経理のキャリアプランとは?転職に備えて取得しておきたい資格も紹介

経理職のキャリアプランを考えることは、現在経理として働いている人だけでなく、経理職への転職を目指す人にとっても重要な問題です。経理職のキャリア形成の考え方や、経理職を目指すために必要なことについて解説します。

この記事のポイント

キャリアプランを考えるときの基本
将来の自分をイメージすることや、現在の自分をきちんと把握することが重要です。将来像と現在のスキル・経験から、やるべきことを具体的なプロセスに落とし込んでいきましょう。自己分析では、「マインドマップ」や「SWOT分析」などを活用するのがおすすめです。
キャリアプランを考える際の注意点
経理職は、能力・実績が見えにくい職種でもあるため、現在の職場で上位職種を目指す場合は、会社の評価制度を確認しておくことが重要です。大手・外資系企業への転職を目指す場合は、客観的に評価されやすい実績を作っておきましょう。
経理職への転職に備えて取得しておきたい資格
経理職としてさらなるキャリアアップを図るためには、日商簿記1級の取得にチャレンジするのがおすすめです。その他に、「FASS検定」や「USCPA」などがあり、それぞれ特化している分野が異なります。

経理職の主なキャリアプランは?

デスクワークをする女性

(出典) pixta.jp

経理職のキャリアプランを考える際は、どのようなキャリアの進め方があるのかを知っておくことが大切です。まずは、経理職の代表的なキャリアプランを押さえておきましょう。

現在の職場で役員などを目指す

経理部が独立して存在する会社で働いている場合は、経理部でキャリアアップしていくのが一般的です。最初に一般社員として経理の基礎を学んだ後、中堅として働きながら主任や課長のポジションを目指すことになるでしょう。

役職に就いて新人の教育まで行えるようになったら、株式・債券市場や上場などの知識を身に付け、より経営陣に近い上位職へのステップアップが目指せます。

現在の職場で経理職が最終的に目指せる主な役職は、経理部長・財務部長・CFOです。これらの役職に就ければ現場から離れ、会社の役員として社内で幅広い業務に携わり、会社にとって重要な人材になれるでしょう。

大手・外資系企業への転職

経理職としてより専門的に働きたいと考える場合や、グローバルな仕事を希望する場合は、大手・外資系への転職を目指すというキャリアプランもあります。

中小企業における経理業務は、大手・外資系に比べ範囲が狭い傾向にあります。規模の大きな会社でなければ携われない業務もあるため、大手・外資系の経理部に転職すれば、より細分化された分野で知識・経験を増やせるでしょう。

大手・外資系への転職によるキャリアアップは、これらの企業への就職がかなわなかった人にもおすすめです。中小企業で培った経理の知識・経験がある状態なら、初めて大手・外資系にチャレンジしたときよりも入社のハードルは低くなります。

経験を積んで独立する方法も

経理職のキャリアプランとしては、経理の知識・経験を生かして独立する道も挙げられます。会計事務所やコンサルタントとして開業するのが、基本ルートです。

経理・会計の専門家として活躍している人の大半は、公認会計士・税理士・社会保険労務士などの資格を保有しています。これらは経理の知識だけでは取得できない難関資格でもあるため、資格を取得するためには幅広い分野の学習が不可欠です。

また、独立後は基本的に自分で顧客を探す必要があります。経営を安定させるための営業力や、顧客と末永く良好な関係を維持するためのコミュニケーション能力も必要です。

経理職のキャリアプランを考えるときの基本

考え事をする女性

(出典) pixta.jp

経理職としてのステップアップを考える際の、大切なポイントについて解説します。将来の自分をイメージすることや、現在の自分をきちんと把握することが重要です。

経理職で目指したい姿を考える

経理職のキャリアプランを考える場合、まずは自分がどうなっていきたいかを考える必要があります。長期的な視点で、自分の将来像をイメージする作業が不可欠です。

経理職の一般的なキャリアプランには、昇進・転職・独立を目指す道がありますが、何を希望するかは人により異なります。それぞれの特徴を把握し、自分が本当に納得できる姿をイメージする必要があります。

最終的なキャリアが定まれば、これから何をしなければならないのかも明確にしやすくなるはずです。自分にとってどのような働き方が理想なのか、じっくりと考えましょう。

現在のスキル・経験の棚卸しをする

経理職で目指したい姿をイメージできたら、次に自己分析を行って現在の自分を徹底的に把握しましょう。スキル・経験の棚卸しを行い、目標達成のために足りない部分を確認する必要があります。

キャリアプランを考える際の自己分析では、「マインドマップ」や「SWOT分析」などのフレームワークを活用するのがおすすめです。自分に合った方法で自己分析を行いましょう。

自分について現状把握する際は、客観的な視点から分析することが重要です。1人で行うと、考え方が偏ったり、過大・過小評価してしまう部分が発生したりするため、自分をよく知る人の評価を聞いてみるのもよいでしょう。

5年後・10年後にどうなっているか考える

経理職としての将来像をイメージし、現在のスキル・経験の棚卸しを行った後は、やるべきことを具体的なプロセスに落とし込む作業が必要です。

将来像を漠然とイメージするだけでは、目標を達成することは困難です。3年後・5年後・10年後にどうなるべきかを考え、短期的な目標を具体的に定めていきます。

例えば、現在の会社で経理部門のトップを目指すためには、段階を踏んで昇進していかなければならないでしょう。人事評価のシステムは企業ごとに異なるため、自分の会社で昇進するための具体的な目標を、数年単位のスパンで考える必要があります。

経理職のキャリアプランを考える際の注意点は?

