内の経営に直結する業務を遂行できるようになれば、管理職を目指すことも可能です。

企業によっては、中小企業診断士取得者に資格手当が支給されるケースもあります。独立した中小企業診断士は高収入を狙えるため、収入をアップさせたい人にもおすすめです。

中小企業診断士の資格を生かし、転職によるキャリアアップも目指せます。経営改善の知識や経験があることを評価され、転職先でいきなり役職に就けるチャンスもあるでしょう。

中小企業診断士を取得するには

会話するビジネスマン

(出典) pixta.jp

中小企業診断士の取得方法について解説します。効果的な学習方法や試験に受かるためのポイントも押さえておきましょう。

中小企業診断士試験の概要

中小企業診断士を取得するためには、国家試験に合格しなければなりません。1次試験・2次試験・口述試験を通過後、実務補習を修了すれば中小企業診断士として正式に登録されます。

1次試験が実施される時期は、例年8月上旬の土日2日間です。2次試験は筆記試験が10月下旬の日曜日に、口述試験が1月下旬の日曜日に行われ、合格発表は翌年の1月後半に行われます。1次試験の受験資格に制限はなく、誰でも受験が可能です。

合格基準は「総点数の60%以上」かつ「満点の40%未満の科目がないこと」となっています。合格率は、1次試験が30%前後、2次試験が20%前後なので、それほど簡単な試験ではないと考えましょう。

参考:中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です

学習方法や合格するポイント

中小企業診断士試験は幅広い領域から満遍なく出題されるため、効率的に学習することが重要です。試験の時期も決まっているため、きちんと計画を立てなければなりません。

独学で合格を目指すことも可能ですが、働きながら勉強するのであれば、スクールや通信講座を活用するのがおすすめです。効率的に学習を進められるため、時間を無駄にしにくくなります。

中小企業診断士試験はそれなりに難易度が高いものの、60%以上正解すれば合格する試験です。出題傾向を押さえ、試験に出やすい分野を重点的に勉強すれば、合格する確率を高められるでしょう。

企業の成長をサポートする中小企業診断士

説明する女性

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中小企業診断士とは、中小企業の経営課題の解決を支援する専門職です。企業内で活躍できるほか、経営コンサルタントとして独立する道もあります。

社内外で信頼を高められる点や、キャリアアップにつなげられる点が、中小企業診断士を取得するメリットです。ポイントを押さえて勉強を進め、資格取得を目指しましょう。

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