歯科衛生士とはどんな仕事?仕事内容やなる方法について詳しく解説

歯科衛生士の仕事に興味がある場合は、業務内容やなる方法について理解しておきましょう。自分に向いているか、どのようなことをすればよいのかという点を明確にすることが可能です。歯科衛生士とはどのような仕事なのか、詳しく解説します。

歯科衛生士とは

説明をする歯科衛生士

(出典) pixta.jp

歯科衛生士は国家資格が必要な専門職です。どのような仕事を担当する職業なのか、まずは歯科衛生士の概要について解説します。

歯科医師をサポートする専門職

歯科衛生士とは、歯科医師の仕事をサポートする専門職です。歯科診療を補助したり、医師の指示を受けて一部の治療を担当したりする役割を担っています。

虫歯や歯周病などの疾患を予防する処置や、歯磨き・食生活に関する歯科保健指導も、歯科衛生士の重要な仕事です。これらの仕事は歯科衛生士法により定められています。

歯や口腔の健康を保つことは、健康な生活を送るための基本です。歯科衛生士は歯科医師とともに仕事をしながら、人々の健康づくりを歯や口腔の面からサポートしています。

参考:歯科衛生士法 | e-Gov法令検索

歯科医師や歯科助手との違い

歯科衛生士

(出典) pixta.jp

歯科衛生士と歯科医師は何が違うのか解説します。間違いやすい歯科助手との違いも、押さえておきましょう。

歯科医師

歯科医師は、歯や口腔の健康を守ることに特化した医師です。大学で歯学を6年間学び、歯科医師国家試験に合格すれば、歯科医師として働けます。

歯科医師は歯や口腔に関する全ての業務を行うことが可能です。一方、歯科衛生士は以下に挙げる業務は担当できません。

  • 歯を削る
  • 抜歯
  • 歯茎に注射を打つ
  • 歯茎の切開・切除
  • 歯や口腔を診断する
  • レントゲン撮影

歯科衛生士や歯科助手に業務の指示を行える点も、歯科医師の特徴です。歯科衛生士が実施できる業務の中には、歯科医師の管轄下でのみ行えるものも含まれています。

歯科助手

歯科医師や歯科衛生士と異なり、歯科助手は無資格でもなれる職種です。受付・会計・電話応対・レセプト業務など、院内の事務作業が主な仕事になります。

診療の補助も行えますが、できる仕事は歯科衛生士に比べると限定的です。高い専門性を求められる業務は担当できず、唾液を吸い取ったり印象材を練ったりする簡単な作業のみ行えます。

歯科衛生士の扱いが医療従事者であるのに対し、歯科助手は一般事務職に区分されることもあります。歯科衛生士と歯科助手の区別は外部からはしにくいため、昨今は職種のネームプレートを付けるケースも増えています。

歯科衛生士の仕事内容

歯医者

歯科衛生士の三大業務と呼ばれるものが、歯科診療補助・歯科予防処置・歯科保健指導です。口腔リハビリテーションに従事するケースもあります。

歯科診療補助

歯科医師によるスムーズな治療をサポートする仕事が、歯科診療補助です。歯科医師の指示を仰ぎながら、診療の補助業務を行ったり治療の一部を任されたりします。

歯科診療は、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士などが協力して行動するチーム医療です。さまざまな業務を行う歯科衛生士は、診療を円滑に進めるために重要な役割を果たします。

ただし、歯科医師の指示があればどのような仕事でも担えるわけではありません。歯科衛生士ができない業務や、患者の状態と歯科衛生士の技能に応じて医師の判断で任される業務もあります。

歯科予防処置

歯科予防処置とは、歯や口腔内の疾患を予防するための処置です。歯の二大疾患と呼ばれる虫歯と歯周病を主な対象とし、フッ化物塗布や機械的歯面清掃といった処置を行います。

フッ化物塗布は、歯の表面にフッ素を塗布する処置です。機械的歯面清掃とは、歯垢や歯石など口腔内の汚れを除去する作業を指します。

歯科衛生士は歯科予防処置の専門家です。歯科予防処置は、歯や口腔の治療と並び重要度が高く、患者の健康を守るために大きな意義を持つ業務です。

歯科保健指導

歯・口腔や全身の健康を維持するためには、口腔環境を清潔に整えることが重要です。歯科衛生士は歯科保健指導を通して、歯磨きや食生活などの指導も行います。

歯科保健指導は治療を必要とする人だけでなく、健康な人も含めた全ての人に必要な支援です。そのため、歯科衛生士は院内にとどまらず、求めに応じて保育園・幼稚園・小学校・保健所・介護施設などでも歯科保健指導を実施します。