バインダーを手にしている女性

(出典) pixta.jp

経理職は、能力・実績が見えにくい職種でもあるため、選択するキャリアプランによっては注意すべき点があります。経理職のキャリアプランを考える際に、気を付けたいポイントを見ていきましょう。

実績の評価がされにくい

大半の企業では、経理職の評価基準があいまいなケースが多いといえます。「売上に直結する仕事ではない」「経理業務は正しく行われて当然」と思われやすいためです。

このような状況では能力・実績を評価されにくいため、自分から積極的に動いたり、改善案を提案したりするなど、評価されやすい下地を作る必要があります。

現在の職場で上位職種を目指す場合は、会社の評価制度を確認し、何をすれば評価を得られるのかを把握しておくことが重要です。大手・外資系企業への転職を目指す場合は、客観的に評価されやすい実績を作っておきましょう。

幅広い知識と実務経験が必須

頻繁に行われる法改正や進化し続けるツールにより、経理の仕事は新しいことに対応できる柔軟な姿勢が求められます。求められる知識が幅広いため、常に自分の知識をアップデートしていく意識を持つことが重要です。

また、転職や独立のキャリアプランを選択する場合は、一定レベル以上の実務経験が求められます。ある程度の時間をかけて実績を積み、次のステップへと動く必要があるでしょう。

経理職としてキャリアアップを図るためには、経理だけでなく、会計・税務の専門知識も必須です。会社で経理の実務に取り組みながら、空いた時間に会計・税務の勉強もしておくとよいでしょう。

経理職への転職に備えて取得しておきたい資格

経理の勉強

(出典) pixta.jp

経理職への転職を目指す場合におすすめの資格を紹介します。いずれも難関資格に位置付けられているため、入念な対策が不可欠です。

日商簿記1級

経理職として働いている人の中には、日商簿記の3級・2級を取得済みの人も多いでしょう。さらなるキャリアアップを図るためには、1級の取得にチャレンジするのがおすすめです。

日商簿記1級は、3級・2級に比べ出題範囲が広く、合格率も大幅に下がります。希少性の高い資格であり、保有しているだけで高度な知識を有していることの証明が可能です。

日商簿記1級は、公認会計士・税理士といった国家資格への登竜門としても位置付けられています。経理のスペシャリストとして独立したい人にも、おすすめの資格です。

簿記 | 商工会議所の検定試験

FASS検定(経理・財務スキル検定)

FASS検定は、経済産業省の経理・財務部門の人材育成事業により始まった検定です。資産・決算・税務・資金の4分野を出題範囲とし、合否ではなくA~Eの5段階で評価されます。

日商簿記が帳簿会計に特化しているのに対し、FASS検定は4分野においてより実務に則した内容となっているのが特徴です。総合的な実務レベルを証明できるため、経理のスペシャリストを目指す人に適しています。

FASS検定でハイスコアを獲得すれば、大手・外資系企業の課長職以上として評価される可能性があります。営業職や管理職でも重宝される資格です。

FASS 経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイト|日本CFO協会

USCPA(米国公認会計士)

USCPAは、米国の各州が認定する公認会計士免許です。世界中で認知されている資格であり、日本からも受験可能です。

USCPAを取得すれば、財務会計・企業経営環境・経営概念・諸法規・監査などについて、高い能力を有していることを証明できます。合格するには英語スキルが求められるため、外資系企業で働きたいと考える場合にも適した資格です。

USCPAの受験資格は州ごとに異なっており、日本から受験する場合は、4年制大学を卒業していれば学位要件を満たしていることになります。また、国内の公認会計士より難易度は低いといわれています。

CPA試験 - 国際管理 | ナスバ

経理職へと転職するコツは?

履歴書を手にしている女性

(出典) pixta.jp

経理職への転職を検討する際は、ポジティブな転職理由を考えておく必要があります。また、経験・実績に合った求人を探すことも大切です。

転職理由はポジティブ・明確にする

転職理由は人によりさまざまであり、中にはネガティブな理由で転職を考える人もいるでしょう。しかし、ネガティブな転職理由は採用担当者によいイメージを与えません。

キャリアアップを転職理由にする場合も、漠然とした内容にするのはNGです。採用担当者に納得感を与えるためにも、できるだけ具体性を持った転職理由を考える必要があります。

例えば、前職で人事・労務などの仕事も兼務していた場合は、「経理の仕事に専念してスキルアップを図りたい」といった理由にするとよいでしょう。

経験・実績に合った求人を探す

経理として働ける転職先を探す際は、自身の経験・実績に見合った仕事ができるかも確認する必要があります。経理職に求められることは、企業により大きく異なります。

可能ならば、転職先の評価制度もチェックしておきましょう。適正に評価されない企業を選んでしまうと、キャリアアップにつながらない恐れがあります。

経理職への転職を目指すなら、「スタンバイ」で仕事を探すのがおすすめです。全国の求人が豊富に掲載されているため、自分に合った経理職の仕事が見つかるはずです。

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経理職のキャリアプランは将来像のイメージを

前向きなビジネスマン

(出典) pixta.jp

経理職の代表的なキャリアプランには、現在働いている会社での昇進や大手・外資系企業への転職、経理のスペシャリストとしての独立などがあります。

キャリアプランを考える際は、自分が目指したい将来像をイメージすることが大切です。自己分析でスキル・経験の棚卸しを行い、5年後・10年後の目標も立てる必要があります。

経理職でキャリアアップを図りやすくするために、資格取得を目指すのもおすすめです。足りない領域を勉強で補いながら、目標に向けてステップアップしていきましょう。