物流業界とは?市場規模や具体的な仕事内容、転職の方法などを解説

物流業界はさまざまなモノの流通を支える業界で、コロナ禍を機にさらに重要性が高まっています。市場規模の拡大で人手不足の傾向もあるので、転職を目指す人には良い機会といえるでしょう。物流業界の仕事内容や転職のポイントなどを解説します。

物流業界の特徴とは?

物流トラック

(出典) pixta.jp

物流業界は国内や一部には国際的なモノの流れを支える企業で構成され、他の業界の商品を消費者に届ける重要な役割を持っています。まずは物流業界の定義や、具体的な事業領域などを確認しておきましょう。

物流業界の定義

そもそも「物流(物的流通)」とは、商品が生産者から消費者に届くまでの流れであり、物流業界はその流れを支える企業の集まりと定義できます。

多くの人が日常的に利用している宅配便の会社や、長距離トラックでさまざまな荷物を遠方に運ぶ企業などが該当します。

物流会社は商品の入出庫や検品、梱包、出荷・配送など、全面的に対応できるところが多く、海外への輸送を担当している企業も少なくありません。

物流業界の事業領域

物流業界を輸送手段で見ると大きく陸運・海運・空運に分かれ、さらに鉄道と倉庫の管理を担う企業に分類できます。鉄道は陸運の一種ではありますが、トラックやトレーラーなどを利用し、一般道あるいは高速道で荷物を運ぶのを陸運とするのが一般的です。

国内で最も輸送量が多いのは陸運ですが、海外への輸送(海外からの輸送)では海運・空運が重要な役割を果たしています。

また、陸運は小口配送や時間指定での配送など、消費者のニーズに柔軟に対応できますが、一度に大量の荷物の輸送はできません。一方、海運・空運は大量に荷物を運べますが、海運は輸送に時間がかかり、空運は重量のある荷物の輸送が難しいのが特徴です。

なお、荷物の調達、生産・販売、回収、消費者物流といったように、バリューチェーンで物流業界を区分する方法もあります。切り分け方によって、各企業の位置付けも異なります。

物流業界の仕事内容は?

物流倉庫

(出典) pixta.jp

物流業界の仕事内容は多岐にわたりますが、大きく以下のように分類できます。大手の運送会社などは、商品の預かりから保管、流通加工、輸送まで一手に引き受けているケースが多いですが、一部分のみを担当している企業もあります。

商品・荷物の保管

送り主から預かった商品や荷物を、倉庫に保管しておく仕事です。荷物によって輸送すべきタイミングが異なる場合が多いため、ほとんどの物流企業が、特定の日時まで荷物を保管するための倉庫を運営しています。

特に大手の運送会社は、全国各地に集荷したものを保管・仕分けするためのベース(拠点)を用意しており、スムーズに荷物を輸送できる体制を構築しています。

荷物によっては冷蔵や冷凍が必要なものもあり、最適な状態で荷物を届けるための設備も管理・運用しなければいけません。

荷役や包装・流通加工

商品の積み込みや積み降ろし、包装・ラベル貼りなども重要な仕事です。運送会社の場合は荷物の積み込み・積み下ろしは、輸送するドライバーが担当するケースがほとんどで、海外との取引では、通関手続きも荷役(にやく)作業の一種とされています。

また荷物の破損を防止するために包装したり、梱包したりする作業が発生するケースもあります。荷主のニーズによっては、「流通加工」と呼ばれるラベル貼りや、値札付けなども必要です。

これらは基本的に倉庫内作業の一種であり、アルバイトが担当している場合も多いでしょう。

商品・荷物の輸送

出荷の準備ができた荷物を、トラックや船舶、航空機などで運搬する仕事です。流通業界の仕事といえば、荷物をトラックで運ぶ仕事をイメージする人が多いでしょう。しかし上記のように、船舶や航空機での輸送も盛んです。

なお厳密には、荷主から預かった荷物を物流センターに持ち込み、送り先の住所に近いセンターに送るのが「輸送」と呼ばれています。最寄りの物流センターから、実際の送り先に届ける作業は「配送」と呼ばれるのが一般的です。