歯科保健指導の最終的な目的は、指導を受けた人の生活習慣が改善することです。歯科衛生士は専門的な知識や技術を活用して、生活習慣の改善やセルフケアの指導を行います。

口腔リハビリテーション

口腔リハビリテーションとは、口腔機能の維持・改善を図る処置です。生活障害を低減させ、免疫力の向上や要介護状態の悪化防止につなげることを主な目的として行われます。

高齢化の進行に伴い、口腔機能異常や摂食・嚥下障害を抱える高齢者が増えています。このような人たちが楽しく食事や会話を行えるようにサポートすることが、口腔リハビリテーションの役割です。

実際に訓練を行う際は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といった職種との連携が欠かせません。歯科医師も含めたチームでのアプローチが、適切なリハビリテーションの提供につながります。

歯科衛生士になるには

勉強する白衣の男性

(出典) pixta.jp

歯科衛生士は国家資格が必要な職業です。試験の概要や受験までのルート、仕事に役立つ資格を紹介します。

歯科衛生士国家試験に合格する

歯科衛生士になるためには、国家試験に合格しなければなりません。歯科衛生士養成機関で3年以上学ぶことにより、受験資格を得られます。

歯科衛生士養成機関に該当するのは、3年制の専門学校・短大と4年制の大学です。短大・専門学校なら歯科衛生学科や歯科衛生士科、大学の場合は口腔保健学科や歯科衛生学科などを卒業すれば、国家試験にチャレンジできます。

専門学校の夜間学部に入学すれば、働きながら学ぶことも可能です。短期大学や大学と異なり、専門学校は一般教養の講義が少ないため、専門領域を効率的に学習できます。

歯科衛生士国家試験の概要

歯科衛生士国家試験は年1回、例年3月初旬の日曜日に実施されます。結果が分かるのは3月下旬です。

試験は北海道・宮城県・東京都・新潟県・愛知県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県で行われます。全都道府県で実施しているわけではない点に注意しましょう。

試験科目は人体の構造と機能や歯科衛生士概論など、全部で9科目あります。実施方法は選択式のマークシート試験です。合格率は毎年90%を超えています。

参考:歯科衛生士国家試験の施行|厚生労働省

参考:日本歯科衛生士会 | 国家試験合格者・免許取得者数

歯科衛生士におすすめの資格

歯科衛生士の資格は、一度取得すれば更新する必要はありません。ただし、歯科衛生士としてキャリアアップしたい場合は、別の資格を取得するのがおすすめです。

歯科衛生士が取得しておくと役立つ資格として、以下のようなものが挙げられます。

  • 日本歯科衛生士会認定歯科衛生士
  • 日本口腔衛生学会認定歯科衛生士
  • 日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士
  • 日本成人矯正歯科学会認定歯科衛生士
  • 院内感染予防対策認定歯科衛生士(日本口腔感染症学会)
  • インプラント専門歯科衛生士(日本口腔インプラント学会)
  • ホワイトニングコーディネーター(日本歯科審美学会)

いずれも特定領域の高度な知識・技能を証明できる資格です。興味を持てる資格や職場で役立てられる資格を選ぶとよいでしょう。

参考:日本歯科衛生士会 | 認定歯科衛生士について

参考:インプラント専門歯科衛生士|日本口腔インプラント学会

参考:ホワイトニングコーディネーター | 一般社団法人 日本歯科審美学会

歯や口腔の健康を守る歯科衛生士

歯科衛生士の女性

(出典) pixta.jp

歯科衛生士とは歯科医師の仕事を支える職業です。主に、歯科診療補助や歯科予防処置・歯科保健指導などの業務を担当します。

歯科衛生士になるためには、国家試験に合格しなければなりません。大学・短大・専門学校で専門領域を学習すれば、受験資格を得られます。

歯科衛生士の資格を取得した後は、スタンバイで仕事を探してみるのがおすすめです。全国の豊富な求人が掲載されているため、理想の職場を見つけやすいでしょう。

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