情報管理

輸送中の荷物の把握や追跡、経路の記録・分析などの仕事も重要です。大手の物流会社では、専門のコーディネーターがシステムを利用しながら荷物の配送状況をチェックしたり、輸送に遅れを出さないために最適なルートを算出したりしています。

特に、これまでの輸送に関する情報をデータ化して蓄積し、多角的に分析すれば、輸送中のトラブルを防ぎつつ、スムーズな荷物の配送が可能です。

そのため、現在は多くの物流企業が大規模な配送管理システムを導入・運用しています。さらに今後は、AI(人工知能)を活用したビッグデータの運用も広まっていくでしょう。

物流業界の規模や現状

物流倉庫

(出典) pixta.jp

物流業界全体の規模や現状も押さえておきましょう。物流は消費者の日常生活を支えており、安定した業界である点に加えて、コロナ禍を経てさらにニーズが高まっている状況です。

約38兆円の市場規模

国土交通省が2020年7月に発表した「物流を取り巻く動向について」によれば、運輸に関わる業界の規模は全国で約38兆円となっており、そのうち物流業界は約24兆円という一大産業です。

物流業界の総就業者数は約258万人で、全産業の就業者数(約6,681万人)の約4%を占めています。

物流業界には陸運業者や航海運業者、航空利用運送業者、倉庫業者などが含まれますが、その中でもトラック運送に関わる企業の営業利益が高い傾向にあります。

とりわけ近年はEC市場の成長によって小口配送のニーズが急増しており、今後さらにトラックによる運送をはじめとして、業界全体の売上は伸びていくでしょう。

出典:物流を取り巻く動向について(P7)|国土交通省

業界全体が慢性的な人手不足

物流へのニーズが高まる一方で、人手不足に悩む企業も増えています。ドライバーや倉庫内で作業する人員、オペレーターのニーズなどが増加傾向です。業界未経験でも受け入れている企業も少なくないため、転職は比較的しやすい状況にあるといえるでしょう。

物流業界は働き方改革関連法を背景として、トラックドライバーをはじめ自動車運転に携わる人員の労働時間について、上限を960時間に制限する「2024年問題」にも向き合わなければいけません。

特にトラックドライバーは人手不足という現状があり、2024年を迎えるにあたり、さらに働き手の不足が深刻化する可能性があります。

物流DXに注力する企業の増加

コロナ禍の影響もあり、高まる物流へのニーズを補うため、物流DXに注力する企業が増えている点も注目すべきです。DXはデジタル技術を活用してビジネスに変革をもたらすアプローチで、さまざまな業界で導入が進んでいます。

物流業界は他の業界に比べて、ITの利用が遅れているという意見もありますが、近年は積極的にITを活用し、輸送ルートの最適化や荷役作業の効率化などに注力する企業が増えつつある状況です。

転職の方法としては、輸送に関わる人員として物流業界に入るのが一般的ですが、ITエンジニアとして物流企業のDXに関わるという選択肢もあるでしょう。

物流業界に転職するには?

トラックドライバー

(出典) pixta.jp

上述のように、物流業界は全体として人手不足の傾向にあり、業界未経験でも転職しやすい状況といえます。ただし、以下のポイントを押さえた上で、自分に合った条件で求人を探せるサービスを利用することが大事です。

物流業界で転職先を選ぶ際のポイント

自分に合った物流業界の転職先を探す際には、勤務地や具体的な業務内容、労働時間、福利厚生などについてしっかり確認しましょう。

また、ドライバーとしての転職を考えているのであれば、どの車種の運転ができるかによって応募職種が異なります。大型トラックを運転するならば大型の運転免許が必要であり、普通自動車の免許だけでは担当できない業務もあるので注意しましょう。

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物流業界の状況を理解して転職しよう

ドライバー

(出典) pixta.jp

企業や消費者が必要としている商品を届ける物流業は、もともと安定している業界であるのに加えて、コロナ禍を機に業界全体のニーズが高まっている状況です。人手不足に陥っているケースも多いので、未経験からでも転職しやすいでしょう。

ただし、自分に合った転職先を見つけるためには、事前に候補先の情報をしっかり集める必要があります。ドライバーをはじめ、免許や資格が必要な職種もあるので、事前によく確認しておきましょう。